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2012年10月7日 - 2012年10月13日

わたしもきっと、瓜野くんとつきあっててそう思ってた。この子、他愛ないって(秋限定栗きんとん事件/栗)

 ども、天津甘栗をつまみに酒を呑むおぢさん、たいちろ~です。
 会社で3連休にどこに行くかという話題になりました。で、同僚の女性は”栗拾いに行く”とのこと。すると、別の同僚の女性がすかさずこんなツッコミを。

料理もできないのに、拾ってきた栗をどうするつもり?!

 そう、栗拾いに行くといった女性は”料理はハサミでするものだ!”と豪語する家事には残念な人です。栗の皮むき器をネットで買ったから大丈夫(*1)と言ってましたが、間違っても栗きんとんやマロングラッセなんか作んないだろうな~~~(*2)
 ということで、今回ご紹介するのは栗きんとんの出てくる話”秋限定栗きんとん事件”であります。


8250711
写真はたいちろ~さんの撮影。近所の公園に落ちていた栗です。


【本】秋限定栗きんとん事件(米澤 穂信 創元推理文庫)
 新聞部の瓜野君は学校新聞”月報船戸”をみんなにもっと読んでもらえるようにと学外で発生した連続放火事件のナゾを記事にする。小市民を目指す小鳩常悟朗君は、元互恵関係にあった小佐内ゆきさんがこの事件に関係しているんじゃないかと心配になり・・・
 米澤穂信による”小市民シリーズ”の第三作。
【花】
 ブナ科クリ属の木。とげとげのある皮の中にさらに鬼皮に包まれた実があるのが特徴。縄文時代人がすでに主食として栽培されていたそうです。
 栗の花の香りはヒトの精液の臭いに似てますが、これは花に”スペルミン”を含むため。しかし、このネーミングセンスは何なんだ?!


 ”秋限定栗きんとん事件”には何人かキーとなる登場人物がいます。それぞれに特徴のある人たちですが、これがなかなか秀逸なキャラクター設定。

[小鳩常悟朗]
 本編の主人公にして語り手。属性は”狐”
 卓越した推理力を持ちながら、中学生の時にその能力で痛い目にあったトラウマから”小市民”を目指す高校生。
 でも、結局事件のナゾを解いちゃうという優秀な人。

[仲丸十希子]
 小鳩常悟朗の恋人。常悟朗いわく”気立てのいい子”だが、二股かけるなどちょっとズルイ側面も。属性は”普通の人”
 一年近くつきあっても常悟朗の本気を引き出せず、”きみも最低だった”の言葉を残して破局。

[堂島健吾]
 常悟朗の友人(というか協力者)にして新聞部部長(後半で引退)。属性は”人格者”
 リーダーシップといい行動力といい、本書の中ではもっとも頼れる人ですが、物語の主人公にはなれないんだろうなぁ、まともすぎて。

[小佐内ゆき]
 本編のもう一人の主人公。小学生と間違えられるような小柄でかわいいスイーツ好きな高校性ですが、その属性は”復讐者”
 自分を小市民に変えるために瓜野君と付き合うが失敗。協力者から一変、復讐者に。

[瓜野高彦]
 本編の表の主人公。情熱と行動力にかけては本編随一だが推理力はいまいち。
 属性は常悟朗いわく”糠に釘”。上昇志向が強いのに実力が伴わないタイプなのが彼の不幸の根源です。

 まあ、常悟朗とゆきってのが天賦の才を与えられた人なので、仲丸さんや瓜野君じゃあ恋人として役不足なのは否めませんが、かわいそうなのは瓜野君。ゆきの復讐の対象になった瓜野君は推理の間違いをゆきに指摘されて、プライドをずたずたにされて、ふられてとさんざん。ゆきにやり込められた後は登場もしないという作者にも見捨てられ感が・・・
 ゆきさんの瓜野君に対する評価

  ちょっと、聡明さが足りないかな。それと狡猾さも。
  人の動かし方も、もう少しだけ上手でもいいかなって思ってた。
  あと、ちょっとだけ猜疑心も必要。

 自分がリーダーシップのある人間だと思っている人が、面と向かってこの酷評ですから言われたほうはきついでしょうなぁ

  すごいって思ったところもあるの。
  自分の手で放火魔を捕まえるためなら、被害が出てもいいって思ってたでしょう。
  誰が火をつけれれてもかまうもんか、って。
  その身勝手さは秘密を暴くひとにふさわしいと思う。

 って、評価ポイントはそこですか、ゆきさん。さすがに”復讐者”の人です。
 で、常悟朗に語るゆきさんの最終評価。

  糠に釘。そうね、わたしもきっと、瓜野くんとつきあっててそう思ってた。
  この子、他愛ないって

 不憫な子です。

 ゆきさんが瓜野君とつきあっった理由っていうのは、恋愛をすることで自分の中の復讐者の属性を変えられないかと考えたから。栗のえぐみを抜くために砂糖でコーティングして栗そのものを甘くしていくマロングラッセみたいに。でも、ぐちゃぐちゃに潰して味付けしないといけない栗きんとんでないとダメみたいだったようです。
 だから題名が”栗きんとん事件”。ネタバレですいません。

 じゃあ、なぜゆきさんが復讐者になったか?
 それは本書でお楽しみください。

《脚注》
(*1)栗の皮むき器をネットで買ったから大丈夫
 栗の皮むき器は栗の鬼皮をむくための専用のハサミ。やっぱりハサミじゃないか!
(*2)栗きんとんやマロングラッセなんか~
 栗きんとんは、サツマイモをゆでて裏ごしして弱火にかけながら練って、栗は鬼皮をとってアク抜きしてゆでて甘露煮にして、これらを合わせて茶巾に絞って形を整えるとけっこう面倒。
 マロングラッセは栗の鬼皮をとっって、渋川をはがして一ケづつガーゼにくるんで、毎日濃度の異なる砂糖水で1週間とろ火でゆでるという、と~~~っても面倒なお菓子。
 レシピはクックパッドを見るから大丈夫と言ってましたが、間違ってもこ奴が作るとは思えん。

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