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2012年7月

世代宇宙船と移民団のパラドックス(天冥の標/殺意の底/神戸港移民乗船記念碑)

 ども、定年したらどっかへ移民でもしようかと考えてるおぢさん、たいちろ~です。
 現在は東京で働いています。まあ、便利ではあるしいろんなモノであふれかえってはいますが、物価は高いわ人は多すぎるわ。ネットワークでつながっている現在、とりあえず本とDVDさえあれば満足してるおぢさんとしては歳をとってから積極的に東京に住み続ける動機はあんましないわけです。
 まあ、移住するにはそれなりに理由があるわけですが、これを集団で行う”移民”というのはさらに強固な動機づけが必要になります。ということで、今回紹介するのはそんなお話”天冥の標”、”殺意の底”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。神戸メリケンパークの”希望の船出”像です。


【本】天冥の標(小川一水 ハヤカワ文庫JA)
 西暦2349年、小惑星パラスの地下で農業を営むタックは、反抗期の娘ザリーカの扱い悩んでいた。そのザリーカがある日誘拐されてしまう。
 一方、はるかその6000万年前、宇宙のとある星で原始サンゴ虫の中で自我に目覚めたある存在があった。後に”ノルルスカイン”と呼ばれる寄生的被展開生命体である。
 (天冥の標Ⅴ”羊と猿と百掬の銀河”より)
 各巻ごとにまったく違う物語が撚り合っていく大河SF。
【本】殺意の底(竹宮 惠子 中公文庫)
 2085年、惑星エデンを目指す宇宙移民船”エデン2185”は2000人余の人々を乗せて旅立った。到着は100年後、目標の星へ到着できるのは自分達の子供や孫の世代。目的を持って出発した彼らだったが航海が進むにつれさまざまな問題が発生する。地球への帰還の想い、市民(一般乗務員)とフライング・マン(船員)との反目・・・
 フライング・マン”シド・ヨーハン”を主人公とするSF連作集。竹宮惠子SF短篇集(3)に収録。
【旅行】神戸港移民乗船記念碑(希望の船出像)
 1868年(*1)のハワイ集団移住に始まる神戸港の移民。その後ペルー、アメリカ、カナダ、ブラジルなどさまざまな国への移民を送り出してきました。現在の日本の海外進出のルーツとなった人たちです。
 この記念碑はブラジルへの移民を記念して2001年に建立されました。


 さて、移民というと、経済発展型(個人的には”一旗揚げる”)と、脱出型があるようです。SFなんかだとそれこそ山ほどあって近場ではスペースコロニー(*2)や、ルナネクサスみたいな月面基地(*3)、多くの火星開拓モノ、遠くなるとそれこそ銀河帝国(*4)までいとまがありません。
 脱出型の例としては、母星の滅亡から脱出するタイプ(*5)とか、政治的な迫害からの脱出とか(*6)こちらも例は多数。

 で、今回のお話は”天冥の標”に出てくる”移民団のパラドックス”です。”ノルルスカイン”が語っている話で、要約するとこんな感じ。

・星から星への移民はしばしば個体の寿命を超えるし、膨大なコストがかかる。
・よって、移民団には長い航海のための強固な動機づけを必要とする
・遠くにある移民先の星の環境ははっきりしない場合が行ってみないとわからない。
 特に個体の寿命を超える場合は、何のためにいくか分からなくなってしまう。
・解決策として”旅そのものの目的化”が考えられる
・そのためには宇宙船という拘束された閉鎖空間が肯定されなければならない
・よって、外部と隔絶した閉鎖生活を独力で営む仕組みができあがる。
・これでは移民そのものを行う意味が失われ、移民そのものと矛盾する

 まあ、言われてみりゃもっともな話で、膨大なコストをかけての(*6)長期間のミッション、総論としてはokでも個人単位にしてみりゃ船に乗るための人生みたいなもんです。
 いつの間にか移民モノになっちゃった”マクロス移民船団(*7)”みたく、目的地に辿り着けなければ永続的に航行してもよいみたいな本末転倒もおこりうるのかも。

 移民船団も何年か飛び続けると”やっぱりやめたい”と思う人がでてくるのもいたしかたのないこと。今回”殺意の底”に出てくるのもそんな話で、出発から3年後にクーデターを起こした犯人プローラは全市民の投票によってエデンへの移住を中止し地球にもどることをを要求します。このみょ~な所で民主的なところがポイントで、秘密調査では市民の60%以上が犯人の意見に同調しているとの結果。そしてプローラを有無も言わさず殺したのが航行管理主任補佐のシド・ヨーハン中尉。

  プローラはエデン市民すべての心を代弁した
  それが、ぼくの「奴を殺した理由」

   (中略)
  ぼくたちは 翔ぼうとしたのだ --翼を広げて!
  だったら 飛ぶんだ 下を見ずに!
  太陽の光に焼かれて落ちるなら本望だ

 移民、特に世代宇宙船ってのはワンウェイなので戻るという選択肢はまず不可能。それでも行くんだという強い思い入れが必要なんでしょうね。
 現実世界での移民も、歴史的には必ずしも移民先で良い環境だったとは言い難いようですが、それを切り拓いて行ったのはやはり強い想いがあったんでしょう。

 ”殺意の底”は現在でも入手可能。同じ作者の”地球へ…(*8)”ほど話題になることはありませんが、名作です。

《脚注》
(*1)1868年
 慶応4年にして明治元年。
 つまり王政復古の大号令が出て明治新政府が樹立した年です。もっとも戊辰戦争もこの年なのでまだ世の中が落ち着いてたとは言えなかったんではないかと。
 黒船でペリーが来たのが1853年、日米修好通商条約の調印が1858年ですがら、移民そのものはかなり早い段階から行われていたようです。
(*2)スペースコロニー
 機動戦士ガンダムに登場する宇宙に浮かぶ人工天体。
 地球と月の重力平衡点(ラグランジュポイント)にあるのでSF的には地球の玄関先にあるようなモンです。
(*3)ルナネクサスみたいな月面基地
 ”MOONLIGHT MILE(太田垣康男 小学館)”より。月は人類が有人で到達しえた唯一の天体なので、リアル系SFではよく登場。
(*4)銀河帝国
 ”銀河帝国興亡史(アイザック・アシモフ)”、”スター・ウォーズ(ジョージ・ルーカス)”、”銀河英雄伝説(田中芳樹)”、 ”超人ロック(聖悠紀)”など名作が綺羅星のごとく。
 なぜ宇宙に版図を広げるほど発達した人類が、政治形態として前近代的な帝国主義的国家となるかは”銀河英雄伝説”に詳しく載ってます。
(*5)母星の滅亡から脱出するタイプ
 代表例は宇宙戦艦ヤマト。地球ではなくガミラスの方。ガミラス人は自分の星が寿命を迎えたため、地球に移住を計画しました。でも、確率的には充分大マゼラン星雲の中で居住できそうな星を探せたはずなのに、わざわさ14万8千光年も先のしかもテラフォーミングしないと住めないような星を選んだのかはこの作品の最大のナゾ。
 ちなみに宇宙船としての”ヤマト”も、本来は滅亡に瀕した人類を脱出させるために建造された移民船です。
(*6)政治的な迫害からの脱出とか
 代表例は”銀河英雄伝説”に登場するイオン・ファゼカス号。アーレ・ハイネセンら共和主義者が、全長122Kmの渓谷にあるドライアイスをくりぬいて40万人を乗せて流刑惑星から脱出した宇宙船です。のちの銀河帝国vs自由惑星同盟の長きにわたる対立のきっかけとなったデキゴトであります。
(*6)膨大なコストをかけての
 世代宇宙船の建造コストがいくらかかるかはわかりませんが、スペースシャトルの打ち上げコストだと135回の打ち上げで2,090億ドル(16.7兆円)、1回あたり1,240億円かかっています。スペースシャトルが乗員7名、14日間のミッションとして上記の”エデン2185”の2000人、100年との比で掛け算すると8.87京億円。まあ、こんな計画が実用化されるころには劇的にコストがさがってるんでしょうが、それでも国家予算がふっとぶぐらいの費用がかかりそうです。
(*7)マクロス移民船団
 アニメ”マクロスシリーズ”に登場する宇宙移民船団。地球だけに居続けると宇宙からの攻撃に人類が滅亡してしまう可能性があるので、移民による分散で全滅を防ごうという経済発展型と脱出型の混ざった”リスク分散型”ともいえる形態です。
 初期の作品は観ましたが、さすがに最新シリーズ(マクロスF)は観てないなぁ
(*8)地球へ…(テラへ)(竹宮惠子 中公文庫)
 修復不可能なまでに進んだ環境破壊から地球を再生させるために、人類が植民惑星に移住した未来。そこはスーパーコンピュータによる管理社会と、その社会からはじき出された”ミュウ”という超能力者たちがいた・・・
 1977年に発表され、1980年にアニメ映画化、2007年にテレビアニメ化されました。

意外と上から目線のぢぢいの話です(隅の老人/紐)

 ども、会社では隅っこのほうにいるおぢさん、たいちろ~です。
 先日、毒舌執事の出てくる安楽椅子探偵モノ”謎解きはディナーのあとで(*1)”を読みました。安楽椅子探偵というと、事件にかかわる当事者(警察官とか新聞記者とか)とその話を聞くだけで解決する人(探偵役)の組み合わせ。探偵役はどうも頼れる年配の人ってイメージがあって、この本の探偵役の影山ってのは頼りになるけどお嬢様刑事の麗子さんを罵倒するんですこし感じが違うのかな~と思ってました。
 そういえば、このジャンルの古典である”隅の老人”を読んでなかったので、今回読んでみましたが、ま~影山以上にタチが悪いんですな、このぢぢい。ということで、今回ご紹介するのは安楽椅子探偵の開祖であるオルツィーの”隅の老人”であります。


Photo
 写真はたいちろ~さんの撮影。近くのスポーツ店にあったロープです。
 左側が4mm、右が3mmとやや細めです


【本】隅の老人(バロネス・オルツィ ハヤカワ・ミステリ文庫 他)
 小さな喫茶店の隅に座っれいたさえない印象の老人。しかし、新聞記者のポリーとの話が犯罪のこととなるとその真相を名探偵ばりに鮮やかに解決するのだった・・・
 知らなかったんですが、作者のバロネス・オルツィは歴史ロマン”紅はこべ(*2)”を書いた人。こっちを先に読んでたのでけっこう意外でした。
【道具】
 人を縛ったり首を絞めたりする道具(良い子はマネをしてはいけません)。
 比較的細いのが紐、太いのが縄です。英語ではrope>cord>string。
 山で使うザイル(Seil)はドイツ語です。山では荷物を括る用の短めの紐を”細引き”と言ったんですが、スポーツ店の若い店員さんには通じませんでした。最近は使わないのかなぁ


 どうも、安楽椅子探偵というと”ゴルゴ13”に出てくる新聞記者とヒントを与える喫茶店のマスターってのが原体験みたいで(*3)、頼れる先輩みたいなイメージがありましたが、このオルツィー描く”隅の老人”ってまったく逆。
 このぢぢいの特徴ってのが血の気がなくやせこけて、隠しようのないハゲ頭の頭のてっぺんに淡い色の髪をなでつけ、神経質に紐を組んだり結んだりする癖。趣味は”犯罪研究”。素晴らしい推理をしながら警察には届けたりしない偏屈さ。

  警察にとって謎はない、と言った覚えははいよ。
  調査の結果入るべき情報さえ入っていれば、謎なんてありえない、と言っただけさ

   (中略)
  そう、なかんずくあの事件は謎なんてものじゃない、と言いたいね

 という上から目線。
 新聞記者のポリーの相談にのるというより、ポリーのネタふりに一方的にしゃべりまくる押しの強さ。”安楽椅子(*4)”探偵といいながら、審問会に行くわ独自に調査をするわとけっこうアクティブ。素晴らしい犯行には賛辞を惜しまないという倫理性の欠如。

 

好きですねぇ、こういう偏固なぢぢい老後の趣味が”犯罪研究”なんて親戚一同から絶対嫌われそうだし。だいたい交通事故を除けば警察にお世話になるような”事件”なんて一生に一度あるかどうか。その時以外はほとんど役に立たないし、それでも難事件を快刀乱麻のごとく解決すればそれなりに尊敬も得られるでしょうが、的外れな推理なんかした日にゃ捜査を混乱させるだけだし、むしろ、犯人の第一候補に挙げられそうな・・・

 推理小説としての”隅の老人”はどうかというと、けっこう微妙。この人の推理ってのは”提示された状況に対して合理的な説明をする”というタイプ。しかも、警察にとどけないモンだから、それが正しいかどうかってのは小説内では言及されてません(ひとつ間違えると冤罪事件ですよ、えっ!)。
 まあ、それでも迷宮入りの事件を解決(らしきもの)してるのは面白いんですね。けっこう強引だけど。”パーシー街の怪死”ではポリーが犯行現場に残された紐の結び目から犯人をこの”隅の老人”に結び付けるような記述がありますが複雑な結び目が作れるだけで犯人扱いだったら船員から、登山家からボーイスカウトかみ~んな容疑者です。

 ま、犯人との息詰まる対決とか心理戦みたいなのを期待するとちょっと違いますが古典として読めばまあ楽しめるかと。

《脚注》
(*1)謎解きはディナーのあとで(東川篤哉 小学館)
 国立署の新米警部にして大金持ちのお嬢様である”宝生麗子”と彼女に使える毒舌執事の”影山”によるユーモアミステリー。
 2011年度の”本屋大賞”1位にして、2011年に櫻井翔、北川景子の主演でテレビドラマ化。詳しくはこちらをどうぞ
(*2)紅はこべ(バロネス・オルツィ 創元推理文庫他)
  原題は”The Scarlet Pimpernel(スカーレット・ピンパーネル)”。
 フランス革命期のパリからギロチンで処刑されようとする貴族を救う謎のイギリス人グループのリーダー”紅はこべ”。イギリスの古典的冒険小説。詳しくはこちらをどうぞ
(*3)”ゴルゴ13”に出てくる新聞記者と~
 確か”ゴルゴ13(さいとうたかお リイド社)”の145話”蒼狼漂う果て”だったと思うんですが(手元にないので確認できませんでした)
 ゴルゴ13の出生の謎を探る若い外報部員と、引退して喫茶店を営む先輩ジャーナリストの話だったと思います。
(*4)安楽椅子
 安楽椅子(アームチェア arm chair)は別名肘掛け椅子。
 確かに”隅の老人”では喫茶店の椅子に座っているシーンしか出てきてませんが、”安楽椅子探偵”が必ずしも椅子に座ってるとは限りません。上記の影山はお嬢様の給仕をしながら推理してるし。

工場が残るなら、白い猫でも黒い猫でも構わん。上司はそう言ってます(鄧小平/豪徳寺の招き猫)

 ども、猫は嫌いではないですが、ネコ耳はちょっとごめんなさいのおぢさん、たいちろ~です。
 先日、こんな新聞記事を読みました(*1)。
 シャープの堺工場が稼働率の低下で存続が危ぶまれたが、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の出資で存続が決まった。これを受けての、堺市企業立地担当の金本貴幸氏(50歳)の言葉。

工場が残るなら、白い猫でも黒い猫でも構わん。上司はそう言ってます

 この言葉を読んで”上手い事を言う! 座布団1枚!!”と思ったのはおぢさん世代(あるいはおじいさん世代)。ということで、今回ご紹介するのは「黒猫白猫論」の人”鄧小平”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。豪徳寺の”招き猫”です。


【本】鄧小平(矢吹晋 講談社学術文庫)
 毛沢東に評され、三度の失脚と復活を繰り返し現代中国の経済発展の礎を築いた稀代の政治家”鄧小平”を分析した評論。
 原本は1993年発刊の講談社現代新書で、2003年に補足を加え復刊。
【旅行】豪徳寺の招き猫
 豪徳寺(ごうとくじ)は、東京都世田谷区豪徳寺にある曹洞宗のお寺。
 彦根藩主・井伊直孝が鷹狩りの帰りに豪徳寺の前を通りかかった時、寺の和尚の飼い猫が手招きしてたので寺に立ち寄ったところ、雨に降られずにすんだとのこと。で、この姿をかたどったのが招き猫です(諸説あり)
 まあ、この猫も”招き猫”はともかくまさか400年後にひこにゃん(*2)のモデルになろとは思ってなかっただろうなぁ。


 現代中国史あんまし得意ではないので、今回読んだ”鄧小平”でいろんなことを知りました。
 まずこの言葉のオリジナルは1962年7月の共青団三期七中全会での鄧小平の言葉

  劉伯承(*3)同志はいつも
  「黄猫であれ、黒猫であれ(*4)、ネズミさえ捉えさえすれば、良い猫だ」
  という四川のことわざを使う。これは戦闘の話をしたものだ。
  我々が蒋介石を破ることができたのは、古いしきたりや、昔のやり方で
  戦ったからではない。すべては状況次第、勝てばよいという考え方だった

   (農業生産をどのように回復させるか 文選)

 実はこの言葉は鄧小平の依頼で議事録から削除されたそうなんですが、「農業生産の上がる方法が良い方法だ」と喝破した鄧小平の名言として口コミで広がったんだとか。
 この言葉の続編が”姓資姓社問題”。改革開放路線の本質が資本主義の範疇なのか社会主義の範疇なのかを点検せよと迫った問題(1992年)。
 これに対しての鄧小平反論が

  すなわち生産力の発展に有利かどうか、総合国力の増強に有利か否か、
  人民の生活水準の向上に有利か否か、をもって
  政策の当否を判断する基準とせよと強調した

  (本書より抜粋)

 この本を読んでわかるのは”鄧小平”という政治家が徹底してリアリズムの人だっていうこと。政策の人気投票の趣のある日本と違って、政策の相違がイデオロギーに直結する中国では、勝ち組(国家主席を中心とした集権)と負け組(失脚、粛清)がはっきりしています。その中で権力中枢にい続けた”鄧小平”が行った政治的なバランスをとりながら経済的な成長戦略を実現したってのはたいしたもんだと。

 鄧小平の時代っていわば高度経済成長の時代。この本の記載によると1991年の中国のGNPは約4,200億ドル(世界銀行の統計)。”エコノミスト”誌は鄧小平時代の14年間の実質成長率9%を維持すれば20年後の2012年にはアメリカ、日本と並ぶ経済大国になると予想したそうです。
 で、実際はというと、中国のGDP(国内総生産)は改革開放後30年で平均10%の成長を達成(国際通貨基金)。2010年のGDPで初めて中国が日本を上回り米国に続く世界2位になったのはご存知の通り。はっきり言って20年前に日本が中国に追い越されるなんて大半の日本人は思ってなかっただろうな~~

 ちなみに、最近の国際通貨基金の予測ではこのままいくと2016年には、GDPベースで中国が米国を追いぬく経済大国になるんだとか。最近は成長率が鈍ってきてるとはいえ、それでも中国は2011年度実質GDP成長率で9.24%、2012年推計で8.23%。同時期で日本はー0.75%、2.04%と低成長時代。最近のエコノミストの発言なんかで”低成長時代=給料が増えないのを前提としていかに幸せな人生を考えるか”なんてのが言われてますが、高度経済成長時代を生きてきたおぢいさん世代はどう聞いてるんでしょう。

 話を戻すと、このような中国の高度経済成長を促した立役者の一人に鄧小平がいたのは間違いなさそうで、改革開放政策への転換や、中央集権的計画経済体制から商品経済、市場経済へ舵を切った結果であるようです。これが社会主義かと言われると???かも知れませんが

 生産力の発展をはかることが社会主義の最大の課題
  =経済発展のためなら、やり方は問わない
   =白い猫だろうが黒い猫だろうが、ネズミをとってくるのは良い猫

 を実践したからのことなんでしょうねぇ。

 てなことを、ネズミを捕ってくるわけでもなく、幸福を招き入れるわけでもなく、ケンカばっかししている黒い猫と白い猫のどたばた政変劇を見せられてる国のおぢさんは思ってしまうのであります。

《脚注》
(*1)こんな新聞記事を読みました
 日本経済新聞 (2012年6月13日 朝刊)
 ”迫真 テレビはなぜ負けた 2 いきなり休止ですが”
(*2)ひこにゃん
 滋賀県彦根市のイメージキャラクター。誕生は2007年の彦根城築城400年記念イベント。日本で最も有名はゆるキャラの一人。詳しくは公式hpをどうぞ
(*3)劉伯承(りゅう はくしょう)
 中華人民共和国の軍人、政治家。中華人民共和国元帥。1955年、十大元帥の一人に選ばれるが1958年林彪と対立して失脚。すいません、中国史詳しくないのでwikipediaのコピーです。
(*4)黄猫であれ、黒猫であれ
 四川のことわざは「黄猫、黒猫」だそうですが、今では「白猫、黒猫」のが有名。

本格ミステリのもっとも現代的なテーマは”嵐の山荘”である、というわけですか(十角館の殺人/孤島)

 ども、ミステリ好きのおぢさんおぢさん、たいちろ~です。
 最近のアニメの中では綾辻行人の”Another(*1)”が気に入っています。ミステリアスな画像とか、それっぽいオープニングテーマとか。本放送では見てなかったんでDVD借りてきてますが、最近のアニメの中では異色の作品。
 で、”Another”をアニメ化するって話を聞いた時に思ったのが、

  

なんでこんな映像化しにくいトリックの作品をわざわざアニメ化するんだろう?!

 そういや綾辻行人の作品には”言葉では成り立つが、映像では成り立ちにくいトリック”を使った作品があったような。はてなんだっけということで、今回ご紹介するのは綾辻行人の館シリーズの1作目”十角館の殺人”であります。


Photo

 写真は”47News”のHPより。尖閣諸島の魚釣島。

 おそらく日本政府が今、もっとも殺人事件が起こって欲しくない場所(*2)


【本】十角館の殺人(綾辻行人 講談社)
 ミステリ作家のニックネームを持つK大学推理小説研究会の一行は、合宿のために角島という無人の孤島を訪れた。そして、この島に残る”十角館”で彼らを待ち受けていたのは連続殺人事件だった・・・
 一方、本土では元推理小説研究会の”江南孝明”の所には死んだはずの”十角館”の持ち主中村青司から”お前たちの殺した千織は、私の娘だった”という手紙が届く・・
【旅行】孤島
 廻りから隔絶した”島”。殺人事件が起こる場合は、電話線などが切断され、まわりと連絡がとれず、警察が来れず、脱出も外からの侵入も不可能という一種の密室になります。
 ”嵐の山荘”というのもほぼ同じですが、携帯電話がこれだけ普及した現在、”圏外”になる場所ってのはそうそうないので、”孤島テーマ”のほうがより現代的と言えるかも知れません。

 綾辻行人は好きででデビュー作の”十角館の殺人”からほとんど読んでいます。
 ”十角館の殺人”が出版されたのは1987年。”新本格派ミステリー(*3)”として紹介されることになる綾辻行人ですが、どっちかというと先祖返り的なストーリーてのがみょ~に気にいって読んでました。

 で、綾辻行人がこの小説でほぼ探偵役のエラリイに語らせているのがこのセリフ

  地道な努力を惜しまない勤勉な刑事たち、強固な組織力
  最新の科学捜査技術
(*4)・・・ 警察は今や、けっして無能じゃない
   (中略)
  無粋極まりない警察機構---
  黄金時代の名探偵たちが駆使したような、華麗な”推理”や”論理”とは似て非なる、
  でいてそれを超えてしまった操作技術の勝利に拍手を送る気には、僕はなれないね

   (中略)
  そこでこのディレンマの、もっともてっとりばやい-- 
  といっちゃ語弊があるが、有効な解決策として、
  さっきから云ってる”嵐の山荘”パターンがクローズアップされてくるわけさ

 この言葉を受けて、研究会のメンバ”ルルウ”が表題の”本格ミステリのもっとも現代的なテーマは~”をつぶやくわけです。

 現在に至るまで、”館シリーズ”を発表しつづけている綾辻行人の堂々の宣言とも読める内容です。

 さて、トリックのほうですが以前にはあまりない”言葉では成り立つが、映像では成り立ちにくいトリック”。ネタバレになるのであまり書きませんが”一人一役の二重存在”ってのは意表を突いてましたね。登場人物の名前が推理小説家の名前で、主人公の名前が”江南”(”コナン”ではなく”カワミナミ”と読みます)も一般読者というよりミステリマニア向けのひっかけになってるとこなんか、喜ばせてくれます。

 ”十角館の殺人”をはじめ館シリーズはかれこれ四半世紀にわたって書き続けられているシリーズ。ぜひご一読のほどを。
 アニメの”Another”のほうもDVDであと2本。どんな形で映像化するかも楽しみです。


《脚注》
(*1)Another(原作 綾辻行人、イラスト いとうのいぢ 監督 水島努)
 夜見山北中学校に転入してきた”榊原恒一”は、不思議な少女”見崎鳴”に出会う。しかしクラスメイトはまるで彼女がいないもののようにふるまっていた。
 それはある種のおまじないらしいということが分かったが、そのおまじないの効果が無くなった時、陰惨な死亡事故が連続して始まった・・・
 2010年版の”このミステリーがすごい!”国内編第3位とミステリ扱いされていますが、ホラー小説と言った方が正しいと思います
(*2)もっとも殺人事件が起こって欲しくない場所
 殺人事件ともなれば警察は威信をかけて捜査しないわけにはいかないでしょうが、どこの国の警察(日本、中華民国、中華人民共和国)がやるかでもめるんだろうなぁ。国際的合同捜査本部ができるような雰囲気じゃなさそうだし・・・
 でも、全世界注視のもと、これ以上の密室てのはないかもね。
(*3)新本格派ミステリー
 事件の手がかりが作品中で提示されていて登場人物(探偵)と同じ目線で真相を暴いていくという手法の推理小説。
 以前は江戸川乱歩や横溝正史が代表で、このあたりもよく読んでましたがいつのまにか衰退。綾辻行人による以前とは違く切り口でのトリックで”新本格”として復活したとも言えます。
(*4)最新の科学捜査技術
 ”科捜研の女”(主演 沢口靖子、テレビ朝日)に出てくる京都府警 科学捜査研究所なんかだと、コンピューターに高性能分析機器にとちょ~ハイテクを駆使しての操作。一昔前なら警察ミステリーではなくSF扱いされるんじゃないかと

かつて”ぴあ”という名の情報誌があった(「ぴあ」の時代/パンタロン)

 ども、かつて関西の某大学で大学祭実行委員長をやってたおぢさん、たいちろ~です(これは本当)。
 大学祭自体は11月上旬ですが、準備なんかは春から始まっているわけです。当時は1980年代の前半でしたのでまだ学内に中核派(*1)なんかがいて全体集会は毎回大荒れ。それでもなんとかかんとかまとめてきます。
 出し物が決まってくると広報をするんですが、当時関西エリアをカバーしてたのが”プガジャ(*2)”、”Lマガ(*3)”といった情報誌。インターネットのイの字もない時代です。
 それでも、自分たちのやってる行事が活字媒体に載るってのはなかなか感動的なデキゴトでした。
 ということで、今回ご紹介するのはかつて存在した情報誌を扱った本”「ぴあ」の時代”であります。


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 写真は”ぴあ”創刊号の表紙。


【本】「ぴあ」の時代(掛尾 良夫 キネ旬総研エンタメ叢書)
 映画が大好きな大学生”矢内廣”たちは映画を見るための情報に飢えていた。どこの映画館でどんな作品が上映しているのか、そこへはどんな道順で行けばいいのか・・
 でもそんな情報が載っている本なんかない。彼らは考えた。それならば自分たちが欲しい情報が載った雑誌を自分達で作ればいいんだと。そして1972年、”ぴあ”は誕生した。
 情報誌としての”ぴあ”の誕生から終焉までを描いたノンフィクション。
【ファッション】パンタロン
 下側にひろがったフォームをもつズボンのこと。1960年代末期より日本で大流行しました。現在ではベルボトムと言うそうです。
 wikipediaで検索すると”ベルボトム”に転送されたうえ”現在では死語と化している”との表記。おぢさん世代にはちょっと哀しい・・・


 現在、情報誌といえば”XX Walker”(角川書店)といったタウン誌、”じゃらん”(リクルート)みたいな旅行誌なんかでしょうか。名前こそ”ぴあ”を引き継ぐ”XXぴあ”みたいなテーマ誌もありますが、情報誌としての”ぴあ”とは別物。おぢさん世代がよく使っていた1980年代はフルカラーなんかは望むべくもなく、ほとんど活字情報、写真もモノクロだったと思います。

 ”ぴあ”の創刊は1972年7月。最終号は2011年7月と今回出てくる3誌の中ではもっとも長命で39年間続きました。その休刊のニュースリリースにあたって、筆者の掛尾 良夫は

  筆者を含めた40代以上の層はもっと複雑だった。
   (中略)
  そして、『ぴあ』を片手に街中をめぐった日々の記憶が鮮やかに蘇ったに違いない
  言い換えるなら、このニュースが読者それぞれの青春を呼び起こしたのだ。
  繰り返すが、彼らの反応は嘆き悲しむ類のものではなく、
  「お疲れさま、ご苦労さま」といった感情だったはずである。

 と書いてますが、おぢさん世代にはまさにその通り。
 パンタロンに底のぶ厚いサンダルを履き、伸ばし放題の髪にチューリップハット(*4)をかぶって、プガジャやLマガ持って遊びまわってましたねぇ。今、この当時の写真が出てきたら絶対笑っゃうでしょうが
 まあ、文化風俗ってのは移ろうものですが、そんなのを乗り越えてこの情報誌は長く続いてたんですねぇ・・・

 ”ぴあ”の編集方針ってのは

  「いつ」、「どこで」、「誰が」、「何を」という客観情報を漏れなく掲載する一方、
  編集部の主張といった主観を一切排除し、情報の取捨選択は読者がする

といったものだそうですが、これってwikipediaみたいなのとある一面に良く似てるんですね。ぴあも”ぴあシネマクラブ”といった映画のインデックス情報を集めた雑誌を出してますが、これもインターネット前夜の”映画版wikipedia”みたいなもんだし。

 ”ぴあ”が発行されていた1970年代から2011年頃までの移り変わりを見てみると

 上映情報なんてほとんどない ⇒ 情報誌で調べる ⇒ インターネットで検索する
 映画は映画館で観る ⇒ ビデオを買って観る ⇒ DVDを借りて観る
 映画は大手映画会社が作る ⇒ 映画会社の衰退 ⇒ 自主映画から新世代の監督が台頭
 古い映画は名画座をチェックして観る ⇒ DVD化してれば100円でOK
 映画館は並ぶもの。予約席はブルジョアの物 ⇒ インターネット予約がデフォルト

 こうやって考えてくと映画というビジネスが急速に変化し、提供される媒体が多様化情報が紙(リアル)からネット(バーチャル)にシフトしていった時代なんですね。当然、これに伴って情報誌としての”ぴあ”が変質を余儀なくされてくのが分かります。その中でインターネットへの対応ってのも必然だったかも。本誌でも”チケットぴあ”の話が出てきますが、キャプテンシステム(*5)から始まるぴあのネットサービスへのかなり早い時期からの取り組みってのもまあ、危機感の表れだったようですし。
 今でこそインターネット当たり前の世の中ですが、”チケットぴあ”のプレスタートは1983年(本格スタートは1984年)。パソコンがやっと普及機に入りがけで、ウェブサービスなんて夢のまた夢の時代です。やっぱし、社長の矢内さんてのは先見の明があったんでしょうねぇ。

 そのほかにも自主映画、新人監督の登竜門になった”ぴあフィルムフェスティバル(*6)”なんて懐かしいネタのてんこ盛りの本。
 本書は”ぴあ”をめぐるプロジェクトXと読むか、情報誌という切り口で1970~80年代のサプカルチャーを見るかはお好みですが、当時青年だったおぢさん世代にはお勧めの本です。

《脚注》
(*1)中核派
 ”マルクス主義学生同盟中核派”のこと。さすがに学生運動自体は下火になってましたが”三里塚闘争”なんてのを掲げてました。当時は大学祭のパンフットにもちゃんと”中核派”で掲載されてましたが、今はどうなんだろう?
(*2)プガジャ
 ”プレイガイドジャーナル”の略称。かつて存在した関西エリアの情報誌。発刊は1971年と今回出てくる3誌の中ではもっとも古く”日本で最初の情報誌”と言われているそうです。
 雑誌自体は1987年に休刊。
(*3)Lマガ
 ”Lmagazine(エルマガジン)”の略。かつて存在した関西エリアの情報誌。発刊は分かりませんでしたが会社(京阪神エルマガジン社)は1979年なので後発と思われます。3誌の中で唯一新聞社資本(神戸新聞社の出資)が入っています。
 雑誌自体は2008年に休刊。
(*4)チューリップハット
 チューリップの花を逆さにしたような帽子。”ぴあ”の表紙の右から2番目の男の人がかぶってるやつです。こっちはwikipediaで検索しても出てこないのがちょっとさびしい・・
(*5)キャプテンシステム
 日本電信電話公社(現NTT)他が提供したビデオテックスサービス。
 今から見れば携帯電話以下のしょぼいグラフィックスとしか思えませんが、当時はニューメディアの旗手みたいにもてはやされてました。
(*6)ぴあフィルムフェスティバル
 ぴあが主催する自主映画のコンテスト&上映会。
 大学の映画サークルが自主映画を撮るのを描いた漫画”あどりぶシネ倶楽部”(細野不二彦、小学館、1986年発行)にも”18歳にして「ぽあ・フィルムフェスティバル」に入選を果たした青年”ってのがでてきます。オウム事件のはるか前なのでOKですが、今ならちょっとヤバいネタかも。

緊急事態に対処するって、深く考える人には向いていないのかもしれない(IT時代の震災と核被害/スーパーコンピューター”京”)

 ども、社内のITインフラ活用担当のおぢさん、たいちろ~です(これは本当)。
 まあ”情報共有の重要性”みたいな話ってのは以前からあるわけですが(*1)、この春から”SNSもやってみよう”ということになりましてその係もやってます。
 インフラはその時々で変わってきますが、大切なのは何を使うかではなくコンテンツを継続して出し続けられるかどうか。リテラシーに加えて”情報発信のモチベーション”みたいなのが求められます。
 そういった意味で今まで一番活性化したのが東日本大震災の時でしょうか。ということで今回ご紹介するのは東日本大震災とITに関する評論を集めた本”IT時代の震災と核被害”であります。


4010094
 写真はたいちろ~さんの撮影。
 富士通テクノロジーホールに展示されているスーパーコンピューター”京”です。


【本】IT時代の震災と核被害(コンピューターテクノロジー編集部 インプレス選書) 3月11日、東日本大震災が発生。東北地方を襲った未曾有の被害に対しグーグル、ヤフーなどのIT企業はどう動いたか、ツイッターや動画サイトの果たした役割はなんだったか?
 経営者、技術者、インターネットの情報発信者たちによる評論集。
【道具】スーパーコンピューター”京”
 浮動小数点数演算(*2)10ペタフロップス=毎秒1京回をこなす世界第1位(現在は第2位)スーパーコンピューター。”京”は理化学研究所が発表した愛称です。読み方は”きょう”ではなく”けい”。
 富士通テクノロジーホールは一般公開はしてませんが、富士通の社員にお願いするか、社会見学、一般公開日などでは一般の人でも見学することができるとのこと。
(詳しくは富士通の公式hpをご参照ください)


 東日本大震災の時に私んとこの本部内の情報発信担当をやってたんですが、3月11日ごろの記録を見ると、メールでやっていた被害状況などのやりとりをhpに公開し始めたのが12日(日)の朝8時ごろ。帰宅難民で会社に泊っていた人の中で最上位の幹部社員に了解をとって始めました(*3)。
 本書の中で、グーグルの”パーソンファインダー”(災害対策用の伝言ダイヤルみたいなもの)を立ち上げたウェブマスターマネージャーの川島優志が

  あまり深いことを考えていたら、きっと前に進めなかったでしょう。
  深く考える人には向いていない状況だったかもしれない。
  周囲と相談して、じゃあこれはナシにして、こっちにしよう・・・
  いや、やはりこのやり方はダメだ、こっちのほうがいい、みたいな進め方でしたね

てなことを言ってますが、よく分かります。ある意味てきと~というかアバウトというか出たとこ勝負みたいなのでやったほうがあの場合うまくいったんだろうと、てきと~でアバウトで出たとこ勝負な性格の私は思うのであります。
 社内のhpに本人以外に家族の安否確認情報を掲載したんですが、その時に”そこまで公開するのは個人情報の観点からいかがなものか”という意見もあったんですが”たくさんの人から電話で本人に問い合わせがあるほうが面倒。公開して文句を言われたらそんとき考えりゃいい(*4)”ということで、強引に押し切りましたが、別に誰も何も文句いってきませんでした。まあ、案ずるより産むが易しということかもしれません。

 同じ部の人んとこにアメリカから”USTREAM(*5)でNHKの放送が見れるらしいぞ”というメールが来たのがその後で、上記のhpでこの情報を公開したのが13日の10時ごろ。大型ディスプレイを占拠して空いてるパソコンをくっつけて24時間流しっぱなしにしてました。
 とまあ、何気に書いてますが、ちょっと考えるとこれはすごいことで、日本の状況をアメリカから教えられるとか、かたくなに同時放送を拒んでいた放送局が協力しているとか
 この本を読んで初めて知ったんですが、USTREAMにNHKのニュースを流したきっかを作ったのって中学2年生とのこと。TV画面をiPhaneの内臓カメラで撮影して配信するという方法だったそうです。この”ハイテクの中のローテク(*6)”みたいなのって実はコロンブスの卵で、大人がこれをやろうとすると法的問題がど~の接続システムがこ~のって始まっちゃいます

 法的に言えば明らかに著作権侵略行為で違法なんですが、これをNHKの担当者が独断で黙認したのってのも平時ではありえないことです。この担当者が質問に答えて

  あれほどの緊急時に、情報を必要としている人に、
  必要な情報が届いていないのなら、自分たちがその方法を持っていないのなら、
  他のあらゆる手段を探してでも届けるべきだと考えました。

まあ、それなりに苦悩や軋轢はあったと思われますが、この人も結局は”出たとこ勝負”と思ったんじゃないでしょうかね。

 純粋にITという点ではスーパーコンピューター”京”で地震シミュレーションをやってる海洋研究開発機構(*7)の堀高峰研究員の話なんかも出てきてます。
なんでも地震の予測という点では一般の人が期待しているのと、研究者が目指しているレベルと現実にできているレベルはとても大きなギャップがあるとのこと。スーパーコンピューターを使ってできるのは、あいまいさの定量化(平均的にはこういったことが起きるが、これぐらいのバリエーションがある)や予想スシナリオの絞り込み、建造物被害への影響度、建物などを考慮した津波被害の分析とかなのだそうです。
 そんな研究者でも

  テレビの映像を見て、とにかくショックでぼう然としました
  津波の被害に関しても、地図でここまで来たという絵と、
  実際に空港が飲み込まれていく映像のギャップが大きすぎて
  自分の研究には意味がないのでは、と悩みました

と言ってるのが印象的でした。

 実はこの本、政府や東京電力の情報開示のやり方、新聞やテレビといった従来のマスコミの報道姿勢、インターネット/SNSのありよう、さらには日本という国の将来の形みないな深い話題がたくさん載っています。
 ことの主張に賛否ははあるでしょうが、非常事態をトリガーに顕在化したいろいろな問題をITをキーに評論したという点では面白い本です。

《脚注》
(*1)以前からあるわけですが
 1990年代半ばから社内のhp担当みたいなことをやってましたので、かれこれ15年以上やってることになります。このころは社内の公式サイトのルールみないなのはほとんどなく、勝手にサーバーくっつけて対応してました。今なら情報セキュリティ規定なんかで認められないんでしょうけどね。
 制度が既成事実を後追っかけするのはままあることです。
(*2)浮動小数点数演算
 コンピューターが計算をするときには無限に数字が並ぶのではなく仮数部×基数指数部という形で扱います。簡単にいうと”300”を表現するには”3×10”になります。
(*3)最上位の幹部社員に了解をとって始めました
 細かい説明なんかせずに”情報発信のサイト作ります”と言っただけですんで、許可を求められた幹部社員だって何を始めるんだかわかっちゃいなかったと思います。
 まあ、”独断専行”と言われないように形式要件を整えておくってのも”大人の知恵”です。単に”大人ってずるい”だけかもしれませんが・・・
(*4)たくさんの人から電話で本人に問い合わせがあるほうが面倒
 実は私自身がそう。私が東京に単身赴任で家族は仙台でしたが、メールや電話で問い合わせがくると(それはそれでありがたいことですが)対応が大変だろうと手っ取り早いやり方にしました。
 まあ、当事者だけに説得力があったのかもしれません。
(*5)USTREAM
 ソフトバンク系のライブ配信型動画配信サイト。
(*6)ハイテクの中のローテク
 かつて録画テープが非常に高価だったため、放送局でも使いまわしをしていたために古い番組の画像ってのは意外に残ってません。たまに発見されるのはTV番組を8ミリフィルムで撮影したものだったりします。
(*7)海洋研究開発機構
 JAMSTEC(Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)
 2006年に公開された映画”日本沈没”では制作協力に名前を連ねています。

つないだ手 はなすきっかけないままに 歩きつづける朝顔祭り(風が笑えば/涼宮ハルヒの憂鬱/入谷朝顔まつり)

 ども、週末はガーデナーなおぢさん、たいちろ~です。
 まあ植えているものを見ると家庭菜園ティストなんですが(*1)、植物を育てるのを趣味にしている人は多いかと。そんな趣味がない人でも育てたことがありそうなのが今回のお題でもある”朝顔”。小学校低学年の夏休みの宿題の定番が”朝顔の観察日記”ですので、日本人なら一度は育てたことがあるはず。
 ということで、今回のネタは”入谷の朝顔まつりに行ってきました”であります。

 写真はたいちろ~さんの撮影。

言問通り沿いの朝顔のお店。店員のお姉さんが鯔背(いなせ)です。

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 鬼子母神(*2)の境内の中にて。朝顔エプロンが似合ってました。

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 朝顔を眺める女子高生のみなさん(*3)。

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【本】風が笑えば(短歌 俵万智、写真 奥宮誠次 中央公論新社)
 奥宮誠次の写真を見て俵万智が詠んだ短歌をまとめた本。
 本の題名になっている短歌は川べりを写した写真につけた 

   川べりの道を散歩に選ぶ午後 風が笑えば水面が笑う

 からとられたものです。
【本】涼宮ハルヒの憂鬱(谷川 流、イラスト いとう のいぢ、角川スニーカー文庫)
【DVD】涼宮ハルヒの憂鬱(平野綾、京都アニメーション)
 夏休みもあと2週間、オレ達SOS団の団員はいつものように団長”涼宮ハルヒ”から呼び出しを受けた。なんでもこれから夏休みをとことん遊び倒すんだそうだ。だが、この既視感はなんなんだ・・・(エンドレスエイト)
 アニメ版ではまったく同じストーリを一切使いまわしをせずに8話続けたということで賛否を呼びました。(私はすごいと思いましたが)
 原作の小説では第5巻”涼宮ハルヒの暴走”に収録
【旅行】入谷朝顔まつり
 もともとは入谷近辺で朝顔を栽培していたのを陳列したのが始まりとか。
 さすがに都会のど真ん中では地価的にムリがあったのかいったんは姿を消したそうですが(*4)、昭和23年に復活。
 2012年度は7月6日(金)~8日(土)まで(詳しくは公式hpをどうぞ)
 ちなみに、朝顔の季語は夏ではなく秋、花言葉は”、愛情のきずな、はかない恋、愛着、固い約束”など。


 さて、入谷朝顔まつりに行こうと思ったのが表題にもなっている俵万智の

   つないだ手 はなすきっかけないままに 歩きつづける朝顔祭り

 から。この短歌を詠んで”甘酸っぱい”と思うか”ケッ!”と思うかは人それぞれ。まあ、どんな青春を過ごしてきたかによるのかと。
 まあ、シチュとしては高校生のカップルやっぱり浴衣でしょうか。ゲタを鳴らてし、ちょっとぎこちなく手をつないで歩く二人。付き合い始めたばかりでしょうか。いいですねぇ、こういうのって(おぢさんの妄想かもしれませんが・・・)

 実際の入谷朝顔まつりは人がいっぱいで、そんなカップルなんかいませんでしたが、まあ、浴衣のお姉さんは少しはいました。思うに花の意匠の衣装ってキャラ設定がストレートに出るのってやっぱし浴衣ですね。洋服だと花柄でもそんなに思いません。
 で、朝顔柄の浴衣ということで”涼宮ハルヒの憂鬱”の”エンドレスエイト Ⅳ”から。長門有希さんが朝顔柄の浴衣をお召しになっております。

Haruhiyukata
 そもそも”エンドレスエイト”ってのは夏休みをえんえん繰り返すって話ですが、出てくる夏祭りのシーンで女性陣はみなさん浴衣です。

 ・おとなしい無口キャラの長門 有希さんは紺色系
  花の意匠は朝顔とか幾何学系
 ・かわういいじられキャラの朝比奈 みくるさんはピンク系か黄色系
  花の意匠は桜とか梅、百合なんか
 ・傍若無人にして元気キャラの涼宮 ハルヒはなんでもありですがハデな色
  花の意匠はぼたん、ひまわり、梅、ムクゲ(かな?)なんか

 が多いかと。まあ、アニメなんかだとキャラがはっきりしているので意匠なんかもわかりやすいんだろうなぁ。
 上にある写真のお姉さんたちがリアルにどんなキャラかはわかりませんが、それはそれとして見てる分には実害はないかと。

 入谷朝顔まつりは七夕の3ケ間開催。”朝顔”だからと朝から行ったんですが夜11時までやってるのであわてなくてもよさそうです。浴衣で行けばいいんですがそんなもん持ってきてないので適当な洋服でいきましたが、ぜひ若い女性に方々には浴衣を着ていただきたいものです。

《脚注》
(*1)家庭菜園ティストなんですが
 ガーデニングと家庭菜園は良く似ているようで世間体がかなり違います。
 このへんのビミョ~なニュアンスの違いは”プチ家庭菜園のすすめ”でどうぞ
(*2)鬼子母神
 入谷にある法華宗のお寺”真源寺”です。
 鬼子母神は他人の子を捕えて食べてしまう凶暴な悪神でしたが、釈迦により愛児を隠されて母親の苦しみを知り仏教に帰依、安産、子育ての守護神になりました。
 ”きしぼじん”ではなく”きしもじん”、”鬼”の字も善神になったので上にある角(ノ)がないのが正解です。
(*3)女子高生のみなさん
 別に確認したわけじゃないですが。
 だいたい女性の年齢が分からないの歳をとった証拠。会社の女性の年齢にしたところで(以下、自主規制)
(*4)いったんは姿を消したそうですが
 配布されていたパンフレットを見ると”遂に大正二年に意地づくで踏留まっておった植松の廃業を最後に~”という記載がありますが”意地づくで”ってのがすごいですね。普通のパンフレットにゃ書かないと思うけど・・

ニャル子さん、歳いくつ? 禁則事項です♡(這いよれニャル子さん/バール)

 ども、名状しがたいパロディな生活をすごしているおぢさん、マッドたいちろ~です。
 このブログは基本的には本や映像作品を扱っています。原則としてこれらの作品は必ず読むなり見るなりしています。なんせ歳が歳ですので昭和のフルネタなんかも出てきますが問題はこのブログを読む人が原典を知ってるかということ。ましてやパロディネタなんかだと知ってるようで意外と原典をちゃんと読んでないってのは良くあることです。
 たとえば、SFの原点”竹取物語”にしたところで、ストーリーはそれこそ小学生でも知ってるでしょうが、じゃあ古文で読んだことあるかというと、まあほとんどの人が”否”と答えるんじゃないかと。
 ということで、知ってるようで知らない原作のパロディ作品”這いよれニャル子さん”であります。


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 写真はマッドたいちろ~さんの撮影。近所のDIYの店で売っていたバール。
 一番長いのが900mm。持ってみましたが結構重かったです。


【DVD】這いよれニャル子さん(原作 逢空万太 GA文庫、アニメ ジーベック)
  高校生の八坂真尋(まひろ)は夜道で怪物に襲われ、謎の少女に救われる。彼女は悪い宇宙人から真尋を守るために派遣された”ニャルラトホテプ”、自称”ニャル子さん”だった・・
 クトゥルー神話を元ネタにしたラブコメ(ラブクラフトコメディ)。2012年にTVアニメ化されました。
【道具】バール
 梃子の原理を利用する金属製の棒。ちっちゃいのは釘抜き。
 よくATMなんかが強奪された時にニュースで”バールのようなものでこじ開けられ・・”という解説が出ますが、いちおう本来的な使い方です。
 ニャル子さんは武器に使っていますが、良い子はマネをしないように。
 ちなみに、バールの重量は上記のヒラタ製平バールの場合2.43kgと日本刀の3倍近いので、自在に振り回すには相当の体力が必要です。


 ”ニャルラトホテプ”といえばクトゥルー神話に登場する旧支配者の一柱。何にでも変身できる神様ですが、ニャル子さんは女子高校生タイプ。真尋さんが”ニャルラトホテプは触手がうごめいていたり”とか聞いてますが、

  御望みとあればその姿にもなれますが、SAN値が下がりますよ

と突っ込んでいます。できればやめていただきたいものです。
 私服では胸元の大きなリボンとスカートが白黒のチェック柄ですが、錯視でも狙ってるんでしょうか?
 苦手とするのは”生ける炎 クトゥグア(クー子)”。中の人がゆのさんと吉野家先生の怪しいラブシーン?が笑えます
 敵キャラのノーデンスってのは、幻夢境(ドリームランド)の地下に広がる暗黒世界の統治者ということで、巨大テーマパーク”ルルイエランド”にいるのはありかも。

 ということで、wikipediaとかで調べるとこんな感じですが、設定そのものはわりとムダに原作に忠実みたいです。まあ、知ったような顔して書いてますが、実は原作のクトゥルー神話って読んだことないんですね。読もうと思って昔”ラヴクラフト全集(創元推理文庫版)”買ったんですが今は押し入れ=混沌の中に沈みこんでるんな~~
 真尋さんは”ラヴクラフトの小説を読んだことがある”と言ってますが、ニャル子さんとの会話にほとんど説明なしで突っ込めてるんだから、結構なホラーマニア。現実にこんなについていける高校生がいたら、それはそれで残念な人じゃないかと・・・

 アニメ版はクトゥルー神話以外にもアニメのフルネタのオンパレードなんですが、はたしてこのアニメの視聴者層の人ってモトネタわかってるんでしょうか? ”おまえの罪を数えろ!”ばりに知ってる人と視聴者層が完全にずれてるんじゃね?!とか思っちゃいます。

 最初にずっこけたのは、ニャル子さんの口上。

  星から星に泣く人の、涙背負って邪神の始末
  いつもニコニコ真尋の隣に這い寄る混沌”ニャルラトホテプ”
  お呼びとあらば即参上!!

 これのモトネタって、”銀河旋風ブライガー”のオープニングから。

  夜空の星が輝く陰で、ワルの笑いが木霊する。
  星から星に泣く人の、涙背負って宇宙の始末。
  銀河旋風ブライガー、お呼びとあらば即参上!!

   ※YouTubeでこちらから

 

柴田(あしゅら男爵♂)秀勝の名調子ですが、このアニメの放映されたのって1981年~82年とほとんど30年前の作品。当時はそれなりに話題になって、私も何回か観ましたが、当時はDVDどころかVHSがやっと市場に出回りだした時期。いちおうDVD化もされているのでまったく今でもまったく観れないとは言いませんが、今の高校生が知ってるとは思えん・・・
 ニャル子さんて、いったい歳いくつなんでしょう???

 CMなんかで知ってはいるけど、映像で見てるかというと??なのが”巨人の星”ネタ。
 カプセル怪獣を出す時のポーズは星飛雄馬の大リーグボール2号の投球シーンだし、クー子のあやつるビットから打ち出される火球を打ち返すのって花形満が大リーグボール1号を打ち返すシーンだし。ノリは完全に昭和高度成長期です。

 ニャル子さんが戦闘シーンで叫ぶ

   無駄、無駄、無駄、無駄ァァァ!!

 とか、”地球の娯楽は宇宙一ィイイ!”のモトネタ、シュトロハイムの

  我がナチスの科学力はァァァァァァァアアア世界一ィィィイイイイ

なんてジョジョネタも昭和末期から平成初期ですから、大学生あたりが生まれたころ。わかるんかなぁ??

 この作品のモトネタおまとめサイトがあるんですが、言われて思いだした大モトネタとしてはエンディングに出てくるキャプテン・フューチャーの”コメット号”(ロケット噴射する色違いR2-D2みたいやつ)。
 キャプテン・フューチャーですよ、スペース・オペラですよ、スペース・オペラ!
 早川の銀背で出たのが1966~7年、早川文庫が70年代前半。バローズの”火星のプリンセス”が出版されたのが1965年、”マルペ”の1巻目が1971年。復刻されたり、今ごろ映画化されたり、今でも続いてたりはしますが、スペオペ全盛期って1970年~80年ごろだからもう3~40年近く前。さすがにおぢさん世代でも忘れてました。

 この作品、DVDで2話まで見ただけですが、この手の話題がてんこもりだそうです。まあ、元ネタわかんなくても面白そうですが、わかったほうがもっと面白いかも。そういう意味ではヲタク向けかもしれません。私は違いますけど・・・

PS.私のブログの特徴である膨大な”脚注”は今回はありません。
   興味がある人はぐぐってみましょう。
   まあ、モトネタ探しも楽しみの一つということで・・・


ずっと昔からあったものが、突然消えてしまうってのは意外に衝撃的なものです(ビブリア古書堂の事件手帖3/鶴岡八幡宮の銀杏)

 ども、古書好きのおぢさん、たいちろ~です。
 主にお金がないせいで古本屋ってのをよく利用します(*1)。新刊の本屋と違ってかつて話題になった本とか若いころ読んだ本がヘコっとあったりしてそれはそれで面白いモンです。
 で、行ってみたい古本屋さんといえばコミック系だったら”金魚屋古書店(*2)”、文学系だったら”ビブリア古書堂”でしょうか。
 ということで今回ご紹介するのは先日出版された”ビブリア古書堂の事件手帖3”であります。あっ、これは新刊本屋さんで買いました。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。鶴岡八幡宮の銀杏。
 上は元生えていた所に出たひこばえ(*3)、下は元の木から出ている新芽です。


【本】ビブリア古書堂の事件手帖3(三上延 メディアワークス文庫)
 就職浪人の五浦大輔は、亡くなった祖母の夏目漱石の本が縁での篠川栞子の経営する古本屋”ビブリア古書堂”でアルバイトをすることになった。栞子は極度の人見知りながらで古書については超絶的な博識を持つ美女。その知識でさまざまな謎を解明していく。
 3巻のサブタイトルは”栞子さんと消えない絆”。
【花】鶴岡八幡宮の銀杏
 鶴岡八幡宮の大石段の横に立っていた大銀杏。1219年に源頼家の子の公暁がこの木に隠れて待ち伏せし源実朝を殺害したといういわれのある木でしたが、2010年3月の強風のために倒れました
 元の場所の根を保全し、元の木を移植して現在は小さいながらも次の世代の木が育っています。
 ありし日の大銀杏はこちらでどうぞ。


 3巻の扉絵にあるのが、鶴岡八幡宮の大石段。この本が出る直前に行った「聖地巡礼 ”ビブリア古書堂”の近所に咲くあじさいを見に行きました(*4)」で鎌倉に行った時に撮った写真ですが、まさか3巻の扉になるとはなぁ。
 でも、この銀杏ってストーリーにほとんど関係してないんですね、今のところ。
 五浦大輔が高校の同級生と初詣に行った話で出てきます。

  俺は拝殿よりも大銀杏の根っこの前で長く立ち止っていた。
  樹齢何百年の巨木が春の大風で倒れたことはもちろん知っていたが、
  自分で見るのは初めてだった。
  ずっと昔からあったものが、突然前触れもなく消えてしまう---
  自分とあまり関わりのないものでも、意外に衝撃を受けるものだと思った。
  いや、別になにかのたとえ話、というわけではなく。

 でも、なんか気になるネタフリだな~

 栞子さんのお母さんの千恵子っていう人は、栞子さんを上回る古書の知識のある人ですが、理由はわかりませんが栞子さんが高校のころに突然いなくなって、今は音信不通状態。”突然前触れもなく消えてしまう”人です。
 大輔君のお父さんは大輔君が生まれる前に他界しています(その分お母さんが男前な性格ですが)
 サブキャラのセドリ屋(*5)の志田さんはホームレスで家族がいません。

 この小説のメインキャラってなにかしら家族に恵まれてない人が多いんですね。その他のゲストキャラも家族がいても仲悪い人が多いし。
 特に栞子さんの場合。およそ古書に関しては超人的な知識と推理力を誇る栞子さんですが、お母さんはそれを上回る人だったようです。栞子さんと違って押しの強い人だったみたいだし(人格的にはちょっと問題ある人だったようですが)。まあ、栞子さんにとっては目の前に立つ巨木みたいな人だったんじゃないかと。
 2巻の第三話から3巻にかけてはお母さんネタの話が続いてますが、けっこう確執があるみたいで今後の展開が楽しみです。

 話はかわりますが、”本”ってのもある意味ほとんどがいつの間にか消えてってる存在なんですね。大輔君がビブリア古書堂にかかわるきっかけになった夏目漱石みたく繰り返し全集が出るような”古典”はともかく、一時べストセラーになった本でもいつの間にか絶版になってるのが山ほどあります。まあ、図書館を探せば見つかる場合も多いですし、B○○k○FFあたりでマメに探すとあったりなんかしますが。まあその分、”今買わないと次にいつ見つかるか分からない”と思って買っちゃうので、余計にお金がかかるんですが・・・

 ブログなんかを書いてて、”この本あるかな”と思ってamazonで調べてみると”出品者からお求めいただけます=絶版”になってたりすると、あんなに売れてなのにな~~~ なんて思っちゃいます。
 上記の大銀杏も見たのは3年ちょっと前ですが、久しぶりに見に行って改めてなくなってるのを見ると”ほえ~~”っていう感じと似てるかななぁ。まあ、木も本もまた新しい芽が出てくるんで、そっちも感動的ではあるんですが。

 ”ビブリア古書堂の事件簿”は先日3巻が発売。コミック版も出ましたので(*6)、本好きにはお勧め。特にまじめな古書派には楽しめる本です。


《脚注》
(*1)主にお金がないせいで
 ”本は一期一会”と申しましょうか、見つけた時が買い時なので実は古本屋通いの方がお金使うんですね~~~
 月に数万円使う本代を節約しないと、そろそろ老後の生活に困るのはわかってるんですが・・・
(*2)金魚屋古書店
 芳崎せいむの漫画”金魚屋古書店”に登場する古本屋さん。
 この作品でのマニアックな知識の持ち主はアルバイトの斯波 尚顕(しば なおあき)で、店長代理のヒロイン鏑木 菜月(かぶらぎ なつき)はあんまり漫画のことを知らないと”ビブリア古書堂”と立ち位置は逆です。
(*3)ひこばえ
 樹木の切り株や根元から生えてくる若芽のこと。漢字で書くと”
 鶴岡八幡宮の説明のプレートに漢字で書かれてましたが、その場では読めませんでした。頼むからふりがなふってください。
(*4)聖地巡礼 ”ビブリア古書堂”の近所に咲くあじさいを見に行きました
 まあ北鎌倉の円覚寺、明月院、建長寺あたりのあじさいを見に行ったんですが。
 ご興味のある方はこちこちらからどうぞ(前編後編
(*5)セドリ屋
 古書店等で安く売っている本を買い、他の古書店等に高く売って利ざやを稼ぐ人のこと(wikipediaより)。”高く売れる本”を見抜く知識がないとできない仕事かと思ってましたが、最近B○○k○FFの半額フェアの日に、朝からiPhoneみたいなので片っ端からバーコードスキャンして山ほど本を買っている人がいますがあれもそうでしょうか。意外な所にIT化が進んでいます。
(*6)コミック版も出ましたので
 ”カドカワコミックス・エース”(角川書店)より。漫画化はナカノ。
 栞子さんがとってもかわういです。ロングヘアー、眼鏡っ子ジャストミートだし。
 意外かもしれませんが、原作版の表紙の栞子さんはなぜかみんな横向きで、正面から栞子さんがアップで出てくるのは漫画版が初めて

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