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方針ってやつはいくらでも変化できるが、信念のほうはそうはいかない(探偵はBARにいる/バーにかかってきた電話/電話機)

 ども、ハードボイルドな中年のおぢさん、たいちろ~です。
 最近、ハードボイルドにはまっていて、原 尞だのチャンドラーだの(*1)よく読んでいます。まあ、男は50歳を過ぎると多少のやせ我慢の美学も必要なわけで(*2)、ハードボイルドな生き方には憧れてしまうのであります。
 で、最近話題になってるハードボイルドモノとして今回ご紹介するのは”探偵はバーにいる”であります。


6001050492

写真はたいちろ~さんの撮影。愛知県明治村にあった600形自動式卓上電話機です。


【本】探偵はバーにいる(東 直己 ハヤカワ文庫JA)
【本】バーにかかってきた電話(東 直己 ハヤカワ文庫JA)
【DVD】探偵はBARにいる(原作 東 直己、出演 大泉 洋、監督 橋本 一)
 ススキノのバー”ケラー・オオハタ”で酒を呑んでいた便利屋探偵の”俺”に”コンドウキョウコ”と名乗る女性から一本の電話がかかってきた。それを発端として地上げにからんだ女性の焼死、犯人であるシンナー中毒の少年の死、札幌経済界の大物の暴行殺人事件につながっていく・・・
 DVDの”探偵はBARにいる”は表題こそススキノ探偵シリーズの第一作”探偵はバーにいる”からとっていますが原作は第二作の”バーにかかってきた電話”。ああ、ややこしい。
【道具】電話機
 DVDでバーにおいてあるのが通称”黒電話
 写真の”600形自動式卓上電話機”は1963年から日本電信電話公社(現NTT東日本/西日本)で使われていたもので、おぢさん世代には懐かしいシロモノ。
 映画用の小道具かと思ってましたら今でも現役で使われているのだそうです。


 この小説の主人公は”俺”。名前はでてこず周りからは”探偵”と呼ばれていますがむしろ”便利屋”の中の一つのお仕事っぽい。借金の取立ての手伝いやら、ぼったくりバーからの請求の値切り交渉やら、まあなんでもあり。収入の大半はバクチで日々10万円ぐらいを稼いでいるようです。
 北海道大学を中退だかしているようで、道内ではそうとうなインテリクラス(*4)。
 年齢は原作では28歳(DVDでは演じた大泉 洋は39歳なので中年感ですが)。
 ケンカはそこそこ強くてけっこう殴り合いなんかもやってます。女の子をからかっている若者を殴り倒したりもしてるし。

 で、ハードボイルドかというと私見ですがちょっと他のハードボイルド探偵と違うんですねー。”バーにかかってきた電話”の解説で上記の原 尞との比較で”軽ハードボイルド”って言い方をしてますがそんな感じかな。
 年齢のせいもあるかもしれませんが(*4)、生き方っちゅうか何ちゅうか”いーかげんに生きてる”って感があります。

 原作の時代設定って解説によると1985年ごろなんですが、原作を読んだ感はほとんどバブルのころかと思ってました。85年ごろって大学を出て就職して一生勤めるってのが当たり前の時代。アルバイトでもなんでもやって食っていけるってのは1980年代後半のバブル期のイメージがあって、”俺”のような生活もこっちかなぁ。
 バクチで100万円単位の金が動くってエピソードも原作にありますが、こういったバブリーな金使いってのもバブルっぽいし。
 この小説は1992年の発刊と、北海道のバブル崩壊が進みつつあった時期(*5)。どっちかというとこの時期の空気にひっぱられているような感じがします。

 とはいえ、ハードボイルドのハードボイルドたる由縁はやっぱし重い言葉。事件の発端になる電話では、けっこうちゃらい言葉遣いをしてますが押さえるとこは押さえてます。

 殺された元学生運動の闘士であった霧島について、元妻の百合子と会話する中での”俺”のモノローグから

  前衛党の活動方針はクルクルと変化し、変化のたびに大衆運動はダメージを受けた。
  そんな時代の動きの中で、
  霧島の信念は、組織中枢の岩淵の方針と対立したのだろう。
  方針ってやつはいくらでも変化できるが、信念のほうはそうはいかない。
  そして組織は、その基盤を確実なものにし続けるためには、
  魔女の抹殺を必要とするわけだ。

 やっぱし自分の信念に殉じて、時代にあがらってでも変わらないモノってのはハードボイルドには必要なのかと。

 そういえば、DVD版に出てくるバーにかかってきた電話ですが、古色蒼然としたバーのカウンターにある黒電話ってけっこうハードボイルド。600形の黒電話が登場したのは1963年のことだそうですが、時代を超えてなおあの存在感ってのはいいですねぇ。ハードボイルドにはカラフルなプッシュホンってのは似合いません。ハードボイルドの電話ってのはああじゃなくてはいけません。

《脚注》
(*1)原 尞だのチャンドラーだの
 原 尞は中年の私立探偵”沢崎シリーズ”、チャンドラーはハードボイルド探偵の代名詞”フィリップ・マーロウシリーズ”など。
 両方ともハヤカワ文庫で読めます。いずれ名作なのでぜひご一読のほどを。
(*2)多少のやせ我慢の美学も必要なわけで
 ”バーにかかってきた電話”の解説で”やせ我慢の美学”に”ハードボイルド”ってルビを振っていますが、なかなかの名言です。
(*3)道内ではそうとうなインテリクラス
 2012年度の北海道大学の文系の偏差値は63~4と道内ではダントツのトップ。
 そのせいか、DVDでは相手のチンピラに対して
  学もねえ猿のくせに洒落たこと抜かしてんじゃねえよ
 と罵倒しています
(*4)年齢のせいもあるかもしれませんが
 上記の”沢崎”は40代、フィリップ・マーロウは30代後半。やっぱしハードボイルドには中年の渋みが必要なのかと
(*5)北海道のバブル崩壊が進みつつあった時期
 札幌の地価が急落しだすのが1990年ごろから。これに伴い北海道経済をささえた北海道拓殖銀行の不良債権が急増するのもこの頃。経営不安が表面化したのは1994年、破綻したのは1998年のことです。

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