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2013年8月

きっと魔改造データなんかがダウンロードできるようになるんだろうなぁ 3Dプリンタ用の(まあこ/人形代)

 ども、永遠のパソコン少年のおぢさん、たいちろ~です。
 最近、パソコン用のデバイスで気になってるモンがあります。それは何かというと3Dプリンタ。まだ使ったことないですが、価格もコンシューマー用で10万円を切ったものも出てきているんで、まあボーナスを奥様に内緒で使えば買えないこともなさそうですし。
 じゃあ、何かを作りたいかと言うと別にこれっつーもんはないんですが。もっとも、パソコンの出始めのころだって何かに役に立つってモンでもなくて(*1)、ただいじってみたいってだけで買ったんで(正確には親父がですが)・・・ 歳をとっても大人になったわけじゃあなさそうです。
 ところで、世の中のみなさんはどうもこの機械で”人形”を作りたいらしく、警視庁科学捜査研究所ではオウム真理教 高橋被告の3D顔模型を作ったとか、家族のお人形を3Dで作ってくれるだとか(*2)。
 ということで、今回のお話は禁断の趣味”フィギュア”(*3)であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。神戸市生田神社の人形代です。


【本】まあこ(冲方 丁、ハヤカワ文庫JA)
 美容師の”吉河”は高校時代の友人”曽田”から”まあこ”という女性のヘヤカットを頼まれる。曽田の家を訪ねると、まあこは等身大の人形だった。人形のまあこに魅せられていく吉河。そして吉河の恋人は”悦子”はまあこの声を聞いたと言い嫉妬に狂い、師匠の”木俣”は憎悪をたぎらせ・・・
 ”OUT OF CONTROL”に収録。
【道具】人形代
 人の形をかたどった神霊や厄などを移す依り代(よりしろ)。”ひとかたしろ”と読みます。
 生田神社の厄を移す作法の説明では”人形代に名前、生年月日を書く。人形で身体を撫でる。人形に息を回吹きかける。人形と祈願初穂料を袋に入れ納め箱に納める”というものです。

 3Dプリンタ自体で作成できる大きさってのは限られてますが、部品ベースにばらして寄木作りにしてやれば大きさはかなり融通がききそう。でもさすがに等身大ってのは難しいでしょうけど、やる気になりゃできるんだろうなぁ。
 で、”まあこ”に出てくる”まあこ人形”はいわゆるラブドールというやつで、樹脂製の皮膚&処女膜付きの特注品。お値段は120万円とのこと(*4)。まあこにはモデルになる女性がいてその人そっくりに作られてるって設定ですが、上記の家族人形でも3Dスキャナを組み合わせることで本物そっくりさんも簡単にできるみたいです。3Dプリンタのデータ自体は3DCAD(computer aided design コンピュータ支援設計)なので、2Dの写真あたりからでもデータさえ起こせりゃなんでもありでしょう。まあ、家族の人形を作っている分にゃ罪はないですが、知らない間に写真撮られて人形にされてたら嫌だろうな~~~ 昔、宅八郎つ~森高千里のフィギュア抱えた”オタク評論家”がいましたが、あれモンだったらドン引きです(ストーカー自体がどん引きっちゃどん引きですけど・・)

 そこまで行かなくても、美少女フィギュアのデータなんかは間違いなくあるでしょうね(実際、女性のフィギュアデータを公開しているサイトもあるみたいですし)。CADデータなんでポージングも自由自在となればやらないはずがない。んでもって、有償オプションで魔改造が出来るとか・・・(*5)
 おぢさん世代からは”近頃の若いモンはうんぬん”とか言い出しそうですが、今のおぢさん世代だってパソコンの出始めの頃にはBASICにアセンブラを駆使して(*6)”うる星やつら”の”ラムちゃん”や、”魔法のプリンセス ミンキーモモ”の”ミンキーモモ”をパソコンの画面にプログラミングしてた人もいたんだから、人の歴史は繰り返すと思えばねぇ。ま、テクノロジーとオタクはいつの時代でも仲良しですし・・
 ちなみに私はやってませんから!

 ちょっと注意が必要なのは、人形ってのは依り代になるってこと。ネタバレになりますがまあこ人形のモデルは父親に殺された娘。その呪いなのか吉河は片目を失い職を失い、悦子と木俣は死に曽田は脳障害になりとさんざんな結末へ。
 まあ、藁人形だって相手の相手の髪の毛や写真を入れれば呪いに使えるぐらいなんで、3Dリアル人形なんて呪詛の世界ではストライクなんだろうなぁ くわばらくわばら

 ”まあこ”の収録されている”OUT OF CONTROL”には後に”天地明察”の元となる中編”日本改暦事情”なんかも載ってますが、SFありホラーありとまさに制御不能(OUT OF CONTROL)。冲方 丁を”マルドゥック・スクランブル”あたりから読んでる人なら違和感ないかもしれませんが、”天地明察”を期待して読むとかなり違ったテイストです。ご注意を(*7)。

《脚注》

(*1)パソコンの出始めのころだって~
 1980年代前半のパソコンって、ネットにつながるわけでなく、ツールといえば自分でプログラミングをするBASICがあるだけ。ワープロどころか漢字すら扱えないシロモノ。ソフトといってもカセットテープ!でゲームソフトがわずかに売ってるぐらい。金がなければ雑誌に掲載のプログラムをしこし入力するしかないって時代です。
 これでフルセットそろえれば大卒初任給の2~3ケ月が吹っ飛ぶって値段でしたから、高いおもちゃだったんでしょうなぁ。
(*2)家族のお人形を3Dで作ってくれるだとか
 ”青山3Dサロン”というところで作ってくれるそうです。気になるお値段は大きさや来ている服によって異なりますが、5~15万円ぐらい。まあ、成人式や結婚なんかの記念に作るってニーズはあるみたい。ご興味のある方はこちらをどうぞ。
(*3)禁断の趣味”フィギュア”
 私自身はガチャガチャをちょっと集めたことあるぐらいですが、ガレージキットとなるとけっこうなお値段しますし、数を集めるとかさばるし。着せ替え式のは洋服を買ったり作ったりと手間ヒマかかるもんらしいです。そもそもいい大人がリカちゃん人形で遊んでるようなモンなので世間の共感を得るのは難しいでしょうし・・・
(*4)お値段は120万円とのこと
 この業界で有名な”オリエント工業”のラブドールだとだいたい60万円からぐらいするようです。ご興味のある方はこちらをどうぞ(ただし18禁です)
(*5)魔改造が出来るとか・・・
 服を着た状態の美少女フィギュアを削って裸に改造することだそうです。やったことないけど。まあ、アニメのヒロインあたりで遊んでる分にはご愛嬌ですませられますが・・・
(*6)BASICにアセンブラを駆使して
 当時のパソコンのハードとBASICでは8~16色しか表示できなくて中間色を出すためにはアセンブラでサブルーチンを組んでカラーをビット単位の制御するというテクニックが必要でした。まあ、そんな時代もあったねと~♪ということです、はい。
(*7)後に”天地明察”の元となる~
 ”天地明察”は渋川春海による改暦を扱った歴史小説、”マルドゥック・スクランブル”はシェルに殺されかけた少女娼婦バロットがサイボーグ化され、自由に武器に変形する兵器ウフコックと戦うというSFです。

この世に、無敵の戦車などありはしない あるのは、ただ鉄の棺桶だけだ!!(鉄の墓標/富士総合火力演習(予行演習)/10式戦車)

 ども、軍事ネタはあんまし強くないんですがメカニックは大好きなおぢさん、たいちろ~です。
 先日、会社でいっしょに働いている人のお誘いで”富士総合火力演習”を見に行ってきました。なんでも8月25日の本番は競争率20倍を超えるプラチナチケットだそうですが今回行ったのは自衛隊関係者とか家族向けの予行演習のほう。それでも本番と同じカリキュラムをこなすそうなので、戦車が走り回るわ主砲をぶっ放なすわと迫力は本番そのまま。いや~~、感動しました!!
 ということで、今回は戦車をめぐるお話、今だったら”ガールズ&パンツァー(*1)”あたりが旬ですが、おぢさん世代としてはちょっとオールデーズな松本零士ネタであります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。富士総合火力演習での10式戦車であります。


【本】鉄の墓標(松本零士)
 第二次世界大戦中。ジャングルであるものを捜索していた足立太は土方総司らに出会う。足立が探していたのは土方たちによる実用試験中の新型戦車”四式”だった。目の前で倒されている友軍の戦車を助けるために、土方は”四式”により敵の”M4”戦車に戦闘を仕掛ける・・・
 ”ザ・コクピット(*2)”第一巻に収録。
【旅行】富士総合火力演習
 陸上自衛隊の演習のひとつで静岡県御殿場市の東富士演習場で8月ごろに実施。
 上記のプラチナチケットは陸上幕僚監部主催の一般公開演習で、今回行ったのは富士学校主催の予行演習のほう。
 陸上自衛隊だけでなく航空自衛隊戦も参加して対地爆撃を実弾使ってやるという迫力満点の演習。そっち系のおぢさんばっかかと思ってましたが、結構女性の方もいらっしゃってます
【乗り物】10式戦車
 2009年に制式化された陸上自衛隊の最新の国産主力戦車。”ひとまるしきせんしゃ”と読みます。
 44口径120mmの主砲に12.7mm重機関銃、7.62mm機関銃を装備し、複合装甲による軽量化、アクティブサスペンションにより走行性能と砲安定性能が向上、C4Iシステムという情報処理システムを初めて搭載したスグレモノ。


 で、演習はというと、74式、90式、10式と戦車のオンパレード多目的誘導弾システムに96式装輸装甲車に、地獄の黙示録(*3)を彷彿とさせるヘリコプターの集団飛行にと自衛隊の持てる戦力がてんこ盛り。ミリタリーマニアならずとも、男の子の血が騒ぎます。特に圧巻なのが10式戦車による実弾射撃”どおぉぉぉん~~~”というお腹に響く轟音。音圧というのを初めて実感しました。
 戦車ってのは近接戦闘をするモンと思ってましたが、意外と距離を離れて攻撃するようで、結構遠くにある的に正確に当ててました(*4)。はっきり言って市街戦で戦車なんかが出てきたらまあ勝てないでしょうなぁ。ゲリラ戦なんかで生身の人間が戦車に戦いを挑むなんてのがありますが、ちょっと試してみようって気にはなりません。地上戦闘では戦車ってのは最強の存在なんでしょね。

 と、こんな最強の戦車と戦車が戦ったらどうなるんでせう?! という疑問がふとわきました。いきなりちゃぶ台ひっくり返すのはなんですが松本零士の”ザ・コクピット”ではけっこう戦車ってやられてるんですね、これが。しかもヒエラルキーがはっきりしていて、旧日本軍の”九七式戦車”はアメリカの”M4中戦車”を砲弾で撃ち抜けず、あっさり負けてるし、その”M4中戦車”もドイツの”タイガー戦車”にはあっさり撃ち抜かれているし。その”タイガー戦車”も燃料がなかったり、戦術運用を間違えれば無敵ではありえないし(*5)

 今回ご紹介する”鉄の墓標”に登場する”四式中戦車”ってのは技術試験中の最新兵器で、”M4中戦車”の砲撃にも耐え、相手の装甲をあっさり撃ちぬく戦車。でも、単騎では多数の敵にはどうだったんでしょう。

  北アフリカの血と砂の戦場に散った、無名の戦車兵は言った
  この世に、無敵の戦車などありはしない・・・
  あるのは、ただ鉄の棺桶だけだ!!

 これは”鉄の墓標”の冒頭の言葉。
 結局のところ戦車戦てのは(別に戦車に限らずですが)、ホコタテの世界で最強の鉾(主砲)と最強の盾(装甲)同士でドンパチをやるってことなんでしょうか。今回の演習を見て思ったんですが戦闘力(日本だったら抑止力かな?)として兵器を持つことと、実際に戦争をすることってのは別次元の話じゃないかと。戦争を避けるってのは政治的な大命題であって、尖○だ竹○だときな臭い話があっても、実際に戦いをするってのは最悪の選択だし、かといって戦闘力もなくイーブンの交渉ができるかってのもどうなんかなぁって疑問もあるし。無敵の戦車がありえないように、火力だけではモノゴトが解決するってシチュエーションもあり得ないと信じたいです。

 そういった意味では火力演習ってのはいい歳したおぢさんに見せるんじゃなくって、もっと子供に見せるべきなんではないかと。こういったことを書くといろいろ異論もあるでしょうが、”殴られたら殴り返される(撃たれたら撃ち返される)”、”殴られたら痛い(戦車から撃たれたらどうなるか? まあ、痛いじゃすまないでしょうが)”といったことを映画やゲームといったバーチャルではなくリアルに感じる機会ってなかなかないですし。

  その主砲の轟は さながら 死神の号泣のごとく
  聞く者の胸を揺さぶるとも人はいう・・・
  鉄の墓標は、その無限軌道の上を 
  未来永劫に、さまよいつづけるのかもしれない

 これは”鉄の墓標”の最後の言葉。

 せっかくお誘いいただいて暗い話になって申し訳ありませんが、自分の子供たちはさまよい続けさせないためには、大人として何をすべきか、子供たちになにを教えるべきかを考えちゃういイベントであります。


《脚注》
(*1)ガールズ&パンツァー(監督     水島努、バンダイビジュアル)
 美少女が戦車に乗って試合をするという萌え&ミリタリーアニメ。通称”ガルパン”。観たことはないですが、けっこうその筋では流行っているそうです。
(*2)ザ・コクピット(松本零士 小学館文庫)
 戦争をテーマにした松本零士による短編漫画集。おぢさん世代には”戦場まんがシリーズ”といったほうが通りがいいかも。”コクピット”とあるように飛行機ネタが多いですが、戦車や小銃、対戦車砲などのネタも多数。
 ”スタンレーの魔女”、”わが青春のアルカディア”、”復讐を埋めた山”など名作も多数あります。初出は1969年あたりの古いものもありますが現在でも入手可能。お勧めです。
(*3)地獄の黙示録(主演 マーロン・ブランド、監督 フランシス・コッポラ)
 巨匠フランシス・コッポラによる戦争映画の代表作。
 ワーグナーの”ワルキューレの騎行”をBGMに飛ぶ戦闘ヘリコプターが印象的。でも、全編見て人だよな~~。こんど借りてこよう。
(*4)結構遠くにある的に正確に当ててました
 富士演習でははっきりした距離はわかりませんでしたが、wikipediaだと戦車戦で対峙するのは2kmぐらいなんだとか。この距離で500mm以上の鉄鋼板を貫通するそうなので大した破壊力です。
(*5)戦術運用を間違えれば無敵ではありえないし
 戦車は、一度に大量集中してこそ威力を発揮するものだ
 たった今の戦いがそれを証明している・・・

  ”ラインの虎”より(ザ・コクピット 第二巻に収録)

ところで、この美少女達はなぜ戦っているのでせう??(ビビッドレッド・オペレーション/魔法少女まどか☆マギカ/戦闘美少女の精神分析/サクラソウ)

 ども、訳の分らんものと戦うこともなくだらだらした日常をすごしているおぢさん、たいちろ~です。
 この前、たまたま深夜のテレビを見てますと”ビビッドレッド・オペレーション”というのがやってました。その時出てたのが”黒騎れい”という子でなんとなく”暁美(あけみ)ほむら”っぽかったので(*1)気になってDVDを見ましたが、これがけっこう面白かったんですね。というか、今までの戦闘系アニメとか特撮の集大成みたいな感じで。色違いの戦隊ってのは言うに及ばず、エヴァンゲリオンの”使途”のような訳の分らんモノが攻めてくるわ、子ども二人が合体して大人キャラになるという”超人バロム・1(*2)”っぽい変身だとか。
 で、ふと思ったんですが、この子たちはいったいなぜ戦っているんだ? というとこ。命がけで戦う以上、それなりの戦う理由がありそうなもんですが、なんとなくあやふやなんですね、これが。
 ということで、今回のお題は”この美少女達はなぜ戦っているのでせう??”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。近所のサクラソウです

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【DVD】ビビッドレッド・オペレーション(監督 高村和宏、アニプレックス)
 世界中にエネルギーを供給する“示現エンジン"。これを破壊しようとする謎の敵”アローン”が出現した。“示現エンジン"を発明した一色博士の孫娘、中学2年生の”あかね”は祖父から託された”パレットスーツ”でアローンと戦い始める
【DVD】魔法少女まどか☆マギカ(監督     新房昭之、シャフト)
 中学2年生の少女”鹿目(かなめ)まどか”は謎の生き物”キュゥべえ”から望みをひとつ叶えるかわりに魔法少女となって魔女と戦うという”契約”をして欲しいと頼まれる。一方、転校生の”暁美ほむら”からはキュゥべえと契約してはいけないと忠告される。次々と現れる魔女と戦う魔法少女たち。次第に明かされる魔法少女の秘密とキュゥべえの真の目的とは・・・
【本】戦闘美少女の精神分析(斎藤環 ちくま文庫)
 戦う美少女たちと、それを愛好する”おたく”を扱った研究書。書名はおたくっぽいですが作者が精神科医だけあって、かなりまじめな本です。アウトサイダー・アーティストの画家ヘンリー・ダーガーの紹介に一章をさくなどなかりマニアックな内容です。
【花】サクラソウ
 サクラソウ科サクラソウ属の多年草。西洋サクラソウがプリムラ。
 花言葉は”青春のはじまりと悲しみ、早熟と非哀、運命を拓く”ですが、ドイツではサクラソウが”お城の門を開く鍵”というお話もあるようです。


 ”戦闘美少女の精神分析”によると戦闘美少女ってのは13の系統に分類できるんだそうです(*3)。で、戦う理由というとけっこうばらばら。まあ、あんましとりとめがないのもなんなので、推理小説よろしく”Who,How,Why”でまとめてみました(*4)。

〔Who=立場〕
 王族である”風の谷のナウシカ”のナウシカや前世が月の王女だった”美少女戦士セーラームーン”の月野うさぎ、将軍の娘であるがために近衛隊長をやっている”ベルサイユのばら”のオスカルがとか、ようするに立場として戦いの矢面に立つってケースがこれ。

〔How=能力〕
 ”エヴァンゲリオン”の綾波レイのように戦うためのキーデバイスがこの人(あるいは限定的な少数の人)にしか使えないとか、高い能力を見出された”エースをねらえ!”の岡ひろみ、そのオマージュの”トップをねらえ”のタカヤ・ノリコなんかがこれ。

〔Why=動機〕
 正義や人々を守るためという漠然としたものから、生き伸びるためには敵を倒さなければならないキューティハニーや”サイボーグ009”のフランソワーズみたく切羽詰まったものまでさまざま。

 ”ビビッドレッド・オペレーション”を見ていて”なぜ戦うか”という点で理由が希薄であると感じるかというと、この3点が明確に提示されてないような気がするから。
 ”Who”では示現エンジンの発明者の孫娘という立場はあるもののそれが一介の中学2年生が戦う必然性にはならないし、"How”ではパレットスーツのメインキー(鍵型アイテム)はあかねにしか使えないと言ってますが、それ以外の人はあかねと心を通わせられればOKというラフさ。そもそもパレットスーツがたった一人にしか起動できないってのは防衛システムとしては致命的な欠点ではないかと。”Why”では示現エンジンと街を守りたいという動機は分かりますが、パレットスーツが私しか起動できないという制限を外してしまえば”私"が戦う動機としては弱くなっちゃいます。

 ただ、この希薄さってのは日本の戦闘美少女には共通の特徴だそうで、”戦闘美少女の精神分析”によると、日本の戦闘美少女=ファリック・ガールは元々外傷のない空虚な存在で、戦う動機に欠けているんだそうです。ここでいうファリック・ガールとはペニスに同一化した少女で外傷=レイプされることのない存在。ゆえに外傷を根拠として戦うファリック・マザー(*5)に比べて十分な動機に欠けているんだそうです。その象徴的な存在が綾波レイ

  彼女の空虚さは、おそらく戦う少女すべてに共通する空虚さの象徴ではないか。
  存在の無根拠、外傷の欠如、動機の欠如・・・
  彼女はその空虚さゆえに、虚構世界の永遠の住処とすることができる。

 まあ、論としては賛否があるでしょうが、わからんでもない話です。

 ここまで見てて思ったのがもう一つ、美少女が戦闘美少女になるか否かって選択肢があるケースってあんなりないんですね。まあ、そこで”嫌だ!”といったらドラマは始まんないわけですが、これに対するアンチテーゼっぽいのが”魔法少女まどか☆マギカ”。このアニメってのは”魔法少女=戦闘美少女になるか否か”に徹底的にこだわった作品で”Why"=叶えたい望みがあるかどうかがキーで、しかも選択肢が与えられているから、望みの見いだせないまどかが実に最終回になるまで魔法少女にならないという異色のストーリー。それゆえに、ガンダムに匹敵するインパクト(*6)のある作品だと思います。

 まあ、戦闘美少女ってのはアニメで見てる分には面白いですが、実際に自分の娘とかがなるとどうなんでしょうねぇ。”世界の平和の鍵を握る”なんてややこしいことなんかせずに、サクラソウを愛でる美少女あたりで止めといて欲しいモンですが・・・


《脚注》
(*1)”黒騎れい”という子でなんとなく”暁美ほむら”っぽかったので~
 ”黒騎れい”は”ビビッドレッド・オペレーション”に登場する主人公”一色あかね”達とと敵対するするキャラ、”暁美ほむらは”魔法少女まどか☆マギカ”に登場する主人公”鹿目まどか”の願いを叶えるためながら対立するキャラ。
 両名とも黒髪で物静かなクール&ビューティ。すいません、ストライクど真ん中なんです。
(*2)超人バロム・1
 原作が”ゴルゴ13”のさいとう・たかをという漫画&特撮テレビドラマ。子供2人が友情エネルギーで合体して正義のエージェント”超人バロム・1”に変身、悪の化身”ドルゲ”と戦うというもの。
 第5話で一色あかね”ギュンギュギュン♪”って歌ってますがこれは”超人バロム・1”のオープニングで”ぶっとばすんだ ギュンギュギュン”のパロディーかな?
(*3)戦闘美少女ってのは13の系統に
 13の系統と主な作品は下記のとおり。ひとつひとつの細かい説明は本書をお読みください。まあ、本書が出たのが2000年ですので、作品リストはちょっと古いですがまあ、そんなテイストの作品群ってことです。
 紅一点系 :サイボーグ009、宇宙戦艦ヤマト、科学忍者隊ガッチャマン
 魔法少女系:魔法使いサリー、魔法のプリンセス ミンキーモモ
 変身少女系:キューティーハニー、好き!すき!!魔女先生
 チーム系 :キャッツアイ、ダーティペア、サイレントメビウス
 スポ根系 :サインはV!、アタックNo.1,エースをねらえ!
 宝塚系  :リボンの騎士、ベルサイユのばら
 服装倒錯系:ハレンチ学園、セーラー服と機関銃、スケバン刑事、らんま1/2
 ハンター系:ルパン三世、エイリアン、GS三神、攻殻機動隊
 同居系  :うる星やつら、電影少女
 ピグマリオン系:Dr.スランプ、銃夢
 巫女系  :風の谷のナウシカ、もののけ姫、ジャンヌ・ダルク
 異世界系 :幻夢戦記レダ、ふしぎ遊戯
 混合系  :トップをねらえ!、美少女戦士セーラームーン、エヴァンゲリオン
(*4)推理小説よろしく”Who,How,Why”
 推理小説では何を解明するかによって下記の3つに分類されます。
  フーダニット(Whodunit) :誰が犯人なのか
  ハウダニット (Howdunit) :どのように犯罪を成し遂げたのか
  ホワイダニット (Whydunit):なぜ犯行に至ったのか

(*5)ファリック・マザー
 ペニスを持った母親。本書では権威的に振る舞い一種の万能感、完全性を持つ、しかし外傷(たとえばレイプのような)を追っている女性と定義しています。海外の戦う女性はファリック・マザーであり日本のそれとはかなり違うんだそうです。
(*6)ガンダムに匹敵する
 モビルスーツをウエポンシステムとして考えると、予備パーツの存在やメンテナンス、ロジスティックは重要な要素ですがこのような当たり前のことをストーリーの中で当たり前に位置付けたのは実はガンダムが初めて。同様に命がけの戦闘をしたいかどうかというシビアな選択をきわめて真面目に展開した”まどか☆マギカ”が熱狂的なファンを生んだのはよく分かります。

理屈と膏薬はどこにでもくっつくんですよね、バリスタ(珈琲店タレーランの事件簿/古典部シリーズ/コーヒーの木)

 ども、夏と言えば冷コーなおぢさん、たいちろ~です。
 昔、関西では冷たいコーヒー=アイスコーヒーのことを”冷コー(レーコー)”と呼んでました。今の若い人には死語ですかねぇ。で、喫茶店にコーヒーを呑みに行くのが”茶ぁ、しばき行く(*1)”です。まあ、全国区のド○ールやワールドワイドのス○バが主流の喫茶店ですんでこんな注文の仕方をしても通じないんでしょうが(試したこたないですが)、この喫茶店では通じるんでしょうか?
 ということで、今回ご紹介するのは京都にある本格派喫茶店を舞台にした推理小説”珈琲店タレーランの事件簿”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。北海道大学植物園のコーヒーの木”です

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【本】珈琲店タレーランの事件簿(岡崎琢磨 宝島社文庫)
 京都の小路の一角にある珈琲店”タレーラン”。恋人と喧嘩した”青野大和(通称 アオヤマさん)”は、この店で理想のキーヒーとそれを淹れてくれた女性バリスタ(*2)”切間美星”に出会った。一見、女子高生にしか見えないこのバリスタは実はとんでもない推理力の持ち主だった・・
 京都と珈琲店を舞台にした日常系喫茶店ミステリー。
【本】古典部シリーズ(米澤穂信 角川文庫)
 ”省エネ主義”を信条とする高校1年生の折木奉太郎(ホータロー)は、姉の命令で神山高校の古典部に入部することになる。そこにはいたのは一身上の都合で入部した黒髪の美少女”千反田える”。彼女は清楚な容姿とは裏腹に好奇心の猛獣だった。
 高校を舞台にした日常系青春ミステリー。
【花】コーヒーの木
 アカネ科コーヒーノキ属の植物の総称。アラビカ、ロブスタなどの種があります。写真はアラビカ種のもので、右下に実が付いているのがわかりますがこれを集めて焙煎して粉にして成分を抽出したのがコーヒー。
 コマーシャルなんかだとコーヒーの木は低木のイメージがありますが実際には9~12mに達する高木で背が低いのは実を採取しやすいように剪定しているからだとか。
 単なる蘊蓄です。すいません。


 さて、”珈琲店タレーランの事件簿”ですが、amazon.comの”この商品を買った人はこんな商品も買っています”では”ビブリア古書堂の事件手帖(*3)”とセットで売れているようです。まあ、私もビブリア古書堂を読んでから本書を読みだしたんでなんとなくわかりますが。どうも専門的な職業を持つ女性が主人公つながりだし、日常系ミステリーってとこも同じだし。でも、なんとなく似てるようで似てないんですねぇ、この2つのシリーズって。ビブリア古書堂は、主人公の栞子さんが持っている超絶的な本の知識ースに推理がベースになってますが、タレーランのほうはそういいのは特になし。切間美星と青野大和のかけあいのコーヒーの蘊蓄(それはそれで楽しいですが)が推理につながってるってのはあんまりありません。

 では、この作品の魅力ってのはキャラ設定が美味いってことでしょうか。白いシャツに黒いパンツ、紺のエプロン姿でコーヒーを挽きながら推理する切間美星ってのが日常とちょっと非日常の接点みたいでちょっとすてきです。クラシックな喫茶店どころかス○バですらほとんど行けない貧乏暮らしとしては、こういった隠れ家的な喫茶店でコーヒーのアロマを愉しみながら美人バリスタの推理に耳を傾けるっていいですねぇ。

 本書は”第10回 このミステリーがすごい!大賞(*4)”の最終選考まで残った作品で解説を書いている作家の北原尚彦によると”文章は達者だし、設定やちりばめられたコーヒー蘊蓄も面白い”との評価。でも、推理部分についてはなかなか厳しくて本書の出版にあたっては大幅に書き直したんだとか。でも、推理としては本格ってよりもむしろ現状にうまく適合する理屈を考えるってゲーム感覚に近いかな?

 話は飛びますが米澤穂信の”古典部シリーズ”で探偵役の高校生折木君とワトソン役の千反田さんがこんな会話をしています(*5)。

  折木 :『理屈と膏薬はどこにでもくっつく』。
      たまたまうまく膏薬がうまいところにくっついたとしても、
      そんなのは知ったことじゃない

       (中略)
  千反田:ですが推論・・・、膏薬をくっつける、ですか、
      それができるのはそれだけで一つの才能だと思いませんか?
      蒔いた種が実るかどうかは運だとしても、
      種を蒔くことができなければ話になりませんから

 別にこういうゲームが面白くないとかって意味ではなくて、そういう推理小説もありってこと。てか、日常系の推理小説ってこっちの楽しみがメインかな。大ヒットした”謎解きはディナーのあとで”(*6)なんかもそうですが、キャラが立っていて上手い理屈づけができてれば作品的にはOKってのが今の推理小説の流れでしょうか。
 そういった意味では、タレーランもキャラクター設定が秀逸なので30分モノのアニメ化なんかすればはまりそうな感じ。
 ちょっと古びた喫茶店あたりでのんびり読むには良い本です。


《脚注》
(*1)茶ぁ、しばきにいく
 しばくは”鞭や細い棒で強く叩く”、”~へ行く”という関西弁。こっちも死語みたいですが、たまに関西から友人(おぢさん)が来るとこれ使ってます。ちなみにご飯を食べに行くのが”飯(めし)いわす”です。
(*2)バリスタ(イタリア語 barista)
 バール(お店)でエスプレッソなどコーヒーを淹れるのがバリスタ、酒類を扱うのがバーテンダーです。響きは似てますが”バチスタ”は拡張型心筋症に対する手術術式でぜんぜん別物。
(*3)ビブリア古書堂の事件手帖(三上延 メディアワークス文庫)
 就職先の会社が倒産して就職浪人となった”五浦大輔(AKIRA)”は、亡くなった祖母の本に書いてあった夏目漱石のサインの鑑定を頼みに”ビブリア古書堂”を訪ねた。そこには古書については人見知りで超絶的な博識を持つ人見知りの美女”篠川栞子”がいた・・・
 北鎌倉を舞台にした推理小説にして、ちょっと大人なボーイ・ミーツー・ガールの物語。
(*4)このミステリーがすごい!大賞
 宝島社、NEC、メモリーテックの3社が創設したノベルス・コンテスト。略称”このミス大賞”。後に大ブレークする浅倉卓弥の”四日間の奇蹟”や、海堂尊の”チーム・バチスタの栄光”なんかも受賞しています。
(*5)こんな会話をしています
 古典部シリーズ、”心あたりのあるものは”より。第4巻”遠回りする雛”に収録。
 ちなみに米澤穂信はこのミス2010年度作家別得票数の第1位。こっちはこっちで面白いシリーズです。
(*6)謎解きはディナーのあとで(東川篤哉 小学館)
 国立署の新米警部にして大金持ちのお嬢様である”宝生麗子”と彼女に使える毒舌執事の”影山”のコンビが事件を解撤するというユーモア本格ミステリー。といっても、解決しているのは影山の方ですが。
 2011年度の”本屋大賞”1位にして、2011年に櫻井翔、北川景子の主演でテレビドラマ化、13年には映画化もされました。詳しくはこちらをどうぞ。

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