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どうしてこの人が009をつくると石ノ森章太郎じゃなくと押井守テイストになっちゃうんだろう?(009 RE:CYBORG/六本木ヒルズ森タワー)

 ども、赤いマフラーなびかせて~~♪(*1)のおぢさん、たいちろ~です。
 少年時代に”サイボーグ009”をリアルタイムに見てた世代ですんで、ついつい”009 RE:CYBORG”を観ちゃいました。で、感想はというと、おぉ、これは押井守ではないか!!
 そりゃ、監督が”攻殻機動隊”の神山健治なんで多少は似てるかな~~とは思ってましたが、テイストが完全に押井守。009の成層圏での戦闘に002が追っかけるとのシチュエーションに  

  ジョー! きみはどこにおちたい?(*2)

を期待したんですが、それもやってくんなかったし。
 ということで、今回ご紹介するのは押井守的”009 RE:CYBORG”であります。


Photo

写真はたいちろ~さんの撮影。六本木ヒルズ森タワーです。


【DVD】009 RE:CYBORG(原作 石ノ森章太郎、監督 神山健治)
 2013年。大都市の超高層ビルをターゲットとした同時多発爆破事件が多発。
 犯人たちは一様に”彼の声”を聞いたという。この事態にギルモア博士は各国にいるゼロゼロナンバーサイボーグ達に再結集を呼び掛ける・・・
【DVD】攻殻機動隊(原作 士郎正宗、アニメ版監督 押井守、神山健治)
 脳の神経ネットとネットワークを直接接続する電脳化技術や、義体(サイボーグ化)技術が普及した時代。内務省直属の攻性公安警察組織”公安9課”(通称”攻殻機動隊”)の活躍を描いたSF。
 映画版”GHOST IN THE SHELL”、”イノセンス”の監督を押井守が、”STAND ALONE COMPLEX”などを神山健治が担当。
【DVD】機動警察パトレイバー(原作 ゆうきまさみ、監督 押井守)
 汎用歩行型作業機械”レイバー(手足のある土木車両みたいなもの)”の犯罪に対抗するために創設された”特車2課”の活躍を描くロボット警察漫画。ゆうきまさみの原作を押井守監督でアニメ化。映画版2作は押井守テイスト満開です。
【DVD】天使のたまご(監督 押井守、キャラクターデザイン 天野喜孝)
 方舟の中の動物がすべて化石になった頃、天使が生まれるという卵を抱えて暮らす少女は、鳥を探して旅を続ける少年と出会う・・・
 押井守はこの作品で「訳の解からない物を作る監督」というレッテルを貼られて仕事がさっぱりなくなってしまったといういわくつきの作品。
【旅行】六本木ヒルズ森タワー
 ”六本木ヒルズ”にある高さ238m、地上54階建ての超高層ビル。
 ここの上から見下ろした眺めは
  ハッハッ! 見ろ!! 人がゴミのようだ!!(*4)
と神様気分でつぶやいちゃうぐらい絶景です。
 偉くなったと勘違いして神の怒りにふれたのか、ライブドアの堀江貴文とか村上ファンドの村上世彰とか堀の内側に落っこっちゃった人もいましたねぇ・・・


 さて、”009 RE:CYBORG”が押井守的というと、1つ目はキャラクターの雰囲気001がタチコマしてるとか004の白眼がバトーさんしてるってのもありますが(*5)、一番押井守テイストだったのはギルモア博士。原作では団子っ鼻でやさしいおじいちゃんっぽいですが”009 RE:CYBORG”ではやり手のぢぢいっていう感じ。このキャラ設定ってどっちかというと”公安9課”の荒巻課長に近いんですね。(上から原作版、”009 RE:CYBORG”、”攻殻機動隊”)

Photo_2

Photo_3

Photo_4

 リアル化してるってのをさっぴいても”009 RE:CYBORG”では原作の面影ってあんましないなぁ。前頭部のハゲ上がりを除けば荒巻課長のほうが近しいかな。
 それに声やセリフまわし。八奈見乗児や富田耕生(*6)の時代を知ってるオールドファンとしては、やや低めでおちついた感じでしゃべってる勝部演之って、こっちよりも”攻殻機動隊”で演じた阪脩(*7)の雰囲気に近いでしょうか(実際、最初に聞いた時は同じ人が演じてるかと思いました)。


 2つめは宗教的なモチーフを使った会話。教会での”彼の声”に関する説明で

  はじめに声ありき。言葉は「彼」なりき
  人は皆「彼」の言葉につき従いこれを拝せん
  されど地に住む物ども 虚栄と傲慢 奸智と壟断により
  あまたの塔の頂を天へと達することを試み 地上の富を積む
  人心地上に散りて荒涼び 人「彼の声」に耳を貸すことなし
  「彼」人に悔い改むる機を与う
  焔と煙と獅子の吼ゆる大きな声とが地に降りくだり もろもろの塔 踏み躙らん

ギルモア博士は”聖書の一節か何かか?”と聞いてますが、001は”似てはいるけど違う”と否定。でも、やっぱりバベルの塔だよなぁ。
 これに呼応するのが”機動警察パトレイバー the Movie”に出てくるコンピュータウイルスを仕掛けた帆場暎一の書き遺した言葉の引用に出てきます。

  エホバくだりて、かの人々の建つる街と塔を見たまえり。
  いざ我らくだり、かしこにて彼らの言葉を乱し、
  互いに言葉を通ずることを得ざらしめん。
  ゆえにその名は、バベルと呼ばる

 再開発によって朽ち果てていく町並みから見える高層ビルとのシーンを重ね合わせるとけっこうモトネタって感じがします。


 3つめは”天使の化石”。”009 RE:CYBORG”は”天使編”がベースになっているようなので天使が出てくるのはわかりますが、なぜ”天使の化石”なんでしょう。実はこの”天使の化石”のイラストってどっかで見たような気がしてて思い出せなかったんですが、ペンタゴンで002を助ける天から下る少女を見て思い出しました。これって押井守の初期の監督作品”天使のたまご”に出てきてたんですね。(上が”天使のたまご”、下は”009 RE:CYBORG”に登場する天使の化石”

Photo_5

Photo_6

 押井守の中ではマイナーな作品で見たって人はもう中高年でしょうが(私も今回初めて全編見ました)、暗くてなんだか分からない寓話的なテイストは押井守の原点かも


 別に”009 RE:CYBORG”がいりいろパクってるとかいうつもりはないし、監督に神山健治を持ってきて現代風に作りなおしゃ、まあこうなるわな~~ってのが感想。けっこう楽しませていただきました。

 しかし、新入社員がどんどん平成生まれになっていく昨今、昭和や1990年度のアニメ引っ張り出してきて(*7)あ~じゃこ~じゃ言ってるのって、私も冷戦時代の遺物みたいなもんでしょうか。いつ博物館行きを命じられてもおかしくないような・・・


《脚注》
(*1)赤いマフラーなびかせて~~♪
 1968年に放映されたTV版のオープニング主題歌。
 009といえば赤いコスチュームに黄色のマフラーと思われるかもしれませんが、この作品では009のみ白のコスチュームに赤いのマフラー。まあ、モノクロ放送の時代だったからなーー。
 オープニングで009と並んで走っている新幹線の車両が0系なのも時代です。
 ご興味あればこちらをどうぞ
(*2)ジョー! きみはどこにおちたい?
 ”地下帝国ヨミ編”の最終話”地上より永遠に”のラストシーン。”RE:CYBORG”ではながれ星になった009に003がお祈りするシーンがありますが、原作では名もなき少女が
  あたしはね 世界に戦争がなくなりますように・・・
  世界中の人がなかよく平和にくらせますようにって・・・ いのったわ

と祈っています。マンガ史に残る屈指の名シーン(画像は公式HPでどうぞ)。
 ぜひご一読ください。
(*3)天野喜孝
 いまでこそ、画家、イラストレーターとして有名ですが、元々はタツノコプロで”タイムボカン”なんかのキャラクターデザインをやってた人です、はい。
(*4)見ろ!! 人がゴミのようだ!!
 ”天空の城ラピュタ”(監督 宮崎駿、スタジオジブリ)に登場する悪役”ムスカ(ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ)”のセリフ。悪役としてはトップクラスの人です。
(*5)001がタチコマしてるとか004の白眼がバトーさんしてる~
 タチコマは”攻殻機動隊”に登場する支援AIを搭載した自立型戦闘車両。CVは001と同じ玉川紗己子。”RE:CYBORG”での001の最初のセリフと聞いた時に”なんでタチコマがここに!?”って思っちゃいました。
 バトーさんは”攻殻機動隊”に登場する公安9課のメンバー。レンズ型の両眼がおちゃめです。
(*6)八奈見乗児や富田耕生
 八奈見乗児は”ヤッターマン”の”ボヤッキー”を富田耕生は”マジンガーZ”の”Dr.ヘル”を担当した人。どっちかというと漫画的にデフォルメされたイメージが強いですね。
(*6)阪脩
 ”機動警察パトレイバー”でおやっさんこと整備班班長の”榊清太郎”の声を担当した人です。(ちなみに、押井版の”GHOST IN THE SHELL”、”イノセンス”で荒巻大輔を担当したのは大木民夫)
(*5)昭和や1990年度のアニメ引っ張り出してきて
 それぞれの公開時期は
・機動警察パトレイバー the Movie:1989年(昭和64年、平成元年)
・攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL:1995年(平成7年)
・天使のたまご:1985年(昭和60年)
 昭和も遠くなったものです。

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コメント

いつものことながら、ブログのディープさには感嘆します。「この人はいったい何者なのだろう?いつこんな長文かつ深いブログ書いているのだろう?」将来、作家になって下さい!!
009は、私も’68年の印象が強いです(まだ5歳でしたが)。押井守はあまり観てませんが、「スカイ・クロラ」は好きです(レシプロ戦闘機オタクですから)。レシプロ絡みでは、是非「永遠の0」の読後感想をブログに掲載して下さい。ちなみに、既にご存知だと思いますが、この夏公開予定の「風立ちぬ」(宮崎駿監督作品)も要チェックですね。
質問:まもなく公開の「攻殻機動隊 ARISE」に出てくる「草薙水素」は、「スカイ・クロラ」にも出てきます。
何か関係あるのでしょうか?ご存知でしたら教えて下さい。

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