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2013年10月

体制に対する民衆の信頼をえるには、公平な裁判と、公平な税制度があればいい(国家はなぜ衰退するのか/銀河英雄伝説/食虫植物)

 ども、脱税どころか節税するお金もないおぢさん、たいちろ~です。
 消費税が5%から8%に上がることが決まったようです。まあ、食べ物と酒と本以外にほとんどお金を使わない人なので、上がるからと言って節税ができるようなもんじゃありません。せいぜい”B○○K○FFの105円棚は110円になるのか? 108円になるのか?”が気になるぐらいでしょうか。
 さて、今回の税金のアップが景気にどう影響するかが焦点になってますが、税制ってもっと根深くて国家が繁栄するのか衰退するのかのターニングポイントでもあります。ということで、今回ご紹介するのはそんな国家の繁栄・貧困の起源を分析した本”国家はなぜ衰退するのか”であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。
尾瀬牛首十字路付近に自生するナガバノモウセンゴケです。


【本】国家はなぜ衰退するのか
 (ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン 早川書房)
 サブタイトルが”権力・繁栄・貧困の起源”とあるように、世界にはなぜ豊かな国と貧しい国が存在するのかを古代ローマから、名誉革命期のイングランド、日本、ソ連、ラテンアメリカとアフリカ諸国までの事例を分析し繁栄と衰退の要因を分析した本。
【本】銀河英雄伝説(田中芳樹、創元SF文庫他)
 銀河系にまでその範囲を拡大させた人類は銀河連邦を成立させるが、社会が閉塞感する中、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムは独裁政権を確立し”銀河帝国”を建国した。帝国暦164年、アーレ・ハイネセンは帝国からの逃亡に成功し、民主共和政治を礎とする”自由惑星同盟”を建国した。その後、退廃と停滞の続く”銀河帝国”、政治的な腐敗にみまわれる”自由惑星同盟”は150年にわたる戦争状態に陥る。その状況を打破したのが帝国軍の”常勝の英雄”ラインハルト・フォン・ローエングラムと同盟軍の”不敗の名将”ヤン・ウェンリーであった・・・
 銀河系に広がる人類の興亡を描いた一大SF長編小説。お勧めです。
【花】食虫植物
 食虫という習性を持っている植物の総称。一般的には光合成はするんですが、土地が痩せてるんで虫を食べて栄養補給をしてるんだとか。上記のモウセンゴケも湿地帯に自生しています。先端の花っぽいのは実は葉で、粘毛から甘い香りのする粘液を分泌して虫を捕獲します。


 結論から言うと国家が繁栄するか衰退するかの最大の要因は地理でも、気候でも、文化でも、為政者の無知でもなく、政治・経済上の”制度”と結論づけています。まあ、東西ベルリン(*1)や韓国と北朝鮮なんて分断されたのは第二次世界大戦後の話ですし、この期間での経済発展差の発生は地理や、気候、文化の差では説明しにくいでしょうね。

 では、なぜ国家の繁栄にはどんな”制度”なのかというとポイントは2つ

〔包括的制度〕
 制度には”包括的制度”と”収奪的制度”があるそうで、”収奪的”とははエリート層(国王や貴族、独裁政権のトップ)が利益を独占するための制度。これに対応するのが”包括的”。多元的つまりステークホルダーがたくさんいる中で、体制のトップを選挙によって選出でき、利益が適正に分散されるような制度です。
 まあ、政治的制度と経済的制度とがあるんで4つの象限に分かれるんですが、ここではひとまとめにしときます

〔中央集権体制〕
 発展をするためには”制度”を施行(強制)するための体制が必要で、それが国家内で集権的である必要があります。まあ、現代日本が中央集権的、群雄割拠した戦国時代が分権的といえばわかりやすいかも(*2)。現代では中央集権が成立せず分権的勢力が権力闘争をすると”内乱”になります。

 で、繁栄をするためにはこの組み合わせで、中央集権体制でかつ、包括的制度が確立しているのが望ましいとのこと。でないと革新に至るモチベーションが発生しないからだそうです。
 社会が”繁栄=成長”するには従来と違うやり方(発想や技術、生産体制)などが必要になります。で、こういったものを作りだそうというエンジンがモチベーション。ところが、モチベーションというのは

  ①自分が行ったモチベーションに対する受益が保証されている
    (少なくとも得られるであろう利益を理不尽に収奪されない)
  ②モチベーションに対して不当な弾圧が加えられない

が担保されている必要があります。

 ①はたとえば、春に自分の植えた野菜が、秋の収穫期に土地ごと持ってかれる可能性があれば、だれも真面目に耕作しようとは思いません。ですので、モチベーション以前に生産性の向上自体が望めません。
 ②はちょっと解かりやすいにくいです。普通なら”モチベーションによる生産性や利便性の向上は社会にとって良いこと”と思いがちですが、モチベーションには創造的破壊という側面があって、ここで”破壊”されるのが往々にして旧勢力や職を失う人だったりします。モチベーションにより経済的利益を得るのが新興の商人だったりすると彼らが力をつけることで政治権利を求めるようになり、旧勢力の王族、貴族にとって望ましいものではないですし、機械による生産性の向上は旧態然とした作業に従事している労働者の職業を奪われるんじゃないかと恐れられちゃいます。その典型が”ラッダイト運動(*3)”。世界史でやったけど覚えてますか? 歴史上の話と思われるかもしれませんが、パソコンの登場期に”IT革命に取り残されたおぢさんの仕事がなくなる!”みたいな話が真面目にあったんですから、まあ、いつの時代でも起こりうることなんでしょう。
 一時期のソ連や現在の中国のように、中央集権体制で収奪的制度の社会でも繁栄がないわけではないんですがモチベーションがなければ長続きしないんじゃないかとも言ってます。また、このような社会では”親の総取り”的な様相があるんで、政権交代(クーデターとか)が起こっても独裁的な性格がそのまま(場合によってはより悪く)継承されるだけってケースもあります。
 このような繁栄しない社会=痩せた土地でなにが起こるかというと、エリート層はより簒奪的に富を集中させ、権力基盤をより強固にしようという行動に移ります。仮に一時期は利益誘導(甘い香りのする蜜)でいい目にあっても、トップの気まぐれでいつパクっと食べられちゃうかわかんないという不安定な状況でもあります。

 上下2冊の分量があるので、かなり大まかに丸めてますが、だいたいこのような話が歴史的な事実をもとにまとめられているのがこの本です。

 話は飛びますが”銀河英雄伝説”というSF歴史小説の中に銀河帝国皇帝になるローエングラム侯がこんなことを言っています

  体制に対する民衆の信頼をえるには、ふたつのものがあればよい。
  公平な裁判と、同じく公平な税制度。ただそれだけだ。 

   (ラインハルト・フォン・ローエングラム 第3巻”雌伏篇”より)

 ここで”公平な裁判”を政治的な、”公平な税制度”を経済的な権利と捉えると(*4)、同じようなモンかなと思っちゃいます。

 本書のユニークなのは、数々の事例を引きながら、”中央集権体制でかつ包括的制度が歴史の必然”とはしていないこと。むしろ、現在繁栄しているアメリカ、ヨーロッパ諸国、日本などは歴史の偶然によってこのような制度になったと考察しています。まあ、北京の蝶々(*5)よろしく小さな初期条件の違いが後に大きな差異を生み出すものだと。ましてや、中央集権は権力を握るとより大きい権力を手に入れたいという権力者のモチベーションが発生するので、国民がしっかりしていないと収奪的な方向に流れかねません(*6)。
 歴史的な発展認識としては、資本主義の高度な発展にが共産主義社会を生み出すとした”カール・マルクス”や、すべての社会が民主化へ向かうとした”シーモア・リプセット”の”近代化理論”なんかがありますが、それらとは一線を隔した”突き放した感”がけっこうお気に入りです。経済学としても、歴史学としても面白い本です。


《脚注》
(*1)東西ベルリン
 冷戦の象徴だった”ベルリンの壁”が建設されベルリンが東西に分断されたのは1961年。この壁が破壊されたのは1989年11月10日のこと。もう四半世紀近く経つんですねぇ。”サイボーグ009”の第一話(初出は1964年)で”004(ハインリヒ)”が東ベルリンから亡命を図るというエピソードが出てきますが、今の若い人にはもう歴史上の話なんでしょうか。
(*2)現代日本が中央集権的~
 ”地方分権”はなにかと言われそうですが、これは機能の問題。国防や外交なんかを県レベルでやるのは現実的ではないってことです。仮にTPP交渉なんかを県単位でやってたら、きっとぐちゃぐちゃになるんでしょうねぇ(ちょっと見たい気もしますが・・)
(*3)ラッダイト運動
 1811年~1817年頃にイギリスの織物工業地帯に起こった機械破壊運動。産業革命にともなう機械使用の普及で、失業のおそれを感じた労働者が起こした、まあ反産業革命みたいなものです。
(*4)”公平な裁判”を政治的な~
 なぜ”公平な選挙”ではないかというと、元々銀河帝国には民主主義的な選挙制度なるものが存在しないのでそのような発想がないから。同じくラインハルトは
  民主共和政とは、人民が自由意志によって自分たち自身の制度と
  精神をおとしめる政体のことか

   (第5巻”風雲篇”より)
とヤン・ウェンリーに質問していますが、対立勢力たる自由惑星同盟が政治的な腐敗に陥ってるんだから、そんな疑問も出てこようと言うものです。
(*5)北京の蝶々
 別名”バタフライ効果”。通常なら無視できるような小さな差が、大きな結果の違いをもたらすというカオス理論で使われる比喩です。
(*6)収奪的な方向に流れかねません
 ”銀河英雄伝説”では民主共和制の銀河連邦から銀河帝国が成立過程をちゃんと書いてるんですが、まさにこれです。(第1巻”黎明篇 銀河系史概略”他)

 

どんなにリスク管理が高度化しても、不確定要素のある未来への意思決定は本質的にはギャンブルです(金融リスク管理を変えた10大事件/餃子)

 ども、ハイリスク・ハイリターンなんかいらんので、のんびり本でも読んで暮らしたいおぢさん、たいちろ~です。
 これでも入社以来、某IT企業で金融機関向けソリューションの企画・販売をやっております(これは本当)。まあ、半沢直樹風に言うと”バブル直前入社組”ですので(1)、かれこれ30年弱になりますか。んで、たまたまちょうどこの時期の金融史を書いた本があったんで読んでみました。今回ご紹介している”金融リスク管理を変えた10大事件”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。自家製の餃子です(事件とは関係ありません)


【本】金融リスク管理を変えた10大事件(藤井健司、きんざい)
 日本長期信用銀行。三和銀行(*2)、三菱UFJフィナンシャルグループ、あおそら銀行などでリスク管理を担当した著者によるブラックマンデー(1987年)からフラッシュ・クラッシュ(2010年)までの金融リスク管理に多大な影響を及ぼした10ケの事件をまとめた本。
【料理】餃子
 挽肉、ニラ、白菜等の餡を薄皮で包んだ代表的な中華料理の一つ。自分で作ると安くできるんですが、材料をみじん切りにして、こねて、包んで、焼いてととっても手間がかかりますできあいのを買った方が安いんですけどねぇ。


 まあ、10ケ並べるとけっこう量が多いので自分史に重ね合わせてつらつら書いてみます。

〔ブラックマンデー 1987年〕
  ※1987年10月19日の月曜日、ニューヨーク証券取引所で株価が1日で
   22.8%暴落、時価にして5000億ドル(約71兆円)を失った事件。
 まだ入社からあんましたっなかったので、事件の重要性があんまり解かってなくて、新聞の株式欄が”▲”で真っ黒になってるぐらいの(*3)印象しかありませんでした。
 この時話題になったのが”プログラム・トレーディング”(プログラム売買と言ってたかなぁ)。これはコンピューターがあらかじめ決められたプログラムに従って株を売買するという仕掛けで、株価暴落の犯人扱いされてました。当時のパソコンはというとCPUがIntel 80386/80286、OSがMS-DOS 3.1と今から見ればスマホよりも圧倒的にしょぼい性能でしたが、”コンピューターってすげ~”と思った記憶があります。

〔ベアリングズ銀行と不正トレーダー 1995年〕
  ※イギリスのベアリングズ銀行の先物子会社のトレーダー”ニック・リーソン”の
   トレーディング失敗に端を発し、ベアリングズ銀行が破綻した事件。
 実はこの年、大規模なトレーダーの不正事件が2件ありました。一つが上記のベアリングズ銀行の事件で、もうひとつが大和銀行(*4)のニューヨーク支店の現地行員”井口俊英”による米国国債にかかわる不正トレーディング事件です。一介のトレーダーの不正(正確に言えばアメリカ金融当局への報告をせず隠蔽しようとした経営姿勢のが問題だったんですが)が原因で大和銀行がアメリカから撤退することになりました。まあ、護送船団方式(*5)どっぷりの時代でしたから”アメリカって厳しいんだなぁ”とか思いました。
 あと、逮捕された井口俊英が書いた”告白(*6)”がベストセラーになったのもちょっと驚き。今でこそ”ホリエホン”みたいに堀江貴文が刑務所内で書いた本が売れてますが、当時は珍しかったんじゃないかなぁ

〔ヘッジファンドLTCM破綻 1998年〕
  ※巨大ヘッジファンドLTCM(Long-Term Capital
   Management)が運用失敗から破綻した事件
 ノーベル賞経済学者のマイロン・ショールズ(*7)をはじめとするドリームチーム”LTCM”が高い運用成績を上げながらロシア財政危機を契機に膨大な損失を計上。正直”天才的に頭のいい人が集まっても失敗するときゃ失敗するんだ!”とか凡人の私は思ったもんです。
 金融工学というのは”ボラティリティ(資産価格の変動の激しさ)”は正規分布、つまり”1ドル100円が1日で1円変動する確率は高いが50円変動する確率は極めて低い”というのを前提にしているので、想定外の急激な変動には対処できないってことがウィークポイントかな(LTCMはロシアが債務不履行を起こす確率は100万年に3回だと計算してたそうです)

〔バーゼルⅡとオペレーショナルリスク 2001~07年〕
  ※金融危機への反省からバーゼル(国際決済銀行によるリスク管理のルールと
   思ってください)がバージョンアップ(Ⅱ)されました。
 この頃、”バーゼルⅡ対応”の経営管理ソリューションの企画・拡販てのをやってました、マジで。これがまた”PD”だ”LGD”だ”EL”だ”EAD”だと訳のわからん略語のオンパレード(*8)。まあ、これをやったおかげで社会現象もこんな発想で考えるようになりましたが・・・
 まあ、ワケ分かんないものは売れないので、営業担当向けに”サルでもわかる経営管理入門(*9)”なんつ~小冊子を作って遊んでました。このブログの原点が実はこれですから、人生何があるかはわかりません。

〔サブプライムローン問題と証券化商品 2007年〕
〔リーマンショックと金融危機からバーゼルⅢへ 2008年~〕

 ※信用度の低い借り手を対象とした住宅ローン(サブプライムローン)を返済原資
  とした証券化商品が不良債権化、リーマン・ブラザース証券など名だたる金融機関
  が経営危機に陥った事件
 記憶に新しいサブプライムローン問題とリーマンショックですが、一言で言うと金融機関全体が疑心暗鬼に陥ってお金の流れが止まっちゃった(信用収縮)ということ。なぜ疑心暗鬼になったかというと、本来は返済が危なっかしそうな住宅ローンを証券化する段階でその組み合わせがあまりに複雑怪奇になっちゃったために、その証券のリスクがどれぐらいあるのか誰にもわからなくなったから。100万円200万円ならともかく千億円、兆円単位ですから、アメリカの最大手の金融機関でもたまったもんじゃありません。
 ちょうどこのころ”中国製冷凍餃子中毒事件(*10)”ってのがあったんですが、構造的には同じ。つまり毒が混入された餃子はほんの一部なんですが、どれに毒が混入されれるのかわからないんで冷凍餃子全体が売れなく(自主回収も含め)なっちゃいました
 で、こういった事態に対処するためにバーゼルのさらなるバージョンアップ(Ⅱ→Ⅲ、リスク管理の向上、リスク拡大に対処するための自己資本比率のアップなど)をやってます。

 こうやって振り返ってみるとほんっとリスク管理ってモグラたたきなんだよな~~
 金融機関ってのはかなり厳格なルール(厳格に守られているかは別にして)と処罰(業務改善命令とか)で運用されてるんですが、それでも次から次へと問題がでてきてるのがわかります。まあ、金融機関ってのは預かったお金や自己資本を安全に保全する(リスクの最小化)と、産業や個人の将来に向かった資金需要に応える(リスクをとる)という矛盾した命題を抱えているのでどこでどうバランスをとるかが重要。でも、不確定な未来に対する決断という意味では競馬や就活(*11)と同じく”ギャンブル的”な要素ってなくなんないんだよね。

 ちょっと長くなりましたが、書きだすといろいろ思い出しちゃってすいません。
 本書は金融の専門出版社(きんざい)から出ているので、まったく金融知識のない人にはちょっときついかも。でも知識のある人には面白いでしょうね、リアルタイムで事件にかかわったおぢさん世代とか特に。でもどっちかというと金融機関に入社した新人あたりにお勧めかな。リスク管理の良い入門書になります。


《脚注》
(*1)半沢直樹風に言うと~
 いや~流行りましたな、TBSの”半沢直樹”。職業別視聴率のデーターがあれば銀行員視聴率100%に近いんじゃないかと。原作は”オレたちバブル入行組”、”オレたち花のバブル組”。主人公の半沢直樹は原作では1989年と 東京証券取引所の大納会で日経平均株価が史上最高値の38,915円87銭をつけた年。ちなみに私はバブルの遠因となったプラザ合意(為替レート安定化に関する合意 1985年)の前年に入社したんで”バブル直前入社組”でしょうか。
(*2)日本長期信用銀行。三和銀行
 日本長期信用銀行はバブル崩壊の影響で経営破綻、一時国有化を経て現在は”新生銀行”、三和銀行は2001年に東海銀行が合併したUFJ銀行を経て、さらに東京三菱銀行と合併して三菱東京UFJ銀行となりました。まあ、私が入社した頃にはこんなことになるとは思ってもみませんでしたが
(*3)新聞の株式欄が”▲”で
 株式欄の”▲”マークは株価が下落したことを意味します。ニューヨーク証券取引所とは直接関係はないはずなんですか、翌日の東証株価もそりゃあもう見事なぐらい真黒でした。
(*4)大和銀行
 2003年3月にあさひ銀行(1991年に協和銀行と埼玉銀行の合併行)と合併し現在は”りそな銀行”。ちなみに”りそな銀行”はメガバンクではなくスーパー・リージョナル・バンク(地域金融機関の連合体)です。
(*5)護送船団方式
 競争力の最も弱い金融機関にあわせて行政が指導すること。当時の銀行って”銀行員の嫁になれば一生安泰”と思われるぐらいのステータスがありましたが、反面”箸の上げ下げまでお伺いを立てる”的な自由競争とは無縁の世界でした。
(*6)告白(井口俊英 文春文庫)
 大和銀行巨額損失事件の顛末を井口俊英が獄中で執筆した本。
 キャッチコピーは”日本金融業の墓碑銘”。墓を掘った人に言われてもなぁ
(*7)マイロン・ショールズ
 フィッシャー・ブラックとともに”ブラック-ショールズ方程式(金融派生商品の価格づけに現れる確率微分方程式)”を組み立てた経済学者。
 余談ですが、金融工学系のアプリケーションを提供する””新日鉄住金ソリューションズ”という新日本製鐵(設立当時)の子会社があります。なぜ製鉄会社の関連会社が金融工学をやってるかというと”ブラック・ショールズ方程式と”と製鉄業で利用されていた”熱伝導方程式”がよく似てるんだとか。へぇ~~
(*8)”PD”だ”LGD”だ~
 PD :倒産確率(Probability of Default)
 LGD:デフォルト時損失率(Loss Given Default)
 EL :期待損失(Expected Loss)
 EAD:デフォルト時貸出残高(Exposure At Default)
  企業が倒産した時に発生する損失はどれぐらいかを計算する式は
     期待損失(EL)
       =倒産確率(PD)×デフォルト時損失率(LGD)×デフォルト時貸出残高(EAD)

になります。まあ、解かってみれば難しいことを言ってるわけではないんですけどね。
 社会現象でいうと福島第一原発が壊滅的な状態になる確率(=PD)は極めて低いもののいったんそうなると補助金等の収益に比べて損失率(=LGD)が極めて大きくなるようなモンです。
(*9)サルでもわかる経営管理入門
 これは当時流行っていた”サルでも描けるまんが教室(相原コージ、竹熊健太郎、小学館)によるのパクリです、はい
 表題は”マリリン、ソブリン、ゆうこりん”なんてふざけたのを付けてましたんで、内容も推して知るべしです。(マリリンはマリリン・モンロー、ゆうこりんは小倉優子、ソブリンはソブリン債(政府関係機関が発行、保証している国債などの債券)のこと)
(*10)中国製冷凍餃子中毒事件
 中国の天洋食品が製造した冷凍餃子に有毒な殺虫剤が混入され中毒症状を起こした事件。食の安全問題や日中間で国際問題化しました。
(*11)就活
 ちょうど子供が今年就活だったので。限られたコイン(エントリーシートや会社訪問にかける労力や時間)を自分というカードの手役(本人のキャラクター、成績や能力、大学のブランド等)を見ながら、どこの会社にベット(賭ける)するかって考えるとまさにギャンブルです。

”ヤマノススメ”はお勧めですが、この行為はお勧めできません(ヤマノススメ/高尾山)

 ども、こう見えて意外にアウトドア派なおぢさん、たいちろ~です。
 本のブログなんぞを書いているとインドア趣味かと思われてるかもしれませんが、これでも中学~大学と山登りのクラブに入ってました。まあ、子供が生まれてからはとんと御無沙汰でしたが、数年前に会社の同期の人に誘われて年に数回登りにいくようになり、今年は尾瀬の至仏山、燧ケ岳、大菩薩嶺なんぞに登ってます。
 ”山ガール”のブームなんかもあって若い人が山に興味を持ってくれるのは良いことで、先日もTSUTAYAで”ヤマノススメ”があったもんで借りてきて観ました。内容的には楽しませていただきましたが、古い山屋から見ると結構”これダメなんじゃね?!”というシーンが・・・ というころで、今回のお話は”ヤマノススメ”からNGシーンなんぞを。


Photo
写真は山仲間の撮影。高尾山薬王院の本社(権現堂)です。
実はこの山登ってないんです、すいません。


【DVD】ヤマノススメ(原作 しろ、監督 山本裕介、アース・スターエンターテイメント)
 インドア趣味で高所恐怖症の高校1年生”雪村あおい”、あおいの幼馴染で彼女と再び山の朝日を見たいと思っている”倉上ひなた”、彼女達の先輩で登山経験者にしてスタイル抜群の”斉藤楓”、森で出会った森ガール、天然系の中学生”青羽ここな”。”ゆるふわアウトドアコミック”を原作とした登山を楽しむ少女たちのアニメ。
 でも、まだ原作読んでないんだなぁ。こんど読んでみよっと!
【旅行】高尾山
 東京都八王子市にある山。アクセスが便利な上、ミシュランの選ぶ三つ星観光地に選ばれたこともあって、登山者も多いようです。ま
 高尾山にある高尾山薬王院は真言宗智山派の関東三大本山のひとつでご本尊は飯縄権現、その眷属が天狗様です。ひなたさんがお土産屋さんで天狗のぬいぐるみの鼻をぷにぷにして遊んでるのはそのせい。
 高尾山薬王院のHPはこちらから


 アニメでは好日山荘(*1)が協力で参加してたりして、けっこうちゃんと作ってますが、でもダメ出ししたくなっちゃうようなネタもあったりなんかします。ということで、細かいスッコミを。

〔山で植物を採ってはいけません〕
 第3話でひなたさんがきのこを採ってあおいさんに見せびらかしていますが、原則としてこれはNG。特に国立公園では許可のいる行為です(*2)。
 まあ、近所の山であれば目くじらたてることもないんでしょうが、みんながみんなやりだすと環境破壊につながりかねない行為ですし、こういったことはクセの問題なので、やらないに越したことはないです。

〔初めての人には装備表を渡しましょう〕
 第3話であおいさんが近所の天覧山に登るのにヘルメットをかぶってきてますが、これは不要(てか、重いだけです)。あおいさんはそもそも何を持っていけばいいかすらわかっていないようなので、経験者がちゃんと教えてあげないとムダな荷物ばっか増えて疲れちゃいます。

〔クッキングストーブを使う時はご注意を〕
 第3話であおいさんが天覧山の展望台でクッキングストーブを使ってお茶を飲むシーンが出てきますが、場所によっては火器厳禁のところもありますので使用の場合はご注意を。

〔山の料理は”早い”、”簡単”、”軽い”がベター〕
 第4話であおいさんとひなたさんが山の料理対決をしてます。あおいさんのメニューは”パエリア”ですがこれは時間と手間がかかりすぎ(まあ、山の料理でなければぜんぜんOKなんですが)
 山では材料に加えクッキングストーブの燃料も持っていく必要があります。ですので燃料を節約するには早くできることが肝要(*3)。また”パエリア”は手間がかかり過ぎ。テントサイトにつくのが遅れて腹ペコ状態で料理を作んないといけないケースもあるので、のたのた時間をかけて作るよりは手早く簡単にできるほうがベターです。第12話で楓さんがトマトソースのリゾットを作ってますがメニュー的にはこちらのほうが正解。
 あと、料理は下界でも作って練習を。ひなたさんは”料理ができない”と開き直ってま、楓さんはかなり包丁に不器用な人のようですが、山では制約条件が多いですから(*4)、女子力向上のためにも普段から下界でもつくりませう
 山では”材料もゴミも持って歩く”ことが原則ですので軽くすることもベター。上記のパエリアでは下ごしらえをして持ってってるのは感心ですが、貝殻付きの料理にしているのがNG。持っていくのには重くなるし、だいいち貝殻は持って帰らないといけないので食べ終わったら単なる重いゴミです。

〔山のファッションは機能重視で〕
 最近は山でもファッショナブルな人が増えました。先日行った尾瀬でもファッション誌に出てきそうなかわういお嬢様方がたくさんいらっしゃいました。でもさすがにパンプスで歩いていた人がいた時には、同行したメンバーが全員ダメ出し。少なくとも靴は山登りのできるものを。
 で、第8話でひなたさんが暑かったのかキャミソールでザックをかついでいますがこれはNG。ザックの肩ひもで肩の皮膚が擦れる”ザックずれ”を起こしかねません。また、夏だと日焼けが痛くて最悪ザックを担げなくなります
 また、第9話でここなさんがひらふわの”森ガールファッション”で登場しますがこれも雨が降ったら濡れやすいのでリアルに山に出かけるなら避けた方が無難です。

〔山でのコースは適当に変えない、事前に家族にも連絡を〕
 第9話でひなたさんが下山コースを適当に変えてますが、これもあまりお勧めできません。本来は事前に家族なりにどのコースを言っとくぐらいがベター。うるさいようですがこれは最悪の場合の遭難対策です。”遭難なんかしない”と思ってるかもしれませんが山岳事故の捜索費用は原則事故負担ですので、地元の人が捜索を依頼したりヘリコプターを飛ばしたりするとベラボーな金がかかります
 大きな山に行く時は登山計画書を必ず提出すること。遭難箇所の絞り込みや早期発見のためにも重要です。

〔事前にガイドブックぐらい読みましょう〕
 第9話でここなさんが”高尾山にはモモンガはいないことを知らなかったご様子ですがこれは事前調査不足(むささびはいるそうです)。自分の行く場所の掲載されたガイドブックぐらいは目を通しておきましょう。

〔歩く順番はサブリーダー→経験の少ない人・体力の弱い人→リーダー〕
 第10話で下山するのにひなたさん、あおいさん、ここなさんの順番で歩いてますが、これはあまりお勧めできません。山では道を間違えないためにある程度経験のサブリーダークラスがトップに、全体を見渡せるようリーダークラスが最後に、その間を経験のない人を挟むのが普通です。特に体力のない人を最後にするとパーティについて行けず事故を起こす危険性があります。

〔ガラスびんは避けた方が無難〕
 第12話でトマトソースのリゾットを作るのにガラスびん入りのトマトソースを持ってきてますがガラスびんは避けた方が無難。近所の河原でのバーベキューですのであまり重さは気にしていないようですが、本格的に登る所ならレトルトか缶詰を。ガラスびんは割れるリスクがありますし、そもそも持ってくのも持って帰るのも重いです。

〔濡れた服は必ず着替ましょう。風邪ひくぞ!〕
 第12話であおいさんとひなたさんが川でこけてビショ濡れに。そのままでいますがこれは絶対にNG。濡れた服は着替えないと風邪をひくし、最悪低体温症で動けなくなるし、最悪”凍死”します。ですので登山経験者の楓さんが怒るのは当たり前。そもそもパンツが濡れて気持ち悪くないですか?
 ザックの中の着替えもビニール袋に入れて濡らさないようにしましょう。

 いろいろツッコミ入れましたが、実は最も気になったのは地図を見ながら歩いているシーンがひとつもないこと。これはリアルの山登りでもそうで、尾瀬に行った時にも地図を見ながら歩いてる人がほとんどいませんでした。最近は腕時計型の高度計とかGSP機能付きのスマホとかハイテク機器がありますが、クラブで読図を徹底的にやらされた身としては(*5)ちょっと心配です。ハードウェアへの頼り過ぎは電池切れや電波が届かない、故障のリスクがありますので、最低限のアナログなスキルも必要ではないかと。高尾山や尾瀬で道を間違えることはないと思われるかもしれませんが、あとどれぐらい歩くかとか、事故った時にどちらに逃げるかを考えるには”自分が今どこにいるか”を把握するのは最も重要なことだと思うんですが・・・

 まあ、舅のように細かなツッコミですが、これも事故を起こさず登山を楽しんでもらうためということでご容赦のほどを


《脚注》
(*1)好日山荘(こうじつさんそう)
 全国に52店を展開する日本有数の登山用品店。学生時代は同じく登山用品店の”ICI石井スポーツ”とともにお世話になりました。
 HPはこちらから。
(*2)特に国立公園では許可のいる行為です
 国立公園、国定公園、都道府県立自然公園では生物の多様性の確保のために自然公園法が適用されます。この中の”特別保護地区”では動植物はもちろん枯れ葉の採取も禁止事項(許可が必要な行為)になっています。自分のいる場所がなにに当たるかをいちいち考えるのはめんどうなので、採取はやらないほうが無難です。
(*3)燃料を節約するには早くできることが肝要
 私んとこのクラブでカレー等を作るのに、野菜はできるだけ薄く切れと教わりました。これは野菜に火とおるのが早いから。下界だと煮崩れがどうのと言われそうですが、山ではそんなこと気にしないです。まあベースが”食えればいい”ってのもありますが。
(*4)山では制約条件が多いですから
 特に期待できないのがまな板。大きくて分厚いまな板は重くて持っていけないので、小さくて安定しない状況で包丁を使わないといけなくなります。
(*5)読図を徹底的にやらされた身としては
 地図とコンパスを見ながら、歩いた時間や道のアップダウン、風景を見て自分の現在位置を確認するのが”読図”。山屋にとってはもっとも基本にして重要な技術で、先輩から”ここどこや?”としょっちゅう聞かれてました。
 そのなごりか、いまだに土地勘のない出張先では必ず観光案内書で地図を貰う癖がつきました。別に地図フェチってわけではないんですが・・・

”発育途上の女の子が好きで”と供述されてもねぇ・・・(鉄鼠の檻/青い果実)

 ども、品行方正な単身赴任生活を送るおぢさん、たいちろ~です。
 単身赴任なんぞをしていると風俗関係のお世話になっているんじゃないかとおっしゃる向きもあろうかと思いますが、生まれてこのかたそういうとこにいったことがありません。まあ、その手のお店に興味がないのも確かですが、最大の原因はお金がないからです。B○○K○FFやTSU○A○Aに使っているお金を1ケ月分でも貯めときゃ行けないこともないんでしょうが・・・
 で、テレビのニュースを見てますと最近の風俗で”JKお散歩”というものがあるんだとか(*1)。なんでも女子高生(JK)とお散歩するというお店だそうですが、次から次へとよく考えるものです。正直言って、何が悲しゅ~て女子高生相手にお金を払ってお散歩したいのかよくわかりません。で、このお店の少女とわいせつ行為をして逮捕された容疑者が”発育途上の女の子が好き”と供述してるそうですが、なんだかなぁ。まあ、貧乳がブームになりそうな時代らしいので(*2)、なんでもありなんでしょう。ぶっちゃけ個人がどんな趣味趣向を持ってるかなんて人様がどうこう言う話ではないんでしょうが(*3)、これが坊主となるといかがなものか。ということで、今回ご紹介するのはそんな坊主の登場する話”鉄鼠の檻(てっそのおり)”であります。

0429
写真はたいちろ~さんの撮影。
長野県善光寺近くで見つけた発育途上の姫りんごです。


【本】鉄鼠の檻(京極夏彦、講談社文庫)
 古本屋の主人にして憑物落とし(つきものおとし)を営む”京極堂”こと中禅寺秋彦は知人に頼まれ埋もれていた古書の鑑定のために妻の千鶴子と友人の関口、その妻の雪絵を伴い箱根を訪れる。一方、”姑獲鳥の夏(*4)”の事件で妻と娘を亡くした久遠寺嘉親が居候をしていた旅館で、忽然と坊主の死体が現れると言う事件が発生。またそこには13年前と同じ姿で現れる少女”鈴”の姿が。久遠寺は事件解決のため東京から探偵榎木津礼二郎を呼び寄せる・・・
 ”京極堂”を主人公とする”百鬼夜行シリーズ”の第四作
【花】青い果実
 上の姫りんごのの場合だと青い実が成熟して赤くなるように、発育途上の状態を”青い”と表現する場合がままあります。おぢさん世代だと山口百恵の”青い果実”(*5)なんかを思い出す所でしょうか。
 ”あなたが望むなら、私、何をされてもいいわ、いけない娘だと噂されてもいい♪”とか歌ってますが、今どき、こんな言葉に迷わされて何かをしちゃったらとんでもないことになります


 で、本作はというと、

  憑物落とし、坊主集めてさてと言い

状態。作中でも”箱根山連続僧侶殺害事件”と呼ばれているように被害者、容疑者ともども坊主がてんこ盛り。なぜなら、この事件は存在するはずのない禅寺での事件だから。もちろん”百鬼夜行シリーズ”の特徴である禅宗のウンチク満載です。
 でも、その話は横に置いといて、今回ネタにするのは登場する坊主の性癖。ネタバレになりますが、一言でいうと”ロリコン”に”シスコン”に”ホモ”(こう書くと身も蓋もないなぁ)

 で、今回の事件で殺された一人が”ロリコン”の坊主。”姑獲鳥の夏”の事件の遠因を作り失そうした人です。その人物がこの寺で土牢に閉じこめられているのを久遠寺嘉親が発見し、問い詰めるシーンから。

 ○○坊主:お察しの通り、野拙は若き頃より他人に云えぬ性癖を持っておりました。
      性愛の対象を幼女にしか見いだせぬ-- そういう男でありました。
      それは悪いことだと、若いうちはそう思っていた。
      しかしそれは本当に悪いことなのだろうかという疑問も同時に湧いた。
        (中略)
 ○○坊主:その時は悪いことだなどと思わないのです。お解かりいただけるとは
      思わないが、本当に思わないのです。道徳も倫理も知性もない訳ではない
      欲情だけがある訳でもない
        (中略)
 ○○坊主:子供が限りなく清らかなものに見える
        (中略)
      そして自分が最悪の冒涜者であることを思い知るのです。
      汚い、けがらわしい汚物のように見える
      罪悪感と云うか、嫌悪感と云うか---
        (中略)
 ○○坊主:鬼--いや、怖かったのです。同じでした。昔と同じでした。
      道徳も倫理も知性もちゃんと働いている。しかし止められぬ。
      それが違う娘だと、理屈では解かっている。
      でも、止まらぬ。止まらぬ---
 久遠寺 :修行なんか役にたっていないではないか。十年何をしておった!
      おのれ、儂はいい。娘も死んだ。しかし、あの鈴さんは--
 ○○坊主:解かっております
 久遠寺 :何が解かっとるか!
 ○○坊主:解かっております。己がどれ程浅ましき畜生道に堕ちておるかは
      善っく承知しております。
      野拙は三度鈴を辱め、止める托雄和尚を殴りここに入れられた。
      その時にはもう、凡ては終わった
 久遠寺 :終わった?
 ○○坊主:そして私は半ばのぞんで壊れたのです。佯狂ではない。
      本当に狂うた。意思の力で狂うたのです。

 引用が長くなりましたが、別にロリコンの擁護をしたいわけではないわけで。およそ修行の厳しいであろう禅寺で10年修行をしてもぬぐい去りえない煩悩のなんと恐ろしいことか
 これに対する探偵榎木津の容赦のないツッコミ

 榎木津 :早い話あんたは幼女強姦魔と云われたくないだけだろうが
      いい加減に認めろよ、幼女強姦魔なんだから
      世間には同性愛者も倒錯者もいっぱいいるんだ。
      あんただけ苦悩を背負っている訳じゃないぞ幼女強姦魔!
        (中略)
      何がそんなに気に入らないんだ。
      その気になれば幼女強姦魔だって立派な医者や坊主になれるだろうが!

なれるのかなぁ?と疑問ではありますが、それでもこの坊主が”大悟致しました”と言ってるところを見ると、榎木津の発言は救いになってるんでしょう。

 まあ、今回のJKお散歩事件?!はここまで大げさではないんでしょうが、容疑者のやったことの割には失ったものた大きいんでしょうねぇ。社会的信用とか。なんせ全国ネットのニュースで実名報道だし。まあ、どんな趣味を持つかは自由ですが、実行するには自制も必要ということで。

 ”百鬼夜行シリーズ”はお勧めの名作なんですが4作目の”鉄鼠の檻”までこればっか読んで約1ケ月かかりました。まあ、根性を決めて読んでみてください。

《脚注》
(*1)”JKお散歩”というものがあるんだとか
 17歳の女子高校生から着用していた下着を購入し、わいせつな行為をしたとして東京都青少年健全育成条例違反の疑いで30歳の男が逮捕されたそうです。もっとも、JKお散歩の店で働いていた少女のほうもは、ネットの掲示板で下着を購入する客を募ってたそうなので、どっちもどっちですが。
(*2)貧乳がブームになりそうな時代らしいので
 ”AERA”の広告では”ヒンヌー教”というんだとか、記事は読んでないけど。まあ”貧乳はステータスだ!”という名言もあるので、一定の需要はあるんでしょう、たぶん。
(*3)個人がどんな趣味趣向を持ってるか~
 趣味趣向を持っていることと実行するのは別。18歳未満の未婚者にわいせつ行為をすると青少年保護育成条例によって6ケ月~2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(県により罰則はことなります)。
(*4)姑獲鳥の夏(京極夏彦、講談社文庫)
 戦後間もない昭和二十七年夏、作家の関口巽は古くからの友人”京極堂”こと中禅寺秋彦の家を訪ねる。関口は”二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うか”と京極堂に問う。身籠った女性”久遠寺梗子”、梗子の姉”久遠寺涼子”、その母”久遠寺菊乃”・・・ 憑物筋の家系”久遠寺”にまつわる呪いを京極堂は祓うことができるか?(詳しくはこちらをどうぞ)
(*5)山口百恵の”青い果実”
 1973年にリリースされた山口百恵のセカンドシングル。これを歌っていたのが当時”花の中三トリオ”と呼ばれた年齢ですがら、けっこう物議をかもしたもんです。


”芋虫”に”ドウエル教授の首”に”魍魎の匣”に。手足のない人間ってけっこうゾクゾクするものなのかも(魍魎の匣/イワシイケス)

 ども、嘘と坊主の頭は結ったことがないおぢさん、たいちろ~です。
 私の趣味の中に”冗談のカタログ”を創るってのがあります。アニメや小説なんかのキャラクターと会社の製品なんかを組み合わせて”ありえね~~”な製品紹介をするってなシロモノです。ここで公開するとお縄になりかねないので(*1)お見せはできませんが、最近受けたのは銀行向けの

  半沢直樹監修 融資支援システム
  黒崎駿一監修 経営管理システム
(金融庁検査対応)

ってシロモノ。まあ、やってるこた女子高生がボーイズラブの同人誌作ってるようなレベルなので身内で遊んでる分にゃそんなに目くじら立てるような話じゃないわけで(だから黙認してください)
 この手の遊びのミソは一見すると”うっそで~”と思うものも、90%実在するものに10%のウソを混ぜた小ネタをてんこ盛りにすると”ひょっとしてアリかもしんない?!”と思っちゃうこと。けっこうホントにありだと思っちゃう人もいました(*2)
 ということで、今回ご紹介するのはこんなウソ話の秀作”魍魎の匣(もうりょうのはこ)”であります。


Photo
写真はたいちろ~さんの撮影。勝浦にあるイワシイケス(エビイケス)です。


【本】魍魎の匣(京極夏彦、講談社文庫)
 戦後間もないある日、中央線武蔵小金井駅で発生した美少女”柚木加菜子”が転落事故を起こす。たまたま居合わせた刑事”木場修太郎”はその事故に巻き込まれていく。一方、手足をバラバラにして箱詰めされて遺棄されるという連続殺人事件が発生する。穢れ封じ御筥様、新進幻想小説家、不死を研究する科学者、あやしげな人物が交錯する中、拝み屋”京極堂”の推理した真実とは・・・
 ”京極堂”こと”中禅寺秋彦”を主人公とした”百鬼夜行シリーズ”の二作目。
【旅行】イワシイケス
 看板の説明によると、写真の四角いくぼみは大きなものが大量に獲れたイワシを畜養したイワシイケス、小さなのがイセエビを捕まえるエビイケス。なんとなく函のように見えるのは私だけでしょうか? 勝浦海中展望塔のすぐ近くにありますので訪問の際にご覧ください。


 まだ2冊しか読んでませんがこの”百鬼夜行シリーズ”の特徴って、”京極堂”の語る圧倒的な知識量。宗教の話は出るわ、古典文学の話はでるわ、最新科学の話は出るわとそりゃあもう膨大。こっちはそれほど物知りではないので話の真贋はわかりませんが、ついつい”これは本当のことなのか?!”と思っちゃいます。
 ”穢れ封じ御筥様”という怪しげな宗教には伊勢神宮たらなんたらの知識を披露し、呪術についてはそのノウハウ?を語り、脳科学についてのウンチクをかたむけと、飲み屋でOL相手にやったら絶対に相手にされなくなるような話が延々と。でも京極堂のシチュエーションでやると面白いんですなぁ、これが。聞き役の関口君なんか、簡単にけむに巻かれちゃう。(物知らず扱いでいぢめられているようにも見えますが・・・)

 ”御筥様”というのは、穢れを封じこめる単なる箱(まあ、それっぽいいわく因縁を語ってますが)なんですが、それでも信じる者は救われるってなもんです。まあ、”鰯の頭も信心から”みたいなもんで、信じない人の目から見るとつまらないものでも、信心する人にとっては尊くありがたい存在になるということ(*2)。しかしまあ、まがりなりにも”武蔵晴明神社”の宮司たる京極堂がこんなん言っててええんかいな?
 、
 ネタバレになりますが、人間を箱詰にする犯人というか理由ってのが2つあります。一つは箱の中にみちみちに詰め込まれた人体を愛する変態さん。もう一人は延命のために手足を切り落としちゃう科学者。で、前者の変態さんの美意識が歪んでいるかというとあながちそうでもないんかも。だって美術の時間にビーナスの胸像とか、トルソー(胴体)のデッサンとかやりませんでしたか? 全身像ですがルーブル美術館に展示されている”サモトラケのニケ像”にしたって、”ギリシア美術を代表するの彫像”という目で見ているから美しいと思っているだけかもしれませんし。私んちにもガチャポンでゲットした”キューティーハニーの胸像”ってのがありますが、けっこう美しいと感じてしまします。いや、私、変態ではないですから。

 どうも、この”手足のない人間”というモチーフはどうも妖艶なイメージがあるようで、代表的なのが江戸川乱歩の”芋虫”(*3)。戦争で両手両足、聴覚、味覚を失い視覚と触覚のみが無事な夫を虐げて快感を得る奥様のお話です。学生時代に乱歩にはまった時に読みましたが、けっこうゾクゾクしましたねぇ。いや、私、変態ではないですから。

 もう一人の科学者はというと、この人は”頭(脳)さえ生きてりゃ人間は生きてる”という割り切った考え方の持ち主。まあ、たしかにそうなんでしょうが。上記の変態さんが最後にこの意見への反論を提示してますが、まあ、生きてりゃいいってもんでもないわけで。
 この手の話のモチーフで思いだされるのがベリヤーエフの”ドウエル教授の首”(*4)。死んでしまった”ドウエル博士”を首だけで生きてるってイメージは子供心にけっこうインパクトありました。映画版(*5)の最終シーンで首だけになった変態さんが出てきますがこっちのイメージに近いかな、かなりグロテスクなつくりになってますが。ラストシーンで登場する白磁器のような美少女の胸像は美しいんですがねぇ。だから、変態じゃないってばよ

 ”百鬼夜行シリーズ”はやたら長いわ、理屈っぽいわと、読み手側の気合はいりますがけっこうお気に入りになってるシリーズ。面白かったぞ、YO~YO~(*6)


《脚注》
(*1)お縄になりかねないので
 原作に登場するキャラクターを利用して、二次的に創作された作品を”二次創作物”といいます。原作者の許諾を得ていない場合、著作権侵害となる可能性があります。”コミックマーケットなんかで山ほど売ってるやんか!”と言われそうですが、著作権侵害は親告罪なので、訴えらえれていない=”黙認”されているだけだからです。
 なお、堺雅人(半沢直樹)の写真を使った場合、これはパブリシティ権(氏名・肖像から生じる経済的利益ないし価値を排他的に支配する権利)の侵害になります。
(*2)”鰯の頭も信心から”みたいなもんで~
 節分の夜に鰯の頭を柊の枝に刺して門口に飾っておくと、鰯の臭気が邪鬼を追い払うという一応、理屈はあるようです。まあ、ドラキュラがニンニクを嫌うようなモンかと。
(*3)芋虫(江戸川乱歩 角川文庫他)
 もう使われていませんが、江戸川文庫の表紙で使われていた宮田雅之の切り絵版が出色。やはり乱歩の表紙と言えばこの人が最高です。

01imomusi_3
 
(*4)ドウエル教授の首(ベリヤーエフ 岩崎書店)
 別名”ドウエル博士の首”、”合成人間ビルケ”、”生きている首”。今ではほとんど絶版状態です。子供の頃読んだSFでは定番だったんだけどねぇ・・
(*5)映画版
 2007年に公開の実写版。監督 原田眞人、主演 堤真一、椎名桔平、黒木瞳。
 小説版とはかなりストーリーが違ってますので、観られる方はご注意を。
(*6)YO~YO~
 このブログにつっこみを入れてくれる高校時代の友人。”百鬼夜行シリーズ”もダンボール箱一杯、まとめて送ってくれました。でも、週1冊ベースでこれ読むのしんどいぞ~~っと。

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