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なんで、こんな所にいるんだ! 頼む、逃げてくれ(プロメテウスの罠/ひまわり)

 ども、生活に逃げ場のないおぢさん、たいちろ~です。
 先日、会社でスーパーコンピュータの担当の人と話をしてたんですが”SPEEDI(*1)にもスーパーコンピューターが使われてたよ”という話が出ました。スーパーコンピュータ”京”(*2)の研究テーマに防災・減殺に資する地球変動予測ってのがあるのは知ってましたが、前からやってたんですね。ちょうど今読んでる本に”SPEEDI”が出てたんで、今回はこの本のお話”プロメテウスの罠”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。
 宮城県大崎市三本木”ひまわりの丘”のひまわりです(東日本大震災前の写真)


【本】プロメテウスの罠(朝日新聞特別報道部 学研パブリッシング)
 サブタイトルは”明かされなかった福島原発事故の真実”とあるように、福島原発をめぐる伝えられなかった情報や、原子炉爆発の危機に混乱する官邸、当事者意識のない東京電力、原子力安全・保安院などの対応を描いたノンフィクション。
【花】ひまわり
 夏を代表するキク科の一年草。
 名前の由来は太陽の動きにあわせて花が回るからだそうで、花言葉も”あなただけを見つめます”。
 ひまわりはセシウムを吸収する性質を持つことから、東日本大震災後に放射能汚染された土地に植えたら除去できる(除染効果)があるとされましたが、実際はほとんど効果はないそうです(農林水産省HPより)


 この本を読んでいろいろ言いたいことはありますが、一番目がテンになったのは原子力安全・保安院が立ち上げた緊急時対応センター(ERC)の対応。上記の”SPEEDI”による予測が継続していて、避難区域の案を作成していたにもかかわらず、管直人首相、原子力災害対策本部長 当時)が独断で避難指示を出すと案の作成をやめてしまったそうです。

  ERCはSPEEDIの予測を続けながら汚染地区を見極めようとしていた。
  ところが・・・
  その矢先の午後9時23分。
  原子力災害対策本部長の管直人は同心円状の避難指示を発する。

   (中略)
  官邸中枢が避難区域を決めてしまった以上、自分達の役割はない。
  そう即断し、この段階でERCは避難区域案つくりをやめてしまう。

   (本書より抜粋)

 同心円状に被害地区が広がらないのは原子力防災の常識なっているにも関わらず、ERCはこの状況を追認したとのこと。なんだか無責任の極みだなぁという感じです。

 別に管直人首相の肩を持つわけではないですが、トップというのは正確な情報がない状態でもなんらかの決断を下す必要がある場合ってのは往々にあって、この場合は”とにかく逃げろ”という指示を出すのは間違いではないんじゃないかと。
 防災心理学なんかの本を読むと、人間は”逃げろ!”と言われても意外と逃げ出さないんだそうで、パニック映画でやってるように我先に逃げだすとは限らないんだとか(*3)。これは”正常性バイアス”あるいは”正常化の偏見”といわれるもので、危険が予想される状況であっても、都合の悪い情報を無視したり、自分は大丈夫みたいな危険の過小評価してしまう心理のため。実際本書の中でも

  本当に危険なら町や警察から連絡があるはずだ。様子を見よう
  おれらのつくった原発がそんなに危ないわけねえべ

 といって避難を取りやめた例が出ています。


 さすがに政府が”適当に逃げろ”というわけにもいかないんで”原発から○○kmは避難”みたいな具体的な数字を示す必要があったんでしょうが、これが当たっていたかどうかなんて後からわかる話。緊急時んはしかたがなかったんじゃないかと。
 たとえば、津波の場合。”何mの津波が来るか分からないので、何階以上(あるいは何m以上の高台)に逃げればいいか指示できない”なんて言ってるより、”まず、高い所の避難しろ!”と言った方が指示としてはよっぽどマシ。”津波てんでんこ(*4)”の考え方です。

 ただし、これは初動で情報もない状態での次善の策であって、情報を提供しないことを正当化するもんでないのは当たり前。正確な(あるいはそう推定される)情報を提供することができていれば、もっと被害を少なくできたかもしれないのに。

 本書の中で、除染に役立つといわれて植えられているひまわりの話が出てきます。
 結局除染には効果はないそうですが、放射能影響だけを見つめるために大枚はたいて作ったシステムが一番必要な時に役に立てられなかったというのは、ひまわり以上に哀しいものがあるなぁ。


《脚注》
(*1)SPEEDI
 正式名称は”緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)”
 wikipediaによると”緊急事態において気象条件や地形情報などから放射性物質の環境への拡散を地理的、数値的に予測するシステム”とのこと。”防災対策を講じるための重要な情報として活用されることが期待されていた”と過去形で説明されているのが哀しい
(*2)スーパーコンピュータ”京”
 理化学研究所に設置された富士通製スーパーコンピュータ。
 2011年に世界最速のコンピュータに認定(現在は2位)
 同じスーパーコンピュータという分類ですが、”京”は10.51ペタFLOPS(毎秒1.051京回の浮動小数点演算を実行)と、SPEEDIに採用されていた計算サーバ(VPP5000U×2台 富士通製)の約55万倍の性能。
 ”京”の挑戦分野はこちらをどうぞ。
 ※現在は新システムに切り替えられているようです。
(*3)パニック映画でやってるように~
 パニック映画の代表作”タワーリング・インフェルノ”(主演 スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマン)でも、最上階のパーティルームに取り残された人々ってのは、一部の人を除いてものすごく理性的な行動をとっています。人間として危機的状況ではこうありたいものです。
(*4)津波てんでんこ
 岩手県の三陸海岸地域にある津波防災伝承。津波が来たら、各自てんでんばらばらに高台へと逃げろということ。
 東日本大震災では、平均時速115kmと高速道路でもスピード違反の自動車なみ速度で津波がきたそうで、逡巡している暇があったらとっとと逃げ出すのが正解です。

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