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2013年9月1日 - 2013年9月7日

セックスはリアルすぎる。誰もが愛する人と直につながれるのならフェイスブックなどいらない(フェイスブック 子どもじみた王国/ニュースフィールド)

 ども、どっちかつ~とフェイスブックよりLINE(*1)のおぢさん、たいちろ~です。
 先日、仕事をしていると3時半ごろに”おい、東海道新幹線が止まってるらしいぞ!(*2)”とのニュースが。どうしてわかったかと言うと、会社で一緒に仕事をしているお嬢さんが出張に行っていて、駅から”新幹線止まっています(T-T)”というコメントとともに駅の電光掲示板の写真がフェイスブックにアップされてたから。それを見てた人の話です。そのあと同じく上司から”駅で足止めになっていて夕方の会議に出席できない”との電話がありました。まあ、若モンがフェイスブックでおぢさんが携帯電話ってことでもないんでしょうが、いかにもフェイスブックらしい使い方でしょうか。
 ということで、今回ご紹介するのはそんなフェイスブックを扱った本、”フェイスブック 子どもじみた王国”であります。


Photo
写真は上記のお嬢さんの撮影。”おくれています”が表示されてる駅の行き先表示板。
もちろん、無断掲載です。


【本】フェイスブック 子どもじみた王国(キャサリン・ロッシ 河出書房新社)
 フェイスブックに51番目に入社し、CEOにまで登りつめた”キャサリン・ロッシ”によるフェイスブック社に在籍していた時代を振り返って書かれた本。
【IT】ニュースフィールド
 フェイスブックの機能の一つで、友達設定された人が近況や写真、動画などを更新すると表示される場所です。本書によると2006年に公開された時は相当物議をかもして拒否反応も強かったそうですが、今では当たり前に使ってます。


 フェイスブックやアップルなどIT企業ってのはいろんな本が出ています。会社自身が新しい分野を切り拓いてるってこともありますし、経営者カリスマだったりってのもあります。会社そのものを扱ったビジネス書や、経営者の伝記(自伝)、経営ノウハウ本から暴露本まで。で、この本はどれかと言うと、実はどれにもあてはまんないんですなぁ。会社の意図にかかわらず内実を描くという点で無理やり分類すれば暴露本ってことになるかもしれませんが、それほど悪意で書いてるわけではないですし。
 誤解を恐れずに言うなら

  ばりばりの理系のベンチャー会社に入社し
  違和感を感じながらも偉くなっちゃった
  文系女子大生の職場体験レポート

っとこでしょうか? 

 今でこそ時価総額では世界有数の大企業のフェイスブックですが、著者のキャサリン・ロッシが入社したのは2005年。フェイスブックの創業は2004年で、創業者のマーク・ザッカーバーグは大学生とまさに学生ベンチャーのノリ。キャサリンは51番目の会社員とのことですが、中小企業もいいとこです。
 で、彼女が担当したのは”カスタマーサポート”。エンジニア偏重でほとんど女性のいないこの会社では下層のカーストだったとか。


  パロアルトのこのオフィスは、彼らにとってクラブハウスのようなものなのだ
  女性はめったに入ってこない。
  そういう場所に、セクシーな落書きがあったからといって
  文句を言うのはおかしい、ということのだろう。
  ここは彼らの王国であり、彼らのクールだと思うもので作られている。

   (中略)
  この種の落書きに象徴される「少年的」な企業文化とつきあえなければ、
  ここではやっていけない

 これは彼女が入社初日のことを書いたコメント。今どき、男子トイレであっても会社でセクシーな落書きなんかした日にゃセクハラだなんだといわれちゃいそうですが(それ以前に間違いなく女性社員に総スカンです)、”これは一種のテストなんだ”とミョーに納得しちゃってます。でも、こういう納得の仕方って違和感の裏返しではないかと。

 元々、フェイスブックは人と人をつなげるプラットフォーム=”ソーシャル・ネットワーク”なわけですが、そのためにはある程度自分をさらけ出す必要があるということ。これを本書では”ポルノ”という言い方をしてます。

  インターネットには
  「欲望の対象となりうるものがあれば、
  何であっても、必ずそれを楽しむためのデジタルのポルノがある」
  という法則が存在する
  この法則に一切の例外はない

まあ、欲望の赴くままに脳内をさらけだせばいいってモンではないわけで(*2)、このへんのバランス感覚は重要。ネットの情報と自分の閾値がずれてれば違和感あるでしょうね。私自身、フェイスブックを見てて、上記のお嬢さんのように読んでて面白い(主に喰いもんネタですが)のもありますが、”これ書きこんで何が面白いんだろう?”ってこともあります。まあ、本人が面白ければOKって見方もありまけすどね。

 なんだかんだで、キャサリンはフェイスブックを退社することになります。

  セックスはリアルすぎる。恐ろしいほど、ぞくぞくするほどリアルだ
  セックスをしてしまうと、すべてが変わってしまう
  本物の交流、全面的な肉体の交流をしてしまうと、もうバーチャルには戻れない
  私たちの運命は、そのバーチャルの世界に委ねられているというのに
  フェイスブックの先頭に立つ者として、私たちは一定の距離を守る必要がある
  人と人の間にこの距離があればこそ、会社は存続していける
  誰もが愛する人と直につながれるのなら
  私たちを含め、誰にもフェイスブックなどいらないし
  遠くにいる「友達」と仮想世界で常時つながっていなくてもいい

 引用が長くなりましたが、これはキャサリンがボーイフレンド(らしい人)とセックスを拒絶する時の言葉。これってセックスへの拒絶だけでなくって、自分の仕事に対する自己否定でもあるんですね。誰だって、”何のためにこの仕事をしてるんだ?”とかなんとか考えたことがあるかと思いますが、企業のトップの一人がこんなこと考え出したらつらいでしょうなぁ。理想と現実とか頭で考えることではなく、ネットというバーチャルな中でお互いの存在を消費し消費される関係ってのは肌感覚として違和感ありそうだし・・・

 ”フェイスブック 子どもじみた王国”はビジネス書を期待して読むならたぶんお門違い。でもITベンチャーに就職して一発当てようかという女子大生は読んどいた方がいいかも。


《脚注》
(*1)LINE
 LINE株式会社が運営する、スマホなど向けのインスタントメッセンジャー。かわういスタンプを送る機能が受けたのか、けっこうブームに。私も娘から”面白いよ!”と勧められてスマホを買ったときに真っ先にインストールしました。
(*2)東海道新幹線が止まってるらしいぞ!
 東海地方を中心に熱帯低気圧による大雨の影響で米原~名古屋間で運転見合わせになってました(2013年9月4日)
(*3)欲望の赴くままに脳内をさらけだせば~
 2013年8月26日に”2ちゃんねる”から書き込みの個人を特定できる情報が流出して大騒ぎになりました。匿名で誹謗中傷や荒らしをやってた人が謝罪することになったそうです。コンサルタントのイケダハヤトの
 「バレたら困ることは、『匿名』だろうがネットに書いてはいけない」
といったコメントを読みましたが当たり前です。

高い感受性を持つ人は暗記が得意になるそうです(万能鑑定士Qの事件簿/空海の風景/観智院)

 ども、歳のせいか記憶力がめっきり衰えてきてるおぢさん、たいちろ~です(歳の成果だけか?)
 ”万能鑑定士Qの事件簿”を読みました。けっこう売れているシリーズのようですし、ハマーン様を彷彿とさせる(*1)表紙も気になってたんですが、なんせ冊数も多いんで(*2)ためらってたんですが、読んでみると面白いんですな~これが。まだ2巻までですがはまりそうです。
 ”ビブリア古書堂の事件手帖(*3)”なんかもそうですが、博学強記で美人のおねいさんが探偵役の話ってけっこう好きなんですが、”万能鑑定士Q”の鑑定家”凜田莉子(りんだりんこ)”も気に云っちゃいました。あらゆるものに超絶的な知識を持ち、抜群の観察力と推理力、これで美人となればまさにストライクです。


150096s
写真はたいちろ~さんの撮影。京都 観智院にある”五大の庭”です。


【本】万能鑑定士Qの事件簿(松岡圭祐、角川文庫)
 東京に貼られている謎の“力士シール”。週刊角川の記者”小笠原”は”万能鑑定士Q”の店主”凛田莉子に依頼する。超絶的な知識と観察力によりあらゆるものを鑑定する莉子。やがて二人は日本経済を破壊する一万円札偽造事件に巻き込まれてゆく・・
(第一巻、第二巻)
【本】空海の風景(司馬遼太郎、中公文庫他)
 中国より真言密教をもたらした真言宗の開祖”空海”(弘法大師)の生涯を描いた司馬遼太郎の傑作。
 同じ時代で天台宗の開祖である”最澄”と並び称される知の巨人ですが、どっちかというとエリートコースの”最澄”に対し”空海”はなかななに苦労人だったようです。
【旅行】観智院
 東寺真言宗の総本山”東寺”北大門を出てすぐにある真言宗全体の勧学院(学校、研究所)。本尊は五大虚空蔵菩薩。”五大の庭”は空海が唐から帰朝する際に海が荒れ難破しそうになった時の様子を描いた庭。築山の石に五大虚空蔵菩薩の梵字が刻まれています。家にもこんな庭、欲しいなぁ。詳しくは観智院のhpをどうぞ。


 で、ちょっとユニークなのが凜田莉子がこの知識(記憶力)を持つにいたった経緯が書いてあること。頭の良くなる薬とか、ビックラッド(*3)みたく、SFのガジェットはありますが受験生向けにでもできそうなやり方ってのは珍しいんじゃないかと。
 ネタバレになりますが、アルバイト先の社長”瀬戸内陸”が凛田莉子に教えた方法がこれ。

  私が思うに、高い感受性を持つきみのような人は
  暗記が大の得意になるはずなんだ
  感受性の高さが記憶力の高さにつながるからだ
  感動を伴う記憶は強い印象を残すんだよ
  つまり、書かれている内容に感動すべきなんだ
  自分のすなおな感情に身をまかせることだ
  難しく考える必要はない
  感動といっても泣くことばかりじゃないよ
  喜怒哀楽、なんでもいいから強い感情を得ることだ
  そして、四割ほど忘れたころに、もういちど同じところを学習すること

   (”万能鑑定士Qの事件簿”1巻より抜粋)

 まあ、莉子の推理って記憶力だけではなく観察力とかさまざまな能力に支えられていますが、落ちこぼれで天然な彼女が一流の鑑定士兼探偵になってるんだから、受験生だったらやってみたくなりそうな”記憶術”ではあります。

 そんなにうまく行くはずがないと思われるかもしれませんが、ふと思い出したのが”空海の風景”に出てる”虚空蔵救聞持法(こくうぞうくもんじほう)”。これは密教の雑密(ぞうみつ)の一つで万巻の経典をたちまち暗誦できるという秘術です。これはある真言を、ある場所に行って、一定時間の間に百万べんとなえるというやり方をします。実際、空海は苦労の末、室戸岬でこの秘術を体得するわけですが、こういった苦行や大自然しかない環境って感受性を高めるには役立ちそうです。

 空海という人は元々頭の良かったようですが、司馬遼太郎はこれに加え巫人能力(超自然的な力に感応しやすい能力)を持っていたんではないかと推測しています。こう言われるとなんとなく瀬戸内社長が言っていることと原理的には同じようなモンかと思えちゃいます。

  土佐ノ室生門岬ニ寂留ス
  心ニ観ズルニ、明星口ニ入リ、
  虚空蔵光明照シ来テ、菩薩ノ威ヲ顕ス

    (本書より”御遺告”から)

 これは空海が虚空蔵救聞持法を成就した時の描写ですが、やはり神秘的な体験だったんでしょうね。司馬遼太郎をして

  この超事実が、
  この若者をしてのちの空海たらしめるところの
  重大な出発点になった

 と言わしめています。”虚空蔵救聞持法”はまあ、受験生が簡単に身につけられるシロモンではなさそうです。空海並みの偉人を目指して一発当てる人向けかもしれませんが、相当ハイリスク。瀬戸内社長のノウハウあたりで真面目に受験勉強したほうがいいかもね。

 今回は本編の内容とあまり関係なくなっちゃいましたが、”万能鑑定士Qの事件簿”はけっこう気に入りましたんで続きも読んでみるつもりです。

PS.
 最近は”万能鑑定士Qの事件簿”を始め、どっちかというと人が死んだり怨念がどうこうといった内容じゃない”さらっと系”の推理小説を読むことが多かったんでそろそろ”どろどろ系”のを読もうかと思ってたところ、高校時代の友人でこのブログにつっこみをくれるYO~YO~氏から京極夏彦の”百鬼夜行シリーズ”が届きました、しかもダンボール箱一箱分!。このシリーズは気になってたんですが”境界線上のホライゾン(*4)”並みに多いわ厚いわでなかなか手が出ませんでしたが、この機会に読んでみよっと!
 ということで、YO~YO~、連絡遅くなったけど、ちゃんと本届いたからね!!


《脚注》
(*1)ハマーン様を彷彿とさせる
 ”機動戦士Ζガンダム”&”機動戦士ガンダムΖΖ”に登場するネオ・ジオンの実質的な指導者にして超美人。凜田莉子と違ってショートカットですが、ややきつめな印象が良く似てると思うんですが・・・
(*2)なんせ冊数も多いんで
 第一部 12冊、第二部 4冊、短編集 2冊、姉妹編 4冊とけっこうなボリューム(2013年8月現在)。シリーズ物って読みだすと全部読むタイプなのでうっかり手を出すと大変なことになります。
(*3)ビックラッド
 ”サンダーバード”を作成したジェリー・アンダーソンが作った特撮人形劇”ジョー90”に登場する機械。くるくる回る球体”ビックラッド”の中に入った少年”ジョー”へ専門家の知識がインストールできるというスグレモノ。日本の放送は1968年ごろですが、当時の小学生は”これさえあれば、テストで簡単に100点取れるのに!”と憧れたものです。
(*4)境界線上のホライゾン(川上稔 電撃文庫)
 既刊14巻(2013年8月現在)でかつ1冊が多いのだと1000ページを超えると言う超分厚さ。フツーだったら3~4分冊にするだろ~ ライトノベルの棚ではそれだけで目立ちまくっているシリーズ、読んでないけど。
 ”百鬼夜行シリーズ”はさすがに分冊版がでましたが、こっちはまだ厚さで勝負のノリで頑張っています(何を?)

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