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最近、殺人事件の話を読んでないなぁと思ったので”だ~れが殺したクックロビン♪”を読んでみました(僧正殺人事件/マザー・グース/コマドリ)

 ども、抑圧された人生を送るおじさん、たいちろ~です。
 けっこうミステリーも読むんですが、ふと気が付くと最近ってあんまし”殺人事件”の起こるミステリーって読んでないな~~ 今の流行って ”ビブリア古書堂の事件手帖(*1)”とか”古典部シリーズ(*2)”とか、今読んでる”珈琲店タレーランの事件簿(*3)”とか、日常系のミステリーが多い気がします。人が死ぬのって”謎解きはディナーのあとで(*4)”とか”探偵はバーにいる(*5)”もあるけど、江戸川乱歩や横溝正史みたいな欲にからんだどろどろの人間模様って、むしろ”名探偵コナン(*6)”が引きうけてる感じだし。ということで、やっぱり正統派連続殺人事件を読んでみたいな~~ということで”僧正殺人事件”のご紹介であります。


Photo

 写真は”GATAG”のホームページより。コマドリ(ヨーロッパコマドリ・ロビン)です。


【本】僧正殺人事件(ヴァン・ダイン、訳 日暮雅通、創元推理文庫)
 だあれが殺したコック・ロビン?
 「それは私」とすずめが言った。
 「私の弓と矢でもって、コック・ロビンを殺したの」
 ディラード教授の家でロビンが矢で殺された。スパーリング=スズメが容疑者として逮捕されたが、その後も”マザーグース”をモチーフとした連続殺人事件が発生する。
 アマチュア探偵”ファイロ・ヴァンス”の推理した事件の真相とは・・・
【本】マザー・グース
 英米を中心に親しまれている英語の伝承童謡の総称。
 北原白秋をはじめ、いくつかの訳がでてますが、私の読んだのは翻訳 谷川 俊太郎、イラスト 和田 誠版(講談社文庫)。ハンプティ・ダンプティのイラストだとルイス・キャロルの”鏡の国のアリス”に書かれたテニエル版が有名ですが、和田誠版もずんぐりむっくりで意外といけます。
【鳥】コマドリ(駒鳥、コック・ロビン)
 スズメ目ヒタキ科の鳥。
 発音ではコック・ロビンのが正解ですが、”ポーの一族”&”パタリロ!”の影響で(*7)今では”クック・ロビン”のほうが一般的なか?


 ”僧正殺人事件”はずいぶん昔に読んだんですが、内容をまった~~く覚えていなくて(年はとりたくないもんです・・・)、再読はけっこう新鮮。いわゆる見立て殺人モノ(*8)の代表作ですが、ベースになっているのが”マザー・グース”。本書では”駒鳥(コック・ロビン)の死と埋葬を悼む挽歌”、”小さな男が昔いた”、”ハンプティ・ダンプティ”、”ジャックの建てた家”、”かわいいマフェットちゃん”(歌の題名は本書のものより)。日本でいうなら、”かごめかごめ”や”とおりゃんせ”にあわせて殺人事件が起こるようなもんでしょうか。
 なんでも、欧米では聖書やシェイクスピアに並んで基礎的な教養らしいんですがほとんど聴いたことなかったですねぇ。谷川 俊太郎訳版が出た時に”マザーグースのうた(*9)”というカセットテープ(時代です)が出たんで、和田慎二の”左の眼の悪霊(*10)”に出てくる”六ペンスのうたをうたおう ” を聴きたくて買いましたが、正直初めてでしたねぇ、マザーグースを音楽で聴いたのって。

 さて、”僧正殺人事件”ですがトリックや動機を推理するってよりも、その舞台設定の雰囲気とか探偵”ファイロ・ヴァンス”の語る犯罪哲学を楽しむって感じでしょうか(実際、謎解きや動機の解明ってとってもあっさりしてるし)。

 ファイロ・ヴァンスが犯人が数学者であるとの推理する言葉

  多くの現代の数学者が、いっさいの因習、義務、倫理性、善、
  その他それに類するものは
  自由意思の虚構以外には存在しえないとまで主張している。
  彼らにとって、倫理学は概念の幽霊が跳梁する世界なんだ。

   (中略)
  こういうものの考えたに加えて、俗世界のひねくれた根性があると、
  より高度の数学的仮説からは人間の命への軽視が生まれてきやすい。
  これで、今取り組んでいる犯罪のタイプに、
  完全に当てはまる条件がそろったじゃないか

数学を学ぶ人を犯罪者予備軍扱いしてるような文章ですが、さまざまなガジェットとともにヴァンス語るとみょ~にリアリティがあるんですな、これが。
 逆に皮肉屋の容疑者を擁護する発言では

  平常の、口先に表れる嗜虐的な皮肉な態度と、急激な殺人衝動とは、
  冷笑癖を思うぞんぶん発揮していれば、抑圧された感情の不断のはけ口となって、
  情緒のバランスを維持できる。
  皮肉で嘲弄癖のある人間はつねに安全なんだ。

 こういう理屈っぽさって、押井守(*11)あたりなんががやると似合いそうだな~~
 もしこの作品をアニメ化するなら、ぜひ押井監督でやって欲しい物です。

 科学捜査の発達や、そこここにある監視カメラ網の普及で論理的な推理に依存する探偵小説ってだんだん成立しにくくなってるのかもしれませんが、本書のような古典もたまにはいいものです。

 ところで皮肉の多い私のブログ、抑圧された感情の不断のはけ口となって情緒のバランスを維持しているということで、ご容赦のほどを・・・


《脚注》
(*1)ビブリア古書堂の事件手帖(三上延 メディアワークス文庫)
 北鎌倉にあるビブリア古書堂の女性店主にして古書に対する博学な知識を持つ篠川栞子を探偵役にしたミステリー。賛否両論を巻き起こしつつ剛力彩芽の主演でテレビドラマ化。
(*2)古典部シリーズ(米澤穂信 角川書店)
 「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」をモットーとする省エネ高校生”折木奉太郎”を探偵役とした青春ミステリー。京都アニメーションにてアニメ化。最近のアニメでは一押しです。
(*3)珈琲店タレーランの事件簿(岡崎琢磨
 京都にある珈琲店”タレーラン”の女性バリスタ”切間美星”を探偵役としたミステリー。美星の大叔父、タレーランのマスターにしてすちゃらかぢぢぃの藻川又次(もかわ またじ≒モカ・マタリ)がいい味だしています。
(*4)謎解きはディナーのあとで(東川篤哉  小学館)
 セレブにして国立署の新米警部である宝生麗子と、執事にして安楽椅子探偵の影山を主人公にしたミステリー。謎解きより執事の主人に対する罵詈雑言を楽しむ短編集。
(*5)探偵はバーにいる (東直己 ハヤカワ文庫JA)
 ススキノのバー”ケラー・オオハタ”を根城にして仕事を受ける探偵兼便利屋の”俺”を主人公にした”ススキノ探偵シリーズ”の第一作。第二作の”バーにかかってきた電話”を原作として大泉洋主演で映画化。
(*6)名探偵コナン(青山剛昌 小学館)
 組織の男が飲ませた毒薬のせいで小学生の体になってしまった高校生探偵”工藤新一”を主人公とした漫画。アニメ化&映画化&実写化と今や日本ではもっともメジャーなミステリーのひとつ。
(*7)”ポーの一族”&”パタリロ!”の影響で
 ”ポーの一族(萩尾望都 小学館文庫)”のエピソード”小鳥の巣”の中で、エドガーとアランがロビン・カーの死をさして”だあれが殺した? クック・ロビン・・”と歌ってます。これがモトネタで”パタリロ!(魔夜峰央 白泉社)”のアニメ版で”クックロビン音頭”が登場。だ~れが殺したクックロビン♪
(*8)いわゆる見立て殺人モノ
 童謡などの歌詞にあわせて殺人事件が発生する推理小説のこと。日本だと横溝正史”悪魔の手毬唄”なんか。今だったら劇場型殺人事件とか言われそうです。
(*9)マザーグースのうた
 訳詞 谷川俊太郎、絵 和田誠というコラボ版。歌っているのがボニー・ジャックスにペギー葉山に熊倉一雄に水森亜土にと、まあ時代ですなぁ
 1995年にキングレコードよりCD版が発売されました。
(*10)左の眼の悪霊(和田慎二 白泉社他)
 ロン髪でイケメンの私立探偵”神恭一郎”を主人公とする短編シリーズ。この探偵は”スケバン刑事”にも登場します。”左の眼の悪霊”は織永家の跡継ぎ候補でオッド・アイのケイと友人の潤子が”つぐみ館”でおこる猟奇事件に巻き込まれるというもの。マザーグースが恨み歌として登場します。
(*11)押井守
 日本のアニメ監督。代表作としては”攻殻機動隊シリーズ”、”スカイ・クロラ”、”機動警察パトレイバー(劇場版)”、など。暗い雰囲気と独特の理屈っぽさがけっこうお勧めです。


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