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ホンモノというには、この料理には”品”がないのです! とかね(ギャラリーフェイク/法廷のフリュネ)

 ども、本代をねん出するために食費を削るおぢさん、たいちろ~です(酒代は削ってませんが・・・)
 あいもかわらず食品の偽装だか誤表示だかが続いています(*1)。その後もホテルだわ百貨店だわと出るわ出るわ。まあ、リスクマネジメントが浸透していると言えなくもないですが(*2)。
 ところで、TVを見てて興味深かったのはある料理評論家の人が”芝エビとバナメイエビ”という小型のエビの違いについて、

  (素材として)食べ比べれば違いは分かるが、料理すれば普通の人はまず分からない

といった発言をしてたこと。まあ、素材をありがたがってみてもそんなモンだと思うか、料理人の技量をほめたたえるべきなのか、単なるお店のブランドのプラシーボ効果(*3)なのかははビミョ~なトコですが・・・
 ところで、この話と合わせ鏡のような話を昔読んだような? といことで、今回ご紹介するのは”ギャラリーフェイク”より”美神法廷(ミューズ・コート)”であります。


Photo
写真は”法廷のフリュネ”です


【本】ギャラリーフェイク(細野不二彦 小学館文庫)
 表向きは贋作専門、裏ではいろいろやってるアートギャラリー”ギャラリーフェイク”を舞台とした漫画。山のような贋作(フェイク)に時々真作が登場。オーナーの”藤田玲司”は元ニューヨークメトロポリタン美術館で”プロフェッサー”と呼ばれたキュレーターで、ちょ~物知りで鑑定バツグンに修復までこなすという人です。
【絵画】法廷のフリュネジャン・レオン・ジェローム
 紀元前4世紀の古代ギリシア、神を冒涜したという罪で訴えられた”フリュネ”は絶世の美女にして高級娼婦。形勢は不利で有罪判決を受けそうになった時に弁護していた雄弁家で愛人の”ヒュペレイデス”はいきなりフリュネを真っ裸にして(自分で脱いだという説もあるらしい)

  こんな神々しい肉体を持つものが、神を冒涜するはずがない

という理由で無罪を勝ち取ったというお話。これは古代ギリシアでは”肉体の美は神性の一面・神聖なしるし”というコンセンサスがあったからで、現代の陪審員裁判でこんな理由で無罪判決を出したら間違いなく社会的信用を失います


 さて、ネタバレになりますが今回の”美神法廷”のあらすじはこんな感じ。

 藤田玲司はある会社の社長にデューラー(*3)の絵を真作として5億円で販売する。ところがその絵を鑑定したオークション会社は”贋作”と判断。裁判で証言を依頼されたのは高田美術館の館長にして”美術界のジャンヌ・ダルク”の異名を持つ三田村小夜子。はたして法廷で三田村が下した真贋の判断とは・・・

 てな内容です。オークション会社が”贋作”と判断したのはモノグラム(=サイン、商標)が後から付けられた偽物だとされたから。で、法廷での三田村館長と検察官の応酬

  三田村館長:簡単にそう(贋作)と断じるには、
        どうしてもしっくりこない点があって・・
  検察官  :しっくりこないとは、何が?
  三田村館長:”品”です
  検察官  :ひ、ひん・・・?  
  三田村館長:ニセモノというには、この絵には”品”があるのです!
        いや、ありすでぎるのです!
         (中略)
  検察官  :サインがニセモノなら、絵もニセモノ!というのが、論理でしょう
  三田村館長:どれほど論理と証拠をかためても、画家の魂を知ることはできません
        自分の魂を研ぎ澄ませて絵に対さなければ、真実は見えてきません
        私・・、私は、
        私はこの絵が、デューラーの真作であると信じます!!

 つまり、絵がホンモノでもサインがニセモノなのでニセモノと判断されたということ。で、絵=材料、サイン=メニューと読み替えると今回の事件とまさに真逆な構図なんですね。ただ、ややこしいのは、今回の料理だって作ったシェフは一流の人なんでしょうから、料理自体は美味しかったんでしょう。実際、今回の事件の発覚は社内調査で、実際に”材料はニセモノ”と訴えた人がいたわけではなさそうだし。

  ホンモノというには、この料理には”品”がないのです!

料理にいかに”品”があっても、ニセモノを間違った材料表示で出すという行為が”下品”です。本書によるとモノグラムを絵につけたのはデューラーが最初なんだそうですが、このモノグラム自体が贋作として取り込まれたんだとか。いたちごっこっちゃいたちごっこなんですが、モノグラム=メニュー自体に振り回されるってのもなんだかなぁ。せっかくおいしい料理なのに(そんな高級店で食べたこたないですが)。

  こんなに美味しい料理が、材料を偽っているはずがない

ぐらい、堂々とコメントする料理人がひとりぐらいいてもよさそうですが(もっとも、偽装がばれたらフクロです)、料理の”品”ではなく料理人(とお店)の”品”が問われたのが今回の事件の本質ではなかったかと。別に安い材料で美味しい料理を作れるんだから、安く提供してくれりゃよかったのにね(*5)

 まあ、食べる方だって、み~んなわからずに美味しくいただいてたんですから、そんなもんって気もします。

  自分の魂を研ぎ澄ませて料理に対さなければ、真実は見えてきません

みたいなこと考えて料理を食べたら肩こるだけだし、料理はきれいなおねいさんと楽しく食べてこそ華(”だったら何故私を連れてかん!”と奥様から突っ込まれそうな発言ですが・・・) 美味しい料理を安全に安く提供いただくことが庶民の願いなのであります。

 今回ご紹介の”美神法廷”は小学館文庫版 第17巻に掲載(*6)。ご一読のほどを。


《脚注》
(*1)偽装だか誤表示だか
 2013年10月22日、阪急阪神ホテルズで直営ホテルを含む23カ所のレストラン・宴会場で、料理メニューの表示と異なる食材を提供していたと発表。”偽装ではなく誤表示”としていましたが、結局社長が辞任に追い込まれました。ちなみに辞書だと
 誤表示:正しくない(誤った)表示
 偽装 :ある事実をおおい隠すために、他の物事・状況をよそおうこと
 虚偽 :真実ではないのに、真実のように見せかけること。うそ
 詐欺 :他人をだまして、金品を奪ったり損害を与えたりすること

で、”詐欺罪”になると10年以下の懲役に処せられるんだそうです。
(*2)リスクマネジメントが浸透していると~
 リスクを組織的にマネジメント(管理)し、損失などの回避または低減をはかるプロセスを”リスクマネジメント”といいます。不都合が発生した場合、”早めに告白して早急にリスクの鎮静化を図る”か””隠しおおすが、バレた時のリスクは大きい”かを選択する必要に迫られます。阪急阪神ホテルズの場合は社内調査の結果を自主的に発表しているので前者。まあ、7年も放置したコンプライアンス上の責任は問われますが。
 後者の代表が”這いよれ! ニャル子さん”(逢空万太、ソフトバンククリエイティブ)でニャル子さんが言い放った名言
  バレなきゃ犯罪じゃないんですよ
(*3)プラシーボ効果
 患者に効果のない薬を飲ませても、薬だと信じ込む事によって何らかの改善がみられることを”プラシーボ効果”と言います。一種の暗示的効果だそうですが、これを全否定すると製品原価から他製品との価格差を説明できないブランド品なんか一杯ありそうな・・・
(*4)デューラー
 ドイツのルネサンス期(16世紀前半)の画家。代表作は”四人の使徒”などがあるそうですが、すいません、見たことないんで。
(*5)安く提供してくれりゃよかったのにね
 あるコメンテーターが”高い材料を使って安く間違ったってのがない”といった発言をしてましたが、まっ、そこらあたりにデパートの本音でしょう
(*6)第17巻に掲載
 先日、ミュンヘンのアパートから、ナチス・ドイツがユダヤ人らから略奪した絵画が多数発見されるという事件がありました。17巻には略奪絵画を元ネタにした”20世紀より来た刺客”も掲載されています。

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コメント

デジタルの時代になってから、音楽や映像の世界のプロがよく言っていることに”確かに便利になったしいろんなことが簡単にできるようになったけど、なんか心に響くものが無くなった”。
CDの16bit音源では全く感動しないとか、デジカメの画像ではフィルムの何十分の一しか表現できてないとか、そんなの当たり前でしょ!便利さだけを追求してるんだから。
店のブランドだとか、素材がなんなのかとか、データだけで判断するから、本物を見分けられないんですよ。味覚・嗅覚とかのアナログな感覚で判断できないから、食品偽装に騙されるのじゃないでしょうか?
そろそろ効率を追求するのはやめて、機械に振り回されるのはやめませんか?機械で代用できる程度のものはそれなりの低レベルなんだって。
人間の感覚の潜在能力は、“亰”でも代用できないですよ。もっとアナログな生き方をしましょう。
何度も言いますけど、デジタルはアナログには絶対勝てませんて!!!

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