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2013年6月2日 - 2013年6月8日

最強のカードって”愚者”かもしれません(のぼうの城/たんぽぽ)

 ども、会社でも家庭でもでくのぼうのおぢさん、たいちろ~です。
 映画公開からDVDの販売がすごく早くなっています。
 最近観たDVDだと”ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(*1)”は2012年11月17日の公開開始で、13年4月24日にはDVDの販売がスタートと約5ヶ月でDVD化。映画館で4月19日まで上映してましたんで上映完了直後に販売されたことになります。確か”おくりびと(*2)”なんかは上映期間中にDVDが出てたような。
 これは、映画作製=投資の資金を映画公開+DVDの販売収入で回収するというビジネスモデルになっていてその期間を短くするためって側面もあるようです。なんで、ほとんど出来上がってる映画の公開を1年以上延期するってのは愚か者のすることです。
 ということで、今回はそんな愚か者のDVD”のぼうの城”であります。

0444
写真はたいちろ~さんの撮影。近所のたんぽぽです。


【本】のぼうの城(和田竜 小学館)
【DVD】のぼうの城(原作 和田竜、主演 野村萬斎、監督 犬童一心、樋口真嗣)
 豊臣秀吉の天下統一目前のころ。北条氏の支城である忍城(おしじょう)は石田三成率いる豊臣軍2万人に対し500人で戦を始めようとしていた。総大将は”成田長親”。領民から”でくのぼう”を略して”のぼう様”と呼ばる人物であった。
【花】たんぽぽ
 キク科タンポポ属の総称。綿毛のついた種を飛ばすのが特徴。綿毛を吹いて飛ばした人も多いんじゃないかと。
 花言葉は”神のお告げ”、”真心の愛”のほかに”軽率、軽薄”なんてんも。


 さて、原作版は以前書いたので(”はたして賢か愚か?”をどうぞ)、DVD版から。改めて映像化されてみるとのぼう様って戦という点ではほとんど役に立っていないんですね。戦を始める時の演説では”みんな、ごめ~~ん!”とか言って泣き崩れて士気を下げるは(士気を上げてるのは農民の方だし)、戦況報告にもおろおろするだけで指示ひとつするわけでもなし。
 三国志なんかと対比すると良く分かるんですが、戦闘や軍略を立てているのは優秀な部下のほう。

  

正木丹波守利英:漆黒の魔人の異名を持つ成田家一の家老。戦闘、軍略に秀でた人
              三国志なら”関羽”にあたる人
  柴崎和泉守  :怪力無双の武人だが、ちょっと単純。
              三国志なら”張飛”にあたる人
  酒巻靱負    :多数の兵法書を読み漁る智の人だが武芸はからっきし。
              三国志なら”諸葛亮 孔明”にあたる人

 で、のぼう様が”劉備”。この人も人格者だが武芸に秀でたって印象ないし(まあ、部下が神格化されるほど強いので目立たないだけかもしれませんが)。
 のぼう様が戦局に影響するのでやったことって、①開戦を決定した、②敵前で踊りを踊った、③開城を決定した、の3つぐらい。(まあ、部下の再就職先のあっせんはやったようですが)

①開戦を決定した
 周りが全部、開城=敗戦で決定している中、この決定を覆していますがその理由ってのが、

  2万の大軍で散々脅しをかけた揚句、和戦いずれかを問うなどど申す
  そしてその実、降るにきまっているとたかをくくっておる
  そんなものに降るのは嫌じゃ
  嫌なものは嫌なのじゃ~~

 丹波守から”ガキがてめ~は!”と突っ込まれていますがその通りです。
 まあ、この理由で重臣を言いくるめて開戦にひっくり返してるんだからまあ、まあ周りも単純っちゃ単純ですが・・・

②敵前で踊りを踊った
 水攻めを破るために敵前の船上で女装して田楽踊りを踊ってます。
 主演の能楽師”野村萬斎”の最大の見せ場です。
 ネタバレになりますが、これによって城外にいる農民が水攻めの堤を破壊することになるんで結果オーライですが、事前に打ち合わせもなく農民がこの行動に出るって普通は考え付かんわなぁ。のぼう様の意図を見抜いたのは丹波守と敵将の大谷吉継(*3)ぐらい。
 しかしまあ、総大将がひょうたん持って”大放尿!”はないよな~~

③開城を決定した
 敵の総大将石田三成相手の終戦交渉にて。

  幸い当方には、武辺確かな家臣どもがいまだ壮健にござる
  この上 まだ戦がし足りぬと申されるのであれば
  存分にお相手致すゆえ 軍勢をさし向けられよ!

 なかなかの交渉上手ですが、はっきり言ってはったりです。後ろで丹波守が苦笑いをしてますが、状況の見えている人としてはそうせざるをえないんでしょうね。

 タロットカードに”愚者(*4)”ってのがあるんですが、この言葉から連想される”ジョーカー”や”宮廷道化師”の象徴でもあるんだそうです。ジョーカーってのはトランプではなんにでもなれるワイルドカードとある意味最強だし、宮廷道化師は君主に向かって無礼なことでも自由にものを言うことができる唯一の存在だったそうで、こっちもある意味最強。そういえば、アーサー・C・クラークの”都市と星”でも状況を動かす主人公が過去の記憶を持たない=愚者として書かれているし、まあ、”愚者”ってのは最強の存在かもしれません。

 あと、印象に残ったのがエンディングでのぼう様が物見台の上から甲斐姫を見つめてタンポポの綿毛を飛ばすシーンがあります。綿毛に託して過去にとらわれず自由きままに生きよと言ってるのか、真心の愛がここだと言っているのか・・・

 この映画、水攻めや堤が決壊するシーンが東日本大震災の被害を連想させるという理由で上演が2011年9月から12年11月に延期になったんだそうですが、確かにこのシーンは圧巻。さすがは”日本沈没(*5)”の監督を務めた樋口真嗣が監督をやっているだけのことはあります。歴史映画というよりエンタテインメント作品として充分楽しめるかと。


《脚注》
(*1)ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(監督 庵野秀明、製作 カラー)
 碇シンジは目を覚ました。そこは反NERV組織”ヴィレ”の戦艦”AAA ヴンダー”の中。”ニアサードインパクト”から14年の歳月が流れていた。事態を把握できぬまま状況に流されるシンジ。そしてEVA第13号機のパイロット”渚カヲル”の導きで荒廃した地球の姿を見る・・・
 詳しくはこちらをどうぞ
(*2)おくりびと(主演 本木雅弘、監督 滝田洋二郎)
 第81回アカデミー賞外国語映画賞などを受賞したために上映期間が延長(2008年9月~09年9月)、DVDの発売日(09年3月)が来ちゃって、映画館で上映してるにもかかわらずDVDが観れるという逆転現象が起こっちゃってます。
(*3)大谷吉継
 石田三成に従って関ヶ原の戦いをした武将。
 ”風雲児たち”(みなもと太郎 リイド社)で初めて知りましたが、その時以来この人のファンです。
(*4)愚者
 正位置には”自由、無邪気、可能性”、逆位置には”軽率、わがまま、落ちこぼれ”なんかの意味があるとのこと。まあ、たんぽぽの花言葉に通じるもんがありそうです。
(*5)日本沈没(2006年版)
 原作 小松左京、監督     樋口真嗣、主演 草彅剛 柴咲コウ。
 1973年に上映された映画のリメーク版(73年版のほうがほぼ原作に忠実)。
 地震で寄れる日本列島の描写がリアルですが、この映画も2011年だったら上映延期、へたすりゃ中止になってたんだろうなぁ

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