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緊急事態に対処するって、深く考える人には向いていないのかもしれない(IT時代の震災と核被害/スーパーコンピューター”京”)

 ども、社内のITインフラ活用担当のおぢさん、たいちろ~です(これは本当)。
 まあ”情報共有の重要性”みたいな話ってのは以前からあるわけですが(*1)、この春から”SNSもやってみよう”ということになりましてその係もやってます。
 インフラはその時々で変わってきますが、大切なのは何を使うかではなくコンテンツを継続して出し続けられるかどうか。リテラシーに加えて”情報発信のモチベーション”みたいなのが求められます。
 そういった意味で今まで一番活性化したのが東日本大震災の時でしょうか。ということで今回ご紹介するのは東日本大震災とITに関する評論を集めた本”IT時代の震災と核被害”であります。


4010094
 写真はたいちろ~さんの撮影。
 富士通テクノロジーホールに展示されているスーパーコンピューター”京”です。


【本】IT時代の震災と核被害(コンピューターテクノロジー編集部 インプレス選書) 3月11日、東日本大震災が発生。東北地方を襲った未曾有の被害に対しグーグル、ヤフーなどのIT企業はどう動いたか、ツイッターや動画サイトの果たした役割はなんだったか?
 経営者、技術者、インターネットの情報発信者たちによる評論集。
【道具】スーパーコンピューター”京”
 浮動小数点数演算(*2)10ペタフロップス=毎秒1京回をこなす世界第1位(現在は第2位)スーパーコンピューター。”京”は理化学研究所が発表した愛称です。読み方は”きょう”ではなく”けい”。
 富士通テクノロジーホールは一般公開はしてませんが、富士通の社員にお願いするか、社会見学、一般公開日などでは一般の人でも見学することができるとのこと。
(詳しくは富士通の公式hpをご参照ください)


 東日本大震災の時に私んとこの本部内の情報発信担当をやってたんですが、3月11日ごろの記録を見ると、メールでやっていた被害状況などのやりとりをhpに公開し始めたのが12日(日)の朝8時ごろ。帰宅難民で会社に泊っていた人の中で最上位の幹部社員に了解をとって始めました(*3)。
 本書の中で、グーグルの”パーソンファインダー”(災害対策用の伝言ダイヤルみたいなもの)を立ち上げたウェブマスターマネージャーの川島優志が

  あまり深いことを考えていたら、きっと前に進めなかったでしょう。
  深く考える人には向いていない状況だったかもしれない。
  周囲と相談して、じゃあこれはナシにして、こっちにしよう・・・
  いや、やはりこのやり方はダメだ、こっちのほうがいい、みたいな進め方でしたね

てなことを言ってますが、よく分かります。ある意味てきと~というかアバウトというか出たとこ勝負みたいなのでやったほうがあの場合うまくいったんだろうと、てきと~でアバウトで出たとこ勝負な性格の私は思うのであります。
 社内のhpに本人以外に家族の安否確認情報を掲載したんですが、その時に”そこまで公開するのは個人情報の観点からいかがなものか”という意見もあったんですが”たくさんの人から電話で本人に問い合わせがあるほうが面倒。公開して文句を言われたらそんとき考えりゃいい(*4)”ということで、強引に押し切りましたが、別に誰も何も文句いってきませんでした。まあ、案ずるより産むが易しということかもしれません。

 同じ部の人んとこにアメリカから”USTREAM(*5)でNHKの放送が見れるらしいぞ”というメールが来たのがその後で、上記のhpでこの情報を公開したのが13日の10時ごろ。大型ディスプレイを占拠して空いてるパソコンをくっつけて24時間流しっぱなしにしてました。
 とまあ、何気に書いてますが、ちょっと考えるとこれはすごいことで、日本の状況をアメリカから教えられるとか、かたくなに同時放送を拒んでいた放送局が協力しているとか
 この本を読んで初めて知ったんですが、USTREAMにNHKのニュースを流したきっかを作ったのって中学2年生とのこと。TV画面をiPhaneの内臓カメラで撮影して配信するという方法だったそうです。この”ハイテクの中のローテク(*6)”みたいなのって実はコロンブスの卵で、大人がこれをやろうとすると法的問題がど~の接続システムがこ~のって始まっちゃいます

 法的に言えば明らかに著作権侵略行為で違法なんですが、これをNHKの担当者が独断で黙認したのってのも平時ではありえないことです。この担当者が質問に答えて

  あれほどの緊急時に、情報を必要としている人に、
  必要な情報が届いていないのなら、自分たちがその方法を持っていないのなら、
  他のあらゆる手段を探してでも届けるべきだと考えました。

まあ、それなりに苦悩や軋轢はあったと思われますが、この人も結局は”出たとこ勝負”と思ったんじゃないでしょうかね。

 純粋にITという点ではスーパーコンピューター”京”で地震シミュレーションをやってる海洋研究開発機構(*7)の堀高峰研究員の話なんかも出てきてます。
なんでも地震の予測という点では一般の人が期待しているのと、研究者が目指しているレベルと現実にできているレベルはとても大きなギャップがあるとのこと。スーパーコンピューターを使ってできるのは、あいまいさの定量化(平均的にはこういったことが起きるが、これぐらいのバリエーションがある)や予想スシナリオの絞り込み、建造物被害への影響度、建物などを考慮した津波被害の分析とかなのだそうです。
 そんな研究者でも

  テレビの映像を見て、とにかくショックでぼう然としました
  津波の被害に関しても、地図でここまで来たという絵と、
  実際に空港が飲み込まれていく映像のギャップが大きすぎて
  自分の研究には意味がないのでは、と悩みました

と言ってるのが印象的でした。

 実はこの本、政府や東京電力の情報開示のやり方、新聞やテレビといった従来のマスコミの報道姿勢、インターネット/SNSのありよう、さらには日本という国の将来の形みないな深い話題がたくさん載っています。
 ことの主張に賛否ははあるでしょうが、非常事態をトリガーに顕在化したいろいろな問題をITをキーに評論したという点では面白い本です。

《脚注》
(*1)以前からあるわけですが
 1990年代半ばから社内のhp担当みたいなことをやってましたので、かれこれ15年以上やってることになります。このころは社内の公式サイトのルールみないなのはほとんどなく、勝手にサーバーくっつけて対応してました。今なら情報セキュリティ規定なんかで認められないんでしょうけどね。
 制度が既成事実を後追っかけするのはままあることです。
(*2)浮動小数点数演算
 コンピューターが計算をするときには無限に数字が並ぶのではなく仮数部×基数指数部という形で扱います。簡単にいうと”300”を表現するには”3×10”になります。
(*3)最上位の幹部社員に了解をとって始めました
 細かい説明なんかせずに”情報発信のサイト作ります”と言っただけですんで、許可を求められた幹部社員だって何を始めるんだかわかっちゃいなかったと思います。
 まあ、”独断専行”と言われないように形式要件を整えておくってのも”大人の知恵”です。単に”大人ってずるい”だけかもしれませんが・・・
(*4)たくさんの人から電話で本人に問い合わせがあるほうが面倒
 実は私自身がそう。私が東京に単身赴任で家族は仙台でしたが、メールや電話で問い合わせがくると(それはそれでありがたいことですが)対応が大変だろうと手っ取り早いやり方にしました。
 まあ、当事者だけに説得力があったのかもしれません。
(*5)USTREAM
 ソフトバンク系のライブ配信型動画配信サイト。
(*6)ハイテクの中のローテク
 かつて録画テープが非常に高価だったため、放送局でも使いまわしをしていたために古い番組の画像ってのは意外に残ってません。たまに発見されるのはTV番組を8ミリフィルムで撮影したものだったりします。
(*7)海洋研究開発機構
 JAMSTEC(Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)
 2006年に公開された映画”日本沈没”では制作協力に名前を連ねています。

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コメント

未だ不完全なITよりも、本当に必要なものはけっこうアナログ的だったりローテクなものだったということが多い。
今の日本は最新技術に走りすぎて、なんのため・誰のため?方法が先走って目的がぼやけていたりする。
何度も言っているけど、デジタルはアナログには絶対勝てませんよ!とは言っても時代の流れ、IT化も必要なら、その両方の特徴を生かしたバランスのとれた方法を確立してほしい。デジタル・アナログ、ITとローテク両方を使ってきた世代、そう!!太一、あなたがやるべきことはそれですよ!!

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