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2012年9月16日 - 2012年9月22日

なんで、こんな所にいるんだ! 頼む、逃げてくれ(プロメテウスの罠/ひまわり)

 ども、生活に逃げ場のないおぢさん、たいちろ~です。
 先日、会社でスーパーコンピュータの担当の人と話をしてたんですが”SPEEDI(*1)にもスーパーコンピューターが使われてたよ”という話が出ました。スーパーコンピュータ”京”(*2)の研究テーマに防災・減殺に資する地球変動予測ってのがあるのは知ってましたが、前からやってたんですね。ちょうど今読んでる本に”SPEEDI”が出てたんで、今回はこの本のお話”プロメテウスの罠”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。
 宮城県大崎市三本木”ひまわりの丘”のひまわりです(東日本大震災前の写真)


【本】プロメテウスの罠(朝日新聞特別報道部 学研パブリッシング)
 サブタイトルは”明かされなかった福島原発事故の真実”とあるように、福島原発をめぐる伝えられなかった情報や、原子炉爆発の危機に混乱する官邸、当事者意識のない東京電力、原子力安全・保安院などの対応を描いたノンフィクション。
【花】ひまわり
 夏を代表するキク科の一年草。
 名前の由来は太陽の動きにあわせて花が回るからだそうで、花言葉も”あなただけを見つめます”。
 ひまわりはセシウムを吸収する性質を持つことから、東日本大震災後に放射能汚染された土地に植えたら除去できる(除染効果)があるとされましたが、実際はほとんど効果はないそうです(農林水産省HPより)


 この本を読んでいろいろ言いたいことはありますが、一番目がテンになったのは原子力安全・保安院が立ち上げた緊急時対応センター(ERC)の対応。上記の”SPEEDI”による予測が継続していて、避難区域の案を作成していたにもかかわらず、管直人首相、原子力災害対策本部長 当時)が独断で避難指示を出すと案の作成をやめてしまったそうです。

  ERCはSPEEDIの予測を続けながら汚染地区を見極めようとしていた。
  ところが・・・
  その矢先の午後9時23分。
  原子力災害対策本部長の管直人は同心円状の避難指示を発する。

   (中略)
  官邸中枢が避難区域を決めてしまった以上、自分達の役割はない。
  そう即断し、この段階でERCは避難区域案つくりをやめてしまう。

   (本書より抜粋)

 同心円状に被害地区が広がらないのは原子力防災の常識なっているにも関わらず、ERCはこの状況を追認したとのこと。なんだか無責任の極みだなぁという感じです。

 別に管直人首相の肩を持つわけではないですが、トップというのは正確な情報がない状態でもなんらかの決断を下す必要がある場合ってのは往々にあって、この場合は”とにかく逃げろ”という指示を出すのは間違いではないんじゃないかと。
 防災心理学なんかの本を読むと、人間は”逃げろ!”と言われても意外と逃げ出さないんだそうで、パニック映画でやってるように我先に逃げだすとは限らないんだとか(*3)。これは”正常性バイアス”あるいは”正常化の偏見”といわれるもので、危険が予想される状況であっても、都合の悪い情報を無視したり、自分は大丈夫みたいな危険の過小評価してしまう心理のため。実際本書の中でも

  本当に危険なら町や警察から連絡があるはずだ。様子を見よう
  おれらのつくった原発がそんなに危ないわけねえべ

 といって避難を取りやめた例が出ています。


 さすがに政府が”適当に逃げろ”というわけにもいかないんで”原発から○○kmは避難”みたいな具体的な数字を示す必要があったんでしょうが、これが当たっていたかどうかなんて後からわかる話。緊急時んはしかたがなかったんじゃないかと。
 たとえば、津波の場合。”何mの津波が来るか分からないので、何階以上(あるいは何m以上の高台)に逃げればいいか指示できない”なんて言ってるより、”まず、高い所の避難しろ!”と言った方が指示としてはよっぽどマシ。”津波てんでんこ(*4)”の考え方です。

 ただし、これは初動で情報もない状態での次善の策であって、情報を提供しないことを正当化するもんでないのは当たり前。正確な(あるいはそう推定される)情報を提供することができていれば、もっと被害を少なくできたかもしれないのに。

 本書の中で、除染に役立つといわれて植えられているひまわりの話が出てきます。
 結局除染には効果はないそうですが、放射能影響だけを見つめるために大枚はたいて作ったシステムが一番必要な時に役に立てられなかったというのは、ひまわり以上に哀しいものがあるなぁ。


《脚注》
(*1)SPEEDI
 正式名称は”緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)”
 wikipediaによると”緊急事態において気象条件や地形情報などから放射性物質の環境への拡散を地理的、数値的に予測するシステム”とのこと。”防災対策を講じるための重要な情報として活用されることが期待されていた”と過去形で説明されているのが哀しい
(*2)スーパーコンピュータ”京”
 理化学研究所に設置された富士通製スーパーコンピュータ。
 2011年に世界最速のコンピュータに認定(現在は2位)
 同じスーパーコンピュータという分類ですが、”京”は10.51ペタFLOPS(毎秒1.051京回の浮動小数点演算を実行)と、SPEEDIに採用されていた計算サーバ(VPP5000U×2台 富士通製)の約55万倍の性能。
 ”京”の挑戦分野はこちらをどうぞ。
 ※現在は新システムに切り替えられているようです。
(*3)パニック映画でやってるように~
 パニック映画の代表作”タワーリング・インフェルノ”(主演 スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマン)でも、最上階のパーティルームに取り残された人々ってのは、一部の人を除いてものすごく理性的な行動をとっています。人間として危機的状況ではこうありたいものです。
(*4)津波てんでんこ
 岩手県の三陸海岸地域にある津波防災伝承。津波が来たら、各自てんでんばらばらに高台へと逃げろということ。
 東日本大震災では、平均時速115kmと高速道路でもスピード違反の自動車なみ速度で津波がきたそうで、逡巡している暇があったらとっとと逃げ出すのが正解です。

題名やキャッチコピーにだまされちゃいけません、ビターの効いたスイーツです(小市民シリーズ/和栗のタルト)

 ども、根っから小市民でスイーツ(笑)な生活を送るおぢさん、たいちろ~です。
 先日から米澤穂信にハマっています。”古典部シリーズ”を一気読みして(*1)、今は”小市民シリーズ”に手を出してます。
 気にいった作家の作品を一気読みするのが悪い癖というか貧困の根源というか、でも、面白いんだもン。同じくやる気ない系の高校生を主人公にした推理小説ですが、まあ、似たようなテイストでこんだけ違うラストをもってるくか~~~
 ということで、今回ご紹介するのは米澤穂信の続き”小市民シリーズ”であります。


Photo
 写真はたいちろ~さんの撮影。近所のイベントで売ってた”和栗のタルト”。秋限定かどうかはわかりませんが。


【本】小市民シリーズ(米澤穂信 創元推理文庫)
 中学校時代の苦い思い出を反省し、小市民の星をめざす高校生”小鳩 常悟朗(こばと じょうごろう)”と”小佐内 ゆき(おさない ゆき)”。
 ある日、スイーツを食べようとしていた小佐内 ゆきの自転車が目の前で盗まれた。後日自転車は発見されたがどうも犯罪に関係したらしい。外見は子供っぽく見えるゆきだが、この事件をきっかけに心の奥に隠そうとした”狼”が目を覚ます・・・(春限定いちごタルト事件
 ゆきの好きなスイーツをつまみ食いしたことで、”小山内スイーツセレクション・夏”に付き合わされることになった常悟朗。ある日、ゆきが不良少女たちに誘拐された。ゆきを救出に向かう常悟朗と友人の堂島 健吾だが、この事件にはゆきの仕組んだもう一つの裏があった・・・(夏限定トロピカルパフェ事件
【スイーツ】和栗のタルト
 栗のスイーツといえばモンブランが有名ですが、こちらはタルト。
 秋だったので”いちごタルト”がありませんでした。そんだけです。


 いきなり話は飛びますが、会社員をやっていると大激論になることがままあります。まあ、どこに出しても恥ずかしい社会人ですので取っ組み合いの大喧嘩をやるこたありませんが、内容的にはほとんど喧嘩状態。で、はたから見てると(たまに当事者ってこともありますが、たまに)、”喧嘩上等!”って人と”喧嘩上手”って人がいます
 ほとんど同じじゃないか?! と思われるかもしれませんが、けっこう大きな違いがあって”喧嘩上等!”って人は後先考えずに喧嘩を売りますが、”喧嘩上手”な人は意外と冷静で二手三手先を読んでたり、ちゃんと落とし所を考えてたりするモンです(*2)。
 もう一つの違いは”喧嘩上等!”の人って、”殴ったら殴り返される”という覚悟があんましないんですね。逆に”喧嘩上手”の人ってのは”殴り返される”心の準備があるので、この手の人と対等に話をしようとすると、足をとめて2~3発殴り返す必要があります、たぶん。

 で、もっともやっちゃいけないのが”喧嘩上等!”な人が”喧嘩上手”な人に喧嘩を売ること。なんでこんな話をしてるかというと、ヒロイン?の小佐内 ゆきって子は典型的な”喧嘩上手”なんですね、これが。ゆきに危害を加えた連中はフルボッコ以上な目にあっています(かなりひどいことをやってるので無罪ってワケではないんですが)。
 このあたりが、同じような高校生の日常を描いた”古典部シリーズ”との大きな違い。ほとんど事件らしい事件ともいえない”古典部シリーズ”ですが、”小市民シリーズ”では警察が介入するような本モノの事件が発生してます。読後感で言えば、事件の大きさよりも、古典部シリーズのホータローと同じような立ち位置の常悟朗とゆきの引き起こす結末とその動機の違いが大きいのかも。自分の性癖ががいやで小市民を目指す常悟朗とゆきですが、自分の中の獣性を隠しきれないところが人間の業とでも言いましょうか。

 本書からの教訓

  人は見かけにだまされてはいけない
  喧嘩を売っちゃいけない人はいます

 まあ、”強敵と書いて友と呼ぶ(*3)”みたいな少年ジャンプ的なことを考えてる人は、そもそも人に喧嘩なんか売っちゃいけないんでしょうが。

 題名やキャッチコピーにだまされちゃいけません。タルトのように甘い作品じゃなくって、ビターの効いたスーイツ。ほのぼのしたオチにはなってませんから。
 でも、とっても面白い本です。


《脚注》
(*1)”古典部シリーズ”を一気読みして
 省エネ主義を信条とする高校1年生の”折木奉太郎”、好奇心の猛獣”千反田える”、人間データベース”福部 里志”、七色の毒舌”伊原 摩耶花”を主人公とする米澤穂信の青春ミステリーというか、日常系推理小説。詳しくはこちらをどうぞ。
(*2)二手三手先を読んでたり~
  戦いとはいつも二手三手先を考えておこなうものだ。
  戦いは非常さ。そのくらいのことは考えてある。
 ともに、シャア・アズナブルの名言。この人も喧嘩上手の人です
(*3)強敵と書いて友と呼ぶ
 ”北斗の拳”の主人公。ケンシロウから。この人も喧嘩がとっても強いです。
 ”北斗の拳”は1980年代の”週刊少年ジャンプ”を代表する作品であり、キーワードの”友情、努力、勝利”を体現する作品でもあります。

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