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2013年7月28日 - 2013年8月3日

酒呑みの舌を持って生まれたがゆえに、今宵も居場所を求めてさすらう女ひとり酒。いるんですよね~~身近に!(ワカコ酒/お野菜いろいろ)

 ども、浮気をするコンジョも金もないので一人呑みしてる単身赴任のおぢさん、たいちろ~です。
 会社で一緒に仕事をしている人でN子さんというお嬢さんがいらっしゃいます。九州出身でワインから焼酎から日本酒からかんでもど~んと来い、ビールは”ジョッキじゃないと呑んだ気がしない”と豪語する”酒呑みキャラ”を恣にする女性です。料理もとってもお上手で家呑みOK、宴会はまかせなさ~~いというオールマイティの人であります。
 で、先日本屋さんでこの人を彷彿とさせるコミックを見つけました。ということで今回ご紹介するのはそんなお姉さんが主人公の本”ワカコ酒”であります。


【本】ワカコ酒(新久千映 徳間書店)
 村崎ワカコ26歳。酒呑みの舌を持って生まれたがゆえに、今宵も居場所を求めてさすらう女ひとり酒。あなたの隣にいるかもしれない、おひとり様仕様の呑兵衛ショート♪(裏表紙より)


  1編4~12ページ程度のコミックでシンプルな絵柄のながら、実にうまそうに酒を呑みつまみを食べてるんですなぁ、このお嬢さん。酒を呑んだあとの”ぷっしゅー”が酒呑みゴコロをくすぐります。

 まあ、料理をそのまま載せてもいいんですが、それならほかの人がやりそうなので一応花のブログですから、食材になってる植物しばりで書いてみます(写真はすべてたいちろ~さんの撮影)

〔朴葉の味噌焼き〕
 朴(ほお)の葉で味噌を包み火であぶるのが飛騨料理の”朴葉の味噌焼き”です。
 ”朴葉の味噌焼き”自体は食べたことある人も多いかと思いますが、木自体を見た人は少ないんじゃないかと。下の写真は朴の木。意外に大きくなる木で、樹高20~30mになります。葉が大きいので菜盛葉として昔から食器代わりとかに使われてました。

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〔リンゴとブリーチーズのクラッカー乗せ、メイプルシロップかけ〕
 文字通りクラッカーの上に薄切りリンゴとブリーチーズをのせてメイプルシロップをかけたもの。どう見てもスイーツなんですがこれでワインを呑んじゃってるのが酒呑みの性でしょうか。こんど作ってみよう!
 リンゴを知らない人はいないでしょうが、下の写真は国光リンゴの花。美空ひばりが”リンゴ追分”で歌っている”リンゴの花びらが 風に散ったよな♪”のあれ。可憐な白い花が咲きます。
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〔ジェノベーゼソース〕
 バジルに松の実とニンニクをすりつぶしてオリーブオイルを混ぜたもの。本作ではワカコさんが見ているテレビで作っているシーンが出てきます。
 バジルは種から育てると山ほどできるので、毎年ジェノベーゼソースにして会社のお嬢様方におすそ分けしています(お世辞かもしれませんがけっこう好評)。難点はバジル自体はほとんど原価タダみたいなもんですが、松の実が高いこと。以前、ケチってピーナッツで代用したことがありますが、松の実ほど美味しくできませんでした。下の写真はバジルの花。垂直の茎に小さな白い花が咲きます。ジェノベーゼソース作りは、葉っぱを枝から外して、干して、フードプロセッサに葉とオリーブオイルなどを入れて撹拌してとほとんど一日がかり。まあ、作り方が難しいわけではないんでぜひどうぞ。
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〔オリーブの塩漬け〕
 オリーブの塩漬けはビン入りで売ってますが、家庭でも栽培できます。実はよく見ますがこんなかわいい花が咲きます。家で植えていて実がつかないな~と思っていたら自家受粉しないんだそうで2本以上植えないとダメなんだとか。下の写真はオリーブの花。こちらも小さな花が咲きます。
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〔ニンニクのホイル焼き〕
 ニンニクに醤油、バター、お酒などをふりかけアルミホイルでつつんで焼いたもの。素揚げなんかもそうですが、ほくほくして美味。ワカコさんも背徳感を感じつつ眼がぐるぐるにいっちゃってます。ただし、これを食べるには勇気いるんだよな~ 匂いがきつくて。翌日人に会う予定がな~~んもない時じゃないと食べれないし。
 下は行者ニンニクの苗。家庭菜園で栽培できます
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〔イカと里芋の煮物〕
 イカと里芋の煮っうころがし。ワカコさん的にはご飯と食べるのはNGで常温のお酒と呑むもんだとか。
 下の写真は里芋の葉っぱ。フキのような葉と茎の形です。”幼稚園の時に行った芋掘りと違う”と思われるむきもあろうかと思いますが、これは里芋がサトイモ科、サツマイモがヒルガオ科 ジャガイモがナス科と分類上はまったく別モンだからです。

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〔大学いも〕
 こちらもイモを使った酒の肴、というよりスイーツです。一般的にはサツマイモを低温の油で揚げて砂糖と水を煮詰めて作った蜜をからめたものですが本書の中では牛乳とバターも使っているようなのでスイートポテトっぽい? ますますスイーツです。本書では芋焼酎が合うんだとか。
 サツマイモと言えば、写真のように横にだら~と広がっているイメージがありますが、これはツルを土に埋めると不定根が発生してこれが肥大したのがいつも食べているイモになるから(収穫量はへりますが垂直植えも可能)。写真にはありませんがヒルガオ科だけあって、アサガオ(ヒルガオ科サツマイモ属)のような花が咲きます。
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〔揚げ出しトマト〕
 本書の中で一番食べて見たかったのがこれ。トマトを揚げ出しにして出汁、大根おろし、海苔、あられを加えたもの。創作和食になってますがどっかで食べさせてくれるとこないかなぁ。お酒は日本酒が合うそうです。
 写真はトマトの花。大きく赤い実をつけるとは思えないような黄色くかわいい花が咲きます。完熟したトマトを食べたければ家庭菜園がベスト。味の濃さが違います。でも揚げ出しってけっこう作るのめんどくさそうな~~ 友人に料理のブログ書いてるのがいるから(*1)、こ奴に作らせてみようか。
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 他にも空豆、インカのめざめ(じゃがいも)なんてのも載ってますが、写真がないので今回はパスしました。

 ところでワカコさん、結婚式のおよばれ以外はみんなひとり呑みなんですね。でも、決して社交的でないわけもないし彼氏もいるようですがそれでもひとり呑み。そんなワカコさんのお言葉

  一人飲みが好きだけど こうして皆の話を聞いて輪に入ってるのもとても好きだ
  そして何より 今日のおめでとオーラで ひとりの時より食も酒も進んでしまう
  こういう場があるから 安心して明日も一人で飲めるのか

 酒呑みの至言です。

 ”ワカコ酒”は何気に手に取った本ですが当たり!の一冊。
 ということで、ぜひN子さんに貸してあげましょう!!

《脚注》
(*1)友人に料理のブログ書いてるのがいるから
 高校の時からの友人で奥様も同級生というご夫婦です。先日娘が結婚したそうですが、そんな歳だもんな~。
 高校時代は彼女(今の奥様)に料理を作らせることはあっても自分で料理を作るような男じゃなかったんですが・・・ いったい何があった?!
 ご興味のある方はクックパッドの”kuni123”をどうぞ

二十年も経てば殺人事件だって時効です。ましてや恋バナなども(阿寒に果つ/カーネーション)

 ども、七つの顔を持つおぢさん、たいちろ~です。
 人は色々な顔を持っています。人によっては七つの顔だったり、二十面相だったり、千の異なる顕現だったりしますが(*1)、まあ、そこまで行かなくても一人の人格を形成するのは”科学者として私”、”母としての私”、”女としての私”だったりします(*2)ので、見る人によってとかお互いの関係で同じ人がぜんぜん違う人のようなこともあったりします。
 ということで、二十年の時を超えてさまざまな顔を持つ一人の少女を再構成をするお話、渡辺淳一の”阿寒に果つ”であります。


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写真は~たいちろさんの撮影。近所のカーネーションです。


【本】阿寒に果つ(渡辺淳一 講談社文庫)
 二十年前に阿寒で自殺を遂げた天才少女画家・時任純子。高校時代に彼女に恋をした作家の田辺俊一は、彼女と関係を持っていたかつての恋人たちを訪れ、”純子”の本当の姿を再構成しようと試みる。水晶のような多くの面を持つ彼女の本当の姿とは、彼女が自殺した理由とは・・・
【花】カーネーション
 ナデシコ科ナデシコ属の多年草。”母の日”のイメージが強いカーネーションですが、花言葉では”母への愛”のほかにも”熱愛”ってのもあります。


 しかし、渡辺淳一って初期のころははまっていていて、医療モノ(”無影燈”、”白い宴”)とか、伝記モノ(”花埋み”、”遠き落日”)とかほとんど読みましたねぇ(*3)。その中で、ちょっと異色だったのがこの”阿寒に果つ”。読んだのが高校生ぐらいだったと思うので、時任純子や若き日の田辺俊一と同じ年頃。年上の男と付き合って寝ちゃうような女の子が周りにいなかったので(知らなかっただけかもしれませんが・・)、けっこうどきどきして読みました。今回再読しましたが、中年作家となった田辺俊一より年上になっちゃうとやっぱり感じが違いますねぇ。

 で、お話しはというと、彼女をめぐる6人の男と実の姉”蘭子”による昔話です。

〔田辺俊一〕
 高校時代に純子と付き合った男。
 なんとなく純子に誘惑され恋人に。純情で振り回されっぱなしですが、最初に読んだ時は私もこの世代でしたので、今読んでも”そんな時代もあったねと♪”と思っちゃいます。
 同世代としての”純粋”な私。

〔浦部雄策〕
 純子の絵の先生にして、絵を描くためといって処女(かもしれない)純子を抱いちゃういけない人。純子を独占したいがために妻を捨て結婚まで考えたのに

  一緒になれるなら離婚する、なれないなら離婚しない、なんていうのは卑怯よ。
  なれてもなれなくても、まず離婚すべきよ

 と言われちゃってます。利用されるだけ利用されたおぢさん。
 師匠として、年上としての”中年愛”な私

〔村木浩司〕
 新聞記者で純子の姉”蘭子”の恋人。純子は彼とも寝ちゃってます。
 村木と蘭子が寝た日に純子が雪の中にカーネーションを置いてくシーンがありますが、実際にやられるとプレッシャーでしょうなぁ。カーネーションには”熱愛”って花言葉もあるので、手もなく落とされそうです。
 姉の恋人という”不倫”な私。

〔千田義明〕
 自殺未遂を図った純子の担当医師。一度キスしただけというこの中では一番淡白な関係の人ですが、それだけに一番冷静に彼女を見ています。表題の言葉はこの人のモノ。

  千田:でも負け惜しみではないが純ちゃんとは愛し合うより、
     親しい間柄でいたほうが無難だといった気持がしたのも事実です
  田辺:それは賢明だったと思います

      (中略)
  田辺:変なことをおききして、申し訳ありません
  千田:いやいや、もう二十年も経っているのですから。
     二十年もたてば殺人事件だって、時効です

 ですんで、昔の彼女の話をしても、あまり目くじらをたてないようにね、奥様。
 冷静な判断のできる”科学者”な私。

〔殿村知之〕
 純子の同窓生の兄。東京の医科大を中退して左翼グループのオルグ(*4)として北海道に。寒村の診療所を手伝いながら宣教活動を行うもが医師法違反で逮捕。まあ、こういう話題にリアリティがあったのも時代ですねぇ。現在の職業はカメラマン。
 文学に造詣が深く、左翼活動家としても弁舌巧みで東京大学出身(*5)ということもあって”素敵な先輩”キャラのポジションの人。
 純子が最後に会った人ですが、その時の描写

  殿村はいま純子が最後に見せた笑いを思い出す
  その顔は笑っていながら、心の底から笑っていない
  笑おうとして笑いきれぬ、燃えつきぬ淋しさがその顔の滲んでいた

 純子の一面を的確に表現してるって感じの言葉です
 同世代よりやや上の先輩としての”青年愛”な私。 

〔時任蘭子〕
 今は中年となってますがかつては双生児と言われるほどよく似てた純子の姉(*6)。二人は百合な関係にありました。
 蘭子は純子の自殺の原因を田辺に聞かれて

  無理に理由をあげれば、ただ疲れていただけ
  あの人、天才少女だといわれ、美しいといわれ、小悪魔だといわれ
  それにいちいち応えて、疲れ果てたのかもしれません

 人生をマスカレード(仮面舞踏会)に例えるなら、純子のようにたくさんの仮面を持った人ってのは、その分たくさん自分を演じないいけないから疲れちゃうのかもしれません。まあ、一つの仮面でさえい~かげんに生きてるおぢさんには測りかねる世界ではありますが。それが自ら求めたことであってもそれが自殺の原因であるなら哀しすぎますねぇ・・
 もっとも身近な存在であった”姉妹愛”な私。

 多面的な少女を再構成するっていう作業を”渡辺淳一”という一人の作家が行っているってのは、作家そのものが多面的な視点でものを見てるって相互の関係があるのかな~~

  純子と一人の男とのつながりの深さを知る度に
  私はメスを揮う外科医のような緊張と、
  切られる患者の痛みを同時に覚えていたのである

と書いてますが、このへんが初期の医療小説を書いてた渡辺淳一の真骨頂であります。

 ”阿寒に果つ#渡辺淳一の初期の名作。絶版になっていたようですが、”渡辺淳一セレクション”として2013年7月に講談社文庫より再刊されました。ぜひご一読のほどを。

PS.
 実はこの本の再読を思い立ったのは”永遠の0(*7)”から。こっちは特攻隊で亡くなった祖父の過去を再構成する話ですが、語る人によって見え方が違うというモチーフが同じなので、なんとなく連想しました。
 電車の吊り広告で上記の”渡辺淳一セレクション”と”永遠の0”が並んで出てましたが、同じよなこと考えた人がいたのかなぁ・・・


《脚注》
(*1)人によっては七つの顔だったり、二十面相だったり、千の異なる顕現だったり~
・七つの顔
 ”七つの顔の男シリーズ”の主人公”多羅尾伴内”のこと。生まれる前の映画なのでさすがに見たことはないですが、石森章太郎の漫画”多羅尾伴内”(1977年)は読みました。
・二十面相
 江戸川乱歩の小説”少年探偵シリーズ”に登場した大怪盗。
・千の異なる顕現
 ラヴクラフトによる”クトゥルフ神話”に登場する一柱”ニャルラトホテプ”のこと。”這いよれ! ニャル子さんシリーズ”(逢空万太 GA文庫)では女子高校生だったりします。
(*2)”科学者として私”、”母としての私”、”女としての私”~
 アニメ”新世紀エヴァンゲリオン”に登場するコンピュータ”MAGI(マギ)”は、科学者としての、母としての、女としての人格が移植された3台のコンピュータが合議制により意思決定をするというもの。人間の持つジレンマを再現するためにこんなシステムにしたようですが、それがゆえに命令者の言うことを否決しちゃったりします(旧劇場版より)
(*3)ほとんど読みましたねぇ
 あんまり読まなくなったのは”失楽園”以降かなぁ。きっと映画で黒木瞳にエッチさせた恨みからではないかと・・・
(*4)オルグ
 オルガナイズ(organize=組織化)の略。組織拡大のために勧誘して構成員にすることですが、死語なんだろうねぇ。私んとこの大学(もう30年近く前ですが)でもオルグと称して中○派の人が授業時間に乗りこんできてアジテーション(これも死語?)してましたが・・・
(*5)東京大学出身
 これは身分詐称で実際は東京のT医科大学中退。わざわざ詐称しなくてもこれだけでも立派な学歴だと思うんですが、地方大学の文科系出身者としては。
(*6)よく似てた純子の姉
 蘭子いわく
  才能のないものはむざむざと生き残り、こんな醜くなって
  俗物的なことで走りまわっています

 まあ、女王様のように華やかな天才美少女画家で、その絶頂期に刻を止めた純子の姉という微妙なポジションで青春時代を過ごしてたらそう言いたくなるもの分かるような気がします。
(*7)永遠の0(百田尚樹 講談社文庫)
 佐伯健太郎は姉の頼みで特攻で死んだ祖父”宮部久蔵”の生涯を調べることになった。ある人は空戦技術の天才といい、ある人は命の恩人だと言い、ある人は臆病者という。特攻という狂気の作戦の中、最後に久蔵が死んだ真相とは・・
 詳しくはこちらをどうぞ

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