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2013年2月

見ないふりをしていても、状況は良くはならんのです(なぜリーダーは「失敗」を認められないのか/ダチョウ)

 

ども、真実から目を背けるおぢさん、たいちろ~です。
 先日、会社で健康診断がありました。相変わらす尿酸値がど~の、γGPTがこ~のと言われてます。まあ、”痩せろ”とか”お酒は控えろ”と注意されるのは定番になっておりますが、こういった真実に目をつぶりながら今日に至っております。
 まあ人間、都合の悪いことには目を背けたくなるのは世の常なんですがこれが会社の経営者となるとその影響は甚大。経営者になるほど優秀な人でもなかなか避けがたいようです。ということで、今回ご紹介するのは真実に目を背けた経営者の話”なぜリーダーは「失敗」を認められないのか”であります。


Photo
 写真は”GATAG FreePhoto2.0”のHPより。
 ダチョウです。


【本】なぜリーダーは「失敗」を認められないのか(リチャード S テドロー、日本経済新聞出版社)
 フォード、IBM、コカ・コーラなど世界に冠たる大企業が避けられる失敗をなぜ犯したのかを解き明かした本。サブタイトルが”現実に向き合うための8の教訓”とあるように、これらの失敗から得られる8の教訓にまとめています。
 日本版は長い題名ですが原題は”DENIAL(否認)”とたった一言。でも、読んでみると確かに”否認”こそが失敗の原因ってのがわかります。
【動物】ダチョウ(駝鳥)
 ダチョウ目ダチョウ科ダチョウ属に分類される鳥。
 オスの成鳥だと全長230cmにもなり現生する鳥類のなかでは最大。飛べない鳥でもあります。

 まずは、この本に載っている8つの教訓から。

  ①手遅れになるまで危機は待たない
  ②事実を曲解しても、待ち受ける現実は変わらない
  ③権力は人を狂わせる
  ④経営陣は、悪い知らせを聞く耳を持つ
  ⑤長期的な視野に立つ
  ⑥バカにしたり、歪曲した言葉遣いには要注意
  ⑦隠すことなく真実を語る
  ⑧失敗は、常識に囚われるところから始まる

 本書の中でも言ってるように当たり前ちゃ、当たり前の話ですが、なかなか出来ないというか自分では気がつかないというか。客観的な事実に対する”否認”こそがこれらが出来ない理由だと言ってます。
 いくつかの失敗した(あるいは回避できた)企業の事例が描かれていますが、一例としてIBMの話を。(なんせ、IT企業の人間なもんで)

 IBMについては、成功、失敗、成功の3つのパターンが出ていますが、最初の成功は”システム360”というメインフレーム(*1)の開発。リーダーはCIOのトーマス・J・ワトソン・ジュニア。会社の成長していた時期にも関わらず、過去の製品を否定するような製品を、年間売上高の1.9倍の投資(25.9億ドルの売上に対し、50億ドルの投資。1962年当時)をしたというだからある意味とんでもないギャンブルとも言えます。現在、日本でこの手のシステムを作っているのは、日立、富士通、NECぐらいですがこれらの年間売上が9.7兆円、4.5兆円、3.0兆円(2012年3月期、連結ベース)ですので、10兆円近い金額を成功するかどうかわからんプロジェクトに突っ込んだと思えば近いでしょうか。で、ワトソン・ジュニアはこのギャンブルに大勝ちすることになります。

 その次の時代。技術革新により小型で個人が使えるパーソナルコンピュータ(PC)が登場するわけですが、IBMはパソコンの開発がうまくいかなくて外部のパーツを組み合わせるというやり方をします。で、何が問題だったというと

 ①パソコンとがメインフレームに取って代わられるとは思いもよらなかった
 ②パソコンを自主開発を断念し、やっつけ仕事で作ってしまおうとした。

 簡単に言うと、”現状の否認”と”成功要因の否認(逃避)”。本書では失敗例として出ていますが、実はこれ当時は大成功だったんですね。1984年時点で40億ドルの売上があったんだとか。ではなぜこれが失敗かというと、PC/AT互換機(*2)というのが登場してマーケットを席巻したから。このパソコンでIBM以上に成功したのが外部のパーツの提供ベンダー=OSを提供した”マイクロソフト”とCPUを提供した”インテル”です。
 本書ではこの失敗を”今日の成功を、明日の失敗と引き換える”ものだと結論づけていますが、確かにそうですね。IBMはPC部門を2004年にレノボ(*3)に売却しました。

 その次の成功というのは、ハードウェアの製造からサービス部門へのシフト。成功の原因はどうしようもない状況に追い込まれた結果、新たな現実に目覚めたとこと、外部からCEO=ルー・ガーズナーを招いたこと。人間、なかなか内部にいると自分の立場とかモノの考え方から脱却できないようで、新しい視点の外部の人間を持ってくるというのは有効なようです。私も時々人のやってたプロジェクトを引き継ぐことがありすが、”なんでこんな風になっちゃったの?”と素直に(ホントに素直にです)聞いちゃうことがありますが、この質問が出来るのって外部の人間の特権なんでしょうねぇ。

 でも、このような失敗から導き出される教訓って今に始まったことじゃないんでしょう。ずいぶん昔に”オストリッチ・コンプレックス(エリオット ワイナー 廣済堂出版)”って本を読んだことがありますが、まったく同じ”否認”の内容。ダチョウ(オストリッチ)は危険が迫ると砂のなかに頭を突っ込む習性があるといわれていて(*4)、人間も”見えていても、見ていない振りをする”とか”見ないふりをしているといつかは危機が過ぎる”といったことをやりがちといった内容だったと思います。当時はけっこうなベストセラーになったんですが、この本の日本語版の出版は1986年。バブル崩壊と不良債権先送りや、サブプライム問題に端を発したリーマンショックなんかの前の時代。

  経験と歴史から分かるのは、民衆も政府も、歴史から何かを学んだり、
  そこから導き出される原則にもとづいて行動することはない、ということだ

 本書の中で、ドイツの哲学者”ヘーゲル”の言葉として引用してますが、四半世紀を経て同じような内容を言ってるってことは、人間ってそんなに急には賢くなんないんでしょうかねぇ。
 同じような失敗を繰り返さないためにも、ぜひ読んどいて欲しい本。はっきり言って面白いです。

 (てなブログを酒飲みながら書いてるってのも、説得力ないんですけどねぇ・・・)


《脚注》
(*1)メインフレーム
 汎用機という大企業や金融機関などで使われているコンピューターシステム。
 小さくても一部屋、大きくなるとビルの数フロアを占有するというでっかいもの。さすがに最近はコンパクトになりましたが、かつて場所を取ってたのはストレージと呼ばれる記憶装置(ハードディスク)。私が入社した1980年代の半ばだと大型冷蔵庫並みの大きさで2.5GB(普通のDVDの1/2)の容量しかありませんでした。
(*2)PC/AT互換機
 IBM PCのソフトそのまま動くパソコンのこと。
 今では当たり前ですが、当時はNECのPC98シリーズのソフトウェアはNECのPCでしか、富士通のFM-Rのは富士通のでしか動きませんでした。これが他社のパソコンへの買替障壁になってPC98シリーズは圧倒的なシェアを獲得します。
 NECは2011年にPC事業を分社化しレノボとともに合弁会社を設立しましたが、”国民機”と言われた当時を知るおぢさん世代としては隔世の感があります。
(*3)レノボ(聯想集団)
 中国にある世界第一位のパソコンメーカー。本社所在地はアメリカのノースカロライナ州モーリスビル、登記上は香港。プレステ2すら輸出問題になったココム(対共産圏輸出統制委員会)の時代を知るおぢさん世代としては隔世の感があります。
(*4)ダチョウは危険が迫ると砂のなかに頭を突っ込む習性~
 実際にはそんな習性はないんだそうです。
 ホントにそんなことやってりゃ、肉食動物に喰われてとっくの昔に絶滅してるでしょうしね。

スーパ戦隊メンバーの関係性って、時代とともに変遷してってるみたいです(獣電戦隊キョウリュウジャー/電池)

 ども、日曜日の早起きおぢさん、たいちろ~です。
 ロシア南部のチェリャビンスク市に隕石が落っこちました(2013年2月15日)。NASA(米航空宇宙局)の推定によると大気圏突入前の重さは1万トン、直径は約17メートル。これが大気圏突入時に約マッハ50で突入、衝撃波は原爆の30倍の500キロトンに匹敵するそうです。巨大隕石の落下が恐竜絶滅の原因だったという説もあるぐらいですので、建物損壊や窓ガラスなどによる軽傷程度で済んだのはまだ幸運だったのかもしれません。
 とまあ、”春秋”(*1)っぽい前振りで始めるのは本日開始のスーパー戦隊モノ”獣電戦隊キョウリュウジャーであります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。今はなき”SANYO”の乾電池です。


【TV】獣電戦隊キョウリュウジャー
 日曜朝7時30分からテレビ朝日系列で放映されている”スーパー戦隊シリーズ”の第37作目。恐竜がモチーフの5人の戦士(赤、黒、青、緑と女性のピンク)が主人公ですが、なぜか司令官役の”賢神トリン”は鳥人間鳥類が恐竜から進化したのかどうかってのはいまだに議論になってるようで、そのせいか肌はちょっと恐竜っぽいけど。
【道具】電池
 何らかのエネルギーによって直流の電力を生み出す電力機器。化学反応によって発電する”化学電池”(アルカリ電池やリチウムイオン蓄電池など)と、熱や光などの物理エネルギーで発電する”物理電池”(太陽電池など)があります。
 最古の電池とされる”バグダッド電池(*2)”は3~7世紀に作られたんじゃないかと推定されているとのこと。化学的原理に基づいて作られた最初の電池は1800年に発明された”ボルタ電池”。理科の時間にやりましたよね~~


 ”スーパー戦隊シリーズ”って、特に入れ込んでるわけではないんですが、日曜朝からテレビつけっぱなしなのでなんとなく見ちゃってます。で、今回の新シリーズも”おっ、ナレーションが千葉繁か!(*3)”ぐらいしかなかったんですが、なかなかどうしてツッコミどころ満載。恐竜に電池(設定では獣電池)を与えるとこなんか、タイムボカン世代には”メカの素(*4)”にしか見えんとか、赤の人が”子供のころ親父と旅していた”といってもその親父が山下真司(*5)だと”グルメ旅か?!”とちゃちゃ入れてみたりとか、変身の時にかかるサンバのリズムがタブチくんっぽいとか(*6)。

 でも、この手の番組ってどんどんハイテク化していきますねぇ。ケータイやスマホは当たり前。USBメモリーで仮面ライダーが変身する時代ですから(*7)。で、今度は電池ですか。”電池なんて昔からあるやん!”と思われるかもしれませんが、今やスマホやハイブリットカーなどの性能を決定づけるキーデバイス。ボーイング787が運行停止になっているのもバッテリー出火事故が続いたせいです。発電所からの電気でないという意味では乗り物も含めてモバイル製品のが世の中にあふれかえっている昨今、電池は企業の死命を制する技術です。そういえば、パナソニックが三洋電機を傘下に収めたのは三洋電機が太陽電池・蓄電池などのエナジーシステムに強みを持っていたためとも言われていますし。

 実はもういっこ気になったのが戦隊メンバーの関係性。初めての戦いの後にこんな会話をしています。

  赤  :よし、ご対面だな
  青  :ちょ、ちょっと待ってくれ、できればこのまま素顔を明かさずいかないか?
  赤  :えっ?
  青  :戦いの時だけの仲間、ってことにして欲しいんだ
  黒  :俺も賛成。プライベートは大事だ。
  緑  :確かに
  ピンク:ちょ!
  青  :ゴメン!
  ピンク:みんなぁ

 もっとも、赤の人はこの会話を華麗にスルーして正体を明かしていますが。

 先日読んだ”デジタルネイティブの時代(*8)”によると、人間同士の関係性ってメンバが顔見知りで長期的・安定的な関係を結ぶ”コミュニティ”、バブリックとプライベートの切り分けられていて、地縁・血縁にとらわれない自律的な付き合いの”ソーシャル”、関係が流動的し継続して安定的な関係が期待できない”コネクション”に分かれるんだそうです。ネットサービスでいうとコミュニティがミクシィ、ソーシャルがFacebook、コネクションがツイッターにあたるとのこと。
 通常の戦隊モノってのは”チーム”(ゴーバスターほか)、”家族”(マジレンジャーなど)、”家族的企業経営”(シンケンジャーなど)といった”コミュニティ”にカテゴライズする関係性になります。まあ第一回目なのでなんですが、上記の会話って”コネクション”、ゆるく見ても”ソーシャル”な関係に持ってこうとしてます。なんとなく訳アリっぽい青の人はともかく、あっさり同意する黒と緑の人って・・
 こうった関係性に間を置くというのは”デジタルネイティブ”特に後期に顕著な傾向なんだそうですが、黒の人は23歳、緑の人は16歳という設定でまさにこの世代。ピンクの人は18歳なので全部が全部そうだってことはないですが、一昔前の熱血とは隔世の感がありますねぇ。

 ところでこのスーパー戦隊シリーズって、第一作の”秘密戦隊ゴレンジャー”の放映開始が1975年ともう37年も続いてるんですね。スタートという点ではウルトラマンや仮面ライダーのほうが古いんですが(*9)、中断がないという意味ではこちらのほうが長寿番組。こんだけ長いと若者気質や文化風俗の分析に使えないかなぁ。卒論なんかでやれば面白いんじゃないかと。もっともノリのいい教授じゃないとウケてくんなさそうだけどね。


《脚注》
(*1)”春秋”っぽい前振りで始めるのは
 日経新聞1面のコラム欄。朝日新聞の”天声人語”にあたります。
 経済紙の日経ですが意外に軽めな話もあります。隕石による恐竜絶滅ネタは2013年2月17日に掲載、奇しくもキョウリュウジャー第一回放映日でした。
(*2)バグダッド電池
 電池かどうか諸説あるそうですが、実際に電解液(酢やワインなど)を入れると電気が起こるんだそうです。また”何のために発電したか”もよくわかっていないんだとか。
(*3)千葉繁か!
 声優兼俳優。”うる星やつら”のメガネとか、”機動警察パトレイバー”のシバシゲオとか、”北斗の拳”のナレーションとか、パラノイアチックでハイテンションな声をやらせたらこの人の右に出るものはいません。
(*4)メカの素
 タツノコプロ制作の”タイムボカンシリーズ”の第2作目、”ヤッターマン”(1977~79年放映)に登場する骨型のアイテム。”メカの素”をヤッターワンに投げ与えるとビックリドッキリメカ(ゾロメカ)が出てきてドロンボー一味をやっつけるというのがお約束のパターンです。
(*5)山下真司
 フジテレビ系列で放映されている料理番組”くいしん坊!万才”の9代目レポーター。1994年~97まで担当。いろんなとこを旅して美味しい物をたべまくるというのが番組のコンセプトでした。
(*6)タブチくんっぽいとか
 いしいひさいち原作で1979年に公開された映画”がんばれ!!タブチくん!!”でお話の間にかかる曲がよく似てます。西武ライオンズの”キャッチャー 野村”(ボヤキが芸風だった楽天の前監督)なんかが出てくるのが時代ですねぇ。
(*7)USBメモリーで仮面ライダーが変身する~
 2009~10年に放映された”仮面ライダーW”はベルトにUSBメモリーを差し込んで変身してました。ミステリーやハードボイルド小説をベースにしたストーリーは子供向けとは思えないマニアックな出来。
(*8)デジタルネイティブの時代(木村忠正 平凡社新書)
 子供の頃からPCやケータイに親しんでいる”デジタルネイティブ”の行動様式を分析した本。サブタイトルが”なぜメールをせずに「つぶやく」のか”とあるように微妙な生まれ年の違いでメールやSNSなんかへの感じ方や使い方が異なってくるといった内容です。詳しくはこちらをどうぞ。
(*9)ウルトラマンや仮面ライダーのほうが古いんですが
 ウルトラマンは1966年、仮面ライダーが1971年のスタートです。
 余談ですが、このブログを書いてるときにちょうどNHKアーカイブスで放映してた人形劇”新八犬伝”が1973~75年。語りが坂本九(しかも若い!)という時代ですから。

おぢさん世代に”つぶやき”は似合わないのかもしんないです(デジタルネイティブの時代/イチハツ)

 ども、最近Facebookを始めたおぢさん、たいちろ~です。
 使い方がよくわからんとです(ヒロシ風(*1))
 それでも娘とか昔の友人とか友達になったのでぼつぼつニュースなんかが見られるようになってきてます。デジタルネイティブとはかけ離れたおぢさん世代ですが、パソコン通信の時代から始まってブログまで35年以上、ITわりと得意なつもりだったんですがねぇ。まあ、面倒くさいがってマニュアル本読んでないだけかもしれませんが。
 パソコン通信は比較的早くからやってたんですが(*2)、Facebook始めたのはつい最近。iPhone5買ってやっと始めたぐらいです。まあ、パソコンにしろスマホにしろネット環境に依存するところがあるようで、今回ご紹介するのはモノゴゴコついたころからネットをした世代の人の本”デジタルネイティブの時代”であります。


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 写真は”無料画像”のHPより。イチハツです。


【本】デジタルネイティブの時代(木村忠正 平凡社新書)
 子供の頃からPCやケータイに親しんでいる”デジタルネイティブ(原住民)”の行動様式を分析した本。サブタイトルが”なぜメールをせずに「つぶやく」のか”とあるように微妙な生まれ年の違いでメールやSNSなんかへの感じ方や使い方が異なってくるといった内容です。
【花】イチハツ(一初)
 アヤメ科アヤメ属の多年草。アヤメの仲間で一番早く花を咲かせるので”一初(イチハツ)”という名前が付いたんだとか。
 花言葉は”付き合い上手


 デジタルネイティブというのはネット環境などで4世代に分かれるそうで、キーワードを列挙するとこうなります。

〔第一世代〕~1982年生まれ
 ポケベル
(*3)、ピッチ。PCネット第一世代(ブログ・SNS以前)。オフライン基盤。
〔第二世代〕1983~87年生まれ
 ケータイメール。ダイヤルアップ
(*4)。モバイルネットの普及
 ミクシィ第一世代。既知同士のオンライン交流。
〔第三世代〕1988~1990年生まれ
 ケータイブロフ。SNS。ブロードバンド常時接続、パケット定額制。
 モバイルSNSとしてのミクシィ。
〔第四世代〕1991年生まれ~
 ブロフ・リアル・ブログ・SNSの使い分け。中学の濃厚な集団圧力でのケータイ利用
 小学生から自宅にブロードバンド。オンとオフの区別があいまい。

 なんとまあ、10年かそこらでこんだけでジェネレーションが分かれるってのもちょっと驚き。で、これらを分析すると下記の4つの特性があるとのこと。

①空気を読む力
②対人距離を構成する「親密さ」と「テンションの共有」が相互に独立し、「テンションの共有」のみによる(「親密さ」を伴わない)親しさへの志向
③「コミュニティ」、「ソーシャル」とは異なる「コネクション」という社会原理の拡大
④サーバースペースへの強い不信感、低い社会的信頼性と強い「不確実性回避傾向」

 簡単に言うと①は相手との関係の気の使い方みたいなもん。今電話をかけていいかどうかとか、すぐにメールを返信しないといけない”5分間ルール=集団圧力”とか。
 ②は、あんまり親しくない間柄でも盛り上がる(テンションの共有)みたいなもの、④はネット上で自分のプロフィールを公開しない(匿名性)など。
 で、面白かったのが③の「コミュニティ」、「ソーシャル」、「コネクション」の違いです。

 

「コミュニティ」というのは、メンバ同士が顔見知りで長期的・安定的な関係。リアルだと”村”や”家族経営の企業”になります。ソーシャルネットワークなんかで出てくる「ソーシャル」ってのは、バブリックとプライベートの切り分けられていて、メンバーは地縁・血縁にとらわれない個人=市民として尊重されていて自律的・合理的な存在。”都市”における関係と言えます。ネットサービスでいうと”ミクシィ”が「コミュニティ」、”Facebook”が「ソーシャル」の代表例と言われればなんとなくイメージできるかと。
 で、「コネクション」というのはメンバー(社会的主体)と個人(主体)の関係が多様化、差異化、変化、流動化してきたために、不安定、流動的、境界があいまいで、継続的で安定的な関係を期待できないなかでするコミュニケーションのこと。なんのこっちゃ分かりにくいかもしれませんが、東日本大震災での自主的なボランティアや2012年度末の”維新の会”の一部政治家のどたばたを例に挙げられるとなんとなくそんなもんかと思っちゃいます。

 「コネクション」の代表例が”ツイッター”だそうですが、まったく知らない人にはぶつぶつ言ってるだけにしか見えないのが、関係ある人には会話になってて、興味があるテーマにはツッコミを入れる”あいまいなコミュニケーション”ってのは一昔前にはなかった関係性ですよねぇ。
 私自身は”ツイッターってどこが面白いんだろう?”って感じちゃう人ですが、こういう関係性になんとなくなじめないからでしょうか。”Facebook”でも、友達の友達って知らない人じゃん(*5)って思っちゃって違和感あるぐらいだし。
 逆に、メールの返信が2~3日後でもあんまし気にならないし、電話どころかメールでさえ”圧力”と感じる感性って理解しがたいです。

 どうも、デジタルネイティブ以前のおぢさん世代ってのは、リアルな付き合いがベースにあって(コミュニティ)、多少疎遠になってても年賀状を送ったり、こんな益体もないブログ書いて遊んでたり(ソーシャル)するあたりが肌感覚としての限界なのかも。
 知らない人も含めた相手に目的のない(あるのかもしれませんが)コミュニケーションできないっておぢさん世代って、デジタルネイティブの人から見れば”リアルの世界という重力に魂を取り込まれた人達”に見えるかもしれなせんが、まあ、おぢさんってそんなもんです。もっとも、”いずれアヤメかカキツバタ”ってな美人さんが相手だったら付き合い上手にもなれるんですが・・・

 この手の本って、どっちかつ~と理系の人やネットの中の人が書いてるのが多いんですが、”デジタルネイティブの時代”は珍しく(私が読んでないだけかもしれませんが)文系の人が外から見て書いている感じがします(*6)。ちょっと毛色が変わっているのもOKであれば読んでみてもいいかも。


《脚注》
(*1)ヒロシ風
 ”ヒロシ”ってのは2000年代中ごろ”自虐ネタ”で一世を風靡したお笑い芸人。けっこう気に入ってたんですが、最近あんましテレビでませんねぇ。ネタ本も3冊出てますが、数行の文章で笑いを取る面白さってツイッター向きかもしれません。
(*2)パソコン通信は比較的早くからやってたんですが
 婚約時代の奥様にパソコン通信を見せたところ”この人(私のこと)は、オタクだ”と思ったそうです。そんな奥様ですが、最近はほとんど毎日のようにブログを更新するヘビーブロガーになっております、はい。
 ご興味のある方は奥様ブログ「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」をどうぞ。
(*3)ポケベル
 かつて日本電信電話公社(現在のNTT)が行っていたサービスで、ディスプレイ付きの小さな端末に電話番号などを送信して公衆電話から折り返しで電話をかけてもらうようにするもの。当初は数字しか送れないので”4649(よろしく)”みたいな語呂合わせをやってました。今のスマホ世代の人からはなんなんだと思われるかもしれませんが、”ポケベルが鳴らなくて”なんてトレンディドラマ(死語)なんかもあったんですよ~
(*4)ダイヤルアップ
 文字どおり家電からダイヤルをかけてパソコンをネットワークに接続する方式。従量制課金(使った時間だけ費用が発生する)なので、長時間使いっぱにすると結構な通信費などがかかかるため社会問題化しました。言ってみればソーシャルゲームの高額請求問題の草分けみたいなもんです。
(*5)友達の友達って知らない人じゃん
 娘と”友達”になってるんで交友関係丸分かり。男友達が何人もいるようですがお父さんとしてはちょっとフクザツです・・・
(*6)文系の人が外から見て書いている感じがします
 著者の木村忠正は文化人類学の畑の人。まあ、科学的アプローチという点では外から見る方が正しいんでしょうね。

きっといるのだ。絵本を大事にする書店には、粋な神様が(平台がおまちかね/豚)

 ども、昔は営業をやっていたおぢさん、たいちろ~です。
 営業といっても装置系でしたので買う人=使う人なので、小売系の営業ってのはやったことはありません。身近な小売というと食料品店や衣料なんかがありますが、私がよく使うのが本屋さん。どのような本を仕入れてどう売るかは本屋さんの裁量のようですが、当然本屋さんに本を売り込む営業の人もいるわけです。
 ということで、今回ご紹介するのはそんな本屋さんの営業を扱ったミステリー”平台がおまちかね”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。近所の畜産祭で見かけた豚です。


【本】平台がおまちかね(大崎梢、創元推理文庫他)
【本】平台がおまちかね(原作 大崎梢、絵 久世番子、新書館)
 中堅出版社”明林書房”の営業マン”井辻智紀(いつじともき)は初めて東北への出張にでかけた。前任者が写した写真を渡すために”ユキムラ書店”を訪れたがひと月前に閉店したとのこと。すると近所の蕎麦屋の親父が先日も同様にこの書店を訪れた若者がいるという・・・(”絵本の神さま”より)
 ”平台がおまちかね”は井辻智紀を主人公とした”出版社営業・井辻智紀の業務日誌シリーズ”の第一作。
 元本屋の店員”久世番子(*1)”によりコミック化。
【動物】
 哺乳綱ウシ目イノシシ科の動物で、イノシシを家畜化したもの。
 見た目はかわいいですが、意外と筋肉質で(体脂肪率は14~18%程度)でまともに攻撃されると大人でも数メートル飛っとばされるそうなのでご注意ください。


 ネタバレになりますが、謎解きのキーになるのが”ユキムラ書店”の看板に書かれている4匹の動物と、知り合いの営業マンから聞いた”5番目は子豚だった”という言葉。4匹の動物というのは駅ビルの階段で小さな女の子が歌っていた(*2)”のんたん、ばばーる、じょーじ、はりー”です。ちっちゃい子がいる(いた)親ならご存知でしょうが、これはメジャーな絵本の登場人物

〔ノンタン〕
 キヨノサチコの絵本のシリーズに登場するウサギ。
 フジテレビで放送された”ウゴウゴルーガ(*3)”の中でアニメ化されたのでそっちで見られた方もいらっしゃるかと。ちなみにノンタンの声はココリコの遠藤との離婚ネタでいじられまくっている”千秋”です。

〔ババール〕
 フランス人絵本作家ジャン・ド・ブリュノフの”ぞうのババール”に登場する点目のゾウ。すいません、これ読んだことないです。

〔ジョージ〕
 ハンス・アウグストとマーガレットのレイ夫妻による絵本のシリーズ”おさるのジョージ(ひとまねこざる)”に登場する猿。
 途中で絵が変わってるそうですが、私が見てたのはレイ夫妻のほう。

〔ハリー〕
 ジーン・ジオン(ジーク・ジオンではありません)マーガレット・ブロイ・グレアムによる”どろんこハリー”に登場する犬。 日本での出版は1964年とビミョ~に読み損ねたみたいです。

 こんな絵が看板に書かれているように、この本屋さんは絵本に力をいれています。本屋さんってみんな同じじゃなくてお店ごとに棚作りって店主の個性がでるんだそうで、しょっちゅう何軒かの本屋さんを回ってますけど、あんまり気にしたことなかったですねぇ。改めて言われてみると確かに会社の近くのビジネス街ではビジネス書っぽいのが多いし、近所だと一般書が多かったり、コミックが充実していたり。ショッピングモールだと子供向けのスペースが大きかったりもしています。まあ、見に行く棚が偏向してるからあんまし気付かなかったけど。で、お店の中でも一番目立つ入り口近くの棚とか平積みをしている平台に何を置くかはう店主と営業の腕の見せどことみたいです。

 ”絵本の神様さま”に出てくる5番目は子豚っていうのは店主の甥っ子だった人の書いた絵本のキャラクターですが、昔進学にからんですれ違ってしまった作家とその人と本屋さんの想いが絵本を通じてつながっていたというお話。ほろっとさせてくれます

 同じ大崎梢のミステリーで”成風堂書店事件メモ(*4)”というシリーズがありますが、こっちは本屋の店員さんのお話。”ときめきのポップスター”では設定がクロスしていて、このシリーズを読んでる人にはニヤッとしてしまうサービス編。同じ本屋さんの話でも本屋と営業の違いが楽しい一編。両シリーズとも気楽に読める本ですので、ぜひご一読のほどを。


《脚注》
(*1)久世番子(くぜばんこ)
 作者の大崎梢も漫画家の久世番子も元本屋で働いた経験のある人。
 こういった職業モノって、やっぱり働いた人のリアリティが違います。
 詳しくは”暴れん坊本屋さん”をどうぞ。
(*2)小さな女の子が歌っていた
 ”わらべ歌”などを使った見たて殺人というのは推理小説の定番。
 横溝正史の”悪魔の手毬唄”やマザー・グースをテーマにしたヴァン・ダイン”僧正殺人事件”なんかがお約束。でも井辻智紀のシリーズではそんなおどろおどろなのは出ませんのでご安心を。
(*3)ウゴウゴルーガ
 1992年から94年まで放送された子供向けバラエティ番組。子供向けとは思えないシュールなネタでけっこう気にいってました。またやんないかな~~ みかん星人とかのキャラや笑いって絶対今ウケしそうなんだけど。
(*4)成風堂書店事件メモ(創元推理文庫 他)
 本屋のバイトの大学生店員”多絵さん”をホームズ役に店員の”杏子さん”をワトスン役にした本屋を舞台にしたユーモアミステリー。こちらも久世番子がコミック化しています。詳しくはこちらをどうぞ。お勧めです。

”遠隔操作ウイルス事件”を見てると、次に出てくるのは防犯カメラへのハッキングなんだろうなぁとか思っちゃいます(攻殻機動隊/猫)

 ども、特A級ハッカーのおぢさん、たいちろ~です(ウソです)。
 朝からテレビを見ていると”遠隔操作ウイルス事件(*1)”の犯人として片山祐輔容疑者を逮捕したとのニュースが出てきました(2013年2月10日)。本人は容疑を否認しているようですが、しかし、それっぽい容疑者ですなぁ。30歳で小太りに眼鏡にナップサックでお出かけ、インターネット関連会社社員で、ひとりを好むおたくっぽい雰囲気。このそれっぽさって思わず宮崎勤事件(*2)を思い出しちゃいました。
 で、逮捕に至る経緯ってのは報道によるとネットワークによる捜査はうまくいかなくて、防犯カメラに映っていた片山容疑者が決め手になったんだとか。今さらビッグ・ブラザーがど~のこ~のという気はありませんが(*3)、これが決め手になるんだったら次に出てくるのは防犯カメラへのハッキングだろうなぁというのが今回のお題であります。


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 容疑者逮捕につながった猫。
 今の日本ではおそらく一番有名な猫でしょう。ところでこの猫って証拠物件?


【DVD】攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX
      (原作 士郎正宗、監督 神山健治)
 TV生中継現場に、青いフード付ジャンパーを着た青年が現れ、セラノゲノミクス社社長瀬良野を拳銃で脅迫するという事件が発生した。その場にいた電脳化された人々(*4)、TV中継、監視カメラに映っていたにも関わらず、犯人の顔は後に”笑い男”と呼ばれるポップなマークに上書きされていた。
 それから6年後、この事件を担当する刑事の事故死に端を発し、公安9課(通称”攻殻機動隊”)が真相究明に乗り出すことになる・・・
【動物】
 ネコ科の小型哺乳類。
 猫好きの人って、ドラマチックな恋愛を好む傾向が強いとか、気まぐれな態度に振り回された後に甘えてくる“ギャップ萌え”みたいのがネットに出てましたがホントですか?


 一般的にネット犯罪の捜査というのはIPアドレス(*5)を使って発信されたパソコンを特定するんですが、今回の犯行では他人のパソコンを使ってなりすましが行われたためこの線では犯人特定ができなかったとか(逆に誤認逮捕の原因になってます)。つまり映画なんかでやってるようなネットワークをトレースして犯人を追い詰めるといったシーンは行き詰ってたみたい。
 決め手になったのはリアルな世界に登場した(アナウンサーがこんな言い方してました)容疑者が猫に近付いている防犯カメラの映像。ってことは、リアルワールドに出てこなければ事件はもっと長期化した可能性もあったわけです。
 では、防犯カメラに映った映像を改ざんできたらどうなるか?? というのが今回ご紹介する”攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX”の”笑い男事件”に出てきます。これは、TV中継の画像はもちろん電脳化されている人の目に対し犯人の顔の部分を”笑い男マーク”で上書きして犯人の顔を隠してしまうというネタで、特A級ハッカーである犯人の仕業。画面で見るとこんな感じになります。

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 電脳化うんぬんは別にして、防犯カメラの画像を上書きできるかというと理屈の上のはできそうです。というのも一昔前の防犯カメラってオフラインでVHSなんかのメディアに記録されてましたが、最近はカメラとサーバ上のハードディスクがネットワークでつながれているケースが出てきてます。ですからこのサーバにアクセスできればやれんことはないと思われます(まあ、カメラやサーバーの特定から始まって簡単ではないですが)
 犯罪をそそのかすわけではないですが(*6)、実際やる奴が出てくると犯罪捜査に支障がでるんでしょうねぇ

 実はもうひとつ気になることがあります。それは片山容疑者が真犯人だったとして刑期終了後の処遇。この事件の罪状っていうのは”威力業務妨害”というもので、調べたところ3年以下の懲役または50万円以下の罰金と大騒ぎになっているわりには意外と軽いんですね。で、この特A級ハッカーを野に放つより、警察のサイバー犯罪捜査官にしようと思っちゃう人も出るんじゃないかと。攻殻機動隊に出てくるボスの荒巻課長と犯人との会話。

  荒巻課長:そこで提案だが、どうだ、そのハッカーとしての腕を生かして
       我々9課の9人目のレギュラーにならんか?
  犯人  :驚いたな、僕をスカウトするつもりですか
  荒巻課長:そうだ
  犯人  :まいったな、いささか楽しそうではあるけど、でもやっぱりやめときます
       それに、残念ながら僕、野球がヘタですから

 ま、モラルの問題とか前科のある人間を警察官にするのかとかいろいろ意見はありそうですが、”ダイハード4.0(*7)”みたく逆になるよりはいいんじゃないかと。

 片山祐輔容疑者って、以前ネコのキャラクターにからんだ脅迫で実刑判決を受けたり、逮捕前日に猫カフェに行ったりとネコ好きみたいです。まあ、この人が真犯人だったら獲物をいたぶる猫っぽく警察をおちょくって遊んでた猫的性格な人なんでしょうかねぇ。そんなことしなきゃ捕まんなかったかもしれないけど。


《脚注》
(*1)遠隔操作ウイルス事件
 2012年に、犯人がネットの掲示板を介して他者のパソコンを遠隔操作し、襲撃や殺人などの犯罪予告を行ったサイバー犯罪。4人が誤認逮捕され警察トップが謝罪するという異例の事件となりました。
(*2)宮崎勤事件
 1988年から1989年にかけて発生した東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件のこと。犯人の宮崎勤はロン毛に眼鏡に引きこもり、アニメ・特撮・ホラーマニア、ロリコン(精神鑑定鑑定ではそうではないそうですが)と後の悪しきオタクのイメージを決定づけた人物とも言えます。
 ”今田勇子”の名で犯行声明を出すなど今回の事件との類似点も多いかと。
(*3)ビッグ・ブラザーがど~のこ~の
 ”ビッグ・ブラザー”はジョージ・オーウェルの小説”1984年”に登場する指導者の名前。この小説では”テレスクリーン”という双方向テレビジョンで常に監視されているという世界が描かれています。
(*4)電脳化された人々
 脳とネットワークをダイレクトに接続した人ぐらいに思ってください。スマホなしに直接会話できたり、外部のコンピューターにアクセスできたり便利ですが、ハッキングされると視覚情報などを操作されます。
(*5)IPアドレス
 ネットワーク上の機器を識別するために指定するネットワーク層の識別番号のこと。これに対し、LANカードなどのハードウェアに割り振られる固有番号をMACアドレスと言います。”ネットワークに接続されたパソコン”を特定できるだけで、どの人が使ったかを特定できるわけではないです。なのでなりすましなどを防止するためには会社などで自席を離れる時はパスワード付きのスクリーンセーバーを使いましょう(これは本当)
(*6)犯罪をそそのかすわけではないですが
 これはあくまで防犯カメラを誤魔化すだけですんで、他の証拠を消せるわけではありません。ハッキングという証拠を増やすだけかもしれません。日本の警察は優秀ですので犯罪はコスト的にペイしないと考えた方が無難です。まじめな人生をお過ごしください
(*7)ダイハード4.0(主演 ブルース・ウィリス、監督 レン・ワイズマン)
 元国防総省公共機関の保安担当チーフプログラマーが危機管理システム強化に反対された恨みから、自らサイバーテロリストになっちゃうっていうお話。
 そういえば、この映画でもテレビをハッキングしてワシントンにある国会議事堂爆破のニセ映像を流すってネタがあったなぁ

退職金に絡んだ教員の大量退職って、行動経済学的に解説するとこんな感じです(予想どおりに不合理/サクラソウ)

 ども、合理的に人生を送るおじさん、たいちろ~です。
 一般的に言って、物事を判断するには”合理的”であるほうが良いとされています。まあ怒りにまかせたり、情に流されたりしてナニカを決めるってのはあんましお勧めできません。が、時として合理的な判断に文句を言われるケースってのもあります。最近だと退職金が削減される埼玉県で教員が大量に駆け込み退職するという事件。2013年2月1日から退職金が削減されるため、定年満了までいるとおよそ150万円貰える金額が減らされるということで(*1)、110人の先生が卒業式のある3月を待たずに退職するとのこと。
 先生側から見れば、きわめて経済合理性のある決定ですが、親や行政からは”たった150万円ぽっちの金で子供たちを見捨てるのは、責任感がなさすぎる”みたいな意見が出ているようです。なんでこんなことになっちゃってるかというのかを行動経済学的に解明しようってのが今回のお題。ご紹介する本は”予想どおりに不合理”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。近所で見かけたサクラソウです。


【本】予想どおりに不合理 増補版(ダン・アリエリー 早川書房)
 サブタイトルは”行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」”。
 ”行動経済学”というのは経済学に心理学的な要素を加えた新しい学問。従来の経済学が自己利益を最大化する決断をするという”合理的経済人”を前提としているのに対し、行動経済学では”実際の人はそこまで合理的でない”ということを心理学的な実験で検証しつつ考えるというもの。けっこうはまっています。
【花】サクラソウ(桜草)
 サクラソウ科サクラソウ属の多年草。名前の通り桜に似たかわいい花が咲きます。埼玉県の県の花
 花言葉は”希望、初恋”などのほかに”青春の始まりと終わり、青春の歓びと悲しみ、若い時代と苦悩”なんてのがあります。


 で、本書から今回の事件にからみそうなとこをピックアップしてみます。

〔150万円は大金か、それっぽっちか?〕
 まあ、大金でしょうね。150万円といえば若い人なら年収の半分近く。”定年前ならもっと給料貰っているだろう!”と若い人からつっこみあるかもしれませんが、晩婚化が進む昨今では子供がまだ学生だったり、バラサイト・シングル(*2)だったりとまだまだお金が必要な人だって多いはず。それに月収40万円の人に150万円貯蓄しろと言えば、まあ2~3年はかかるでしょうしね。
 じゃあ、なんで親や行政側からは”それっぽっち”っぽいニュアンスで語られるかと言うと、”所有意識”というのが働くんだそうです。これは従来の経済学だと所有者(この事件の場合だと退職金を受け取る権利を持っている人)も非所有者(そうでない親や行政担当者)も同じ価値、つまりどの人にとっても150万円は150万円になりますが、行動経済学ではこの感じ方が異なるってことになります。本書では

 ①自分がすでに持っているものにほれこんでしまう
   35年も働いてやっと手に入れた退職金を貰う権利です
   愛着を持つなといってもムりです。
 ②手にはいるもかもしれないものではなく、失うかもしれないものに注目してしまう
   今回の議論もそうですが、”2,550万円の退職金を貰える”のではなく
   ”150万円減額される”ことに注目が集まっています(マスコミもだけど)
 ③ほかの人が取引をする視点も自分と同じだと思いこんでしまう
   先生側から見れば”150万円は大金なのになぜわかってくれないんだ?!”
   でしょうか。

 たとえて言うなら35年の住宅ローンを終えた我が家を売る時、売りたい金額(所有しているものの価値)より市場価格(他人が買ってもいいと思う金額)の方がはるかに下回っているようなもんです。ウソだと思うなら一度不動産鑑定してみてください。愕然とします。


〔思考は直前にインプットされた情報に影響を受ける〕
 本書では”テストの直前にモーセの十戒(*3)を書かせると不正の発生が減る”という実験結果を紹介しています。まあ、敬虔な気持ちにさせるってとこでしょうか。同様にお金にからむ話を事前にすると無意識的にお金にシビアになる傾向があるんだとか。
 今回の退職金の場合、年金問題が日々マスコミで語られているのに対し”教師は聖職者である”といったニュースが皆無なので(*4)、インプットされる情報はお金のほうが圧倒的。なので、お金に重点をおく判断に傾くものと考えらえます。


〔社会規範と市場規範は相い入れない〕
 判断・評価・行為などの基準となるべき原則のことを”規範”といいます。これには2種類あって、一つ目が社会規範責任感とか倫理とか尊厳とか無償の協力なんかがキーワードとして出てきます。

 埼玉県の上田清司知事は22日の会見で、「2カ月残して辞めるのは無責任とのそしりを受けてもやむを得ない」と不快感をあらわにした。
 県庁幹部も「最後まで勤めるのが公務員の職責ではないか」と顔をしかめた

 ニュースにのってましたが、上田知事や県庁幹部の発言は社会規範からの典型的な発言です。もうひとつは市場規範

  賃金、価格、賃貸料、利息、費用便益など、やりとりはシビアだ。
  このような市場のかかわりあいががならずしも悪いとか卑劣だというわけではない。
  市場規範には、独立独歩、独創性、個人主義も含まれるが、
  対等な利益や迅速な支払いという意味合いもある。
  市場規範のなかにいるときは、支払った分に見合うものが手にはいる。
  そういうものだ。
(本書より)

 市場規範の立場に立つ人(今回の場合は先生)から見れば、先生も行政と対等の立場であり、退職金は貰うべき権利なのでそれを最大化する判断に文句を言われる筋合いではないってことになります。

 社会規範と市場規範をひとつの事象で両立させることは難しく、かつ社会規範から市場規範へ判断基準が移行するとなかなかもどんないんだとか。今回の事件がニュースになって退職を留まった先生もいるかもしれませんが、きっと不満たらたらなんだろうなぁ。

 これらの話を総合すると、行動経済学的な影響(先生たちの意識)を過小評価した制度設計のミスを社会規範の名のもとに先生側に押しつけてるって感じがしてしまいます。
 他人事と思って読んでおられるかもしれませんが、

  国家財政窮乏のおり、国民のために消費税を10%にしたたにもかかわらず
  税率が上がる前に駆け込み需要をするとは、非国民的な活動である

 と言ってるのと構造的には同じ。こう言われて税率アップ前に買いこみをしない人だけが先生を非難する権利があると思うんですが・・・(*5)

 どっちにしても、退職ってのは”老齢期の始まり”であり、前倒し退職するかどうかで苦悩された先生も多いはず。一方的に非難するような論調はいかがなものかと思いますけどねぇ。

 ”予想どおりに不合理”は行動経済学を知る上でも、自分の意思決定の参考にするにも良い本。ぜひご一読のほどを。


《脚注》
(*1)およそ150万円貰える金額が減らされるということで
 勤続35年以上で、月給40万円の先生の場合、1月に退職するとおよそ2,700万円の退職金が出るけど、2月以降はおよそ150万円減額(2,550万円)。3月末までの2カ月分の給与を加味しても70万円ほど受取額が少なくなるとのこと。
(*2)パラサイト・シングル
 パラサイト・シングル(Parasite single)とは”学卒後もなお親と同居し、基礎的生活条件を親に依存している未婚者”のこと。かつては活発な消費行動をとる若者のイメージがありましたが、今は少子高齢化の一因扱いです。
 詳しくはこちらをどうぞ。
(*3)モーセの十戒
 モーセが神から与えられたとされる10の戒律のこと。”殺す無かれ”、”姦淫するなかれ”、”盗むなかれ”嘘を言うなかれ”というあれです。
 まあ、日本人なら写経をさせるってとこでしょうか。
(*4)”教師は聖職者である”といったニュースが皆無
 教師が聖職者なのは当たり前でニュースにならないのか、教師がニュースになるような聖職者な行動をとっていないからニュースにならないのかはこの場合問題ではありません、たぶん。
 ま、体罰問題で揺れてる状況なんで、むしろネガティブ情報のほうが多い(以下自主規制)
(*5)先生を非難する権利があると思うんですが・・・
 あなたがたのうちで罪のない者が、最初に彼女に石を投げなさい。
  イエス・キリストの言葉(ヨハネによる福音書 第8章より)

”炎上”ってのはブログ誕生時点からDNAに組み込まれていたのかもしれない。人間のDNAかもしれんけど(ブログ誕生/クモの巣)

 ども、オメガブロガー(*1)のおじさん、たいちろ~です。
 会社の中で関連部署向けのブログを書いています(これは本当)。まあ、ブログといっても、トップの人の発言を代わりに載せたり、イベント関連の報告を書いたりなので、社会一般でいうブログとやや趣は異なりますが実はこの仕事けっこう長くやっています。ホームページの型式だと1990年代の中ごろからやってました。個人的にはパソコン通信(*2)を1980年代半ばからやってましたんでんで、ほぼほぼ日本のネットワーク化とお付き合いしたってことになりそうです。
 まあ、デキゴトも四半世紀も過ぎれば歴史になるわけで、じゃあちょっと振り返ってみましょうということで、今回ご紹介するのはブログの歴史を扱った本”ブログ誕生”であります。

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 写真はたいちろ~さんの撮影。近所で見かけたクモの巣です。


【本】ブログ誕生(スコット・ローゼンバーグ エヌティティ出版)
 日本語のサブタイトルは”総表現社会を切り拓いてきた人々とメディア”。原書は
  Say Everything
    How Blogging Began, What It's Becoming,
    and Why It Matters
  すべてを語れ
   ブログはどう始まったか、どのようになっているか、そしてなぜ重要なのか

とあるように、日本語サブタイトルよりもう少し広い範囲で語っています。
 まあ、従来型メディアの人々との確執は読みごたえありますが。
【生物】クモの巣
 ワールド ワイド ウェブ(World Wide Web)の”ウェブ”はクモの巣という意味。ネットワークのつながり方がクモの巣を連想させることからこの名前がついたんだとか。
 まあ、ウェブというクモの巣をうまく使って情報をキャッチするか、情報の糸にからめとられるかは本人しだいでしょう。


 ちょっと厚めの本なので”プロダクトライフサイクルマネジメント”っぽく私なりにちょっと整理するとこんな感じ。

〔導入期〕
 いわゆる誕生期。専門的なスキルが必要なため技術者や先端的が人が中心
 試行錯誤なんかもありますがおおむね創業の物語になります(第一部 パイオニア)

〔成長期〕
 世間に認知されてホームページをHTML(*3)で書く人(前期)やブログを書く人(後期)が急増する時期。企業がホームページを使った広告を始めたり、個人もブログから収入を得るようなビジネスモデルが登場してきます(第二部 拡大)

〔成熟期〕
 市場参入業者はさらに増加するため競争が激化する時期。ドットコムバブルなんてのがありましたねぇ。
 ブログを書くツールもこなれてきていて、ほとんど専門知識がなくてもブログを書けるようになってきます。(第二部 拡大、第三部 ブログがもたらしたもの)

〔衰退期〕
 需要量が減少し業者が撤退していく時期。昨今のフェイスブックなんかのSNSをブログに入れるかどうかで評価が分かれますが(*4)、別物と考えると今のブログは成熟期後半か衰退期の始まりぐらいでしょうか。(第三部 ブログがもたらしたもの)

 ブログを取り巻く環境や技術史的に見るとなるほどねぇといった内容。で、問題は”ブログを書く人の意識”の変遷。一般的に言うと導入期は専門家が多いので志やモラルが高い傾向があります。これが成長期、成熟期といった”拡散する時代”になるといろんな人が参加するようになるので、中には”痛い人”なんかも混じってきます。このへんは岡田斗司夫が”オタクはすでに死んでいる(新潮新書)”で論じている”オタク文化の変遷”なんかと良く似ています。
 これは、かつてSFを何百冊と読んでいた”オタクとして必要な教養”を持った世代から、機動戦士ガンダムやスターウォーズに代表される”わかりやすいSF”の登場、そして”萌え~~”みたいな「自分の気持ち至上主義」の登場で”オタク”が変質していったという内容です(詳しくは”昭和のオタクに花束を”をご参照ください)

 導入期のホームページってのは情報共有とか、自分の思った事を書いたりとかリンクを張るぐらいで、双方向性というのが弱かったみたいです。これが成長期から成熟期になってホームページのツールが充実し~のブログになり~のしてくると、自分での情報発信に必要な技術的な参入障壁が低くなり、簡単に双方向のコミュニケーションができるようになってきました。

 世の中、多様な意見があってしかるべきなんですが、得てして人は自分の意見が正しいと思いがち。しかも自分に同調する人がいればなおさら。

  ウェブはその基本設計から、同質の人々のあいだでフィードバックが生まれ、
  先入観を強化するニュースだけを得るようになってしまうという件だ。
  これは心理学では同類志向と呼ばれる。
(本書より)

 これを逆に見ると、自分と反対の意見には反論することは正しいと思ってしまう考えが出てきます(まあ、別にしてもいいんですが)
 自分のブログでやってる分にゃ別に個人の勝手ですし、仲間内でもまあOK。
 せっかく自分の意見の言えるブログを作ったら人にも見て欲しい物。ところが、後発のブログって数学的にアクセス数をあげるのは先発のものより難しいんだそうです。ブログのアクセス数がべき乗数(ロングテールのグラフ)を描くことについて本書ではニューユーク大学のクレイ・シャーキーの説を紹介しています。

  (アルファブロガーとそうでない人の存在する)不公平さは
  ブログというシステムが内包する数学的特性がもたらしたものであり、
  ブログというシステムが提供する多様性および選択の自由が大きくなるほど拡大する。

     (本書より)

 ランキングが行われる場合、1人目は自由に選択できるが二人目以降は前の人の選択に影響される(選択される率が高くなる)ためにこのようなことが数学的必然として起こるとってこと。で、自分の意見を聞いて欲しい、自分のブログへ誘導してアクセスを増やしたいっていう”マズローの承認の欲求(*5)”に素直な人は、人んちのブログで持論を展開させちゃいます。よく言われるネットの匿名性もあります。自分の興味のあるネタをとことん追求するブロガーは新しいネタを追っかけるマスコミと違って、ディープに長期化する傾向もあります。さらには

  オンラインコミュニケーションの欠点として昔から指摘されていること、
  つまり、表情やしゃべり方、身ぶり、視線など、対面なら得られる
  さまざまな手がかりがないことも原因のひとつだ。
(本書より)

 という、”頭に血が上りやすい状況で”議論することになります。これが悪化して誹謗中傷、罵詈雑言、揚げ足取りを延々と繰り返すともう最悪。つまり”炎上”です。

 本書に直接こんなことが書いてあるわけではないんですが、読んでるとなんとなくこんな”炎上のメカニズム”を思いついちゃいました。

  いずれにせよブロガーの多くに共通する特質というものがある
  挑戦的で神経に障るというか、どうなろうと知ったことじゃないう
  とんがった姿勢というのがあるのだ。
(本書より)

 ま、これが原因なのか結果なのかはありますが、人間のDNAに組み込まれた良く言えば”人の役に立ちたい”、悪く言えば”オレの話を聞け!”といった欲求が、ブログという情報発信をより便利に行いたいというDNAに触発されて拡大してってるって、仮説としては面白んじゃないかと。別にこの説を認めて欲しいんじゃないんで、議論をするつもりはないですけど。(だから炎上なんてさせないでね!)

 ”ブログ誕生”はブログを書いてる人は一度は読んどいた方がいいかも。先人の苦労やブログの重要性なんかを読んでると、ネットの網につかまってじたばたする状況から抜け出せる手助けになるかもしれません。


《脚注》
(*1)オメガブロガー
 ブログが大きな影響力を持ってたり、多くの読者を持つ人を”アルファブロガー(Alpha blogger)”と言います。じゃあ、私みたくほとんど読者のいないブロガーってなんていうんでしょうか? まあ、最後だから”オメガ”でしょうかねぇ。ヨハネの黙示録で”私はアルファでありオメガである”と神ヤハウェも言ってることだし。
(*2)パソコン通信
 ブラウザなんてシャレたものもなく、回線つなぎっぱなんて夢のまた夢の時代に使われたインターネット前夜の通信サービス。だいたい85~95年ごろのことです。
 フルテキストのコマンド入力方式で、回線速度もPCの処理性能も遅くて画面のスクロールが目で追えるほど。今ならWindowsのDOS-プロンプトみたいな感じです(使わないか・・・)
(*3)HTML
 ”HyperText Markup Language(ハイパーテキスト マークアップ ランゲージ)”の略。”Language=言語”とありますが、見慣れない人からするとほとんどプログラミングの世界です。
 最初のころはデキストエディター(簡単なワープロみたいなの)しかなく、専門知識が必要な代わりにデザインなんかはかなり自由にできました。後にはツールやテンプレートが充実してきてかなり楽できるようになりましたが、ブログほどさくさくは書けなかったですねぇ。
(*4)SNSをブログに入れるかどうかで評価が分かれますが
 紙や電波などの歴史と制約のある旧来メディアと比べると、
 ブログは無政府状態、短命、表面的などと感じることが多い。
 しかし、フェイスブックの群衆型ネットワーキングや
 短文が羅列されたツイッターなどと比べると、
 ブログは実質的で自立しており、パワフルだと感じる
(本書より)
(*5)マズローの承認の欲求
 マズローの欲求段階説によると、人は下から”生理的欲求”、”安全の欲求”、”所属と愛の欲求”、”承認(尊重)の欲求”、”自己実現の欲求”があるそうです。承認の欲求を満たすには他人からの尊敬や名声、注目などが必要

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