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”時を超えて出逢う少女”ってモチーフってけっこう好きです

 ども、時をかけてないおぢさん、たいちろ~です。
 先日自宅で”私を月まで連れてって”を読んでるとこんなフレーズが出てきました。

  たんぽぽ色の髪を風におどらせ
  午後の日ざしを浴びて立つ少女の後ろ姿
  そして 長い美しい足のまわりで
  淡雪のようにひるがえる白いドレス

 おぉ、ロバート・ヤングの”たんぽぽ娘ではないか!!
 ”ビブリア古書堂の事件手帖(*1)”で登場してから一度読みたいと思ってましたが、こんなところにも出てたんですねぇ。
 ということで、今回は”時を超えて出逢う少女”のお話であります。


 写真は~たいちろさんの撮影。近所のタンポポです。

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【本】たんぽぽ娘(ロバート・F・ヤング 角川文庫他)
 休暇中の森の中で44歳の”ランドルフ”は森の中でたんぽぽ色の髪をした21歳の女性”ジュリー”と出会う。彼女は240年先の未来からやってきたという。
 何度かの出会いでジュリーに魅せられていくランドルフ。やがてジュリーはあと1回しかタイムトラベルできないと言う。最後に彼女が時間を超えた先とは・・・
【花】タンポポ
 キク科タンポポ属の総称。英語では”dandelion(ダンディライオン)”ですがモトはフランス語のライオンの歯(dent-de-lion)。ギザギザした葉がライオンの牙を連想させるからだとか。


 ”時を超えて出逢う少女”ってモチーフってけっこう好きです。使命があって時を超えるようなタイムトラベルものじゃなく、時を超えて繰り返し出逢うボーイ・ミーツ・ガールというお話が。ということで、そんなお話をいくつか。

〔たんぽぽ娘〕
 ストーリーは上記のとおりですが、今回ご紹介の中では一番中年のおぢさん向きかな?
 実はこの本、学生時代にコバルト文庫(*2)の”海外ロマンチックSF傑作選”で出てるのは知ってたんですが読み損ねてまして、”ビブリア古書堂の事件手帖”のネタで出てから読みたかったんですが、絶版になってて(そりゃ1980年の出版だし)、中古もとってもお高くて(*3)、図書館にもないんでどうしようかと思ってましたら”栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック(*4)”に掲載されてました。古い本がこういった形で読めるようになるってのはいいことですね。

  おとといはウサギを見て、きのうは鹿、きょうはあなたに会ったわ

 くり返し出てくるこのフレーズがお気に入りです。


〔私を月まで連れてって〕(竹宮惠子 小学館文庫他)
 A級宇宙飛行士のダン・マイルド(26歳)と、彼の恋人でエスパーのニナ・フレキシブル(10歳)の二人を主人公としたSF漫画。

 ”たんぽぽ娘”のエピソードが登場するのは”パラドックスの函”(第一巻収録)。初航海に出かけるダンが宇宙港で見かけた(未来から来た)ニナに出会うシーンにて。
 成長したニナ(それでも16歳ですが)がとってもかわういです
 まあ、ストーリーとしてはタイムパラドックスものですが

  ニナが過去のぼくと出会って恋をするとは限らんじゃないか!
   (中略)
  うがあ! いくら恋する相手がぼくだと言っても許せん!!

 といって苦悩するダンがおちゃめです。このあたりは”たんぽぽ娘”との裏返しでしょうか?



〔マリーン〕
(萩尾望都 小学館)
 病気の母を助ける6歳の少年”エイブ”は”マリーン”と出会う。その後人生の節目にマリーンがいつもと変わらぬ姿で現れる。いつしか少年は彼女より大きくなるが、彼女の正体が年下で、間もなく結婚することを知る・・・

 正確にはタイムトラベルものではないですが、いつまでも若いお姉さんと成長する少年のモチーフってのは理屈じゃなくロマンを感じます。

  きょうがはじまりだったんだ
  マリーンはついさっき生まれてはじめてぼくに出会ったんだ
  そして この夜 自分が他の男のものになることを悲しんで
  波間に落ちていったのだ
  そして ふかい 海の底から 彼女の夢が ほくを訪れたのだ
  くりかえし くりかえし

 萩尾望都の中でも最も好きな作品の一つです。
 (”半神 自選短編作品集”、”ゴールデンライラック (小学館文庫)”に収録)


〔きのうはもうこない だが明日もまた〕(石ノ森章太郎)
 売れない漫画家”水島健二”ある日フランス大使館の娘”ミミ”と出会う。出会うたびに成長する”ミミ”。彼のファンタジー漫画をミミは好きだというが今の時代に合わないとして売れない。ミミが別れを告げた日に、健二は売るためにバトル漫画を描く・・

 家のどっかにあるはずなんですが、見つからなかったのでネットを参考に書いてます。まあ、1961年、石ノ森章太郎 23歳の時の作品だから覚えてるとしたらずいぶんおぢさん世代、いや元々が”少女クラブ”に掲載だからおばさん世代ですかねぇ。短編なんですがみょ~に記憶に残るってる作品です。まあ、理想と現実に揺れる売れない漫画家とそれを励ます少女ってのがその当時の憧れだったんでしょうかねぇ。
 (”龍神沼(シリーズ・昭和の名作マンガ)(朝日新聞出版)”に収録)


〔ジェニーの肖像〕(ロバート・ネイサン ハヤカワ文庫他)
 貧しい青年画家”イーベン”は、夕暮れの公園で、一人の少女に出会った。数日後に再会したとき、彼女はなぜか、数年を経たかのように成長していた。そして、イーベンとジェニーの時を超えた恋が始まる・・・

 こういった、片方が成長し、片方が成長しない、というか恋する年齢に追いつくっていう話のバイブル的な作品。邦訳は1950年代(鎌倉書房 1950年、早川書房 1954年)とSF黎明期の作家や漫画家に多大な影響を与えたことで当時としてはメジャーなSFでした。
 若い時読んでけっこう気に入ってたんだけど、どんな結末だったかなぁ。年はとりたくないものです。
 ちなみにネットを調べてると”恩田陸が『ライオンハート(*5)』でオマージュを捧げた作品”とかありましたが、ダンディライオンじゃなくてこっちだそうです。

 こうやって見ると古い作品ばっかだなぁ。最近はこういう作品が少なくなったのか、ただ単におぢさんが読まなくなっただけなのか・・・
 いすれにしても、このジャンルってけっこう名作が多いです。
 入手しにくいものもありますが、見かけたらぜひ読んでいただきたいジャンルです。

《脚注》
(*1)ビブリア古書堂の事件手帖(三上延、メディアワークス文庫)
 極度の人見知りだが古書に関して並外れた知識を持つ古本屋店主”栞子(しおりこ)”を主人公にした日常系ミステリー。”たんぽぽ娘”のエピソードは第3巻に収録。
(*2)コバルト文庫
 集英社が1976年から出版している古くからのライトノベルのレーベルの一つ。当時は”ヤングアダルト”とか言ってたかなぁ。
 初期のころは新井素子久美沙織などのSFも手掛けてましたが、今はどうなんだろう?
(*3)中古もとってもお高くて
 2013年6月末のamazon.comだと5~12万円程度。いくらなんでもあこぎだと思いますがねぇ。
(*4)栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック(角川文庫)
 ”ビブリア古書堂の事件手帖”で取り上げられた本を集めた本。なかなか入手できない本もあるので、こういう企画はありがたいです。
 ちなみに”たんぽぽ娘”は”時の娘(創元SF文庫)”やロバート・ヤングの短編集(河出書房新社)でも読めます。
(*5)ライオンハート(恩田陸 新潮文庫)
 いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの。会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ……。17世紀のロンドン、19世紀のシェルブール、20世紀のパナマ、フロリダ。時を越え、空間を越え、男と女は何度も出会う。結ばれることはない関係だけど、深く愛し合って――(amazon.comより)
 すいません、読んでないのでコメントできませんです。

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