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2013年5月12日 - 2013年5月18日

本の表紙を描いてる画家って以外に調べるのがたいへんなんです(SF挿絵画家の時代)

 ども、オールドSFマニアのおぢさん、たいちろ~です。
 こういった書評っぽいブログを書いてると意外に調べるのがたいへんなのが”本の表紙を描いてるのは誰でしょう”ってのがあります。ライトノベルからこっち、表紙を描く絵師にも脚光があたっていますが(*1)、こんなのってつい最近のこと。amazon.comで見ても、表紙の画家の名前が書いてあるのは少ないんですね。
 でも、本の記憶と表紙の記憶ってけっこう結びついていて、初期のころの渡辺淳一(角川文庫)を描いていた村上芳正とか、筒井康隆だと山藤章二に杉村篤とか、金子國義の富士見ロマン文庫(*2)とか。
 ということで、今回のそんな本の表紙(挿絵)を扱った本”SF挿絵画家の時代”であります。


【本】SF挿絵画家の時代(大橋 博之、本の雑誌社)
 昭和30~60年代のSFアートを描いた画家のことを扱った本。かつて被差別文学だったSF(*3)のかつ”挿絵”というマニアックな分野だけどよくまとめてあります。
 奇想天外だ、鶴書房だ、サンリオSF文庫(*4)だとすでに倒産、廃刊になっているものも集めてあり、オールド世代には懐かしさ満載です。


 71名の画家を掲載していますが、本書の順に気になった人から。

〔武部本一郎〕

 ”火星のプリンセス(エドガー・ライス バローズ 創元SF文庫)”の表紙の美女”デジャー・ソリス”を描いた人。最近だと映画”ジョン・カーター”の原作といったほうが通りがいいかな。まだ読んでませんが、この表紙はインパクトありましたね。
 合本版”火星シリーズ”として昔のままの表紙でリニューアル。やっぱし表紙は武部本一郎でなくっちゃ。


〔小松崎茂〕

 子供のころの憧れ”サンダーバードのプラモデル”のボックスアートを描いた人。本というよりやっぱしこっちかな。意外にも”宇宙戦艦ヤマト”や”マジンガーZ”,”仮面ライダー”なんかも手掛けてます。
 この本の中にも小松崎茂に師事した人がたくさんいて、この分野では手塚治虫みたいな人だったようです。


〔依光隆〕

Photo

 世界最長のスペースオペラ”宇宙英雄ローダン・シリーズ(ハヤカワ文庫)”の表紙を描いた人。(日本語版は2013年4月に447巻目が発刊)。高校の時に1巻から10冊飛ばしでプレゼントされたことがありますが、これはハッキリ言っていぢめです。


〔真鍋博〕

 星新一(新潮文庫)の表紙を描いた人。オールドSFファンとしては”未来”のイラストというとこの人ってイメージがあります。
 本書で扱っている本はほとんど絶版になっている中(*5)、いまだに新刊で入手できるのが真鍋博版の星新一の作品。やっぱりこの人を超えられる表紙ってないんだろうなぁ。


〔金森達〕

 ”スター・トレック(ジェイムズ・ブリッシュ他、ハヤカワ文庫)”というより”宇宙大作戦”の表紙を描いた人。 第一作の発刊が1969年だからもう40年以上前なんだなぁ。最近では映画のポスターの流用だったりリアルな登場人物な絵だったりしますが、金森達の表紙もけっこう味がありました。


〔生頼範義〕

 平井和正の”ウルフガイシリーズ(ハヤカワSF文庫、祥伝社)”、”幻魔大戦(角川文庫) ”とか角川文庫版”小松左京”とかの表紙を描いた人。スターウォーズの表紙も描いているのでそのタッチを見たことがある人も多いはず。実はこの人”スケバン刑事(和田慎二)”の白泉社文庫版の表紙も描いていて(*6)、初めて見た時は驚きました。


〔長岡秀星〕

 ”迷宮のアンドローラ(集英社)”を描いた人。結構好きなテイストなので本も買いました。たぶんこの本よりイメージソングを歌った”小泉今日子”の歌を覚えてる人のほうが多いかな? 
 エアブラシだと思ってましたが、リキテックスというアクリル絵具で描いているんだそうです。


〔松本零士〕

Photo_5

 本書によると本の挿絵を描いているマンガ家は多いけど作品は少ないんだとか。言われてみればこの時代だと”デューン 砂の惑星(フランク・ハーバート、石森章太郎、ハヤカワ文庫)とか”超革命的中学生集団(平井和正、永井豪、ハヤカワ文庫)”、ルーディ・ラッカーの横山えいじぐらいしかぱっとでてこんなぁ。
 そんな中でも名作なのが松本零士が描く” ノースウェスト・スミスシリーズ(C.L.ムーア ハヤカワ文庫)”
 前にも書きましたがこのシリーズは”シャンブロウ(論創社)”として復刊されましたが、あのイラストがないのがさみしいなぁ。


〔杉本一文〕

 SFだと”産霊山秘録(半村良 角川文庫)”ですが、角川文庫版横溝正史のほうが印象あるかなぁ。私的には横溝正史といえば黒背の杉本一文、江戸川乱歩といえば青背の宮田雅之です。まあ、両方とも1970年代の後半あたりだからほとんど絶版だけど。


〔宮武一貴、加藤直之〕

Photo_4

 かつてファンタスティックコレクションというムックで”スタジオぬえの世界(朝日ソノラマ)”というのが出版されました、このスタジオぬえのイラストレーターがこの二人。”宇宙の戦士(ハインライン ハヤカワ文庫)”のパワードスーツがガンダムのモビルスーツに影響を与えたということで当時は話題になってました(一部の人にですが)。
 宮武一貴は”超時空要塞マクロス(ファーストシリーズ)”のメカニックデザイン、
加藤直之は”銀河英雄伝説(田中芳樹 徳間書店他)(*7)”のアニメ版のメカニックデザインを担当。また”巨人たちの星シリーズ(ジェイムズ・P・ホーガン、創元SF文庫)なんかも手掛けています。

 こうやって見ると、絵は知ってても画家の名前って知らないんだな~と改めて感じましたね。本の表紙の話を集めて扱った本ってあんましなさそうなんで、ぜひ続編を出していただきたいです。”ドグラ・マグラ(角川文庫)”の米倉斉加年”吉里吉里人(新潮文庫)”の安野光雄”ひでおと素子の愛の交換日記(角川文庫)”、”・・・絶句(ハヤカワSF文庫)”の吾妻ひでお&新井素子のコラボとかとかとか。


《脚注》
(*1)ライトノベルからこっち~
 実際、表紙の萌え絵が売上を左右する世界なんだとか。”涼宮ハルヒの憂鬱(谷川流 角川スニーカー文庫)”のいとうのいぢ版に加えフェアで葉賀ユイの表紙を付けたり、”古典部シリーズ(米澤穂信 角川文庫)で通常版と京都アニメ版のダブル表紙を付けたりとかもありますが、こんなことやるのって最近なんだよな~~。
(*2)富士見ロマン文庫
 かつて富士見書房から出版されていた官能小説文庫のレーベル。読みたかったんだけど、高校生では買うのに抵抗あったし。
 ちなみに富士見書房から出ている”富士見ファンタジア文庫”とはまったく別物です
(*3)かつて被差別文学だったSF
 ”士農工商SF作家、早川こけたらみなこけた”と言われてた時代もありました、はい
(*4)サンリオSF文庫
 意外でしょうが、ハローキティでおなじみのサンリオがかつてはSF文庫の出版をしてたんですね、しかもかなりマニアックな。すでに廃刊となっているので古書市場ではモノによってはかなり高額な値がついてるものもあります。
(*5)ほとんど絶版になっている中
 本自体は出版されていても、表紙は変わっているものも多いです。だもんで、調べるのもけっこう大変。特に表紙をころころ変えるのが角川文庫。まあ、メディアミックスの家元だからなぁ。
(*6)”スケバン刑事(和田慎二)”の白泉社文庫版
 アンソロジーを除けばマンガ本の表紙を別の画家が描くってのも珍しいんですが、どちらかというと丸っこい和田慎二の絵をリアルに描くとこうもテイストが違うもんかと・・・
(*7)銀河英雄伝説
 新しい順に、創元SF文庫版は星野之宣徳間デュアル文庫は道原かつみ(コミック版も)、徳間ノベルズ版は加藤直之とけっこう錚々たるメンバーです。


現時点では、ほかの方法では不可能なことをオンラインで実現すべきというわけです(ワンクリック/エバラ焼き肉のたれ)

 ども、増殖する本の量に苦悩するおぢさん、たいちろ~です。
 毎週BOOKOFFで5~10冊買ってるとあ~~~っという間に本がたまります(*1)。10数年にわたる単身生活で押し入れは本でいっぱい、スチール棚からもはみ出して床を占拠しつつあります。
 さすがに”Kindle Fire(*2)”なと買おうかと思いつつずるずると本が増え続けております。まあ、日本語版も出たのでそろそろ買いかなぁ。
 ということで、今回のご紹介は世界最大の本屋さん”Amazon.com”の本”ワンクリック”であります。


0229

Amazoncomlogosvg
写真上ははたいちろ~さんの撮影。”エバラ 焼き肉のたれ”です。
下はAmazon.comのマーク


【本】ワンクリック(リチャード・ブラント、日経BP社)
 サイブタイトリに”ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛”とあるように、Amazon.comの創業から現在に至るまでを扱った本。”興亡”ではなく”隆盛”なのがまだまだ続きそう感があります。
【食べ物】エバラ 焼き肉のたれ
 エバラ食品工業が販売する焼肉用のたれの定番。
 販売は1968年と昔からある長寿商品。エバラの唇付きロゴマークのほうは意外と最近で2011年。もっと前からあったような気がしてたんですが・・・
 Amazon.comのロゴとちょっと似てるな~と思ってましたがこっちは"from A to Z" (すべて)を表す矢印と顧客の満足を表す笑顔のダブルミーイングだとか(Amazon.comプレスリリース。こっちは2000年から)
 そんだけの話です、はい。


 ちょっと長くなりますが、新興IT企業てのを創業順に並べると

  1975年 マイクロソフト(パートナーシップとして創業)
  1976年 アップル
  1977年 オラクル
  1985年 アスキーネット(現在サービス終了)
  1986年 PC-VAN(現BIGLOBE)
  1987年 ニフティサーブ(現@Nifty)
  1992年 IIJ(インターネットイニシアティブ)
    1993年  モザイクコミュニケーションズ(*3)
  1994年 Amazon.com(前身のCadabra.com)
  1995年 Yahoo!
  1995年 eBay
  1995年 ぷらら(NTTコミュニケーションズ系)
  1995年 テレホーダイ開始(NTTの夜間限定の固定料金サービス)
  1996年 OCN(NTTコミュニケーションズ)
  1997年 ODN(ソフトバンク系)
  1997年 楽天
  1998年 グーグル
  1999年 ADSLの商業サービス開始(回線速度 64Kbps)

 ってなぐあいになります。年表にすると1970年代にパーソナルなハード・ソフトを提供する企業が誕生し、80年代半ばにパソコン通信サービス(*4)が興隆し、90年代にISP(*5)がサービスを提供し始め、そのインフラの上で検索サービスや販売サービスを大規模に行う企業が登場するって流れがよく分かります。まあ、裏には回線速度の高速化やつなぎっぱのサービスの登場ってのもあります。

 こうやって見ると、Amazon.comってパソコン文化→パソコン通信→インターネットというインフラの成長の上に成り立ってるんだな~~というのが良くわかります。 表題のジェフ・ベゾスの言葉を全文引用すると

  ウェブはまだ生まれたばかりの技術です。
  短期から中期で成長したいと思えば
  昔ながらのやり方よりもずっと大きな価値が得られる方法を
  消費者に提供する必要があります。
  つまり、現時点では、ほかの方法では不可能なことを
  オンラインで実現すべきというわけです。

 この言葉は創業期のころだそうですが、達見ですね。

 本書によるとネットショッピングってのは別にジェフ・ベゾスが初めてってわけではないようですが、アマゾンをぶっちぎりのドットコム企業に成長させたのはやはりジェフ・ベゾスの手腕。年表を見てると時代も絶妙だったんでしょうね。これより早いとフルテキストのパソコン通信で本を選ぶというアピールの点で難しかしかったでしょうし、これより遅いと出遅れてたでしょうし。実際ベソズは利益や株主への還元を半ば無視して売上を再投資することによるAmazon.comの成長を図っています。

 また、この人は場当たり的に本の販売を選んだわけじゃなくて、ディールフロー(*6)という判断チェックシートみたいなのを作っていて、その検討の結果”本”の販売にしたんだとか。このあたりはファイテル、バンカーズ・トラスト、D・E・ショーといったウォールストリートの企業で働いてたベゾスらしいいっちゃらしいです(ただし、ベソズは技術担当でディーリングではないとのこと)。この時の人脈が起業の金を引っ張ってくるのにも役にたっているとのこと。このあたりのやり方は起業を目指す若い人にも参考にして欲しいものです。

 先ほど”利益や株主への還元を半ば無視して”と書きましたが、この本を読んで思い出したんですが、Amazon.comって利益がほとんど出てない時代があったんですねぇ。確かドットコムバブルがはじけた2000年ごろに”成長はしているが、利益のほとんど出ていない企業に投資するのは狂気の沙汰だ”みたいな記事を読んだ記憶があって、当時”そうだよな~~”と思った気がします。当時、ニューエコノミー論(*7)みたくほとんどユーフォリア状態だったんで懐疑的だったんですが、バブルが吹っ飛んでやぱりな~~みたいな。まあ、Amazon.comに関して言えば先見の明がなかったわけですがね。

 その後のAmazon.comの成長を見てると、顧客第一主義とか、より利便性を向上するための努力、ディスカウントなどのメリットなんかを不断に実行し続けていく企業ってのは強いんだなぁと思います。訳者あとがきで

  業界2位の10倍になるには
  実は10%だけ優れていればいいのです

 というベゾズの言葉を引用してますが、なかなかできないんだよね~、この10%が

 本書は、ベゾズというよりAmazon.comの全体を俯瞰したエッセイに近い感じかな。するっと読める分かりやすい本です。
 でも、この本がKindleで読めないのは何故だ???(*7)


《脚注》
(*1)BOOKOFFで5~10冊買ってると~
 これ以外にも図書館で数冊借りてます。こっちは溜まらないんでいいんですがねぇ。
 BOOKOFFでは主に図書館で借りれないコミック系が多いです、はい。
(*2)Kindle Fire
 Amazon.comの提供する電子書籍リーダー。日本語版の発売は2012年10月より。欲しいんだけど、電車の中でこれ読んでるとすっんごい目立つんだな~~
(*3)モザイクコミュニケーションズ
 世界で初めて画像が扱える最初のウェブブラウザの一つ”Mosaic(モザイク)”が登場したのが1993年。これをベースに”Netscape Navigator(通称 ネスケ)”を同社がリリースしたのが1994年。一世を風靡したブラウザだったんだけどなぁ・・・
(*4)パソコン通信サービス
 電話回線を使って個人の持ってるパソコンをつなげるサービス。死語。
 当時は”BBS(Bulletin Board System)という電子掲示板やチャット電子メール(ただし各サービス会社内のみ)。表示はテキストのみですが、なんせ回線速度が1200bpsとかだったからなあぁ
(*5)ISP
 インターネットへの接続を提供するインターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider)の略。
 日本では上記IIJが最初。この辺りからパソコン通信サービス事業者がインターネットとの相互接続ができるようになりました。
(*5)ディールフロー
 本を選んだ時のディールフローのチェックポイントは下記のとおり
  よく知られた製品であること、市場が大きい、競争が激しい、仕入が容易
  販売書籍のデータベース作成、ディスカウントのチャンス
  送料、オンラインの可能性

(*6)ニューエコノミー論
 ITの活用によりサプライチェーンの最適化が図られるため景気循環が消滅するのではないかと期待されるという議論。インターネット企業の急成長の説明みたいな側面があったような・・・
(*7)この本がKindleで読めないのは何故だ???
 2013年5月12日現在で日本語版はありません(英語版は出ています)
 ちなみに日本語版の表紙は白地に対し英語版は本、Kindleとも黒地。なぜだ???

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