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”芋虫”に”ドウエル教授の首”に”魍魎の匣”に。手足のない人間ってけっこうゾクゾクするものなのかも(魍魎の匣/イワシイケス)

 ども、嘘と坊主の頭は結ったことがないおぢさん、たいちろ~です。
 私の趣味の中に”冗談のカタログ”を創るってのがあります。アニメや小説なんかのキャラクターと会社の製品なんかを組み合わせて”ありえね~~”な製品紹介をするってなシロモノです。ここで公開するとお縄になりかねないので(*1)お見せはできませんが、最近受けたのは銀行向けの

  半沢直樹監修 融資支援システム
  黒崎駿一監修 経営管理システム
(金融庁検査対応)

ってシロモノ。まあ、やってるこた女子高生がボーイズラブの同人誌作ってるようなレベルなので身内で遊んでる分にゃそんなに目くじら立てるような話じゃないわけで(だから黙認してください)
 この手の遊びのミソは一見すると”うっそで~”と思うものも、90%実在するものに10%のウソを混ぜた小ネタをてんこ盛りにすると”ひょっとしてアリかもしんない?!”と思っちゃうこと。けっこうホントにありだと思っちゃう人もいました(*2)
 ということで、今回ご紹介するのはこんなウソ話の秀作”魍魎の匣(もうりょうのはこ)”であります。


Photo
写真はたいちろ~さんの撮影。勝浦にあるイワシイケス(エビイケス)です。


【本】魍魎の匣(京極夏彦、講談社文庫)
 戦後間もないある日、中央線武蔵小金井駅で発生した美少女”柚木加菜子”が転落事故を起こす。たまたま居合わせた刑事”木場修太郎”はその事故に巻き込まれていく。一方、手足をバラバラにして箱詰めされて遺棄されるという連続殺人事件が発生する。穢れ封じ御筥様、新進幻想小説家、不死を研究する科学者、あやしげな人物が交錯する中、拝み屋”京極堂”の推理した真実とは・・・
 ”京極堂”こと”中禅寺秋彦”を主人公とした”百鬼夜行シリーズ”の二作目。
【旅行】イワシイケス
 看板の説明によると、写真の四角いくぼみは大きなものが大量に獲れたイワシを畜養したイワシイケス、小さなのがイセエビを捕まえるエビイケス。なんとなく函のように見えるのは私だけでしょうか? 勝浦海中展望塔のすぐ近くにありますので訪問の際にご覧ください。


 まだ2冊しか読んでませんがこの”百鬼夜行シリーズ”の特徴って、”京極堂”の語る圧倒的な知識量。宗教の話は出るわ、古典文学の話はでるわ、最新科学の話は出るわとそりゃあもう膨大。こっちはそれほど物知りではないので話の真贋はわかりませんが、ついつい”これは本当のことなのか?!”と思っちゃいます。
 ”穢れ封じ御筥様”という怪しげな宗教には伊勢神宮たらなんたらの知識を披露し、呪術についてはそのノウハウ?を語り、脳科学についてのウンチクをかたむけと、飲み屋でOL相手にやったら絶対に相手にされなくなるような話が延々と。でも京極堂のシチュエーションでやると面白いんですなぁ、これが。聞き役の関口君なんか、簡単にけむに巻かれちゃう。(物知らず扱いでいぢめられているようにも見えますが・・・)

 ”御筥様”というのは、穢れを封じこめる単なる箱(まあ、それっぽいいわく因縁を語ってますが)なんですが、それでも信じる者は救われるってなもんです。まあ、”鰯の頭も信心から”みたいなもんで、信じない人の目から見るとつまらないものでも、信心する人にとっては尊くありがたい存在になるということ(*2)。しかしまあ、まがりなりにも”武蔵晴明神社”の宮司たる京極堂がこんなん言っててええんかいな?
 、
 ネタバレになりますが、人間を箱詰にする犯人というか理由ってのが2つあります。一つは箱の中にみちみちに詰め込まれた人体を愛する変態さん。もう一人は延命のために手足を切り落としちゃう科学者。で、前者の変態さんの美意識が歪んでいるかというとあながちそうでもないんかも。だって美術の時間にビーナスの胸像とか、トルソー(胴体)のデッサンとかやりませんでしたか? 全身像ですがルーブル美術館に展示されている”サモトラケのニケ像”にしたって、”ギリシア美術を代表するの彫像”という目で見ているから美しいと思っているだけかもしれませんし。私んちにもガチャポンでゲットした”キューティーハニーの胸像”ってのがありますが、けっこう美しいと感じてしまします。いや、私、変態ではないですから。

 どうも、この”手足のない人間”というモチーフはどうも妖艶なイメージがあるようで、代表的なのが江戸川乱歩の”芋虫”(*3)。戦争で両手両足、聴覚、味覚を失い視覚と触覚のみが無事な夫を虐げて快感を得る奥様のお話です。学生時代に乱歩にはまった時に読みましたが、けっこうゾクゾクしましたねぇ。いや、私、変態ではないですから。

 もう一人の科学者はというと、この人は”頭(脳)さえ生きてりゃ人間は生きてる”という割り切った考え方の持ち主。まあ、たしかにそうなんでしょうが。上記の変態さんが最後にこの意見への反論を提示してますが、まあ、生きてりゃいいってもんでもないわけで。
 この手の話のモチーフで思いだされるのがベリヤーエフの”ドウエル教授の首”(*4)。死んでしまった”ドウエル博士”を首だけで生きてるってイメージは子供心にけっこうインパクトありました。映画版(*5)の最終シーンで首だけになった変態さんが出てきますがこっちのイメージに近いかな、かなりグロテスクなつくりになってますが。ラストシーンで登場する白磁器のような美少女の胸像は美しいんですがねぇ。だから、変態じゃないってばよ

 ”百鬼夜行シリーズ”はやたら長いわ、理屈っぽいわと、読み手側の気合はいりますがけっこうお気に入りになってるシリーズ。面白かったぞ、YO~YO~(*6)


《脚注》
(*1)お縄になりかねないので
 原作に登場するキャラクターを利用して、二次的に創作された作品を”二次創作物”といいます。原作者の許諾を得ていない場合、著作権侵害となる可能性があります。”コミックマーケットなんかで山ほど売ってるやんか!”と言われそうですが、著作権侵害は親告罪なので、訴えらえれていない=”黙認”されているだけだからです。
 なお、堺雅人(半沢直樹)の写真を使った場合、これはパブリシティ権(氏名・肖像から生じる経済的利益ないし価値を排他的に支配する権利)の侵害になります。
(*2)”鰯の頭も信心から”みたいなもんで~
 節分の夜に鰯の頭を柊の枝に刺して門口に飾っておくと、鰯の臭気が邪鬼を追い払うという一応、理屈はあるようです。まあ、ドラキュラがニンニクを嫌うようなモンかと。
(*3)芋虫(江戸川乱歩 角川文庫他)
 もう使われていませんが、江戸川文庫の表紙で使われていた宮田雅之の切り絵版が出色。やはり乱歩の表紙と言えばこの人が最高です。

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(*4)ドウエル教授の首(ベリヤーエフ 岩崎書店)
 別名”ドウエル博士の首”、”合成人間ビルケ”、”生きている首”。今ではほとんど絶版状態です。子供の頃読んだSFでは定番だったんだけどねぇ・・
(*5)映画版
 2007年に公開の実写版。監督 原田眞人、主演 堤真一、椎名桔平、黒木瞳。
 小説版とはかなりストーリーが違ってますので、観られる方はご注意を。
(*6)YO~YO~
 このブログにつっこみを入れてくれる高校時代の友人。”百鬼夜行シリーズ”もダンボール箱一杯、まとめて送ってくれました。でも、週1冊ベースでこれ読むのしんどいぞ~~っと。

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