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2013年7月14日 - 2013年7月20日

まわりが狂気の中、流されずにいるのは難しい生き方のようです(永遠の0/コックピット)

 ども、C130ハーキュリーズ輸送機のコクピットに座ったことのあるおぢさん、たいちろ~です(*1)。
 私の義理のお父さんは戦時中は本物の飛行機乗りでして、一度戦闘機に乗っている写真を見せてもらったことがあります。特攻の練習をしていた時に終戦になり死なずにすんだとのことですが、そのおかげで私の奥様が生まれ今の子供たちがいるわけです。そう考えると特攻というのは生きて帰れない=人の命のつながりを断ち切る行為であり、自ら望んでか、断れない状況に追い込まれたかにかかわらずやはり狂気の作戦だったんじゃないか思います。
 なんでこんな話をしてるかと言うと、会社で一緒に仕事しているKさんが”永遠の0”を借してくれて読んだから。ということで、今回ご紹介するのは特攻で死んだ飛行機乗りを描いた”永遠の0”であります。

C1300665

Photo
上の写真は~たいちろさんの撮影。C130ハーキュリーズ輸送機のコクピット。
下の写真は”福岡エアロレプリカクラブ小僧日記”より。鹿屋基地の航空資料館にあるゼロ戦のコクピット(復元)


【本】永遠の0(百田尚樹 講談社文庫)
 佐伯健太郎は姉の頼みで特攻で死んだ祖父”宮部久蔵”の生涯を調べることになった。ある人は空戦技術の天才といい、ある人は命の恩人だと言い、ある人は臆病者という。特攻という狂気の作戦の中、最後に久蔵が死んだ真相とは・・
 名放送作家”百田尚樹”(*2)によるデビュー作。
【乗り物】コックピット
 航空機などの操縦室のこと。
 C130ハーキュリーズは運用開始が1956年と終戦から間なしですが、当時からこんなにたくさんの計器をながら操作してたんでしょうか? ちなみにこの機種は今だに現役で運用されてています。下のゼロ戦はもっとシンプルですが、逆に言うと少ない情報で飛行機を飛ばさなければならないってことです。
 これだけある計器を一瞬で判断して飛行機を飛ばすってのは並大抵のことじゃないようで、実際に第二次世界大戦時でパイロットを育成するには選抜されたメンバーで3年、末期でも1年は育成期間が必要だったとのこと(*3)。


 冷徹に言ってしまえば、戦いに勝つためには優秀なリソースを相手を凌駕するだけ準備し、効果的に投入するかにかかっています。まあ、なかなかこれが実現できないのが問題なんですが、かといって”七生報国”だの”大和魂”だの精神論で劣勢が挽回できると考えるのは、それが有効なシーンもあるんでしょうが、すべてをこれで解決できると考えるのは論外。先日読んだ”良い戦略、悪い戦略(*4)”によると悪い戦略とは”空疎である”、”重大な問題に取り組まない”、”目標と戦略をとりちがえている”、”間違った戦略目標を掲げている”ことをあげていますが、これをみ~んなやってたのが太平洋戦争の時の日本帝国軍。で、この悪い戦略のもっとも割を食ったのが特攻と言えるでしょうか。

 てな話を書けるのも平和な時代の後知恵なんでしょうかねぇ。本書に出てくる証言をした人達に共通しているのは、国や愛する人達のために命を捨てることへのどうしようもない肯定とか、死への恐怖をヒロイズムに変える納得みたいなのがありますが、こういったことに流されなかったのが”宮部久蔵”じゃなかったかと。

 ネタバレになりますが”宮部久蔵”に関する証言をまとめると
①目的の第一が”愛する人のために生きて帰る”
②飛行中の神経質なまでの用心深さと、生き残るための空戦技術の持ち主
③戦局全体を見た冷静な状況判断
あたりになるでしょうか。
 ”御国の為に死ぬ”ことが当たり前と考える人にとっては、宮部久蔵は①のように生き残るとこを最優先にし、②のようなような用心深さってのは臆病以外のなにものでもないんでしょうけど。話は飛びますが、日本で最も有名なスナイパー(暗殺者)のゴルゴ13にこんなエピソードが出ています。知人からあんたのような一流のプロと言われるようになるための条件は何かと聞かれて(*5)

  10%の才能と、20%の努力、そして30%の臆病さ、残る40%は運だろうな

と答えています。宮部久蔵は自主的に筋トレをやるエピソードが出てきますが、元々ある才能に努力や臆病さもあいまって一流=”天才”の評価を得ているんではないかと思います。

 ③はちょっとややこしいですが、この人はまわりの状況に流されずやるべきことが見えてたんではないかと。敵を撃墜して脱出したパイロットに銃撃した宮部久蔵に対し”男の風上にもおけない”といった非難されていてる状況で、部下のから質問に答えて

  米国の工業力はすごい。戦闘機なんかすぐに作る。
  我々が殺さないといけないのは搭乗員だ

   (中略)
  その勝てたのは運が良かったからだ。
  あの男を生かして帰せば、後に何人かの日本人を殺すことになる。
  そしてーー その一人は俺かもしれない

 本書の中にも出てきますが、空戦性能は高いがパイロットへの防衛能力の低いゼロ戦と撃墜されてもパイロットの生命はできるだけ守ろうとする米国の設計思想の違いもあって、”パイロットを確実に殺す”ことが状況に鑑みて適切な判断だと(*6)。苦しい判断であってもですが。

 本書に登場する証人の中で一番印象に残ったのは意外なことに宮部久蔵を憎悪していた元ヤクザの景浦介山。方や愛する人のために生き残ろうとする男と、帰るべき家もなく友も女性を愛することもない男。正反対な人生感にも関わらず自分よりはるかに優秀な宮部久蔵、そんな男に命を救われたという屈辱。でも。よく考えて見るとこの2人って、国のためでなく自分の為の戦いを戦ったという意味ではもっとも近かったのかも。それに、別れぎわに孫の健太郎を後ろから抱きしめるシーンが出てきますが、宮部久蔵の血族との出会いに一番喜んでいたのはこの男かもしれません。

 本書では、軍上層部のエリート主義の破綻だとか、あたら優秀なパイロットを無駄に消費したとか考えさせられる話がたくさんでてきます。本書は13年12月に映画化されるそうですし、スタジオジブリがゼロ戦の開発者”堀越二郎”を主人公にするアニメ(*7)を公開しますんで、今年はゼロ戦の年になりそう。ぜひご一読のほどを。


《脚注》
(*1)C130ハーキュリーズ輸送機のコクピット~
 横田基地の日米友好祭でC130ハーキュリーズ輸送機のコクピットに座らせてくれるというイベントがありました。もちろん、空は飛んでませんけど気分はもうパイロットです。
 ※2013年度のは日米友好祭は残念ながら中止になった模様
(*2)名放送作家”百田尚樹”
 百田尚樹が”笑っていいとも!”に出演したこの人のことを奥様が”テレビのスタッフの人”と言ってましたが、関西人にしてみるとそんな感覚ですね。かく言う私も”百田尚樹”の名前を初めて知ったのは”探偵!ナイトスクープ(朝日放送)”で全国のアホとバカの分布を調査した”全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路(松本修、新潮文庫)”ですけど。
(*3)第二次世界大戦時でパイロットを育成するには~
 航空自衛隊のHPで”戦闘機パイロットになるまで”が掲載されていますが、現在はもっと大変。一人前のパイロットを育成するには機体よりも金がかかるって話を聞いたことがありますし。
(*4)良い戦略、悪い戦略(リチャード・P・ルメルト、 日本経済新聞出版社)
 歴史や企業の行動の例を引きながら”良い戦略”と”悪い戦略”の違いを明確にして、どうすれば”良い戦略”を立案できるかを示した本。大変面白いんでぜひご一読を。
 詳しくはこちらをどうぞ。
(*5)あんたのような一流のプロと言われるようになるための条件は~
 ”ロックフォードの野望(謀略の死角)”(さいとう・たかを、リイド社)より。
SPコミックス版 66巻に収録。
(*6)”パイロットを確実に殺す”ことが~
 同じようなエピソードが”エリア88”(新谷かおる、スコラ漫画文庫)に出てきます。脱出したパイロットを撃ち殺す仲間の傭兵”グエン”に対して、主人公のシンのコメント
  シン :人間一人殺すのに20ミリ弾ばらまいていたんじゃ、採算にあわん
  グエン:いってくれるじゃない、大尉さんよ・・・
      着任祝いの出血大サービスってことでどうだい・・・
  シン :そりゃ、おまえの勝手さ。ただ、そんなに気前よくやってると
      イザってときに弾がなくなるぜ
      そんときゃ・・ 自分の命でもサービスするんだな

(*7)スタジオジブリがゼロ戦の開発者”堀越二郎”を~
 ”風立ちぬ”(宮崎駿監督、スタジオジブリ)です。7月20日全国ロードショウ予定。主人公の堀越二郎のCVがなぜかヱヴァンゲリヲンの庵野秀明監督。この人もメカフェチっぽいとこあるからなぁ。

しめて4,496億円。ビル・ゲ○ツ並みに金持ってりゃ作っちゃうんだけどな~、サンダーバード秘密基地(サンダーバード/サンダーバード博)

 ども、サンダーバード2号を愛するおぢさん、たいちろ~です。
 ホントかどうかはわかりませんが、

  システムエンジニアはダンダーバード2号を偏愛する

という説があります。理由は”ツール(ジェットモグラタンクとか)を使って問題解決するのがシステムエンジニアゴコロをくすぐるから”らしいですが、分かるような気もします。別にエンジニアに限らずですが、ある世代のおぢさんにとってサンダーバードってのは憧れの存在。ということで、日本科学未来館で開催された”サンダーバード博”に行ってきました。


【DVD】サンダーバード(ジェリー・アンダーソン ジェネオン)
 世界的な大富豪”ジェフ・トレーシー”が設立した国際救助隊(International Rescue)”サンダーバード)の活躍を描くSF人形劇(*1)。
 1965年(日本の放映は1966年)とほぼ半世紀前の作品ながら、その洗練されたメカニックデザインやウイットに富んだストーリは古さを感じさせない作品です。
【旅行】サンダーバード博
 お台場の日本科学未来館で開催中のサンダーバードを紹介する博覧会(7月10日~9月23日)。サンダーバードを紹介する3D映像や、メカニックのモデル展示などです。公式HPはこちらをどうぞ。


 実際の博覧会の様子です。

〔オープニング&展示会紹介の3Dシアター〕
 入場してすぐのところがあの懐かしいオープニングを最新技術で3D化したシアター。”Thunderbirds”のロゴやメカニックが飛び出して見えてくると、会場からは”おおぅ”の声が。最近の映画は初手から3D前提で作成されるものも増えてきましたが、こんな昔の作品も3D化できるってのは、科学技術ってすばらしいです。
 一つだけ残念だったのは、ジェフ・トレーシーの声が初代の小沢重雄氏ではなかったこと。すでに故人になられていますが、この人だったら感涙モノだっただろうなぁ・・

〔モデルアートとメイキング映像〕
 次に出てくるのはサンダーバードのメカニックごとのモデルアートと撮影方法の展示です。

サンダーバード1号が飛行するシーンの撮影。バックにある空の風景を回転させることで、高速で飛んで行ってる様子が紹介されてました
1

さまざまなタイプのサンダーバード2号の展示。
 今回展示されているのは撮影に使われたオリジナルではなく(*2)、日本のモデラーの人の作品。でも、ディテールの違いを追っかけたタイプ別なんてよくやるもんです。
 その他にもジェットモグラタンクだとか搭載メカの展示も。
2

ドッキングするサンダーバード3号と5号
 この2機はセットで展示。写真だと分かりにくいですが、サンダーバード5号のドッキングベイって意外に短いです。オープニング映像だともっと長いイメージがあったんですが。
3

サンダーバード4号の撮影シーン
 水中を進むサンダーバード4号。前面に水槽を置いて気泡を発生させ、後ろ側で4号のモデルを操作しています。
4

ピンク色のペネロープ号
 エンジングリグのについた”ウィングレディ”はロールス・ロイス社が正式に許可したモノなんだとか。このあたりはけっこう太っ腹なんですね、イギリスの会社って。
Photo

 その他、ゲストメカなんかも展示してました。

〔小松崎茂のボックスアート〕
 サンダーバードのプラモデルといえばこの人、小松崎茂(*3)のボックスアート(プラモデルの函)の原画&今井科学版のボックス展示。
 サンダーバードのプラモデルと聞いて”アオシマ”と答えず”今井科学”と答える人はかなりおぢさん世代です(*4)。
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〔前田建設ファンタジー営業部による秘密基地の見積もり〕
 前田建設ファンタジー営業部(*5)が”サンダーバード秘密基地を実際に作ったらいくらかかるか”を見積もった資料です。トレーシーアイランドの地形模型とCGによる地下施設も。実はこれHPの協力会社で名前見つけてから楽しみにしてたんだよな~~
 サンダーバード秘密基地、実際に作るとしめて4,496億円。ビル・ゲ○ツ並みに金持ってりゃ作っちゃうんだけどな~ 日本だったら柳○正か孫○義あたりでもいいけど。もっともトレーシー一家みたいにアクティブにボランティアをする人ならいいけど(*6)、普通の人がやったら世界でもっとも高額な引きこもりと言われそうですが・・・
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〔巨大サンダーバード2号のアトラクション〕
 4m近い1/20スケールのサンダーバード2号を使った消火活動のアトラクション。バカでかい2号は驚きですが、もうちょっと使い方なかったんかなぁ・・・
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〔サンダーバードにつながる最先端技術の展示〕
 企業とタイアップした?最先端科学技術の展示。写真は東芝によるスマートシティを組み込んだトレーシーアイランド。
 最新の技術を紹介する日本未来館としては一番見て欲しいのはここ??
Photo_4

〔ショップコーナー〕
 最後がサンダーバードグッズの販売コーナー。プラモデル(アオシマ版)なんかも売ってます。どう見ても普段プラモデルなんか作りそうにないおぢさんが、かつてのトラウマを晴らすかのように大人買いしてました。だって、子どもの頃は5台そろってとか超高価な秘密基地なんて買ってもらえなかったモンなぁ
 私もサンダーバード博記念公式ハンドブック”サンダーバードぴあ”をお買い上げ
Photo_5


 ということで、2時間以上遊んじゃいました。
 かつてサンダーバードにはまったおぢさん世代にはお勧めの博覧会。常設の科学展示も充実してますので、お子様連れでもOKです!


《脚注》
(*1)人形劇
 そういえば、最近人形劇って見なくなりましたねぇ。
 かつては”ひょっこりひょうたん島”、人形浄瑠璃の流れをくむ”新八犬伝”、”真田十勇士”、ドリフターズがキャラの”飛べ!孫悟空”とかあったんですけどねぇ。
 ”魔法少女まどか☆マギカ”の中で”結界”に出てくる影絵っぽいの見てると藤城清治の影絵作品を思い出してなつかし~とか思っちゃいました。
(*2)撮影に使われたオリジナルではなく
 説明によると、火薬や水を使った特撮でかなり消耗が激しかったんだとか。
 50年近く前の作品ということもあって、オリジナルが残っていればかなり高値がつくんでしょうねぇ。
(*3)小松崎茂
 空想科学イラスト、プラモデルの箱の絵で有名なイラストレーター。
 1960~70年代のSFシーンを語るには外せない人です。
 ご興味のある方は”SF挿絵画家の時代”なんかをどうぞ。
(*4)”アオシマ”と答えず”今井科学”と答える人は~
 1966年に”サンダーバード”のプラモデルを販売したのが今井科学ですが、1969年に会社更生法の適用を受けて倒産。その後再建するも2002年に廃業。サンダーバードのシリーズを引き継いだのが”アオシマ(青島文化教材社)です。
 ちなみに、69年の倒産後に今井科学から資産と人材を引き継いだのが”バンダイ”でバンダイのプラモデル事業の基礎となったんだとか。まあ、のちの時代のガンプラブームの苗床がサンダーバートだったと言えなくもないかも。
(*5)前田建設ファンタジー営業部
 前田建設(実在の会社です)のファンタジー営業部って部署がマジンガーZの格納庫だガンダムのジャブローだをホントに作ったらいくらかかるかを見積もってます。書籍で3冊出てますが、ファンタジーな建築物が現実の技術を使って見積もるというまじめなのかふまじめなのか良くわからんとこが面白い本。お勧めです。
 ”ジャブローをつくる”編はこちらをどうぞ
(*6)アクティブにボランティアをする人ならいいけど
 トレーシー一家は救助活動でお金を請求しているわけではないので、ボランティア活動の超ビックなものと言えます。こういう儲けたお金をボランティアに使うってのは欧米の文化のようなモンみたいです。

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