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2012年6月

「男の娘」が生きにくい時代もあったんですよ、ちょっと前まで(桐に赤い花が咲く/吾輩は「男の娘」である!/桐)

 ども、どう見ても女装は似合わないおぢさん、たいちろ~です。
 先日、近所の公園に釣鐘状の薄青色の花が咲きました。奥様に尋ねたところ(*1)”桐ではないか”とのこと。

えぇ!、桐の花って赤くないの?

 そう、この年になるまで桐の花は赤いと思ってたんですね。なぜ、このような誤解をしていたかというと、昔読んだん本の題名のせいです。
 ということで、今回ご紹介するのはそんな誤解を与えた本、渡辺淳一の”桐に赤い花が咲く”であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。近所の桐の木(たぶん)です。


【本】桐に赤い花が咲く(渡辺淳一 集英社文庫他)
 新宿のマンションで若い女性が局所が無惨に切り刻まれた死体で発見された。担当の桑島刑事は犯人を恋人の”関屋利夫”と断定しその行方を追うが、ようとして知れなかった。その1年数ケ月後、今度は局所を傷つけられた男の絞殺死体が発見された。犯人と目される若い女性のモンタージュを見た桑島刑事はあることに気づく。”関屋利夫に似ている”。はたして犯人は同一なのか、男なのか女なのか・・・
 恋愛小説の大家、渡辺淳一による異色のミステリー
【本】吾輩は「男の娘」である!(いがらし 奈波 コンペイトウ書房)
 「男の娘(おとこのこ)」とは、女の子のように可愛い2次元の女装少年のこと。
 女装男子”いがらし 奈波”によるコミックエッセイ。扉にご本人の写真が載ってますが、マジきれい。30歳近い男性には見えません。
【花】桐(きり)
 キリ属の落葉広葉樹。
 湿気を通さず、割れや狂いが少ないため、高級箪笥の材料として使われます。成長が早いので女の子が生まれると、桐の木を植えて結婚する時にその桐で嫁入り道具の箪笥を作ったそうです。


 表題の”桐に赤い花が咲く”ってのは、犯人が自分の体の特徴に対する質問に診断したお医者さんが、

  どうしてもといわれても、生まれつきとしかいえません。
  まあ、桐に赤い花が咲いたようなものです。

 と答えたことから。この本を読んだ当時は桐の花がどんなのか知らなかったので”そんなもんか”と思って読み飛ばしてたんですが違ってたんですねぇ。

 ネタバレになるのであんまり詳しく書けませんが、犯人は自分の体のコンプレックスから犯行に至るわけですが、このお医者さんは犯人に対してこんなことを言ってます。

  このごろのように考え方が自由になってくると、
  男とか女とか、必ずしもどちらかでなけれはならないといった考え方は、
  次第に消えてきている。
  今日は男、明日は女というように、どちらでもいい。
  自分は好きなほうになってかまわない。しかもそれを誰も気にしない。
  いまにそんな時代がくるかもしれない。

 桑原刑事はそれが満更、遠い先のことでないような気がすると思ってます。
 この本が出たのは1981年のことですので、ほぼ30年前。そんなに遠い昔とは言えない時代です。

 で、今はどんなんかというと、もう一冊の本”吾輩は「男の娘」である!”です。美人で巨乳のOLの彼女がいて、ちゃんとエッチもしている立派な男性ですが趣味が女装。女の子のファッションを楽しむのが「男の娘」なんだそうですが、いがらし 奈波は元ジャニーズJr.に所属というイケメンなので、女装してもかなりの美形。
 さらに、本来は反対に回るはずの彼女が応援してて、さらに深みに誘っているとこ。まあ、彼女からしてコスプレイヤー(*2)なのでわからんでもないですが・・

 その上すごいのが、いがらし 奈波のオカン。何の前触れもなく女装のコスプレの写メを送られても

  ぶぅわっはっはっ! いいぞー! もっとやれ!

 と応援する始末。
 名前を聞いてひょっとしたらと思ったらおばさん世代。そう、奈波のオカンってのは”キャンディ・キャンディ(*3)”の作者、”いがらしゆみこ”です。さすがに漫画家ってのはまともな神経ではないらしい・・・

 まあ、この本を読んでると、お医者さんや桑原刑事の予想は当たったんだろうって気になりますねぇ。

 でも、”桐に赤い花が咲く”の犯人がこの本を読んだらどう思うんでしょう。
 もし犯人が今の時代に生きてたら自分は犯罪者じゃなくて、ヒーロー(ヒロイン?)になれたかもとか思ったりして・・・

 ”桐に赤い花が咲く”は、トリックとか、犯人探しとかの要素は希薄なのでミステリーとは言い難いかもしれません。むしろ最終章に凝縮された犯人のキャラクター造形を楽しむ本かと。お暇な時にでもどうぞ。

《脚注》
(*1)奥様に尋ねたところ
 奥様は”フラワークラフト作家”というものをやっておりまして、この分野は本職です。その影響で私が花のブログ(いちおう)を書いてるってわけではありませんが。
 ご興味のある方は奥様ブログ「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」をご覧ください。
(*2)コスプレイヤー
 アニメなどのキャラクターの衣装を着るのがコスプレ。これを行う人がコスプレイヤー (cosplayer) です。
 会社の後輩にコスプレイヤーの人がいて、機動戦士ガンダムに登場する”セイラさん”のコスプレ写真を見せてもらいましたが、ジャストミートでした。
(*3)キャンディ・キャンディ
 1970年代後半に大ヒットした漫画&アニメ。大学時代に友人(♂)から”妹の本だから”とわざわざ言い訳付きで借りたのを読みました。泣かせるストーリーです。
 ちなみに、アニメ版でキャンディの想い人であるアンソニーの声を演じたのがいがらし 奈波の父”井上和彦”です。

萩尾望都の漫画版を合わせ、ぜひ読んでいただきたい名作です(ウは宇宙船のウ/宇宙服)

 ども、オールドなSFファンのおぢさん、たいちろ~です。
 2012年6月5日、レイ・ブラッドベリ(*1)がお亡くなりになりました。

   おぉ、ブラッドベリ! 抒情派SFの巨匠!!

 おそらくおぢさん世代にとって、ブラッドベリってSF体験の原点の一つであり、SFの無限の可能性を感じさせてくれた作家ではないかと。
 ということで、今回ご紹介するのはブラッドベリの代表作の一つ”ウは宇宙船のウ”であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。
宇宙戦艦ヤマト艦長”沖田十三”の宇宙服(制服)です。
2010年に赤坂で開催された”宇宙戦艦ヤマト(実写版)”のイベントにて。


【本】ウは宇宙船のウ(レイ・ブラッドベリ 創元SF文庫)
 「早く大人になりたいな、あんな宇宙船に乗り組めるように」
 クリス少年は空色のヘリコプターが来るのを待っていた。宇宙業務の選抜を告げるヘリコプターを。そしてある日ヘリコプターはやってきた。少年を宇宙に誘うために・・
(「ウ」は宇宙船の略号さ)
 ”霧笛”、”宇宙船乗務員”、”太陽の金色のりんご”などを収録した短編小説集。
【本】ウは宇宙船のウ(原作:レイ・ブラッドベリ 漫画:萩尾望都 小学館)
 上記の”ウは宇宙船のウ”を始め、”霧笛”、”宇宙船乗務員”(原作は”ウは宇宙船のウ”に収録)、”ぼくの地下室へおいで”(”スは宇宙(スペース)のス”に収録)、”集会”(”10月はたそがれの国”に収録)などを萩尾望都が漫画化。1977~8年に”週刊マーガレット”に掲載されました。
 ブラッドベリの抒情的な雰囲気と萩尾望都のテイストがべストマッチした作品集。
【道具】宇宙服
 宇宙服というとヘルメット付きのごついのを思われたかもしれませんが、あれは船外服で四六時中着てるもんじゃありません。当然、宇宙船内で着る服もあるわけです。
 国際宇宙ステーション(ISS)なんかは実験設備なのでラガーシャツみたいなのを着ていますが、SFモノだと軍艦なので艦長クラスは軍服っぽいのを着用。最近は女子高校生の制服っぽいのもありますが・・・(*2)


 手元にあるのは創元推理文庫版(*3)(1979年 25版)。たぶん高校か大学のころ買ったんだと思います。読もう読もうと思いつつ、読むのがもったいなくて30年以上も持ったままでした。今回、ブラッドベリの死去に伴い本棚から引っ張り出して読んだんですが、もっと早く読んどいたほうが良かったな~~

 特に表題作の”「ウ」は宇宙船の略号さ(*4)”
 宇宙航路局の要員に抜擢されて8年間の教育を受けるために出発するクリス少年のシーン。旅立ちにあたって振り捨てていくものへの思いと未来への希望を胸に宇宙港の門をくぐるクリス。

  ぼくは自分のあこがれのことを思った。
  月へ行く宇宙船。
  これはぼくの一部でも、ぼくの夢の一部でもない。
  ぼくがそれの一員になるのだ。

   (中略)
  そして、歩いたまま、ぼくはその堀の向うへはいって行った

 べつにおぢさんが読んじゃいけないってわけじゃないんですが、今だとどうしても若き日のノスタルジーが入っちゃって。若い時に読んでたらまた違った感想があったんじゃないかと思います。
 この話は萩尾望都が漫画化してますが、こっちもお勧めです。

 本書に掲載されている中でお気に入りは”宇宙船乗務員”(原題 The Rocket Man)。宇宙船乗務で時々しか帰ってこないお父さんに、宇宙に憧れる少年ダグ。そして夫を愛していながら、まるでいないような振る舞いをしているはかなげなお母さんリリーの3人の物語。
 ダグはお父さんの制服に火星の鉄の、金星の蔦の、水星の硫黄と炎の匂いを感じます。また、制服を遠心分離器にかけて集まった粉を顕微鏡で見たりとか
 原作では”黒い制服”としか書いてませんが、萩尾望都の漫画版では帽子をかぶった軍服風に書かれています。(まあ、軍服っぽいということで、宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長の制服を載せてみました。雰囲気だけでもお楽しみください)

 ”宇宙船乗務員”は”ウは宇宙船のウ”と違って夫への不安を隠しきれない妻の想いが強く出た作品です。なぜ母親が父親のことをいないような様子にいるかをダクが質問した時の母親の答え。

  十年前にお父さんが宇宙空間の中へ行ってしまったとき、
  わたしはひそかにこう思ったのよ『あのひとはもう亡くなってしまったのだ』と

   (中略)
  十年前にわたしはこう思ったの。
  仮りにお父さんが金星でお亡くなりになったらどうだろう?
  そうしたら、もう二度と金星など見るに耐えなかろう

   (中略)
  そういう星が空高く出ている晩には、
  もう星なんかにかかわるのはまっぴらとうい気持ちになるだろうなって

 まるで西洋の女神様を思わせるようでいて不安におびえるような感じのお母さんが秀逸。

 ネタバレになりますが、お父さんは”これが最後だ”といって旅立ちますが、太陽での事故にあって死亡します。

  そして、長いあいだ、ぼくたちが外へ散歩に出かけるのは、
  ただ雨降りの、太陽の出ていない日だけであった

 漫画版での最後の2ページに漂う寂寥感はさすがに萩尾望都です。

 ”ウは宇宙船のウ”はSFの古典的名作。萩尾望都の漫画版も合わせお勧めです。

《脚注》
(*1)レイ・ブラッドベリ
 アメリカのSF作家。
 代表作は”華氏451度”、”火星年代記”、”10月はたそがれの国”、”スは宇宙(スペース)のス”、”刺青の男”など多数。
 代表作の多くは1960年代の半ばから70年代の半ばにかけて創元SF文庫や早川SF文庫から出版され、新版も含めれば今でも入手可能です。
(*2)最近は女子高校生の制服っぽい~
 ”モーレツ宇宙海賊”(原作は笹本祐一の小説”ミニスカ宇宙海賊”。MBSでアニメ化)とか。観たこたないですが、53歳になる私の上司が主題歌を歌う”ももいろクローバーZ”はまっています。大丈夫か、うちの会社?!
(*3)創元推理文庫版
 意外に思われるかもしれませんが、当時のSFは”推理文庫”の一ジャンルとして扱われてました。”創元SF文庫”として独立するのは1991年11月のことです。
(*4)「ウ」は宇宙船の略号さ
 本の名前は”ウは宇宙船のウ”ですが収録の短編の表題は”「ウ」は宇宙船の略号さ”になっています。原題はともに”R Is for Rocket”。

まあ、福島県民には読ませられんだろうなぁ・・・(金環蝕/金環日食)

 ども、天文学はいまいち苦手なおぢさん、たいちろ~です。
 2012年5月21日に金環日食がありました。東京では173年ぶりとのこと。次回日本で見ることができるのは2030年とまあ生きちゃいないでしょうから一生でこれが最後の機会ということで早起きして会社で見てました。いや~宇宙の神秘、感動的でしたねぇ。
 ところで、私は金環食(金環日食)のことをずっと”金環蝕”だと思ってました(*1)。ってのも、これ石川達三の名前なんですね。ということで、今回ご紹介するのは宇宙の神秘と程遠い政治の舞台裏のどろどろ劇”金環蝕”であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。会社(東京都内)の窓から撮った”金環日食”です。


【本】金環蝕(石川達三 岩波現代文庫他)
 昭和39年夏、与党・民政党の総裁選挙で勝利するため寺田総理は党費を不正流用した。その費用を穴埋めするためにF-川の電力ダムの建設を巡って民政党、電力建設株式会社、建築会社を巻き込んだ汚職事件の幕が切って落とされる・・・
 1964年に発生した”九頭竜ダム落札事件(*2)”をモデルにした政治小説。
 私の読んだ”石川達三作品集”版ではサブタイトルに

 まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中のほうは真黒に腐っている

 ってありました
【自然】金環日食
 日食とは太陽が月によって隠されることにより、太陽が欠けて見える天文現象。金環日食は太陽と月がきれいに重なって太陽がリング上に見える状態です。
 昔の冒険小説なんかでは真っ暗になるような描写がされますが、6月12日に体験した感じでは”そんなに暗くなんないな”と思いました。


 さて、この小説が”サンデー毎日”に掲載されたのは1966年(昭和41年)。時の内閣総理大臣は池田勇人&佐藤栄作、日本の総人口が一億人を突破しビートルズが来日した年です。まあ、小学校低学年でしたのでおぼろげながらしか覚えてませんが。
 でも、これってロッキード事件(*3)の10年前、リクルート事件(*4)の23年前。歴史は繰り返すというか、学習効果がないというか・・・

 で、この小説を読んでるといい人ってのは一人も出てこないんですね。最初は不正入札に反対していた電力建設株式会社の総裁は途中で日和るわ、後任の総裁と副総裁は確信犯だわ、建築会社の専務は”不正は必要悪だ”と開き直るわ、不正を告発しようとした正義漢を気取った代議士は途中で投げ出すわ。総理大臣、幹事長、官房長官はよってたかって隠ぺい工作に走るわ・・・
 中でも気になったのは、電力建設株式会社の対応。立ち退き交渉で補償の履行を求める堂島建鉱業に対して、

  結局堂島建鉱業が提出した、ほとんど最後通牒ににも似た賠償要求は、
  電力建設株式会社の幹部社員によって一顧の与えられはしなかった。
  ただ、相手を怒らせないように、(検討中・・・)とういうような文書が発送される。
  それだけのことだった。
  それが、官僚または官僚的な人たちのやり方だった。
  堂島建鉱業の苦境はわかっている。
  わかってはいるが、誰ひとり責任をとろうとはしなかった。
  民衆の苦境に同情するよりは、官庁や自分たちの立場を良くするほうが先だった。
  電力建設会社の九十五パーセントまで官僚的だった。

 フィクションだし、45年以上前の話で体質改善は進んでるはずだし(だといいんですが)ですが、まあ、福島県民には読ませられんだろうなぁ・・・

 この小説の中で、唯一面白い人物ってのが前科4犯で黒い金融業者の”石原参吉”。
 膨大な資料を駆使して相手の都合の悪いことをほじくり返して恐喝まがいの金儲けをする人物です。

  参吉はその資料をくり返しくり返し精読して、
  世間の目からは全くかくされている(真実)を探り出そうとするのだった。
  真実ほど怕いものはないのだ。

   (中略)
  他人の真実を握ったものが世間の勝利者となり、
  自分の真実を他人に握られたもの敗北者となる。

 この人は、”官房長官の秘書官が2億円のお金を借りに来た”という事実を発端に、紙のファイル(*5)と部下の調査や愛人の芸妓などの情報からコトの真実を解明するというある意味すごい人。
 最近、ビッグデータ(*6)とかなんとか大量のデータを処理できるシステムが登場してますが、何をどう分析するかを考えるキュレーターがいるかどうかがポイント。もし、石原参吉が現代でキュレーターになって、ネットやビックデータのシステムを駆使できたとすればとんでもないことになるんだろうなぁ。何が出てくるかわかんないけど・・・

 ”金環蝕”は2000年に岩波現代文庫から復刊されましたが、現在は切重版未定状態。でも図書館に行けば全集などで読めますので、ご興味のある方はどうぞ。
 まあ、福島県民にはお勧めしませんが・・・

《脚注》
(*1)ずっと”金環蝕”だと思ってました
 辞書を引くと”日蝕”でも出てくるので間違っているわけではないんですが、一般的には”食”のほうを使うようです。まあ”蝕(むしばむ)”ってのは感じよくないですしね。
(*2)九頭竜ダム落札事件
 時の首相は”所得倍増”をスローガンにした池田勇人内閣総理大臣、建設業者は鹿島建設だったようです。小学校に入る前の事件なのでさすがに覚えてません。
 九頭竜ダムってのは福井県大野市にあって行ったことはないですが、ここって一世を風靡したフォークグループ”あのねのね”の清水国明の出身地なんですね。ベストセラーだった”あのねのね 今だから愛される本(ワニの本)”にはすごい田舎みたいに書いてあったような・・・
(*3)ロッキード事件
 全日空の旅客機導入選定に絡んだ、ロッキード社、丸紅、前内閣総理大臣の田中角栄らによる世界的な大規模汚職事件。田中角栄が逮捕されたのが1976年のことです。
 児玉誉士夫小佐野賢治といったわけのわからん黒い人とか、事件関係者が急死するなど、”金環蝕”もかくやというデキゴトが繰り返されてます。
(*4)リクルート事件 
 就職情報の”リクルート”によるリクルート・コスモスの未公開株を使った贈収賄事件。江副浩正リクルート社元会長藤波孝生元官房長官らを東京地検特捜部が起訴したのが1989年のことです。
 中曽根康弘、竹下登、宮澤喜一、安倍晋太郎、渡辺美智雄など総理大臣、政治家が関与するとか、大物政治家は立件されなかったなど、”金環蝕”もかくやというデキゴトが繰り返されてます。
(*5)紙のファイル
。NECが日本初といわれるパーソナルユースのパソコン”PC-8001”を販売したのが1979年、後に国民機と呼ばれた”PC-98シリーズ”の初代機が登場したのが1982年です。日本でのインターネットの商業利用の開始は1992年と、この小説が書かれたのはインターネットはおろかパソコンすらない時代です。
(*6)ビッグデータ
 通常のデータベース管理ツールなどで扱うには難しいような多種大量なデータを扱うシステム。技術的な面もさることながら、キュレーターと呼ばれるデータを分析する人の能力とセンスが重要になります。

聖地巡礼 ”ビブリア古書堂”の近所に咲くあじさいを見に行きました(前編)(ビブリア古書堂の事件手帖/あじさい)

 ども、季節の花を愛でるおぢさん、たいちろ~です。
 6月に入って寮の庭のあじさいが咲きだしました。6月の花と言えばあじさい、あじさいと言えば鎌倉。最近読んだ”ビブリア古書堂の事件手帖”のプロローグにも

  六年前のその日、北鎌倉を坂を下りきった俺は、
  線路沿いの細い路地をだらだらと歩いていた。
  半袖の白いシャツの背中が汗でぴったり張りついている。
  セミの声がうんざりするほど近い。
  あちこちに植えられた紫陽花はまだ散っていないのに、
  梅雨明けと同時に夏がが始まっていた。

 ってのがありました。ということで今回ご紹介するのは聖地巡礼シリーズ”ビブリア古書堂の近所の近所に咲くあじさいを見に行きました”であります。


【本】ビブリア古書堂の事件手帖(三上延 メディアワークス文庫)
 就職先の会社が倒産して就職浪人となった五浦大輔は、亡くなった祖母の本に書いてあった夏目漱石のサインの鑑定を頼みに”ビブリア古書堂”を訪ねた。そこには古書については超絶的な博識を持つ人見知りの美女”篠川栞子がいた・・・
 北鎌倉を舞台にした推理小説にして、ちょっと大人なボーイ・ミーツー・ガールの物語。
【花】あじさい(紫陽花)
 アジサイ科アジサイ属の植物の総称。
 あじさいは大きく2系統あって、小さい花が球状に固まって咲く”セイヨウアジサイ”と、日本原産で真ん中の小さい花を中心に周りに額のように花が咲く”ガクアジサイ”があります。


 さて、出発点は”ビブリア古書堂”ですが、特定のモデルになる店があるわけではないんですが、1巻目の扉絵のイメージに近いところがこれ。小説上では上り線側ですがこれは下り線側。なぜ小説で逆にしたかはわかりませんが、でも落ち着いた雰囲気がありますね。
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 上り線側は店構えができるような道はなくて人がやっと通れるぐらいですが、ちゃんとあじさいは咲いてるとこなんかやっぱり鎌倉です。
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 さて、”ビブリア古書堂”のある(はず)の所から一番まじかにあるのが臨済宗円覚寺派の大本山”円覚寺(えんがくじ)”です。鎌倉幕府執権北条時宗(*1)が元寇の戦没者追悼のため創件したという鎌倉五山(*1)第二位の古刹。線路側から見た総門はそんなに大きくないですが、中に入ると広い広い。これは三門(山門)ちかくのあじさいです。

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 円覚寺内の道端のあじさい。植えているというより”そこに咲いている”って自然感がいいですね。ちなみにあじさいの色は土壌のpH(酸性度)によるそうで一般には酸性ならば青、アルカリ性ならば赤(リトマス試験紙と逆)なんだそうです。

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 円覚寺を出て、線路沿いに鎌倉側に進むとあるのが”明月院”。臨済宗建長寺派の寺院ですが”あじさい寺”としても有名。線路沿いから左に折れて小川沿いの道に咲き誇るあじさいを見ながら進みます。以前、”聖地巡礼 北鎌倉にうさまんを食べに行く(*3)”で訪れた喫茶店”風花”も健在でした。

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 明月院のあじさいは95%が”姫あじさい”という青くてやや小ぶりな品種。wikipediaによると、明月院があじさいを植えたのは第二次大戦後とのことですが、65年かそこらでここまで庭いっぱいに花を咲かせるようにしたのはさすがです。

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 庭にあった”花想い地蔵”さん。姫あじさいを抱えたお地蔵さんがかわいいです。横には

  人は誰しも、はかない花の思い出の中に生きています。
  大切な人との別れ、いとおしい物との別れ
  そんな時、ふと目に止まった花が、どんなにか心を慰めてくれたことでしょうか

 との解説の看板がありました。もっとも、これを読んで思い出したのが

  別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます。(*4)

 のほうなので、ちょっと生臭いですが・・・

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 明月院の方丈の奥には”菖蒲園”もあって、菖蒲が満開(今回はあじさい特集なので写真は省略)。
 もっといたかったんですが、名残惜しくも明月院を出発。元の線路沿いの道に戻って左に折れると踏切があります。ここを渡ってUターンすると”浄智寺”へつながる道があります。ふと反対側を見ると線路をくぐる小川のほとりにもおじさいが。誰が植えたわけでもないんでしょうがちょっとした所にもあじさいが咲いてるってのは心なごんでいいんですねぇ。栞子さんと大輔君も歩きながらこんな花を見たんでしょうか。

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 長くなりましたので、後編に続きます。


《脚注》
(*1)北条時宗
 鎌倉幕府第8代執権。モンゴルの2度にわたる日本侵攻(元寇)に勝利した武将。この時のモンゴル帝国の皇帝はクビライ・カーン。1度目が文永の役(1274年)、2度目が弘安の役(1281年)。”ひ(1)どいふな酔(274)い 元負ける”とか受験でやったなぁ。
(*2)鎌倉五山
 鎌倉にある禅宗の寺格。鎌倉時代に幕府が制定して室町時代に固定されんだそうです。
(*3)聖地巡礼 北鎌倉にうさまんを食べに行く
 桜庭一樹のライトノベル”荒野”に登場するスイーツ。主人公の女の子”山野内荒野”が食べていたので、これを食べるためだけに北鎌倉まで行きました。まあ、50代のおぢさんがねぇ・・・
(*4)別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい~
 有川 浩の”植物図鑑”(角川書店)より。
 OLの”さやか”は、行き倒れたちょっといい男”イツキ”を拾って帰りました。この男、植物には詳しいは、そのへんの雑草で料理を作るはと、ハウスキーパーとしては完璧超人でした・・・
 といったお話。詳しくはこちらからどうぞ。
 ちなみにこの言葉のオリジナルは川端康成の”花”だそうです。

聖地巡礼 ”ビブリア古書堂”の近所に咲くあじさいを見に行きました(後編)(ビブリア古書堂の事件手帖/あじさい)

 ども、季節の花を愛でるおぢさん、たいちろ~です。
 「聖地巡礼 ”ビブリア古書堂”の近所に咲くあじさいを見に行きました」、後編です。
 (前編を読んでおられない方はこちらをどうぞ)


 さて、”浄智寺”です。こちらは鎌倉五山の第四位で北条時頼のお孫さん師時が建てたお寺。入り口には中国風の山門があります(中国風鐘楼門様式というんだそうです)。

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 これは入り口付近にあったガクアジサイ。円覚寺の姫あじさいとはちっと違った趣があります。


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 ビャクシンやコウヤマキの巨木、布袋さんの像なんかもあって面白かったですが次もあるので浄智寺を出て”東慶寺”へ。ここは鎌倉五山ではなくて”鎌倉尼五山(*1)”の第二位、つまり女性のための尼寺です。ご年配の方にはさだまさしの”縁切寺”といったほうがいいかも。妻から離婚できなかった時代に駆け込めば離縁できるという”駆け込み寺”です。
 境内には西田幾多郎小林秀雄岩波茂雄(*2)といった知の巨人たちのお墓があるそうですし、入り口には”夏目漱石参禅百周年記念碑”もあります。文学好きの栞子さんがこんなおいしい所を訪れなかったはずがないと思います。
 写真は石畳のかたわらに咲くあじさい。ほかにも花菖蒲や、ホタルブクロ、壁一面に咲くイワタバコなんかもありました。


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 なごり惜しみつつも、電車沿いの道に戻って鎌倉側へ。この道路は北鎌倉から鎌倉へ抜ける幹線道路なので、二人は車で通ったんでしょう。で途中にあるのが”建長寺”。鎌倉五山一位にして臨済宗建長寺派の大本山です。他のお寺とちがって、道沿いから大きな総門が見えるのですぐわかります。
 写真は境内のあじさい。仏堂、方丈などが見えます。


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 建長寺の奥に”半僧坊”というのがあって、その途中に咲くガクアジサイ白とピンクのツートンカラーがきれいです。半僧坊は急な階段を登った小高い場所にあるので、足の悪い栞子さんが一人でくるのはつらいかななどと思いつつ。


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 途中の河村瑞賢(*3)遺跡登り口に咲くあじさい。この円錐状に咲くあじさいはカシワバアジサイという種類です。葉っぱが柏に似ているからこの名前がついたそうですが、あじさいの葉っぱまであんまり見てないもんなぁ。


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 このあと長谷寺(*4)も回ったんですが、今回は北鎌倉ということでここまでです。


※おまけ1
 鶴岡八幡宮の近くにある”鎌倉いも吉館”で売っていたソフトクリーム”あじさい”です。紫いもと抹茶のミックス。ホントは抹茶味は苦手なんですが、一日中歩いて大汗かいてたので美味しくいただきました。


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※おまけ2
 2巻の最後に栞子さんが大輔君にお母さんの話をしたエピソードに出てくる七里ヶ浜の海岸。たぶん二人で座ってたのがこのへんです。真ん中辺に見えているのは江の島(*5)。さすがにいい波がきているせいかサーファーの人がいっぱいいました。


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 実は、おまけ2の七里ヶ浜以外は本書の中に二人で訪れるようなエピソードはないんですが(お話は8月から始まってるのであじさいの盛りも終わってるでしょうし)、ジモッティさんの二人が、ましてやオタッキーなほどの文学好きな栞子さんが今回ご紹介した場所に行かないはずがないってノリで書いてみました。


 昨日(6月21日)”ビブリア古書堂の事件手帖”の3巻が出ました。さっそく買ってきたので読みましょう!


《脚注》
(*1)鎌倉尼五山
 室町時代に五山の制に倣って尼寺に導入された臨済宗の寺格。
 現在は尼寺として存続してはいないそうで、男性も入ることができます。
(*2)西田幾多郎、小林秀雄、岩波茂雄、
西田幾多郎(1870~1945年)
 哲学者、京都大学教授。善の研究”は読みましたが、よくわかりませんでした。
小林秀雄(1902~1983年)
 文芸評論家。”無常といふ事”、”考へるヒント”など。あんまし読んでません。
岩波茂雄(1881~1946年)
 岩波書店創業者。処女出版が夏目漱石”こゝろ”というのが時代を感じます。
(*3)河村瑞賢
 鎌倉時代ではなく江戸時代初期の豪商。東廻り航路、西廻り航路を開き、大阪の淀川の治水工事をした人。これも日本史の授業でやったなぁ。
(*4)長谷寺
 こちらは臨済宗ではなく浄土宗のお寺。長谷観音と呼ばれる十一面観音立像があります。奥にある眺望散策路の斜面にあじさいがいっぱいでしたが、17時の閉門直前に行ったにも関わらずなんと90分待ち!
 この季節に行くなら混む前の朝に行くか夕方に行くほうがよさそうです。
(*5)江の島
 江の島電鉄で行くと、長谷、稲村ケ崎、七里ガ浜、江の島といった駅名が並びます。気分はもうサザンオールスターズです。

”日常系”のヒットって、現実社会の不安定さの裏返しだそうですが・・(”日常系アニメ”ヒットの法則/鷲宮神社の”らき☆すた神輿”)

 ども、まったりした日常をおくるおぢさん、たいちろ~です。
 先月末にパソコンがぶっ壊れました。2月頃から調子が悪くて(*1)だましだまし使ってたんですがとうとう動かなくなって修理に出しましたが、けっこう時間がかかるので昔のパソコンを引っ張り出して代替してました。
 スピードを我慢すればインターネットを見たりはできるんですが、困ったのはPCで兼用させてたテレビ見れないこと。しかたがないのでDVDばっか見てました。で、こういう流しっぱなしに向くのは笑いとか”日常系”なのかして、”アメトーク”とか”あずまんが大王””けいおん”が多かったかなぁ。
 ということで、今回ご紹介するのはなぜだかヒットしている日常系アニメを扱った本「”日常系アニメ”ヒットの法則”」であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。鷲宮神社の”らき☆すた神輿”です。


【本】”日常系アニメ”ヒットの法則(キネマ旬報映画総合研究所 キネマ旬報社)
 最近はやっている”日常系”あるいは”空気系”と呼ばれるアニメを解説した本。”日常系”とは何なのか、なぜはやっているのか、といった話を社会情勢やサブカルチャーの観点から分析。”日常系アニメ”を見ていないとその空気ってのはわかりにくいかもしれませんが、いかにも硬派そうなキネマ旬報がこういったジャンルを扱うってのも時代ですかねぇ・・
【旅行】鷲宮神社の”らき☆すた神輿”
 鷲宮神社は埼玉県久喜市にある関東最古の大社といわれている神社にして、アニメ”らき☆すた”の舞台になった場所。”聖地巡礼”の対象だかして初詣の参拝客が急増、2011年12年は約47万人(埼玉県第2位)。映画やアニメによる町おこしでもっとも成功した例の一つです。
 写真の”らき☆すた神輿”は同神社の伝統行事である2008年度の”土師祭(はじさい)”にてファンが担ぐ神輿として使われたもの。掛け声が”ソレソレ”の変わりに”萌え萌え”だったどうですが、ちょっとはじかしい?!


 ”日常系”というのは、本書の序章の中では

 

「”萌え”を感じさせる美少女キャラクターによる日常生活」を描いたアニメ

と定義しています。
 具体的な作品としては”けいおん!”、”らき☆すた”、”ひだまりスケッチ”、”あずまんが大王”など(*2)。
 実は4つとも見てるんだよな~~ 根っから”日常系”好きなんでしょうか。
 別に”萌え~”が好きなわけではないんですが・・・

 ”美少女キャラクター”ってのは置いといて、作品の特徴ってのが後半の”日常生活を描いた”という部分。文化祭や体育祭などのイベントはあるし、登場人物はちゃんと進級していて後輩なんかも登場してますが(*3)、それを盛り上げる物語性(ドラマツルギー)が欠如しているというのが本書の意見。いくつかあげると

①恋愛の話がない
 現実にいたら絶対もてそうな美少女なのに彼氏がいません。さらには女の子が集まってるにもかかわらず恋バナもなし。
②困難との対決や葛藤がない
 ”けいおん”の例を挙げて、”血のにじむような訓練”、”メジャーデビューを目指しての努力や葛藤”、”音楽性の違いからの対立”などの定番のドラマ要素がないと指摘してます。他の3つの作品も、主要キャラクターはほとんど帰宅部です。
③時間的な前後関係が希薄
 アニメ版の”ひだまりスケッチ”では時間が前後したエピソードがあったりしてますが、ほとんど違和感なく見れます。
 本書の中で”ジェットコースタードラマ(*4)”との比較論で”途中参入障壁の低さ”というのを挙げていますが、たしかにどっから見ても楽しめます。

 全体としては大きな物語が消失して(*5)、物語を消費するのではなく

  すべての作品自体が構成要素単位に分解され、
  個々の構成単位そのものが消費対象になる

といってます。これを評論家の東浩紀が”データベース消費”と名づけたとのこと。
さらには構成単位=細切れは動画共有サイトにアップロードしやすいという特長を持つことになるとか。以前”YouTube化するお笑い?”というネタを書いたことがあるんですが、一発芸のお笑い芸人が大量生産/大量消費されたのも同じ文脈なのかなぁ(*6)。 また、動画共有サイトとそこへのコメントの書き込みってのがコミュニティを形成してさらに作品の知名度を上げているとか。こういった人たちが集まってネットでお祭りしたり、リアルで鷲宮神社行ってお祭りするんだろうなぁ・・・

 まあ、ここまでならあんまし問題ないんですが、じゃあなぜ今なのかというと”大きな物語の崩壊”に加え長引く不況での”未来への不安”があるんじゃないかというのが本書の指摘。

  こうした社会不安が円満する殺伐とした時代の中で、自己完結する「物語」より
  ファン同士が結びつきやすい「コミュニケーション」的なものの方が好まれ
  受容されるようになったことは想像に難くない。
  「現実社会の不安定さ」は誰かが用意した物語がいかに頼りないかという感覚を
  ある世代・属性の人々に植え付けた。

 まあ、気楽に見れるのが”日常系”のいいとこだし、勝負だの葛藤だの気合入っちゃうような話題がない分、かけっぱなしには向くんでしょうが、これが社会不安の裏返しだって言われてもねぇ・・・
 などと思いながらも、やっぱりお気楽にこのあたりの作品をみてしまうのであります。
 本書に出てくる”空気系”のようなアトモスフィアな話題(*8)ってのは原典のアニメを見てないとわかりにくいかも。そういう意味では紹介された作品とセットで読むほうがいいかもしれません

《脚注》
(*1)2月頃から調子が悪くて
 今年(2012年)は空気の乾燥のせいか静電気によるハードディスクが多発してました。私のパソコンも診断によるとやはりこれ。3年保障に入ってたので無償で済みましたが、あやうく4~5万円の修理代がかかるとこでした。危ない、危ない。
(*2)”けいおん!”、”らき☆すた”、”ひだまりスケッチ”、”あずまんが大王”など
 いずれも原作は4コマ漫画でのちにアニメ化されました
 けいおん!:かきふらい原作。まんがタイムきらら(芳文社)に連載
 らき☆すた:美水かがみ原作。コンプティーク(角川書店)に連載
 ひだまりスケッチ:蒼樹うめ原作。まんがタイムきららキャラット(芳文社)に連載
 あずまんが大王:あずまきよひこ原作。月刊コミック電撃大王
         (現・アスキー・メディアワークス)に連載
(*3)登場人物はちゃんと進級していて~
 そういう意味では同じ1年を延々と繰り返す”サザエさん時空”とは違ってます。
 本書内で”サザエさんは萌え要素がないので日常系ではない”といってますが、その言い方もどうかと・・
(*4)ジェットコースタードラマ
 怒涛の展開で1話でも見逃すとストーリーがわからなくなるドラマ。スピード感のある衝撃的な展開で最後まで飽きさせない代わりに見逃すとストーリーがわからなくなるリスクも。フジテレビの”もう誰も愛さない”とか海外ドラマの”24 -TWENTY FOUR-”とか。見てませんが、会社勤めの人間にはムリ筋な番組です。
(*5)大きな物語が消失して
 大きな物語の消失とか、大きな物語装置といった話は”リトル・ピープルの時代(宇野常寛 幻冬舎)”あたりが面白いです。以前にネタ書きましたんでご興味のある方はこちらをどうぞ。
(*6)一発芸のお笑い芸人が~
 ブログ書いたのが2009年2月と、”エンタの神様(日本テレビ)”や”ザ・イロモネア(TBS)”といったまさに1~数分という細切れのお笑いの時代でした。
 両番組とも1年後の10年3月に打ち切りになったので、この手のお笑いが終焉に向かい始めたころともいえます。
(*7)アトモスフィア(atmosphere)な話題
 atmosphereには”大気、空気”のほかに”雰囲気、気分”って意味もあります。ちょっとダブルミーイングしてみました。

銭の花の色は清らかに白い。だが蕾は血がにじんだように赤く、その香りは汗の匂いがする(ブラックストーン/成金草)

 ども、会社の経営権を握るおぢさん、たいちろ~です(ウソです)

 先日、今年度入社の新人さん向けの説明会がありまして、部長のKさん(*1)に講演をお願いしました。で、Kさんは新人さんにこんな質問を。

  ”今日の会社の株価はいくらでしょうか?

 さすがに最近の新人は優秀でちゃんと答えてました。
 ”そうすると、この会社は○○億円で買えます(*2)”というのがオチですが、正直なとこ”たったそんだけ!?”ってのが感想。ちょうど、facebookが上場した直後で、そっちは時価総額が終値で約1,046億ドル(約8兆2700億円)。
 K部長も”その気になればこの会社も買収できます”ってなことを言ってましたが、facebookだったら買えちゃうんだろうな~~~ 会議が英語になるんだったら勘弁して欲しいけど・・・
 ということで、今回ご紹介するのは会社を売ったり買ったりする人のお話”ブラックストーン”であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。近所の成金草です。


【本】ブラックストーン(デビッド・キャリー、ジョン・E・モリス 東洋経済新報社)
 日本ではあまりなじみがないですが、”ブラックストーン”という世界最大のプライベート・エクイティ会社とその経営者”スティーブ・シュワルツマン”のことを書いたノンフィクション。原題は、”King of Capital
【花】成金草
 ベンケイソウ科クラッスラ属の多肉植物。別名”フチベニベンケイ(縁紅弁慶)”ですが、園芸店では”金のなる木”で売ってます。葉が丸っこく分厚いのでお金に見えるかららしいですが意外と可愛い花が咲きます。


 プライベート・エクイティっていうのは、日本語では”未公開株”。創業者や親会社、ベンチャーキャピタルなんかが保有している公開(上場)されてない株式。プライベート・エクイティ会社ってのは、これらの未公開の会社を上場させることで莫大な利益(いまくいけばですが)を株の保有者や自分とこの会社にもたらします
 まあ、立派なお仕事なんですが、おぢさん世代だと”リクルート事件(*3)”なんかがあってあんまし良いイメージをもってない人もいそうです。ただ、facebookやAmazon.comみたいに経済活性化や新しい産業構造の起爆剤になってたりして、それ自体が悪いってもんじゃありません。

 それ以外にも、経営不振とか親会社、創業者の無理解で発展しきれていない企業を買収して再生し売却するなんてこともやっています。一般論ですが、経営不振からの脱却とか新しい産業を作るには初期段階でそれなりの資本投下が必要。ブラックストーンのようなリスクをとって投資をする資本を集めてくる人が必要であり(*4)、この会社自体が悪いことをやっているわけではありません。
 ただ、こいつも日本で印象悪いのは、リップルウッド・ホールディングスの日本長期信用銀行救済(*5)みたいに、瑕疵担保条項(*6)を使って荒稼ぎしたような言われ方をしてたせいかもしれません。でも、日本で誰も買わなかった日本長期信用銀行をリスク含みで買うんだから、リスクヘッジをするのは当たり前って感じもこの本を読んでるとします。

 プライベート・エクイティの資金調達ってのは”レバレッジド・バイアウト(Leveraged Buyout)”という方法。これは買収される企業の資産やキャッシュフローを担保にお金を集めるってやり方で、日本人的には ええぇ?! って感じですが、ソフトバンクがボーダフォンの買収でこれをやっていて(*7)、現在のソフトバンクの成功を見ているとあながち悪いってことでもありません。ただ、こいつも堀江貴文がフジテレビ買収でこれをやろうとしたって話があっていまいち評判が良くないです。

 どうも、”ハゲタカ”だの”濡れ手で粟”、だの”成金趣味”だの悪のイメージが強いですが、本書を冷静に読んでいくと、かなり誤解があるようです(ブラックストーンのスティーブ・シュワルツマンは成金趣味ですが)。

  銭の花の色は清らかに白い
  だが蕾は血がにじんだように赤く、その香りは汗の匂いがする
(*8)

 を地でやっているような。
 ”血=リスク”をとって何億ドルを集めあるいは投資し、企業を再生させるために知恵を出し、汗をかいています。買収した企業の資産をすぐに売り飛ばしているような印象がありますが、むしろ株式を長期保有しています。リストラにより人員削減もやってますが、中長期的には人員削減の影響は少ないとのこと。本書で引用されている欧州会議の調査によると23年間のアメリカでのプライベート・エクイティが支援する株価パフォーマンスは類似企業のそれを上回っているんだそうです。

 この本を読んで思ったのは、投資ファンドってのは金儲け第一主義だけではなくて、資本社会の活性化に役立っているってこと。儲けが100億ドル、1000億ドル単位なのでそっちばかりが話題になってますが、儲けがでかいのはレバレッジをかけているからで、裏目にでると損失もでかいってことです(*9)。
 どうも”あいつらばっかり儲けやがって”みたいなひがみが誤解を生んでいるんじゃないかと。まあ、悪いことをやっていないわけではないですが・・・

 本書は日本になじみのない会社がいっぱい出てきますが、少し冷静になってファンドやそれをとりまく経済のダイナミズミを知るには良い本かも。

《脚注》
(*1)部長のKさん
 元証券会社がお客さんの担当をされてましたので、この手の話題は強いです人。
 私んちの会社の中では珍しくこのブログを読んでくれている人です。
 すいません、ネタにしました。
(*2)この会社は○○億円で買えます
 会社のお値段 = 時価総額 = 株価×発行済株式数
 であらわせます。株価は日々変わりますので、このブログを書いている時点(2012年6月8日)では約7,250億円。実際には買収合戦で株価は上がったり、株を売らない安定株主もいるので理屈どおりには行きませんが、経営権を握る=株式の50%以上を獲得するだけなら半額で済みます
(*3)リクルート事件
 リクルートの関連会社で未上場の不動産会社”リクルートコスモス”の未公開株が賄賂として使われ、江副浩正リクルート会長や政治家や官僚らが次々に逮捕された事件。1988年に発覚し、竹下内閣総辞職の原因となりました。
(*4)リスクをとって投資をする資本を集めてくる人が必要であり
 本来は銀行のお仕事なんでしょうが、そうそうできるもんじゃあないんでしょうか。
 アメリカだと投資銀行とかベンチャーキャピタルなんかがありますが、日本だとそこまでアグレッシブなのは聞きませんねぇ。
(*5)リップルウッド・ホールディングスの日本長期信用銀行救済
 バブル崩壊により経営不振に陥った日本長期信用銀行は1998年に破綻。リップルウッドなどからなる”ニューLTCBパートナーズ”に10億円で売却され新生銀行に。2004年に新生銀行が再上場させることで、1,000億円以上の純益を稼ぎました。
 ちなみにこの破たん処理で投入された公的資金は約7兆9,000億円最終的な国民負担は4~5兆円ぐらい、買収益への税収はゼロと踏んだりけったりです。
(*6)瑕疵担保条項
 長銀の売却契約の中に、”新生銀行が引き継いだ債権が3年以内に2割以上下落したら、国に買取請求を行う”というのがあって、これを積極的に活用(=破綻させる)しました。まあ、今にして思えば、デューディリジェンス(資産査定)もそこそこで買い取らせる方にも問題があると思いますが。
 ”破綻させたほうが企業収益が上がる”と考える経済合理性を追求するアメリカ人と、”いざとなったら何とかしてもらえる”という浪花節的な日本人の発想の違いとも言えるかと。
(*7)ソフトバンクがボーダフォンの買収~
 ボーダフォン(イギリス本社)が行き詰っていたボーダフォン日本法人をソフトバンクに1兆7,500億円で譲渡を決定。ソフトバンクは1兆円をLBOで調達しました。2006年のことです。
(*8)銭の花の色は清らかに白い
 花登筺原作のTVドラマ”細うで繁盛記”のオープニングから。1970年の放送なのでほとんど覚えてませんけど、印象的な名言です。
(*9)裏目にでると損失もでかいってことです
 レバレッジのかけ方にもよりますが、10倍のレバレッジで資産価値が10%減少すると計算上は元手が全額ふっとぶことになります。このへんはFX取引で大損した人と同じです。

アヤメっていうと日本の女性っぽいですが、アイリスだと西洋の女神さまです(アヤメ)

 ども、いずれアヤメかカキツバタ(*1)なお嬢様方のいる職場で働いているおぢさん、たいちろ~です。
 6月になりまして、近所の公園とか、出掛けた先とかでアヤメを見る機会が増えました。アヤメかかカキツバタってのは見分けがつきがたいという意味もありますが、せっかく見かけたんでこれは何かなと調べつつ、こんなの見ましたのをご紹介します。

【花】アヤメ(菖蒲)

 アヤメ科アヤメ属の多年草。
 漢字で”菖蒲”とかくと”しょうぶ”とも”あやめ”とも読みますが、5月5日の端午の節句の日の”菖蒲湯(しょうぶゆ)”に使う菖蒲はサトイモ科ショウブ属ハナショウブというとアヤメ科になります。ああややこしい。
 英語では”Iris(アイリス)”になります。


 さて、アヤメとカキツバタとハナショウブの見分け方ですが”wikipedia”によると
〔アヤメ〕
 ・色は紫かまれに白。外花被片に網目模様があって、黄色い模様がある
 ・かわいた所に育つ
〔カキツバタ(杜若)〕
 ・色は青紫のほか紫、白、紋など。外花被片に網目模様がなく、白い斑紋がある。
 ・水中や湿った所に育つ
〔ハナショウブ〕
 ・紅紫、紫、絞、覆輪(ふちどり)など。外花被片に網目模様がなく、黄色い斑紋がある
 ・湿ったところに育つ

 だそうです。で、この区別で先日見た花をのせると


①レストラン”Genjiro(*2)”で見たアヤメ(アイリス)

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 Genjiroの方に聞いたところ”アイリス”ですとおっしゃいましたので、これは確実。湿地ではなくレストランの庭に植えられていました

②近所の池のアヤメ 3種類。
 特に看板が出ているわけではないですが、植わってる場所と文様からたぶんアヤメだと思ってのっけました。

 オーソドックスな紫色のアヤメ

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 形と雰囲気からたぶんシロアヤメ(白文目)。白い花のアヤメってのは珍しいんだそうです。

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 たぶんキショウブ。西アジアからヨーロッパが原産。日本在来種に影響を与える懸念のある”要注意外来生物”になっているのはちょっと意外。見ている分には綺麗な花ですがねえ。

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 外来種の話が出たのでなんですが、アヤメってのは日本のイメージか西洋のイメージかって言うとちょっと微妙。
 漢字だと”菖蒲”のほかに”文目”、”綾目”とも書きますが、イメージ的には”彩女”なんかも合いそう。剛力彩芽(*3)なんていうアイドルの人もいますし。
 茶器や家紋(*4)なんかでもアヤメの意匠も結構あるので和風かと思っちゃいます。

 でも、”アイリス”となると西洋の女神さまのお名前(*5)。
 西洋の作品だとアイリスを扱った作品もけっこうあって、絵画で有名なのはゴッホの「アイリス」のシリーズ。2010年に開催されたゴッホ展で見ましたが、黄色と紫の対比が印象的な美しい作品です。

Photo

 立体モノだと、エミール・ガレやドームの菖蒲紋の花瓶やランプシェードなんかがお気に入り。アールヌーボーを代表する作品です。
 (ドームの一輪ざし。”ショップ・ロイヤルアート”より

Photo_4

 偶然かどうかゴッホもアールヌーボーもジャポニスム(Japonisme 日本趣味)に影響を受けた作家なので、どっちかというと和のテイストなのかなあ

 アヤメってのは今が旬なのでご興味のある方はお早めに。

《脚注》
(*1)いずれアヤメかカキツバタ
 どちらも優れていて選び迷うことのさまの慣用句。。
 まあ、世の中にはこう言っといた方が波風が立たないってことを知っているのもおぢさんの知恵です。
(*2)Genjiro
 宮城県加美郡加美町の薬莱山(やくらい山)の近くにある英国の田舎家風レストラン。落ち着いた雰囲気と借景の素敵なお店。ハーブなんかもお店の庭で育てていたりとか、気分はもうターシャの世界。女主人(たぶん)の人は教会のシスターを思わせる優しい方です。
 奥様イチ押しのお店。ぜひ訪問してください。詳しくはこちらから。
(*3)剛力彩芽(ごうりき あやめ)
 オスカープロモーション所属のショートヘヤー系美少女。ちなみに芸名ではなく本名だそうです。
 最近ではauのCMで星飛馬とかけあい漫才やってます。
(*4)家紋
 下の家紋は”丸に変わり菖蒲革”です。(画像は”家紋屋ギャラリー みなぎ”より)

Photo_7
 下はがフランス王室の紋章などに使われる”フルール・ド・リス(fleur-de-lis)”という紋章。直訳すると”ユリの花”ですが”ユリ”ではなく”アヤメ”なんだそうです。(画像はwikipedia”より)

Photo_8
 東洋と西洋ですが、良く似た文様だと思います。
(*5)”アイリス”となると西洋の女神さまのお名前
 ギリシア神話だと、ヘラに仕えていた美しい侍女のイリス(アイリス)がヘラの夫の太陽神ゼウスに言い寄られてこまってしまい、ヘラに「どこか遠くへ行かせて欲しい」と頼んで虹の女神に変えてもらったとのこと。神話だとさらっと書いてますが、人間社会だとどろどろだろうなぁ・・・

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