« 萩尾望都の漫画版を合わせ、ぜひ読んでいただきたい名作です(ウは宇宙船のウ/宇宙服) | トップページ | ずっと昔からあったものが、突然消えてしまうってのは意外に衝撃的なものです(ビブリア古書堂の事件手帖3/鶴岡八幡宮の銀杏) »

「男の娘」が生きにくい時代もあったんですよ、ちょっと前まで(桐に赤い花が咲く/吾輩は「男の娘」である!/桐)

 ども、どう見ても女装は似合わないおぢさん、たいちろ~です。
 先日、近所の公園に釣鐘状の薄青色の花が咲きました。奥様に尋ねたところ(*1)”桐ではないか”とのこと。

えぇ!、桐の花って赤くないの?

 そう、この年になるまで桐の花は赤いと思ってたんですね。なぜ、このような誤解をしていたかというと、昔読んだん本の題名のせいです。
 ということで、今回ご紹介するのはそんな誤解を与えた本、渡辺淳一の”桐に赤い花が咲く”であります。


6020131
写真はたいちろ~さんの撮影。近所の桐の木(たぶん)です。


【本】桐に赤い花が咲く(渡辺淳一 集英社文庫他)
 新宿のマンションで若い女性が局所が無惨に切り刻まれた死体で発見された。担当の桑島刑事は犯人を恋人の”関屋利夫”と断定しその行方を追うが、ようとして知れなかった。その1年数ケ月後、今度は局所を傷つけられた男の絞殺死体が発見された。犯人と目される若い女性のモンタージュを見た桑島刑事はあることに気づく。”関屋利夫に似ている”。はたして犯人は同一なのか、男なのか女なのか・・・
 恋愛小説の大家、渡辺淳一による異色のミステリー
【本】吾輩は「男の娘」である!(いがらし 奈波 コンペイトウ書房)
 「男の娘(おとこのこ)」とは、女の子のように可愛い2次元の女装少年のこと。
 女装男子”いがらし 奈波”によるコミックエッセイ。扉にご本人の写真が載ってますが、マジきれい。30歳近い男性には見えません。
【花】桐(きり)
 キリ属の落葉広葉樹。
 湿気を通さず、割れや狂いが少ないため、高級箪笥の材料として使われます。成長が早いので女の子が生まれると、桐の木を植えて結婚する時にその桐で嫁入り道具の箪笥を作ったそうです。


 表題の”桐に赤い花が咲く”ってのは、犯人が自分の体の特徴に対する質問に診断したお医者さんが、

  どうしてもといわれても、生まれつきとしかいえません。
  まあ、桐に赤い花が咲いたようなものです。

 と答えたことから。この本を読んだ当時は桐の花がどんなのか知らなかったので”そんなもんか”と思って読み飛ばしてたんですが違ってたんですねぇ。

 ネタバレになるのであんまり詳しく書けませんが、犯人は自分の体のコンプレックスから犯行に至るわけですが、このお医者さんは犯人に対してこんなことを言ってます。

  このごろのように考え方が自由になってくると、
  男とか女とか、必ずしもどちらかでなけれはならないといった考え方は、
  次第に消えてきている。
  今日は男、明日は女というように、どちらでもいい。
  自分は好きなほうになってかまわない。しかもそれを誰も気にしない。
  いまにそんな時代がくるかもしれない。

 桑原刑事はそれが満更、遠い先のことでないような気がすると思ってます。
 この本が出たのは1981年のことですので、ほぼ30年前。そんなに遠い昔とは言えない時代です。

 で、今はどんなんかというと、もう一冊の本”吾輩は「男の娘」である!”です。美人で巨乳のOLの彼女がいて、ちゃんとエッチもしている立派な男性ですが趣味が女装。女の子のファッションを楽しむのが「男の娘」なんだそうですが、いがらし 奈波は元ジャニーズJr.に所属というイケメンなので、女装してもかなりの美形。
 さらに、本来は反対に回るはずの彼女が応援してて、さらに深みに誘っているとこ。まあ、彼女からしてコスプレイヤー(*2)なのでわからんでもないですが・・

 その上すごいのが、いがらし 奈波のオカン。何の前触れもなく女装のコスプレの写メを送られても

  ぶぅわっはっはっ! いいぞー! もっとやれ!

 と応援する始末。
 名前を聞いてひょっとしたらと思ったらおばさん世代。そう、奈波のオカンってのは”キャンディ・キャンディ(*3)”の作者、”いがらしゆみこ”です。さすがに漫画家ってのはまともな神経ではないらしい・・・

 まあ、この本を読んでると、お医者さんや桑原刑事の予想は当たったんだろうって気になりますねぇ。

 でも、”桐に赤い花が咲く”の犯人がこの本を読んだらどう思うんでしょう。
 もし犯人が今の時代に生きてたら自分は犯罪者じゃなくて、ヒーロー(ヒロイン?)になれたかもとか思ったりして・・・

 ”桐に赤い花が咲く”は、トリックとか、犯人探しとかの要素は希薄なのでミステリーとは言い難いかもしれません。むしろ最終章に凝縮された犯人のキャラクター造形を楽しむ本かと。お暇な時にでもどうぞ。

《脚注》
(*1)奥様に尋ねたところ
 奥様は”フラワークラフト作家”というものをやっておりまして、この分野は本職です。その影響で私が花のブログ(いちおう)を書いてるってわけではありませんが。
 ご興味のある方は奥様ブログ「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」をご覧ください。
(*2)コスプレイヤー
 アニメなどのキャラクターの衣装を着るのがコスプレ。これを行う人がコスプレイヤー (cosplayer) です。
 会社の後輩にコスプレイヤーの人がいて、機動戦士ガンダムに登場する”セイラさん”のコスプレ写真を見せてもらいましたが、ジャストミートでした。
(*3)キャンディ・キャンディ
 1970年代後半に大ヒットした漫画&アニメ。大学時代に友人(♂)から”妹の本だから”とわざわざ言い訳付きで借りたのを読みました。泣かせるストーリーです。
 ちなみに、アニメ版でキャンディの想い人であるアンソニーの声を演じたのがいがらし 奈波の父”井上和彦”です。

« 萩尾望都の漫画版を合わせ、ぜひ読んでいただきたい名作です(ウは宇宙船のウ/宇宙服) | トップページ | ずっと昔からあったものが、突然消えてしまうってのは意外に衝撃的なものです(ビブリア古書堂の事件手帖3/鶴岡八幡宮の銀杏) »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

小説」カテゴリの記事

心と体」カテゴリの記事

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/528774/55061253

この記事へのトラックバック一覧です: 「男の娘」が生きにくい時代もあったんですよ、ちょっと前まで(桐に赤い花が咲く/吾輩は「男の娘」である!/桐):

« 萩尾望都の漫画版を合わせ、ぜひ読んでいただきたい名作です(ウは宇宙船のウ/宇宙服) | トップページ | ずっと昔からあったものが、突然消えてしまうってのは意外に衝撃的なものです(ビブリア古書堂の事件手帖3/鶴岡八幡宮の銀杏) »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ