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薔薇は薔薇は気高く咲いて、薔薇は薔薇は、美しく散る♪(探偵はひとりぼっち/探偵はBARにいる2/薔薇 エグランタイン”マサコ”)

 ども、昔古本屋でバイトしてたおぢさん、たいちろ~です。まあ、四半世紀以上前の話ですが。
 古本屋というのは本を買う人もいれば売る人も必要なビジネスです。この売りに来た本のチェックをするのはバイトの仕事なんですが、チェックしたい本もあればしたくない本もあるのは人の常で、人気No.1がビニ本(*1)、人気最低なのがホモ本。特に人気のなかったのが”中年ホモSM”というマイナーな分野の中でもさらにニッチな分野です。ダイバーシティ(*2)が叫ばれる昨今、人様の趣味に口出すつもりはありませんし、需要があるから供給があるんでしょうが、需要側にはちょっと回れそうにないな~~つーのが正直な感想です。
 ということで、今回ご紹介するのはおカマちゃんをめぐる殺人事件の話”探偵はひとりぼっち”&”探偵はBARにいる2”であります。
 (ホモとゲイとオカマはびみょ~に違うそうですが、どう違うのかよくわかりません。いっしょこたにしてますが、ご容赦のほどを)


Photo
写真はたいちろ~さんの撮影。生田地ばら苑に咲くエグランタイン”マサコ”です。


【本】探偵はひとりぼっち(東直己、ハヤカワ文庫JA)
 オカマのマサコちゃんが殺された。かつてマサコちゃんと愛人同士だった大物代議士がスキャンダルを恐れて殺したのではないかとうい噂がススキノに流れる。かつてマサコちゃんの友人だったおカマや客引きたちが口を閉ざす中、”俺”はこの事件の真相を調査し始める・・・
【DVD】探偵はBARにいる2(原作 東直己、主演 大泉洋、松田龍平、アミューズソフトエンタテインメント)
 オカマのマサコちゃんが殺された。マサコちゃんの死の真相を探ろうとする”俺”の前に謎の美女”河島弓子”が依頼人としてあらわれる。かつてマサコちゃんと愛人同士だった大物代議士の影がちらつく中、事件の真相と弓子の行動とは・・・
 東直己のススキノ探偵シリーズの第5作”探偵はひとりぼっち”を大泉洋主演で映画化した第二作目。
【花】薔薇 エグランタイン”マサコ”
 エグランタインはエレガントなイングリッシュローズ。”マサコ”は皇太子の御成婚にちなんで雅子妃殿下の名を冠したんだそうですが、このネタで使うと右側の人からツッコミがありそうな・・・


 さて、本作のキーアイテムは”薔薇”。ネタバレになりますが、原作、DVDともマサコちゃんが殺された現場に赤い薔薇の花束が置かれています。でも、使われ方のシチュエーションがビミョウに違うんですな。DVDでは大物代議士”橡脇孝一郎”がマサコちゃんと再会して渡しているシーンが出てきますが、原作では死体となったマサコちゃんに捧げられているという感じ(死者にささげるのは菊、百合とかの白い花が普通なんですが)。ことほど左様に、このお話ってDVDと原作はかなり違ったモノ。マサコちゃんが殺されて、マサコちゃんと橡脇との秘められた愛の物語があって、まわりが右往左往して、実は以外な人物が犯人だったりしてといったとこは同じなんですが、物語の構成はぜんぜん別物。そもそも原作では橡脇孝一郎が出てくるシーンなんてないし。まあ、3割同じで7割別モンって感じでしょうか。それに原作では美貌で関西人のバイオリニストなんという、これでピアノ弾きだったら綾戸智恵(*3)みたいなキャラなんて出てきませんし。
 どうも、原作ではマサコちゃんの死をめぐるハードボイルドなどたばたにウエイトがあって、DVDではどっちかというとマサコちゃんをめぐる愛の物語にしたかったような・・・

 さて。男同士の愛情の薔薇といえば、やはり”薔薇族(*4)”。今でこそヤオイだ腐女子だとイケメンな男同士が市民権を得ているような(得てるか?)時代ですが、原作の1980年代ごろだと男同士の愛=ホモなんてまだまだ日陰の存在。そんな中で、ホモの人向けの雑誌としては、”さぶ(*4)”、”アドン(*4)”なんてのが出版されてましたが、やはり一番メジャーだったのが(ナイナーの中でですが)”薔薇族”。いや、読んだことはないですが。

 本書の中でもゲイコミュニティみたいな話が出てきます。霊感占い師の聖さんが、マサコちゃんと橡脇の出会いの話をしてる時の会話

  聖:女だな、とわかって、それから、それが好みのタイプだったら、
    まぁ、お付き合いしたいな、と思う。ホモはその点が難しいのね。
    なにしろ、普通、ホモは見ただけじゃわからないでしょ?
  俺:なるほど
  聖:だから自然と、ホモの人たちが集まる、出会いの場所ができるわけね

で、リアルな世界では”発展場(*5)”。メディアとして一定の需要を確保したのが上記の雑誌ということになります。これが現在ではSNSに移行しているらしいです。恐るべしテクノロジーの発展!

 まあ、マサコちゃんはある意味とってもつまらない理由で殺されたわけですが、彼女は橡脇や、ゲイの仲間、”俺”なんかにも愛された人だったようです。

 薔薇は薔薇は気高く咲いて、薔薇は薔薇は、美しく散る♪(*6)

 ホモであれ、ノンケであれ、こういったことのほうが政治のどろどろにまみれて身動きできないよりはよっぽど大切なことなんでしょうねぇ・・・

 やるせないハードボイルドがお好みなら原作が、愛にあふれたドタバタコメディーを観たいならDVDがおすすめです。

《脚注》
(*1)ビニ本
 ビニールに入ったHな本。今では死語なんだろうな~~
 この話をするとうらやましがられそうですがビニ本って問屋さんからビニールに入った状態で納品されるので、中身を見ることはほとんどないんです、はい。
(*2)ダイバーシティ(Diversity)
 日本語だと多様性。幅広く性質の異なるものが存在することですが、今回お題の性的多様性(ホモとかレズとか)から、生物多様性まで使い方は幅広。でも、うちの上司のようにダイバーシティミーティングをお台場でやるという寒いギャクはいかがなものかと
(*3)綾戸智恵
 ばりばり大阪弁をしゃべるジャズシンガー。良い意味で大阪を代表するおばちゃんです。パワフルな演奏はけっこうお気に入りですので、よろしければ聴いてみてください。
(*4)薔薇族、さぶ、アドン
 いずれも日本を代表する?ゲイ雑誌
 薔薇族:商業誌としては日本初のゲイ雑誌。誌名は”男同士の愛の場所は薔薇の木の
     下だった
”というギリシア神話が元らしいです。2004年にいったん廃刊
 さぶ :”男と男の抒情誌”というのがキャッチコピーだったそうですが、内容が
     硬派なハードコア路線って想像つかん! 2002年に廃刊
 アドン:wikipediaでは”1990年前後頃からゲイ理論誌の色彩を強め”
     と書いてありますがどんな理論だったんだろう? 1996年に廃刊
(*5)発展場
 男性同性愛者の出会いの場所のことだそうです。行ったことないけど。英語では”Cruising(クルージング)”。そういえば”クルージング”って映画があったなーと思ったら、ゲイ連続殺人事件を潜入捜査する刑事がゲイの世界にはまっちゃうというお話でした。見たことないけど。ちなみに主演はアル・パチーノです。
(*6)薔薇は薔薇は気高く咲いて~
 日本を代表するアニメ”ベルサイユのばら”(原作 池田理代子、監督 長浜忠夫、出崎統)の主題歌”薔薇は美しく散る”(作詞 山上路夫、作曲 馬飼野康)より。
 ちなみに、”ベルサイユのばら”と名付けられたバラは本当にあるそうです。

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