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2013年1月

”今ここにある危機”ってトム・クランシーを所信表明演説で使うかね(今そこにある危機/コカノキ)

 ども、CIA情報担当補佐官のおじさん、たいちろ~です。(ウソです)
 先日(2013年1月28日)にニュースで安倍首相の所信表明演説を聞いてましたら、こんな発言がでてきました。

  今ここにある危機を突破し、
  未来を切りひらいていく覚悟を共に分かち合おうではありませんか

 へぇ~、ここでトム・クランシー(*1)持ってくるか! と思いながらも、でもこの発言をした大統領って悪役じゃなかったっけ?!
 ということで、今回ご紹介するのはジャック・ライアン(*2)シリーズの1冊”今そこにある危機”であります。

Kokanokihana
 写真は昭和大学薬学部薬用植物園ホームページより。コカノキです。

【本】いまそこにある危機(トム・クランシー 文春文庫)
【DVD】今そこにある危機
   (原作 トム・クランシー、主演 ハリソン・フォード、監督 フィリップ・ノイス)
 CIA副長官代行を任命されたライアンは、大統領が指示した南米の麻薬カルテル組織撲滅の調査を開始する。一方、大統領は密かに組織への攻撃を大統領補佐官に命令していた。しかし、組織のNo.2と裏取引をした補佐官は侵攻中の兵士たちを見殺しにする・・・
 原題は”Clear and Present Danger”。1994年にライアン役をハリソン・フォードで映画化。
【花】コカノキ
 コカノキ科コカ属の常緑低木樹。コカの葉からコカイン(麻薬)を抽出できます。
 コカインによる危険性から、コカノキ、コカの葉を含め栽培・持ち込み・流通等が厳しく規制されているというヤバいシロモノ。さすがに写真持っていないので、昭和大学のHPから転載しました。


 

 さて、安倍首相が何気に使っている”今ここにある危機”という言葉ですが、映画のシーンでの使われ方はこんな感じ。
 麻薬撲滅に成果の上がらない状況に苛立った大統領と補佐官の会話。

  大統領:私はこの国へなだれ流れ込んでくる麻薬の流れを食い止めると
      公約したんだぞ
        (中略)
  補佐官:どのような措置を取れとおっしゃるので?
  大統領:私が望んでいる処置というは、口には出せんと分かるっとるだろうが
  補佐官:しかし、それだけでは判断のしようが
  大統領:ああした麻薬カルテルの存在こそ、
      我が合衆国にとって国家の安全を脅かす
      ”今そこにある危機”だよ

      (These drug cartels represent
       a clear and present danger
       to the national security 
       of the United States)(*3)

 意訳すると

  手段は選ぶな。ただし、私は知らないことにしろ

政治的に正しい翻訳
をすると

  それは、補佐官のやったことですから

ってな、感じでしょうか。
実際に、終盤でこの事件の顛末を補佐官から聞かされた後のライアンでの会話では全く同じような抗弁をしてますし。このシーンで興味深い大統領の発言ってのが

  大統領 :我が国にもはや、スキャンダルで揺れている余裕はない
       国を守るためには、政治の空白を作ってはならん
       トップに立つ人間への疑惑は国益に反する
       責任は君達がとれ

        (中略)
       後は全部グリ-アにかぶせればいい。そうとも、彼を道連れにすることだ
       君の責任は少なくなる
       ま、うまく踊ることだよ。政界という舞踏会でな
  ライアン:せっかくですが、私はダンスは嫌いです

 なんだかな~~。政権末期になるとなんとなく言いだしそうな話だし。
 ここで出てくるグリ-アというのはCIA副長官にして、ジャックの上司である提督。かなり人望もある人物です。大統領は”死人に口なし”ぐらいの気持ちでしょうが、この人に罪をなすりつけろという一言がライアンに対するダメ押しになりました。

 末期ガンに侵されて病床にあるグリ-ア提督に、ライアンが状況を報告する会話。ライアンにとっては遺言みたいなものになりました。

  ライアン:掘れば掘るほどいやになります
       これ以上掘っても、誰も喜ばない
  グリ-ア:誓っただろう。覚えてるか。
       初めて公務についた日に、
       君は国家のために力を尽くして働くという誓いを立てたはずだ。
       君のボスに対して。大統領ではないぞ。
       誓いの言葉を、君は、大統領の雇い主でもある国民に対して立てたはずだぞ
       その誓いを全うしろ

 この高潔さって、まさに大統領と対極にあるものです。

 映画では、結局、上院監視委員会に大統領を告発するシーンで終わっています。

 ”今そこにある危機”は原作が1989年、映画の公開が1994年ともう20年近く昔の作品ですので、こんな昔の話を引っ張り出してくるコンジョ曲がりはそうそういないでしょうが、言葉ってのはいろんなこと連想させちゃうんですよねぇ。
 ま、できれば、安倍総理退陣の時に”ああ、やっぱりねぇ”と言わなくて済むようにして欲しいと一国民としては思うのであります。


《脚注》
(*1)トム・クランシー
 アメリカのベストセラー作家。代表作は今回ご紹介するジャック・ライアンシリーズ(”レッド・オクトーバーを追え”、”愛国者のゲーム(パトリオット・ゲーム)”、”恐怖の総和”、”日米開戦”など。
(*2)ジャック・ライアン
 ”ジャック・ライアンシリーズ”の主人公。CIA情報担当副長官、国家安全保障問題担当大統領補佐官などを歴任の上、アメリカ大統領に就任。
 CIAというと007シリーズのジェームス・ボンドのようにドンパチやるイメージがありますか、ライアンは”情報分析”が専門のどっちかというと学者に近い人(実際に博士やドクターの称号で呼ばれてます)
(*3)Clear and Present Danger
 ”Present”は(ほかの所でなく)ここ[そこ]にいる、今起こっているという意味の形容詞。ですので、”ここ”でも”そこ”でも同じ文脈です。
 その上に出てくる”represent”は~を象徴する、~を代表する、~と同等であるという動詞。原文ではちゃんと掛け言葉になってるんですね。

理想的なノマドってのも命がけのようです(用心棒/桑)

 ども、さすらいの用心棒のおじさん、たいちろ~です。(ウソです)
 前回、”ノマド(*1)”の話をしたんで、そのおまけです。
 理想的なノマドな人のイメージっていうと

  ①特定の組織に属さず仕事をするフリーランスな人(一匹狼またはチーム)
  ②専門的な仕事に従事する人が多い
    (コンピュータやWebの運用管理者、ライター、コンサルタントなど)
  ③ハイスペックな能力
    (職業的な技能、知力、集中力、コラボレーション力、人間的な魅力など)
  ④場所にこだわらず、どこでも仕事をこなす

てな感じです。具体的にどんなんかな~と思ってたら、いましたね理想的な人が。
 ということで、今回ご紹介するのは理想的なノマドの人、黒澤明監督の名作”用心棒”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。近所で見かけた山桑です。


【DVD】用心棒(主演 三船敏郎、監督 黒澤明、東宝)
 2組のヤクザが縄張り争いに明け暮れ、荒廃した小さな宿場町。そこに一人の凄腕の浪人がやってくる。彼の名は”桑畑三十郎(三船敏郎)”。居酒屋の権爺(東野英治郎(*2))から事情を聞いた三十郎は、用心棒として雇われる振りをして、双方のヤクザを同士打ちさせようと画策する・・・
 黒澤明監督による娯楽時代劇の名作。主演の三船敏郎も”七人の侍(*3)”とは違ったいい味出しています。
【花】桑(くわ)
 クワ科クワ属の総称。葉はカイコの餌として利用されます。
 三十郎が名前を聞かれた時、とっさに名乗ったのは廊下ら”桑畑”が見えていたから(*4)。この宿場ではカイコと絹の生産を行っていて、三十郎が拉致された子平一家を逃がす時に襲撃を偽装するため天井からざさぁっとカイコの繭が落ちてくるシーンなんかも印象的に使われてます。


 ”用心棒”の主人公”桑畑三十郎”がいかにノマド的かっていうとこんな感じです。

〔特定の組織に属さず仕事をするフリーランスな人〕
 さすらいの浪人ですので、組織には属していません。
 抗争に付け込んでやくざの組に売り込んでいますが、一時的な雇用で正社員(構成員?)になる気もなさそうですし、雇用主(ヤクザの親分)もそうする気はなさそうです。

〔専門的な仕事に従事する人が多い〕

 この時代の侍が専門的な仕事かどうかは微妙ですが、”用心棒”を傭兵かボディーガードと考えると専門的な仕事と言えそうです。

〔ハイスペックな能力〕
 数人のヤクザを一瞬にたたっ切る技量は相当なもの。ヤクザ同士を相打ちさせるという構想力や実行力、自分の技量をオークション?にかけてせり上げる交渉力なんかも大したものです。権爺が命がけで助けようとする義侠心と精神力、子平一家に金を渡して逃がしてやるような人間的な魅力にもあふれています。
 これらを総合すると、三十郎は相当ハイスペックな人物のようです。もし三十郎がどこかの殿様に士官してたとすればかなり出世してたかも。

〔場所にこだわらず、どこでも仕事をこなす〕
 一時的にヤクザの家にいても、基本的には権爺の居酒屋を根城にしています。
 まあ、今のノマドがスターバックスなんかで仕事をしているのと似たようなモンかと

 ことほど左様に”桑畑三十郎”って理想的なノマドなんだな~と思っちゃいます。

 もっともこれは”桑畑三十郎”が用心棒として傑出した能力を持っているからであって、普通の”用心棒”ってけっこうかわいそうな存在。組同士が手打ちになって用心棒が不必要になると、即日解雇(*5)。手切れ金=退職金が出ているだけましかもしれませんが。 もっとも、親分が再度”用心棒”を集めようとしても集まらなくって、三十郎から

  三十郎:無理もねえや
       この前 集めた奴ら
(解雇された用心棒たち)
       おめえたちの仕打ちを褒めてあるくはずはねえからな

 まあ、相応の実力がなければぞんざいな扱いをされるようです。

 もっとも、三十郎の腕をもってしても安心かと言うとそうでもなさそうです。三十郎へ用心棒代を払うかどうかと会話するの組の親分と女房、息子の会話(雇用する経営者層の会話ってとこでしょうか)

  女房:でも、お前さん そうなりゃまた二十五両だろう
     こっちが勝ったところであいつを殺しゃあ
     まるまる五十両助かるんだがねえ
  息子:汚なすぎるぜ、そんな
  女房:お黙り! それぐらいのことができなきゃ お父っあんの跡目は継げないよ!
     博打打ちにきれいも汚いもあるもんかい
  親分:そうだ、おっ母の言う通りだ
     人殺し 盗っ人と言われるようにならなきゃ蔵はたたねえ

 こうなってくると、ノマドも命がけです。

 ”用心棒”はモノクロ映画ながら今見ても面白い映画。ノマド云々を別にしても楽しめるお勧めの映画です。


《脚注》
(*1)ノマド
 読んだのは”仕事をするのにオフィスはいらない ノマドワーキングのすすめ(佐々木俊尚 光文社新書)”です。
 本書ではノマドを”遊牧民がラクダという砂漠で最強の乗り物を駆り、オアシスからオアシスへと移動しながら生活しているように、狭苦しいオフィスを出て、さまざまな場所を移動しながら働いている人たちです”と言ってます。詳しくはこちらをどうぞ。
(*2)東野英治郎
 若い人にはわからんかもしれませんが、TV時代劇で初代”水戸黄門”を演じた人です(1969年の第1部から1983年の第13部まで)。
 最近は”光圀伝(冲方 丁、角川書店)”でマッチョな黄門様が出てくるようですが、おぢさん世代の黄門様といえばやっぱりこの人です。
(*3)七人の侍(主演 志村喬、三船敏郎、監督 黒澤明、東宝)
 野武士が野盗化していた戦国時代。貧しい百姓たちがは侍を雇って対抗しようとする。雇われた島田勘兵衛(志村喬)、菊千代(三船敏郎)ら七人の侍たちは百姓たちとともに野武士に立ち向かう。
 黒澤明の最高傑作。三船敏郎演じる菊千代は三十郎とはとはまた違った荒々しい魅力を見せてくれます。お勧めの映画です。
(*4)廊下ら”桑畑”が見えていたから
 三十郎はこのネタがお気に入りのようで、続編の”椿三十郎”でも同じの使っています。”もうそろそろ四十郎だがな”と言ってるので、三十郎は30代後半の模様。しかし、この歳で士官もせずにふらふら放浪してるってのもまあ、ノマドらしいとも言えますが・・・
(*5)用心棒が不必要になると、即日解雇
 まあ、現代でいう雇い止めとか派遣切りだって似たようなんじゃないかと。
 ”用心棒”のエピソードでもそうですが、あんまし無体なことをやってると後でしっぺ返しがありますよ、きっと。

ノマドとは”汝、怒るなかれ”って意味でしょうか?(仕事をするのにオフィスはいらない/牧草)

 ども、漂流する人生を送っているおじさん、たいちろ~です。
 一応これでもIT関係のお仕事をしております。この業界ってのは何故だか新しい言葉を作るのが好きなようでまあ、懲りずに次から次へと出てきます。
 ”ロングテール”のようなビジネスモデルとして定着したものもあれば(*1)、”Web 2.0”みたいなどこいったんや~~というものもあれば(*2)、”ステマ”みたいな”それって、ヤラセやサクラと違うん?!”みたいなイカガワシさ満載のモノもあります(*3)。今流行りの”クラウド”だって、いつ雲散霧消するかわかんないし(*4)。
 この中でも賛否両論あるのが”ノマド”。オフィスという物理的な場所にとらわれず仕事しましょうみたいな話です。
 ということで、この”ノマド”を扱った本”仕事をするのにオフィスはいらない”であります。

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 写真はたいちろ~さんの撮影。
 宮城県三本木で見かけた放牧状態のヤギです。

【本】仕事をするのにオフィスはいらない(佐々木俊尚 光文社新書)
 サブタイトルに”ノマドワーキングのすすめ”とあるように”ノマド=遊牧民的なビジネススタイル”を扱った本。
 本書ではノマドを”遊牧民がラクダという砂漠で最強の乗り物を駆り、オアシスからオアシスへと移動しながら生活しているように、狭苦しいオフィスを出て、さまざまな場所を移動しながら働いている人たちです”と言ってます(まえがきより)
【花】牧草
 家畜の飼育に使用される草本類のこと。イネ科のイタリアンライグラス(ネズミムギ)、オーチャードグラス(カモガヤ)、マメ科のアルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)やクローバーなど。
 条件にもよるそうですが、牛50頭を昼夜放牧すると20~27ヘクタールの放牧地が必要なんだそうで、これは東京ドーム4~5ケ分の土地が必要になります(*5)。
 遊牧民があっちこっち適当に移動してるようなイメージがありますが、実際には家族ごとに定期的に訪れる占有的牧地を持っていて、季節ごとに巡回するのが普通なんだそうです。

 で、本書を読んだ感想ですが、”私にゃ、ノマドワーキングはできないなぁ”ってとこでしょうか。
 当然のことながら、ノマドに向く仕事とそうでない仕事ってのはあるわけで、本書の例としてはコンピュータやWebの運用管理者、ライター、デザイナー、コンサルタントなどのフリーランス的なワークスタイルの仕事をあげています。今私がやってる仕事も社内のまとめごとやプランニングなんかなので、そういう意味ではできなくはないかと。今でもほとんどメールと電話、PCで資料作成だし。

 問題はノマドワーキングを実践する能力のほう。本書ではノマドワークスタイルの課題として

  ノマドワークスタイルは、時間をどう配分するか
  ノマドワークスタイルは、どこでどのようにして仕事をするのか
  ノマドワークスタイルは、同僚や仲間、家族からの連絡を、どう扱うのか
  ノマドワークスタイルは、仕事で必要な情報をどう収集するのか

をあげています。で、この課題を解決するには、下記の3つをコントロールすることだと言っています。

  ①アテンション(集中力、注意力)のコントロールをする
    ②情報をコントロールする
    ③仲間とのコラボレーション(連携、協調)をコントロールする

②と③はインフラに依存する部分も多いのでなんとかなりますが、問題は①。昔は休日出勤するのがめんどくさくて家に仕事を持って帰ったこともありますが(*6)、ほとんどできなかったですね、気が散って。かといって喫茶店でやろうとしてもコーヒー1杯で1時間も2時間もねばった日にゃ、貧乏くさい客だとして冷たい目で見られるだけだし。
 実際、在宅勤務なんかの話題も出るには出ますが、対象になる条件ってのはけっこう厳しいです。

 ま、1時間近く満員電車に詰め込まれて痛勤してる身としてはノマドっていいなとも思いますが、よく考えてみるとこれって大都市部の話で地方都市にいた時にはもっとゆったり通ってましたねぇ。無理にノマドで場所をいじるより、時差通勤とか時短みたいな”時間”を調整して、通勤電車でゆっくり本を読めるみたいにした方が有効って気もします。

 どうも、”ノマド”ってのが賛否両論になってるのは、ノマドな”生き方(ライフスタイル)”と”働き方(ワークスタイル)”がごっちゃになってるんじゃないかと。本書でも両方の話を扱っていて、注意深く読く切り分けてかないといけなそうです。
 上記の課題とコントロールはあくまでワークスタイルの話で、別にノマドをしようがしまいが有効なアドバイス。クラウドの使い方のテクニックなんかも役に立ちますし。

 問題はノマドな”生き方”のほう。職を失ってフリーランスになるしか選択肢のない”不慮の起業家(アクシデンタル・アントレプレナー)(*7)”。正社員だっていつリストラされるか分からない時代。積極的にノマド的な生き方する人もいる一方、ノマドな生き方をせざるをえない人もいます。
 でもノマドな生き方を成功させている人って、基本的にハイスペックな人が多いように思われます。コンサルタントやシステムエンジニアみたいな高度な専門家、高学歴(*8)、会社員としての経歴などなど。私自身を振り返ってみるとノマドな生き方をして成功する気がしません。
 ま、この本を読んでノマドな生き方を目指すのは勝手ですが、ぶっちゃけ会社員として成功するよりハードルが高いんじゃないかと思っちゃいます。

 話は飛びますが、ノマドは英語で書くと”nomad”、発音するとノーマッド(あるいはノウマッド)です。ノーマッドと聞いて思い出したのがアルフレッド・ベスターのSF小説”虎よ、虎よ!(*9)”。
 顔に虎の刺青をされた男ガリヴァー・フォイルの復讐の物語なんですが、この男の額の刺青が”N♂MAD”怒れる男っていう感じです。madは”怒って、無分別な、気のふれた、狂暴な”などの意味を持つ形容詞なので、”no mad”だと”怒っていない”ですが、なんとなく

  Not (be) mad! = 汝、怒るなかれ!

 って言われてるような気になります。
 就職氷河期でノマドになった人にしたらたまったもんじゃないでしょうが。

 ”仕事をするのにオフィスはいらない”は仕事の仕方のノウハウとしては役に立つ本。ただしノマドな生き方を目指すかどうかは要注意。あんまし無分別にならないようにね。遊牧民だって、行き当たりばったりで移動してるわけではないんだし・・・


《脚注》
(*1)”ロングテール”のようなビジネスモデルとして~
 商品の売り上げを多い順に並べると、売上が少ない商品が長い尻尾のようにず~っと続きます。この尻尾の部分が”ロングテール”で、ここを販売できれば売上増加になりますが、物理的に店舗の大きさの制限があるので多くは置けません。この制限をとっぱらったのがネット通販。最大の成功例が”amazon.com”です。
(*2)”Web 2.0”みたいな~
 ”Web 2.0”従来は情報は送り手(TVや新聞など)から受け手(視聴者、読者)へ一方的に流れるだけだったのがWebの登場により、送り手と受け手が流動化して誰も情報を発信できるようになった状態のこと。
 ことさらに”2.0”ってつけたことで2000年代の中ごろに流行しましたが、Webが登場した時点からできてたことのような気がするんですがねぇ。一度セミナを聞いたことがありますが、今までとどう違うんだかよく分かりませんでした。
(*3)”ステマ”みたいな”~
 ”ステマ”は”ステルスマーケティング(stealth marketing)”の略。消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること。”stealth”は隠密、こっそり行うことという意味で、ステルス戦闘機のアレです。
先日”ペニーオークション”というネット詐欺に絡んで芸能人がステマブログ(やってもいないオークションのことをブログに書く)したと問題になりました。
 ま、やってもいないことをやったって言うのは別にネットに限ったことじゃないと思うんですが・・・
(*4)今流行りの”クラウド”だって~
 ”クラウド(クラウドコンピューティング)”って、元々はコンピュータシステムがクラウド(雲)の向うにあって見えない状態のことを指してたんですが、最近は”オンプレミス型クラウド”という企業内に設置された=目の前にあるシステム使うものも出てきてます。売ってる立場で言うのはナンですが、何が何だか良くわかりません。
(*5)東京ドーム4~5ケ分の土地が必要になります
 東京ドームの建築面積は46,755㎡=4.7ヘクタール弱です。
(*6)家に仕事を持って帰ったこともありますが
 情報漏洩がうるさくなった昨今、今こんなことやったら会社から張り倒されます。
(*7)アクシデンタル・アントレプレナー(accidental entrepreneur)
 ”ステマ”もそうですが、こういったカタカナにしちゃうことでなんとなくカッコ良さげに言い換えるのに胡散臭さを感じるのは私だけでしょうか。
 非正規雇用労働者をフリーター(フリーランス・アルバイター)と呼んでなんとなくトレンドっぽくしちゃったのが、現在の中年非正規雇用問題の原因の一端でもあるような気がするんですが・・・
(*8)高学歴
 別に高学歴だから偉いというつもりはないですが、少なくとも人生の一時期において難関校で合格するだけの基礎能力(記憶力や理解力など)があったという点は評価すべきだと思います。
 ちなみに著者の佐々木俊尚は早稲田大学政治経済学部中退、毎日新聞社入社、月刊アスキー編集部からフリージャーナリストとけっこう華麗な経歴の持ち主です。
(*9)虎よ、虎よ!(アルフレッド・ベスター ハヤカワ文庫)
 寺田克也による新版の表紙ではわかりにくいですが、旧版の生頼範義のイラストではよくわかります。
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本好きなやつって、なんで必ず原作の方が面白いっていうんだろうね(ビブリア古書堂の事件手帖/今日の早川さん/紫陽花)

 ども、ビブリオマニア(愛書狂)のおじさん、たいちろ~です。
 TVで”ビブリア古書堂の事件手帖”が始まりました。いや~、原作を読んで舞台になっている北鎌倉まで聖地巡礼をしちゃったぐらいこの本を愛でております(*1)。
 主演の剛力彩芽がイメージ違うって賛否両論あったようですが、けっこう楽しみにしておりました。
 ということで、今回ご紹介するのは原作フリークのおぢさんが見たTV版”ビブリア古書堂の事件手帖”であります。

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 写真はたいちろ~さんの撮影。
 あじさい寺こと北鎌倉の”明月院”に咲くヒメアジサイです。

【本】ビブリア古書堂の事件手帖(三上延 メディアワークス文庫)
【TV】ビブリア古書堂の事件手帖(原作 三上延 フジテレビ)
 就職先の会社が倒産して就職浪人となった”五浦大輔(AKIRA)”は、亡くなった祖母の本に書いてあった夏目漱石のサインの鑑定を頼みに”ビブリア古書堂”を訪ねた。そこには古書については人見知りで超絶的な博識を持つ人見知りの美女”篠川栞子(剛力彩芽)”がいた・・・
 北鎌倉を舞台にした推理小説にして、ちょっと大人なボーイ・ミーツー・ガールの物語。
 剛力彩芽が主演で2013年1月よりフジテレビでドラマ化されました。
【本】今日の早川さん(COCO 早川書房)
 SFオタクの早川さん、ホラーマニアの帆掛さん、純文学読みの岩波さん、ラノベ好きの延流ちゃん、希覯本収集家の国生さん。本をこよなく愛するお嬢さんたちを描いた4コママンガ。詳しくはこちらをどうぞ。
【花】紫陽花(あじさい)
 アジサイ科アジサイ属の植物の総称。
 あじさいは花の咲き方で小さい花が球状に固まって咲く”テマリ咲き”と、周りに装飾花(花ではなく萼(がく))が咲く”ガク咲き”の大きく2系統あります。
 栞子さんがTV版でで漱石全集の”それから”だけが別に購入されたと推理した根拠の蔵書印(*2)はテマリ咲きのようです。


 で、結論から言いますと、決して悪くない出来上がりです。上記の紫陽花の蔵書印を始め栞子さんの推理や基本的なプロットはわりと原作に忠実だし、ステンドグラスを配した古書店の雰囲気、ややセピアっぽい映像も好みに合ってます。おっさん臭さ満載のせどり屋(*3)の志田(高橋克実)もいい味出してるし。エンディング・テーマに”ネバーエンディング・ストーリー(*4)”を持ってくるところなんて、本好きのマニア心をくすぐりますし。 

 まあ、無駄に設定を変えすぎてる感じはありますけど。
 せどり屋の志田はビブリア古書堂に居候してることになってますが、原作では橋の下に住むホームレス。確かにTV的にホームレスはまずいんかもしれませんが、第二話で志田の本を返しに行く小菅奈緒とのエピソードなんて川べりのほうが雰囲気あったと思うんだけどなぁ。栞子さんの妹が何故だか弟に変わっているし(*5)。

 で、話題になった剛力彩芽演じる栞子さんですが、まったく別モノ。

〔原作の栞子さん〕
 ・黒髪の長髪に透き通るような肌をした美人。
 ・近眼で、普段は眼鏡を着用。
 ・服の上からでも分かる巨乳
 ・五浦大輔よりも年上のお姉さんキャラ
 ・他人と目を合わせることもできない、人見知り。
  ただし、本が絡む話になるとスイッチが入って饒舌。

〔TV版の栞子さん〕
 ・ベリーショートでやや茶髪の美人。
 ・眼鏡はかけてない。
 ・服の上からでも分かる○乳(自主規制)
 ・五浦大輔よりも年下の見えるキャラ(実際、剛力彩芽は今年二十歳だし)
 ・おとなしく、ゆっくりとしたしゃべり方。時々早口。
  あんまり人見知りではない感じです

 まあ、剛力彩芽は元気美少女のキャラなので、スイッチ入った時はもっとはっちゃけたキャラに変身するぐらいの演出があってもよさそうなのにねぇ。


  本好きなやつって、なんで必ず原作の方が面白いっていうんだろうね

 これは”今日の早川さん”の中で本好きの早川さんが、本をあまり読まない友達から映画の話を振られた時に”映画より原作のほうがずっと面白い”と反論した時に、その友人が言った言葉。
 まあ、本好きってのは往々にしてTV化とか映画化とかされる前に原作を読んじゃってるケースが多く、自分なりの原作のイメージができあがってるのでそれと違うと”原作のほうが面白かった”って言っちゃうんですよね~~
 まあ、ビジュアルに関しては表紙のイラストなんかはあるものの(*6)、文字よりも映像化されたがほう圧倒的に情報量が多いので、原作の文字情報を脳内補完しちゃうんです。なので、映像化された瞬間に別のイメージが固定されちゃうので”う~ん、違和感あるなぁ”となっちゃうわけです。

 ”今日の早川さん”では、作者がこの発言に対して

  決して優越感からではなく、二粒だから当然二度美味しいという
  実りある方向で話をしたいのもですが・・・

 というツッコミをいれていますが、まさにそのとおりです。

 TV版の”ビブリア古書堂の事件手帖”は単体で見ても充分面白いですし、剛力彩芽も高橋克実もなかなか好演しています。で、本好きとしてはできれば原作も読んで欲しいな~~と思うのであります。


《脚注》
(*1)北鎌倉まで聖地巡礼をしちゃったぐらい~
 12年6月にこの本の舞台とあじさいを見に北鎌倉まで行っちゃいました。
 詳しくは「聖地巡礼 ”ビブリア古書堂”の近所に咲くあじさいを見に行きました」(前編後編)をご参照ください。
(*2)蔵書印
 本の所有者が捺印して所有を宣言するためのハンコ。センスの良い物は芸術的な価値があって、蔵書印のコレクションってのもあるようです。
(*3)せどり屋
 掘り出し物のある古本を転売して利ざやを稼ぐ人のこと。最近はBOOKOFFの半額セールの日にスマホとバーコードリーダー使って本買いまくっている人がいますが、どうもネットで転売しているんだそうです。
 せどり屋の世界もハイテク化されているようです。
(*4)ネバーエンディング・ストーリー
 元々は1985年に公開された映画”ネバーエンディング・ストーリー”(原作はミヒャエル・エンデの”はてしない物語”)のテーマソング。
 主人公のバスチアンがコレアンダー書店で見つけた不思議な本”ネバーエンディングストーリー”と出会い、本の世界を冒険するというお話。観たな~、昔。
(*5)栞子さんの妹が何故だか弟に変わっているし
 原作では文香さんという元気印の高校生。上記の小菅奈緒の友達という設定。後から出てくるエピソードで話をしてるのが出てきますが、どうするんだろう?
(*6)表紙のイラストなんかはあるものの
 実際にライトノベルなんかだと、表紙の萌え絵によって売上が左右されるんだとか。まあ、おぢさんが電車の中で読むにはちょっとナニなのですぐにカバーかけちゃいますが・・・

シュワちゃん版”トータル・リコール”のリメイクというより”ブレードランナー”思い出しちゃいました(トータル・リコール ファレル版/ブレードランナー/未来の車)

えっと、今回何の話をするんでしたっけのおぢさん、たいちろ~です。

 そうそう、前回の”トータル・リコール シュワちゃん版”に続きコリン・ファレル版のお話です。

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 写真は映画からの車のカット。
 上は”トータル・リコール ファレル版”、下は”ブレードランナー”より。


【DVD】トータル・リコール(主演 コリン・ファレル、 ソニー・ピクチャーズ)
 世界大戦により地上の大半は居住不可能となり、富裕層のブリテン連邦と貧困層はコロニーに居住する地球。ダグラス・クエイド(コリン・ファレル)は妻のローリーと平凡な生活を送る労働者だったが、見知らぬ女性と逃亡しようとする夢に悩まされる。ある日、記憶を売るというリコール社を訪れるが・・・
 アーノルド・シュワルツェネッガー主演で1990年に映画化されたもののリメイク版。原作はフィリップ・K・ディックの短編小説”追憶売ります”。
【DVD】ブレードランナー(主演 ハリソン・フォード、 ワーナー・ホーム・ビデオ)
 2019年、酸性雨が降りしきるロサンゼルス。
 強靭な肉体と高い知能を併せ持ち、外見からは人間と見分けが付かないアンドロイド=”レプリカント”が5体、人間を殺して逃亡。解体処分が決定したこの5体の処刑のため、警察組織に所属するレプリカント専門の賞金稼ぎ=”ブレードランナー”であるデッカード(ハリソン・フォード)が、単独追跡を開始するが・・・
 公開は1982年と30年以上前の映画ですが(*1)、傑作です。
 原作はフィリップ・K・ディックの小説”アンドロイドは電気羊の夢を見るか?”。
【乗り物】未来の車
 未来の車のイメージというと、車輪ではなく空中に浮いてるイメージがあります。
 トータル・リコール版のは道路にそって浮く仕様、ブレードランナー版は道路に関係なく飛んでいくんで小型飛行機といた方が良いでしょうが、フォームは完全に”車”です。”ブレードランナー”の舞台は2019年なのであと6年。道路交通法はどうなってるんでしょうか?


 で、コリン・ファレル版の”トータル・リコール”を観た感想ですが、シュワちゃん版”トータル・リコール”のリメイクというより、”ブレードランナー”のイメージじゃね?!

 ネタバレになりますが、ストーリー自体は舞台設定が火星とコロニー、政府との対立構造の違いとか、レジスタンスが普通の人間とミュータント(今なら作れんだろうなぁ)の違いとかいろいろありますが、”かりそめの記憶をインプットされたダグラス・クエイドの戦い”という点で所は同じ。録画されたメッセージをクエイドに送ったり、変装装置のシーンがあったり(*2)、敵のボス”マサイアス”とクエイド=ハウザーの関係とか、3つおっぱいのおねいさんの登場なんかも同じです。追跡用の通信装置が脳内のカプセルから手に埋め込まれた装置に変わったり、仮想空間を装っての対決のヒントが医者の汗から彼女の涙に変わったり、うまく前作をモディファイしてるシーンもあります。

 でも、全体のイメージって、やっぱり”ブレードランナー”なんだよな~~
 映画に出てくるクエイドの住むコロニーのイメージ。設定はオーストラリアですが、しんしんと雨が降る中に傘をさして歩く人々英語、中国語、ハングル語の看板が街にあふれ・・・ このシーンってまさに”ブレードランナー”のロサンゼルスのイメージなんですね。酸性雨の降る街に傘をさして歩く人々看板には日本語に中国語に英語。日本語を話すオヤジのいる屋台もあったりと(*3)オリエンタリズムあふれる街ってとこそっくりなんですが、原作者が同じとは言え(*4)やっぱりディストピアのイメージってこうなるんでしょうか?

 ガジェットなんかもそうで、たとえば映画に出てくる車。シュワちゃん版の流線型の車に対し、ブレードランナーもファレル版もやや丸みを帯びてて前輪部が前方へ突き出してるってのはデザインとしては同じ系列でしょうか?
 写真をよく見ると、ブレードランナーの事務所ビルって、トータル・リコールに出てくるザ・フォールのエレベーターに似てるし

 記憶の操作という意味ではブレードランナーにも、レプリカントを開発したタイレル博士の姪の記憶を与えられたレプリカント”レイチェル”という女性が出てきます。
 デッカードの部屋でレイチェルがピアノを引くシーンがあります。

  デッカード:ピアノが聞こえた
  レイチェル:私が弾いたの。習ったのは タイレルの姪かもしれない
  レイチェル:上手だったよ

 ”トータル・リコール”ピアノが弾けないはずのクエイドが見事に弾きこなし謎を解くシーンがあります。ピアノの上にハウザー(CG)の映像が現れて

  ハウザー:今、これを見ていたら君はかなりヤバい
       だが、ここへ来たなら俺の勘が当たった
       君の中にまだ俺が残っている

 こういったおしゃれな演出はシュワちゃん版にはなくて、むしろブレードランナーからのオマージュっぽいです。ま、筋肉ムキムキのシュワちゃんがピアノ弾くってのも違和感ありますけど。

 そもそも、”トータル・リコール”って映画は”記憶=過去って何?”ってある意味哲学的な命題を含んでるんですが、扱い方が違ってますね。
 まずはファレル版から。リコール社の技師がクエイドに装置の説明をするシーン。

  クエイド:現実そっくり?
  技師  :現実とは脳による”知覚”です。
       我々は視覚情報ではなく、脳に直接記憶させます。本物ですよ。
  クエイド:幻想は しょせん幻想だ
  技師  :そうですね、客観的には。でも、人の心は主観的です。正反対ですよ

 同じシーンのシュワちゃん版だとこうなります。

  クエイド:臨場感は?
  技師  :本物の記憶と同じです
  クエイド:ウソだろう?
  技師  :脳が本物と区別できないリアルな記憶です

シュワちゃん版はどちらかというと”臨場感”という効果を気にしているのに対し、ファレル版の方が”幻想”が主観と客観により異なると言った哲学的な会話になってます。
 これが”ブレードランナー”になるとこんな感じ。タイレル博士がかりそめの記憶を持つレプリカント”レイチェル”の状況をデッカードに説明する会話

  タイレル博士:感情が目覚めてきた。そのために何かいら立っている
         数年分の経験しかないからな
         過去を作って与えてやれば、感情も落ち着き制御も楽になる
  デッカード :過去、記憶のことか、
         (Memories.
          You’er talking about memoires)


”Memories”を”過去”と”記憶”で訳している翻訳が秀逸です。

 ”トータル・リコール”は、シュワちゃん版とファレル版を並べてみて、モトネタをニヤッとするのもいいですが、”ブレードランナー”も合わせて見るのも面白いかも


《脚注》
(*1)30年以上前の映画ですが
 本作と同じ1982年に公開された映画というとSF映画の名作”E.T.”、アニメでは”機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編”、青春映画の傑作、大林宣彦監督の”転校生”や、”鬼龍院花子の生涯”、”蒲田行進曲”など。
 シルヴェスター・スタローンが”ロッキー3”,”ランボー”に、アーノルド・シュワルツェネッガーが”コナン・ザ・グレート”に主演するなど肉体派の時代でもありました。(”ターミネーター”はちょっと遅れの1984年)
(*2)変装装置のシーンがあったり
 シュワちゃん版では物理的なマスクがファレル版では3Dコンピュータグラフィックスに変更されてます。詳しくは前回のシュワちゃん版でどうぞ。
(*3)日本語を話すオヤジのいる屋台もあったりと
 ちょっと気になったのは、”ブレードランナー”の日本語が”トータル・リコール”ではハングルに置き換わってること。日本に対する世界の評価が落ちてきてるんでしょうか?
(*4)原作者が同じとは言え
 3作とも原作はSF作家のフィリップ・K・ディック。
 映画を公開順に並べると”ブレードランナー”が1982年と一番先なのであながちそうでもないんでしょうが・・・

初めてマツコ・デラックス見た時、この映画思い出しちゃいました(トータル・リコール シュワちゃん版/マトリョーシカ人形)

 ども、最近物忘れが激しいおぢさん、たいちろ~です。
 この歳になると、人から”○○しましたよね?”とか言われて、”そ~だったっけ?”というのが増えてきます。特に自分にとって都合の悪い記憶は極端に消えますねぇ(*1)、誰かさんに記憶を上書きされているかのように。
 ま、そんなとこあるわきゃないんでしょうが、SFとなると話は別。ということで、今回ご紹介するのは映画”トータル・リコール”の前編、シュワちゃんバージョンです。


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 写真は楽天のRUINOKⅡより。


【DVD】トータル・リコール(主演 アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェネオン)
 ダグラス・クエイドは妻のローリーと平凡な生活を送る労働者だったが、行ったことのない火星の夢に悩まされる。ある日、記憶を売るというリコール社を訪れ”秘密諜報員として火星を旅する”経験をしようとするが・・・
 フィリップ・K・ディック(*2)の短編小説”追憶売ります”をアーノルド・シュワルツェネッガー主演で映画化。1990年公開。
 2012年にはコリン・ファレル主演でリメイクされました。
【雑貨】マトリョーシカ人形
 ロシアの民芸品で、胴体の部分を開けると小さい人形が中に入っていて、それをさらに開けるとまたさらに小さい人形が入っていて・・ という人形。
 ロシア特産だと思ってましたが、箱根細工の入れ子人形がもとになったという説もあるそうです。へぇ~。


 コリン・ファレル版の”トータル・リコール”のDVDも借りてきましたが、まずは温故知新ということで、シュワちゃん版から。
 実はこれ、かなり昔に見たんですが記憶があいまい。っていうか、けっこう複雑なんですね、話の内容が。ネタバレになりますが、ダグラス・クエイドは平凡な労働者をインプットされた人で、実はハウザーと呼ばれる男で事情により記憶を消された仮の姿だったことがわかります。で、本当は反乱分子の首領であるクワトーに接近するための体制側の秘密諜報員が正体と、記憶は三重に操作されてたりします。また、途中で”まだリコール社の記憶操作の途中だから戻ってこい”とかのエピソードがあったり、奥さんが突然襲い掛かるわ、味方だと思っていた男が実は体制側のエージェントだったり、ハウザーの正体を知らない工作員がマジで攻撃したりと、話が入れ子構造になっていて、まるでマトリョーシカ人形を見てるようです。だもんで、注意して見てないと、ストーリを追っかけられないし、現実感の喪失というか何を信じて良いものやらとクラっとしてきます。

 舞台が未来の地球と火星というSF映画ですが、SFXとしての建物や車なんかははさすがに昔のSF映画っぽいな~という感じ。まあ、20年以上前の映画ですから(*3)。むしろ見どころは特殊メイク(*5)のほうかも。火星の薄い大気の中に放り出されて、目ン玉飛び出し状態のシュワちゃんとか、ヌトヌトのミュータント首領のクワトーとかおっぱい3つのおネイさんとか。
 今でこそコンピューターグラフィスク全盛ですが、マイケル・ジャクソンの”スリラー(*4)”をはじめとして、特殊メイクが大ブレイクした時代がありまして、これもその一環かな。特に印象深かったのは、シュワちゃん演じるダグラス・クエイドがマーズポートで密入国しようとしてるシーン。シュワちゃんがでっかいおばさんに化けるんですが、この変装装置が故障。顔が歪んだかと思うと分割されて中からシュワちゃんの顔が!
 だいたい身長が公称188cm、ムキムキのシュワちゃんが女性に化けるって設定自体、かなりムリムリなんですが、インパクトあるんですねぇ~。映画のストーリーよりもこっちの方が記憶に残っていたらしく、マツコ・デラックスを最初に見た時、このシーンを思い出しちゃいました。

 パスポートをみせるおばさんと、その後中から現れるシュワちゃん。

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 どうも、2012年版を監督したレン・ワイズマンも同じなのか、コリン・ファレル版でもステーションでチェックを受けて”2週間”と答えてる太ったおばさんは同じ女優さんなんだそうです。

 なかなか簡単に要約できない映画ですが、シュワちゃん版とコリン・ファレル版並べてみても面白いかも。20年の間でSF映画の表現技法がいかに進化したかが良くわかります。

 ※コリン・ファレル版は次回にて


《脚注》
(*1)特に自分にとって都合の悪い記憶は極端に消えますねぇ
 先日、東京大学で脳研究している池谷裕二准教授の講演を聞いたんですが、人間というのは歳をとってもそんなに記憶力が落ちるものではないそうです。ただ、物事に興味をもたなくなると記憶されなくなるんだとか。気をつけましょう。
(*2)フィリップ・K・ディック
 1960~80年代に圧倒的な支持を受けたSF作家。映画化された作品も多く、ハリソン・フォード主演の”ブレードランナー”(原題は ”アンドロイドは電気羊の夢を見るるか?”)、トム・クルーズ主演の”マイノリティ・リポート”など。
(*3)20年以上前の映画ですから
 本作と同じ1990に公開された映画というと、恋愛映画の名作”ゴースト/ニューヨークの幻”、”プリティ・ウーマン”、ジョニー・ディップの出世作”シザーハンズ”、冷戦構造まっただ中の”レッド・オクトーバーを追え!”など。シリーズ物だと”バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3”、”ダイ・ハード2”、”グレムリン2”などなど。 時代だなぁ。
(*4)スリラー
 1982年のアルバム”スリラー”に納められた楽曲のシングルカット。ホラー映画風のショートフィルムが大ヒットして、ダンスといえばこれみたいな時期がありました。
 ご覧になりたい方はYouTubeでどうぞ。

おひとり様のためのチョ~いいかげん七草粥の作り方(ひだまりスケッチ/春の七草)

 ども、自炊派単身赴任のおぢさん、たいちろ~です。
 先日、”ひだまりスケッチ”を読んでましたら、天真爛漫ハラぺこ少女の宮子さんが
  七草粥が食べたい!!
とのご発言。七草って何? と聞くと

  

たんぽぽ、水菜、クローバー、ほうれんそう、春菊、小松菜、バジル(*1)

とのこと。そんなわけないやろ~とツッコミながらも、七草粥なんて久しく食べてないな~、でも、時間かかりそうだし、面倒くさそうと思いながらも、スーパーで七草セットが安売りしてたので(*2)、作ってみました。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。舎人公園に植わっていた春の七草です。


【本】ひだまりスケッチ(蒼樹うめ、芳文社)
 やまぶき高校美術科に通う2年生”ゆの”は学校が家から遠いため”ひだまり荘”に下宿することに。そこには同級生の宮子さん、先輩の小説家沙英さん、料理上手のヒロさんがいました。内気ななずなさん、パソコン少女の乃莉さんが後輩として入学してきて・・・
 女子高生6人組みのほのぼの下宿ライフを描いた4コママンガ。
 七草粥のエピソードは7巻に収録。
【花】春の七草
 七草は1月7日の朝に、7種の野菜が入った粥を食べる風習のこと。
 正しい七種は以下のとおり
  せり(芹)   :セリ科
  なずな(薺)  :ぺんぺん草。アブラナ科
  ごぎょう(御形):ハハコグサ(母子草)。キク科
  はこべら(繁縷):ハコベ。ナデシコ科
  ほとけのざ(仏の座):コオニタビラコ(小鬼田平子)。キク科
  すずな(菘)  :カブ(蕪)。アブラナ科
  すずしろ(蘿蔔):ダイコン(大根)。アブラナ科
 ぜんぶ漢字で書けたらすごいです。


さて、用意する材料から(1人分)
  ①お米    :ひとりなら1/2~2/3カップ。おひとり様なら絶対無洗米
  ②七草パック :1ケ。すずな(蕪)とすずしろ(大根)以外は区別つきません。
          おひとり様が植物図鑑(*3)するわけでもないので気にしないこと
  ③鶏がらスープ:風味付け。かつおだしでもいいみたい。なきゃ塩だけでも可。
  ④昆布の佃煮 :私は山椒入りにしましたが、香り付けにもなって良かです。
 ネットで見てると、まあ、塩味であればなんでもいいみたい。
 あと100均で売ってる土鍋があれば、鍋兼用なので楽チンです。

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※写真はスーパーで売っていた七草パック

 レシピですが、特におひとり様であればこんな感じです。
お米の準備
 玄関開けたら、着替える前に土鍋にお米とお水を入れます。水の量は食べたい量ぐらい。だいたいお粥なんてお米の量にかかわらず水の量まで膨らむのであまり気にしないこと。私の場合は土鍋のふたを置く淵の下ぐらいまで入れました。
七草の準備
 着替え終わったら、別の小鍋にお湯を沸かします。
 お湯が沸く間に七草の準備。すずな(蕪)は葉を落として皮をむいていちょう切り。薄めのほうが火が早く通ります。葉も食べられるのでとっときましょう。大根は輪切り、以外で根のついてるものは切り落とし(食べられるのかなぁ)。あとは軽く水洗い。
七草をゆでる
 そうこうしている間にお湯が沸くので、野菜を茹でます。
 まずはすずなから。柔らかくなってきたら残りの野菜をいれてざるにあけます。
 ざるにあけで、すずなをお茶碗に移ます。残りは軽く水を絞ってざく切りにしてお茶碗に。
お米を煮る
 土鍋を蓋をせずにそのまま火にかけます。お米はだいたい30~1時間ぐらい水に浸しておくといいそうですが、だいたい③までやってりゃ30分ぐらいたってます。
 お湯が沸騰したら、弱火にしてそのままぐるぐつ、重湯状になるまで火を通します。待ってる間、暇だったらビールでも飲んでましょう。
 硬さはお好みしだい。別に病人に食べさせるわけではないので、柔らかさにこだわる必要はないです。だいたい、お米なんつ~のは芯がなければ美味しく食べられるモンですし、おおむね30分ぐらいみときゃ大丈夫です。その間に子鍋、ザル、包丁などを洗っとけば後片付けが楽。昆布の佃煮は小皿に出しときましょう。
 お湯が少ないようなら足してください。焦げ付かせると匂いが悪くなるし、鍋洗いが大変になります。
味付け
 お粥ができたら、鶏がらスープなどで味付け(袋に適量書いてますので水加減にあわせて)。昆布の佃煮から塩味が出ますので、薄味でも大丈夫です。
 七草より先に味付けをするのは、味付けでまぜるので見た目が悪くなるから。
仕上げ
 味がきまったら、七草をお粥の上にトッピングしてできあがり。
 お粥が熱いので、七草が冷めてるとか気にしなくても大丈夫。火加減とかにもよりますが、大体ここまで1時間ちょっとぐらい。思ってたより楽勝で完成です

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※写真は出来上がりの七草粥

 食べる時は土鍋から先ほど使ったお茶碗によそって、昆布の佃煮をトッピングします。別に土鍋からそのまま食べてもいいですが、さすがに土鍋から直接ってのはおひとり様とはいえ品がないですし、佃煮を入れると茶色くなるので見た目もあんまし良くないです。

 おひとり様料理のコツはオーバーラップオペレーション洗い物を少なくすること。
 お米を浸している間に七草の準備をするとかしていると早くできるし、土鍋を使うと洗い物が減るとか。あとは味付けにそんなにこだわんないことでしょうか。別に”まずい”とか文句を言う人がいるわけでもないですし(*4)、塩味が薄ければ食べる時に足せばいいだけの話です。
 ま、これでもめんどくさいようでしたら、お米の代わりに冷凍ご飯をチンしてお粥になったら七草をそのままぶち込むって手もありますが・・・

 七草粥は、ゆのさんいわく(*5)

  

お正月の食べ過ぎをリセットするためのごはんだしね♪

 と言っているように、胃を休めるための食べ物。あんましごたごたするよりシンプルに作っても大丈夫なご飯であります。ぜひお試しのほどを。


《脚注》
(*1)たんぽぽ、水菜、クローバー、ほうれんそう、春菊、小松菜、バジル
 調べてみたところ、たんぽぽもクローバーも食用にはなるとのこと。西洋たんぽぽの葉はサラダに根はコーヒーの代用に、クローバーは茹でればいいそうです。
 そういえば、レイ・ブラッドベリの小説に”たんぽぽのお酒”ってのがありますが、飲んでみたいなぁ。
(*2)スーパーで七草セットが安売りしてたので
 1月7日朝というピンポイントな食材なので、7日の19時過ぎにスーパーに行くと半額の100円程度。まあ、すずな(蕪)とすずしろ(大根)以外は日持ちする食材でもないしなぁ。
(*3)植物図鑑(有川浩 幻冬舎)
 お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。噛みません。躾のできた良い子です――。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。(amazon.comより)
 有川浩の”道草”恋愛小説詳しくはこちらをどうぞ。
(*4)別に”まずい”とか文句を言う人が~
 というか、”美味しい!”と言ってくれる人がいないことのほうが問題なんですが・・・
(*5)七草粥は、ゆのさんいわく
 そのせいか、料理上手のヒロさんではなく、お願いされてゆのさんが作っています。
 どうも、ヒロさんはお正月食べ過ぎたようです。

目指せ、偏屈ぢぢい道!!(海賊とよばれた男/タンカー)

 ども、偏屈ぢぢいにあこがれるおぢさん、たいちろ~です。
 年末の衆議院総選挙も終わり、安部新政権がど~したこ~したってニュースが出始めいている今日この頃です。
 まあ、危機突破内閣とか民主党の経済政策の見直しとか好きなこと言ってますが、別に危機そのものが民主党の責任だけってわけでもなかろうになぁと偏屈な思いで聞いております(*1)。
 で、気になるのが原発政策。長期戦になりそうですが、なんだかなぁ。エネルギー政策って、国家経済と密接に結びついてるってのに、原発を一斉停止させたり、活断層がどうしたとか、やること自体が悪いとはいいませんが、目的設定がどうなっているのかなぁと感じちゃいます
 やっぱり、この手の話ってのは先読みのできる偏屈なヤツがいないとだめなのかなぁと思いつつ、今回ご紹介するのは石油政策に異議を唱え続けた男の話”海賊とよばれた男”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。
 川崎港のマリエンから見た東燃ゼネラル石油のタンカー”GASSAN(月山)


【本】海賊とよばれた男(百田尚樹、講談社)
「20世紀の産業を興し、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。その石油を武器に変えて世界と闘った男とは(内容紹介より)
 出光興産の創業者”出光佐三”(作中では国岡商店の店主”国岡鐵造(くにおかてつぞう))をモデルにした歴史経済小説。
【乗り物】タンカー
 上記の”GASSAN”はVLCC(*2)と呼ばれる大型原油タンカー。載荷重量 30万8200トン、全長333mと東京タワーに匹敵する世界最大クラスのタンカーです(*3)
 本書に出てくる終戦後に建造された”日章丸(2代目)”が、1万8000トンクラスで当時の世界最大クラスですから、いかにタンカーが大型化したかがわかります。


 さて、本書の中の国岡鐵造のお言葉。

  本来、日本人は『和』を何よりも尊ぶ民族です。
  先の戦争(注 第二次世界大戦)では、不幸な戦いが起きましたが、
  これからは日本とアメリカが互いに手を取り合って生きていきましょう。

 この文章が出てきた時に”お前が言うか!”と思わず突っ込んじゃいました。ここだけ読むと聖徳太子もかくやという人物のようですが、とんでもない。この国岡鐵造という人物は、政府から、セブン・シスターズ(*4)から石油連盟からとまわりのほとんどの勢力にケンカを売りまくったぢぢいです。
 まあ、よく言うと”筋の通らん話にはとことん抵抗する明治の漢”ってとこでしょうか。
 石油小売地区の区分けに逆らって海上で石油を売るから始まって、冤罪で公職追放になるところをGHQに堂々と文句を言いに行って撤回させるわ、石油の統制経済政策にまっこうから反対するわ、戦後の日本の石油産業を牛耳ろうとするセブン・シスターズと戦うわ、英国の裏をかいてイランから石油を運ぶわとなんでもやる人。まあ、利権や既得権益がらみで筋の通らんことをやる人や、近視眼的な利益に振り回されている人には煙たい存在なわけで、いろいろ妨害をするワケです。

 ただ、こういった人は敵も多いかわりに強烈な味方も現れていて、このへんの運命のめぐりあわせってのがまた面白いんですね。もっとも、当時のGHQをして”サムライ”と言わしめる肝の据わりかたがあってこそでしょうが。この手の人物って”思いっきり偉くなるか、途中で刺されるか”みたいなスリリングなドラマがあるんで、読んでても面白いです。偉くなれば立志伝中の人物だし、失敗すれば単なる”偏屈なぢぢい”と言われるだけだしみたいな。

 昨今の世の中を見ると、こういう”偏屈なぢぢい”って見かけなくなりましたね。というか、松下幸之助や本田宗一郎、ソニーの井深大と盛田昭夫みたいなユニークな経営者が少なくなったというか。戦後起業して大企業を興した経営者って、信念と危機に対する一発逆転のドラマがあったりと面白いんですが、最近は伝記を読んでみたいと思う人がいないですねぇ。せいぜい、孫正義ぐらいでしょうか。成熟期に入った時代のせいといえばそれまでなんですが、アメリカにはスティーブ・ジョブスとか、ビル・ゲイツみたいなのがいるわけで、あながちそれだけでもなさそう。こういう人達って、多かれ少なかれ(大概は多いですが)”偏屈”なところがあって、それを評価されるかどうかが成功か否かの分かれ道みたいなとこを感じます(それだけではないんでしょうが)。

 ”国岡鐵造”という人はこの偏屈さのよって立つどころが”国家の繁栄”であり”社員”でありするようです。なので、上記の『和』っていうのが普通の人と範囲が違うんでしょうね。普通の人だと仲間内で仲良くみたいに考えちゃったり、”長いものにはまかれてしまえ 泣く子と資本家にゃ勝たれない♪(*5)”とあきらめちゃったり。
 国岡鐵造にとって、エネルギー(石油)ってのが経済の根幹だという世界認識と、自分の心の中にある『和』が世界レベルの捉え方なので、セブン・シスターズや統制経済はその『和』を乱す存在だから徹底的に戦う。だからこそ、たとえそれが偏屈に見えても”やるときゃ、やるぜ!”みたいなぢぢい道を通せたんじゃないでしょうかねぇ。

 ”海賊とよばれた男”は前半(戦前)は歴史小説、後半(戦後)は経済小説として面白い本です。ご一読のほどを。


《脚注》
(*1)民主党の責任だけってわけでもなかろうになぁ
 現状の経済危機って、自民党政権時代の問題が噴出したって感じもせんでもないですがねぇ。かといって民主党の対応が良かったってことも言いませんが。
(*2)VLCC
 VLCCは積載重量20~30万トンクラスの大型タンカーのクラス。”Very Large Crude Oil Carrier”の略。”Very Large”は半導体のVLSI (Very Large Scale Integration) と同じく、”たいへん大型の”、Crude”は形容詞で”未完成の、天然のままの、未加工の”で、”crude oil”で原油という意味になります。
 センター試験の役に立ちそうですか?
(*3)世界最大クラスのタンカーです
 ”VLCC”の上に30万トン以上の”ULCC(Ultra Large Crude Oil Carrier)”と言うクラスがありますが、現在はこのクラスのタンカーはほとんどないんだとか。主な理由はでか過ぎて、マラッカ・シンガポール海峡が通れないから。過ぎたるは及ばざるが如しの例です。
(*4)セブン・シスターズ(Seven Sisters)
 第二次世界大戦後~1960年代にほぼ市場を独占した国際石油資本7社のこと。
なぜか”七人の姉妹”ではなく”七人の魔女”と訳されます
 ちなみに北欧神話に出てくる”3人の魔女たち(Three Weird Sisters)”のウルズ、ヴェルザンディ、スクルド女神さまです、はい。
(*5)長いものにはまかれてしまえ 
 詞 亞蝉坊・高田渡、曲 高田渡の”あきらめ節”より。
 全曲はこちらでどうぞ。名曲です。

お風呂の文化ってのは古今東西おんなじようなモンみたいです(テルマエ・ロマエ/入浴の注意)

 あけましておめでとうございます、たいちろ~です。
 昨日は1月2日。1月2日は初風呂(初湯)の日。家風呂当たり前の世の中ですが、私の子供のころはお風呂と言えば銭湯。で、正月の2日は朝から銭湯が開いていて必ず行ったモンでした。
 ここ数年は仙台の秋保温泉にある旅館”緑水亭(*1)”の日帰り温泉に行ってます。理由は緑水亭が1月1~3日にロビーで”幸せ気分のコンサート”(無料)というのをやってまして、音楽を聴きながらまったりできるからです。
 まあ、”お風呂でまったり”というのは日本には限らないことのようで、今回ご紹介するのはそんなお風呂ネタ”テルマエ・ロマエ”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。仙台作並温泉”一の坊(*2)”で見つけた入浴の注意。
 なぜか、登場人物がローマ人?!(クリックすると拡大して見れます)


【本】テルマエ・ロマエ(ヤマザキマリ、エンターブレイン)
【DVD】テルマエ・ロマエ(原作 ヤマザキマリ、監督 武内英樹、東宝)
 古代ローマのお風呂建築技師のルシウス・モデストゥスは悩んでいた。新しいお風呂(テルマエ)を作るにはどうすれば良いか? そんな彼がお風呂で溺れてしまう。気がついたのは現代日本(平たい顔族)のお風呂場。彼はここで見た物をローマのお風呂に反映させていく。
 やがて、漫画家志望で温泉旅館の娘”山越真実”と出会い、間違った方向に流れだした歴史を修正するために奮戦し始める(映画版あらすじ)
 2012年に阿部寛、上戸彩が主演で映画化。前半は勘違いルシウスの苦悩が笑える、後半は古代ローマの歴史?を描いたスペクタクル・バスロマン(*3)の映画です。


 さて、入浴の注意というと①服は脱いで入る、②湯船に入る前に汚れを落とす、③湯船にタオルを入れない、④浴室では走らない、⑤洗濯はしない、⑥湯船で体を洗わない などなど。上記の写真では、これが日本語、英語、中国語、ハングル語で書いてます。
 で、なんでこの絵の人物がローマ人かというと、これのオリジナルがテルマエ・ロマエに登場してました。いや~、映画見るまで知りませんでした。
 下が映画の中に登場する入浴の禁止事項の看板。絵の作者は映画版ヒロインで漫画化志望の山越真実さん(演じているのは上戸彩)。ちゃんと6種類揃っています(クリックすると拡大で見る事が出来ます)。それぞれアイコンになっていて、説明文はないですが、ちゃんと意味は通じているんでしょうね

Terumae121

 しかし、②、③、⑥はお湯を汚さないようにってのはわかるし、④は危険だからってので理解できますが、”服は脱いで入る”ってのは何なんでしょうか? こういう注意書きがあるってのは、服を着て風呂に入る人がいるからでしょうけど、風呂はまっぱでというのは日本人の文化でしょうかねぇ。それに”洗濯はしない”と言われても、昭和のおばちゃんじゃあるまいし(*4)、今時、そんな奴はいね~よと突っ込んでしまいそうです。

 ところでよくよく考えてみると、映画版では古代ローマ人の間で言葉(ラテン語)でコミュニケーションできてる平たい顔族(現代日本人)って、山越真実さんだけなんですね。あと同じくタイムスリップしたおっちゃんたちがしゃべれるとは思えないんで。ということは、けっこうわいわい騒ぎ合ってる人達って、言葉とか関係なくお友達になってる。でも、確かにお風呂ってそんな雰囲気ありますよねぇ。私も時々近所の銭湯に行きますが、ぜんぜん知らない近所のじ~さま方と世間話してるし。

 話は飛びますが、有名な草津温泉の”草津節”

  草津よいとこ 一度はおいで ア ドッコイショ
  お湯の中にも コーリャ 花が咲くヨ チョイナ チョイナ

実は草津温泉のパンフレットにこのドイツ語版ってのがのってます(訳は草津温泉を世界に紹介したベルツ博士

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 ”チョイナ、チョイナ”が日本語まんまというのが笑えます。まあ、訳せと言われても困るんでしょうが・・・

 まあ、お風呂ってのは体を治し、英気を養い、リラックスさせるってのは万国共通のようです。映画の中でもローマに勝利をもたらしたのは”お風呂”ってことになってますし。
 まあ、お風呂の中でケンカする奴ってのもそうそういないわけで、世の中お風呂だらけなら世界も平和なんだろうなぁ。竹島や尖閣あたりに温泉作って、ひと風呂浴びながら首脳会談でもやれば、あんなに角突きあわせずうまくやっていけそうな気もするんですが・・・ まあ、そんな初夢ということで。

 ”テルマエ・ロマエ”は、原作の漫画も映画も肩ひじ張らずに見れる娯楽作品。
 ひと風呂浴びに行くのにはおススメです。

〔おまけ〕
Photo
 緑水亭の”幸せ気分のコンサート”の様子。
 今年の演目は”メヌエット(アルルの女)”、”君の瞳に恋してる”、”花は咲く”、”凱旋行進曲(アイーダ)”、”ディズニー ファンティリュージョン”とかでした。


《脚注》
(*1)緑水亭
 ”篝火(かがりび)の湯”として秋保温泉では有名な旅館。でっかい露天風呂があります。
 ここの若女将は武蔵野音楽大学ピアノ専攻卒業でピアノ講師をしていたというというなかなか異色の経歴の持ち主で、ロビーコンサートを始めたのもこの方だとか。
 ちなみに13年度のコンサートの開演は昼の部1月1~3日(13:30~)、夜の部1~2日(20:30~)でした。
(*2)一の坊
 仙台の作並温泉にある名門旅館。川沿いにある露天風呂がお気に入りで、通常はこちらにもよく行ってます。
(*3)スペクタクル・バスロマン
 ”バスロマン”はアース製薬の入浴剤のブランド。かつては、細川ふみえ藤原紀香がCMがしてました(入浴剤のCMに男を出すんじゃない!)。
 書きながら思ったんですが、なんでこのフレーズでコラボしなったんかなぁ。やっぱし温泉に入浴剤ぶち込んでた事件の影響でしょうか?
(*4)昭和のおばちゃんじゃあるまいし・・・
 今や全自動洗濯機に給湯機が当たり前ですが、昔は水に洗濯板(死語?)で洗ってました。なので、ふんだんにお湯が使える銭湯で洗濯してたおばちゃんていたような・・・

”「寒いね」と話しかければ「寒いね」と 答える人のいるリア充”かな?(サラダ記念日/とれたての短歌です/お正月のリース)

 あけましておめでとうございます、たいちろ~です。
 本年もよろしくお願いいたします。
 正月早々ブログを書いてます。年末はせっせと年賀状書いてました。
 私んちの年賀状はデザインと写真を奥様が担当、文章と住所録のメンテナンスを私が担当と、分業体制で作成をしております。
 50歳を超えてくると、年賀状が時候の挨拶と言うより知人の生死確認の様相を呈してきまして、まあ、pingを打っているようなモンです(*1)。
 今のメールやSNSに慣れてる人から見れば、数日かかるコミュニケーションなんてなんとのんびりと思うかもしれませんが、ちっと前まではこれが当たり前なんだったんだよ~~
 ということで、今回ご紹介するのはちょっと前のコミュニケーションツール”お手紙”の話を俵万智の短歌からであります。


2013
 写真は奥様の作成&撮影。今年(2013年度)の年賀状に使ったお正月リースです。


【本】サラダ記念日(俵万智、河出書房新社)
 一世を風靡した俵万智の第一短歌集。俵万智の第1歌集。1987年の発行ともう四半世紀になるんですねぇ。

  「この味がいいね」と君が言ったから 七月六日はサラダ記念日
  「嫁さんになれよ」だなんて カンチューハイ二本で言ってしまっていいの

は当時の若い人に大流行しました。
【本】とれたての 短歌です(短歌 俵万智、写真 浅井慎平、角川書店)
 俵万智の短歌と写真家浅井慎平とのコラボレーション。発行は1987年(原本は”月間カドカワ”に連載)。
【花】奥様作成のリース
 奥様は仙台市でフラワークラフト作家というものをやっておりまして、クリスマスなどに使うリースを作って販売したり、教えたりするお仕事をしています。
 写真はお正月に使うしめ縄をイメージした和のリース。ここ何年か、私んちの年賀状はこのシリーズになってます。
 詳しくは奥様ブログフラワークラフト作家”Ann”のひとりごとをどうぞ。


 さて、昨今の電子メールやfacebook、LINEと違い(*2)、手紙が届くには数日の時間がかかります。まあ、このまったりした時間感覚ってのも良いようで

  書き終えて 切手を貼ればたちまちに 返事を待って時流れ出す
                    (サラダ記念日)

  手紙には 愛あふれたりその愛は 消印の日のそのときの愛

                    (サラダ記念日)

と、待っている間の期待感や不安感みたいなのがありましたね。片道数日の手紙のやりとりって往復だと約1週間ぐらい。この時代だから電話はありましたが、この短歌の詠まれた1980年代後半ってのはまだ家電の時代(*3)。恋人からの電話を親に聞かれないかとか、長電話はお金がかかるとか気にしないといけなかったんですね。だから手紙のやりとりなんかもありです。今や携帯電話でメールだから、若い人はあんまり感じないかもしれませんが、当時はこの短歌もリアリティあったんですよね。

 今年も年賀状をたくさんいただきましたが、ほとんどパソコンで作成されたもの。昭和の時代だと版画を作ったり、プリントゴッコ(*4)したりした人もいましたが、今では皆無ですねぇ・・・
 昭和の時代だと”活字だけでは温かみがない”とかなんとか言われてて、宛先さえ手書きをしてましたが、今時そんなこと言う人はいません。

  ワープロの文字にて届く「悪いね」は 気持ちよさそうにあやまっている
                    (とれたての 短歌です)

  ワープロの文字美しき春の夜 「酔っています」とかかれておりぬ
                    (とれたての 短歌です)

ワープロソフトではなく”ワープロ”ですよ、ええ(*5)。ちょうどワープロがパーソナルユースで手が届くようになった時代の話です。
 今では、パソコンにしろスマホにしろフォントが当然になってますが、こういった活字にも独特の感性があったんですね。
 とはいっても手書きってやっぱ、温かさがあると感じちゃうのはおぢさん世代なんでしょうか。年賀状に何か一言書き添えてくれている人も多いですが、こういうのに喜ぶのって古い感覚なんでしょうか・・・

 あと、年賀状に増えたのが写真付き。奥様やお子さんたちの写真がついてると”へぇ~、あんなに小さかった子がもう大学生!?”みたいな驚きがあります。以前は写真付きとなるとフジカラーのお世話になってましたが(*6)、今ではパソコンで簡単に作れちゃいます。まあ、その分昔あったのが旅先からの絵葉書。

  絵葉書のわさび畑を見ていれば つんとあなたに会いたい心 
                    (とれたての 短歌です)

 今なら、写メとってメールで送ってOKなんでしょうが、今の若い人も絵葉書なんて送るんでしょうか?

 なんで正月から四半世紀も前の”サラダ記念日”引っ張り出して来て、ぢぢいの昔話みたいなのをしてるかというと、先日娘と今風なコミュニケーションみたいな話をしてた時に、

 「寒いね」と話しかければ「寒いね」と 答える人のいるあたたかさ
                    (サラダ記念日)

って、SNS時代のリア充だよね~~ってのが出てきたから。
 ショートメールやツイッターみたいな短い言葉と”あたたかさ”みたいなリア充が両立したらいいねみたいな内容です。
 ”もともと短歌って洗練されたツイッターみたいなもんだったりして?!”にも書いたんですが、元々、短歌って昔の人のツイッターみたいな、短い文章の中にいろんな思いを詰め込んだような文学今の時代にマッチしてるのかもしれません。

 ということで、本年もよろしくお願いいたします!

《脚注》
(*1)pingを打っているようなモンです
 コンッピュータ用語。簡単に言うとネットワークがつながっているかどうかを確認するようなもんだと思って下さい。
 映画やマンガに出てくる潜水艦が自分側から音波(ping)を出して相手を探る(アクティブソナー)ことに由来するんだとか。
(*2)電子メールやfacebook、LINEと違い
 若い人だとたっつーまに返事が来るのは当たり前みたいですが、おぢさん世代だと返事に数日かかことも。まあ、メディアのせいだけではなさそうですが・・・
(*3)1980年代後半ってのはまだ家電の時代
 携帯電話が急速に普及しだしたのは1990年代の後半で、このころはまだ有線電話が1家に一台、しかも距離と時間による従量課金の時代でした。

  百円で一分話せぬ距離にいる この青空が見えないと言う 
                        (とれたての短歌です)
(*4)プリントゴッコ
 理想科学工業が販売していた家庭用の小型印刷器。簡単な操作で多色刷りの葉書が印刷できるということで、一時期は年賀状といえばこれでした。
 2008年に本体の販売を終了、2012年12月28日でインク、フラッシュランプなどの消耗品の販売も終了。テクノロジーの発展とともにその歴史的使命を終えた商品の代表であります。
(*5)ワープロソフトではなく”ワープロ”ですよ、ええ。
 当時はまだ個人が使うには”ワードブロセッサ”という専用機の時代。でも、当時個人向けに販売されていた富士通の”OASYS Lite”(1984年)が22万円、シャープの”ミニ書院”(1984年)が33万円、NECの”文豪ミニ”(1985年)が20万円ぐらいとまだまだ高値の花。
 パソコンをワープロとして使うためには第一水準漢字ROMボードというハードが必要な時代でした。
(*6)フジカラーのお世話になってましたが
 写真入り年賀状と言えば、フジカラーのお店に写真を持ってって作るのが定番。ただ、けっこういいお値段がかかっていたので枚数出せないのが難点。綺麗に作るんだったら今でもこっちのがいいんですけど。

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