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2012年9月9日 - 2012年9月15日

このブログも主観性を失って、歴史的遠近法の彼方で古典になっていくのでしょうか(古典部シリーズ/薔薇色)

 ども、省エネな休日を過ごすおぢさん、たいちろ~です。
 先日、TSUTAYAでDVDを見てますと、米澤穂信(*1)の”氷菓(古典部シリーズ)”が出てました。
 以前から米澤穂信って読んでみたいなぁと思ってて手が出てなかったので、さっそく借りてきて観たんですが、面白かったんですねぇ、これが。さっそく文庫本5冊、コミック版2冊を大人買い、一気に読みました(こういうことをやっているからお金が貯まらんのだが・・・
 ということで、今回ご紹介するのは”古典部シリーズ”であります。
 いや、決して主人公の女の子がロングヘアーのストライクだったとか、アニメ化が京アニ(*2)だった訳ではないですから・・・


5270752


 写真はたいちろ~さんの撮影。
 生田緑地ばら苑に咲いていた”グロリア・デ・ローマ”というショッキングピンクの薔薇です。


【本】古典部シリーズ(米澤穂信 角川文庫)
【本】氷菓(原作 米澤穂信、作画 タスクオーナ、カドカワコミックス・エース)
【DVD】氷菓(原作 米澤穂信、制作 京都アニメーション、角川書店)
 ”省エネ主義”を信条とする高校1年生の折木奉太郎(ホータロー)は、姉の命令で神山高校の古典部に入部することになる。そこにはいたのは一身上の都合で入部した黒髪の美少女”千反田える”。彼女は清楚な容姿とは裏腹に好奇心の猛獣だった。
 彼女から伯父にまつわる秘密を解いてくれと頼まれることになり・・・(第1巻 氷菓)
【花】薔薇色
 一般的に薔薇色というと赤を指しますが、薔薇そのものは赤、白、黄色、オレンジ、青とかなりカラーバリエーションがあります。
 赤一つとっても、憎しみを花言葉に持つ濃赤色から血の色を連想させるクリムゾン、可憐なイメージの淡いピンクまでさまざま。このあたりが薔薇愛好家にはたまらんのでしょうなぁ


 ”古典部シリーズ”は文字通り古典部の4名を主人公とした小説、登場人物は

〔折木奉太郎(おれき ほうたろう)〕
 モットーは

  やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に。

 という省エネ主義者。いいですねぇ、この生き方。
 成績は中の中という平均的な人ながら、ムダにスルドイ推理力を発揮。
 基本属性は”灰色”やる気のない”キョン”(*3)。

〔千反田える(ちたんだ える)〕
 頭脳明晰、成績優秀にして、”豪農 千反田家”の一人娘。嗅覚、視覚など五感に優れていて記憶力もバツグン。ただ

  わたし、気になります

 が出たとたん、かなり強引に物ごとを進める好奇心の亡者
 基本属性は本書には出て来ませんが”チタンダエル”って天使っぽいので”白”かな
 お嬢様な”涼宮ハルヒ”(*3)

〔福部 里志(ふくべ さとし)〕
  ホータローの親友。手芸部を兼部し総務委員会にも所属するアクティブな似非粋人。
 「データベース」と自認するだけあってムダな知識は豊富。でも成績は悪い。
 モットーは

  データベースは結論を出せない

 基本属性ははホータロー曰く”薔薇色”だが本人的には”ショッキングピンク”
 よくしゃべる”長門有希”(*3)

〔伊原 摩耶花(いばら まやか)〕
  外見は小学校以来ほとんど変わっていないというホータローの幼馴染。なぜか里志に惚れてる。基本属性は”七色”の毒舌

 この本はジャンル的には推理小説になるので、探偵役がいるわけです。wikipediaによるとシャーロック・ホームズがホータロー、依頼人がえる、ワトスンが里志だそうですが、読んだ感じちょっとちがうかなぁ。というか、ホータロー、える、里志の3人そろって探偵じゃないかなと。
 一言に推理力といっても、状況を見る”観察力”、それを再現する”記憶力”、分析するための”知識”、そして「混沌(カオス)の欠片」を再構成(*4)する狭義の”推理力”が必要です(*5)。シャーロック・ホームズなんかまさにそうで、現場観察から手掛かりを得て、過去の犯罪事例や物的証拠に関する知識をもとに何が起きたかを推理するっていうやり方。
 本書ではホータローが探偵役に見えますが、観察をベースにヒントを与えているのがえる、知識で補完するのが里志で、推理を組み立てて言語化しているのがホータローと役割分担してるように思います。そもそもホータロー一人だけだったらなんもせんのだろうな、きっと。
 まあ、けっこうな推理力があるんだから”灰色の脳細胞(*6)”だろうけど、あんだけ美少女のえるに慕われてるんだから、10年もたって振り返れば意外に”ローズピンク”ぐらいの高校生活だったと思うかもしれんなぁ。

 ”古典部シリーズ”は”青春ミステリー”ってことですが、今風に言うと”日常系推理小説”ってとこでしょうか。殺人事件が起こるわけでもなく、えるの思い出の謎を解くとか(氷菓)、収拾のつかなくなった自主映画の台本を作るとか(愚者のエンドロール)、ど~でもいい物の盗難とか(クドリャフカの順番)、ちょっとした後輩の誤解を解くとか(遠まわりする雛)、ほとんど事件とも言えないようなことの謎解きのお話。
 でも、それだけに安心して読んでられるんだよな~~~

 ただし、”古典部”と言いながら古典の話はまったく出て来ません。そういった意味では”文学少女シリーズ(*7)”のノリとはまったく別モノです。でも、とっても面白いんだけどね。おススメの小説です。


《脚注》
(*1)米澤穂信(よねざわ ほのぶ)
 日本の推理小説作家。代表作は”古典部シリーズ”や”春期限定いちごタルト事件”、映画化もされた”インシテミル”など。
(*2)京アニ
 アニメ制作会社”京都アニメーション”のこと。
 代表作は”涼宮ハルヒの憂鬱”、”らき☆すた”、”けいおん!”など、今やもっともノッてる会社です。
(*3)やる気のない”キョン”~
 キョン、涼宮ハルヒ、長門有希とも”涼宮ハルヒの憂鬱”(谷川流、イラスト いとうのいぢ、角川スニーカー文庫)の主人公。
 こっちも”京都アニメーション”によりアニメ化。面白いのでおススメです。
(*4)「混沌(カオス)の欠片」を再構成
 桜庭一樹のミステリー小説”GOSICK(角川文庫)”から。主人公で探偵役の”ヴィクトリカ・ド・ブロワ”の名セリフ。この人も毒舌。
(*5)狭義の”推理力”が必要です
 これが、ハードボイルドになると”戦闘能力”なんかも必要。
 知的なイメージの強いホームズですが、フェンシング、ボクシング、ステッキ術に優れているらしく、戦闘力も高そうです。
(*6)灰色の脳細胞
 アガサ・クリスティの推理小説に登場する名探偵”エルキュール・ポアロ”の名セリフ。”ABC殺人事件”は3巻”クドリャフカの順番”のモトネタ。久しぶりに読んでみようかな。
(*7)文学少女シリーズ(野村美月、ファミ通文庫)
 自称”文学少女”の天野遠子が古典文学をモチーフに後輩の井上心葉とともに謎を解き明かすという推理小説系ライトノベル
 こっちは”人間失格”に”銀河鉄道の夜”に”オペラ座の怪人”にと古典文学ネタがてんこ盛りです。こっちもおススメのシリーズです。

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