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世間とは大体において不条理・不公平であり、就活はその第一歩である(アホ大学のバカ学生/ルドベキア)

 ども、ぼつぼつ子供の就活を心配しないといけないおぢさん、たいちろ~です。
 先日、会社の人事部から就職の面接官の人選をして欲しいとの依頼が来ていました。まあ、決めるのは偉い人なのですが(*1)、もうそんな季節なんですねぇ。
 相変わらず就職はキビシイようで、一人でエントリーシートを平均30社近く書くんだそうですが(*2)、受けて立つ会社側だってけっこう大変です。私んとこの会社だと1次面接だけで数千人規模だそうで、面接官だけでものべ数百人が必要。そんだけ手間暇がかかってる訳で、会社も適当にやってるではないんですよ
 ということで、今回ご紹介するのは現代の大学と就職事情を書いた本”アホ大学のバカ学生”であります。


P1050209
 写真はたいちろ~さんの撮影。近所のルドベキア・タカオです。


【本】アホ大学のバカ学生(石渡嶺司、山内太地 光文社新書)
 サブタイトルが”グローバル人材と就活迷子のあいだ”とあるように二極化する大学と大学生の実態をレポートした新書。
 おぢさん世代はここまで大学の面倒見は良くなかったなぁとか、そこまで大学って変わってきてンダとか目からウロコの本です。
【花】ルドベキア
 キク科の1年草または多年草。原産地は北アメリカ。開花時期は7~10月ごろと、おぢさん世代の就活時期と重なってます。今は違うみたいだけど。
 花言葉は”公平”、”正しい選択”など。


 就活がなぜゆえにキビシイかというと主には景気が悪いせいですが、あながちそれだけってわけでもなさそうです。現場の立場からいうと”新人を採用する=人材を確保する”ことで、その人材を育成するという観点では5~10年のスパンでモノを考えるんですが、コストとしての人件費は単年度でかかってくるんでそうもいかないわけです。ただ、人材が年代別に著しく不均衡ってのは望まし状態ではないので、そこは会社としても懲りてるんですね(*3)。
 まあ理想的なことばかり言ってられないので量の不足を質でカバーする(極端に言うと1人で1人分以上の生産性を確保できる人を確保する)手に出るわけです。じゃあ大学生の質はどうかというとこれがバラバラというか二極化しているようです。本書には算数レベルのできない学生とか、TOEICで250点とれない学生とかの例が出てきます(*4)。あと一般常識がないとかツイッターにいらんこと書くヤツだとか。

 読んでて思い出したのが、”希望格差社会(*5)”に出てくる”パイプラインの水漏れ”です。一言で言うと、進学という進路の振り分け機能がうまくいかなくなったということ。本来は大学に行かなかった(行けなかった)高校生が大学に進学するようになった(*6)。進学率が上がること自体は良いことなんでしょうが、そのために”だいたいこのレベルの大学だとこのレベルの仕事に就ける”みたいな漠然としたモノが薄れてきて、”大学生なんだからこんな仕事ができるハズ”という思いが出てきて、”こんなハズじゃないのに”みたいな感が出てるんじゃないのかなのかなぁ。
 私んとこの子供も一応全国レベルで名前は知ってもらってそうな大学に行ってますが、それでも大学教授から”大学の名前だけで就職できる時代は終わった”と言われたそうですし。
 別に”だからあきらめろ”とか”高望するな”とか言うつもりは一切ありませんが、難関校と呼ばれる大学から来た人はそれなりに優秀です。もっとも、学力が優秀であるということと、人格が優秀であることは別。どんな大学を出ていても変な奴は変な奴です。
 ただ、”少なくとも高校時代は真面目に勉強した”という実績はある程度評価しますよ、人を見る時には。

 もうひとつ、就活が厳しくなっているのはビジネスがグローバル化することによって、就職のライバルもグローバル化していること。私んとこの会社でも最近は外国籍の人や帰国子女が2割やそこらいます。”今年は日本人ばかりだなぁ”とか思って自己紹介してもらうと実は帰国子女だったり留学してたり。
 日本人の間でも、入社の条件で”TOEIC XX点以上”なんて、会社で英語を使う機会が有ろうが無かろうが求められたり。最近入社した人に聞くと、”必ずXX点以上ないと落ちる”ってもんでもないようですが、入社後1年以内にその点数をクリアするという課題が課されるそうなので、まあ出来ないより出来たほうが望ましいのは間違いありません(*7)。

 会社の景気に振り回されたり、よく分からん質を求められたり、使いもせん英語の点数を求められたり、就活してる人には理不尽としか思えないかもしれませんが、社会なんてそんなモンかと。
 本書で”採用の基準が曖昧すぎて不条理、不公平だ”という意見に対するアドバイス

  はっきり言おう。
  世間とは大体において不条理・不公平であり、就活はその第一歩である。

  (中略)
  こうした不条理はいくらでもある。選考の基準は曖昧、というのもその通り。
  その不条理・不公平さに対して、私はあきらめろ、と言っているのではない。
  不条理・不公平さを乗り越えろと言いたいのである。

 おぢさん世代がこう言ったことを書くと”上から目線”だの”自分たちの雇用確保のために若者を犠牲にしている”だののツッコミありそうですが、程度の差こそあれ人生のすべてのフェーズで幸せだった世代ってのはありません
 私みたいなおぢさん世代は若い時は受験戦争でぎりぎり絞られて、バブルの頃は遊ぶヒマもなく働かされて、ちょっと上の世代は大学紛争で勉強もそこそこで年とってからはリストラにさらされ、下の世代は今やポスト不足でなかなか昇進できないし・・
 今の若い人は、昔よりはるかに大学に進学しやすいし、あと10年20年たてば上が少ない分だけ昇進しやすいし(たぶん)と、うらやましくもあるんですよ。

 まあ、子供も今年から就活始まるんで他人ごとではないんですが、未来を切り拓くのは自分しかないわけでです。
 不条理に対して真面目に悩むぐらいなら、実力を蓄えるほうが前向きだし、それでもダメならルドベキアで花びら占いでもやってみるとか。案外、それが”正しい選択”だったりして・・・

《脚注》
(*1)決めるのは偉い人なのですが
 私にはなんの決定権もありませんので、このブログにコメント付けたりメール送ってきてもなんのメリットもありません。あしからず。
(*2)一人でエントリーシートを平均30社近く~
 はっきし言って、リクルートから来る電話帳のような就職ガイドから葉書を切り抜いて送っていた世代としてはこの”エントリーシート”なるものがよくわかりません。
 リクナビの就職ジャーナルの調査によるとエントリーシートを提出した会社数は平均は27.1社、文系学生の平均は31.4社だそうです。
 半分以上は20社以下でも51社以上送った剛の者も約1割いるんだとか。
(*3)人材が年代別に著しく不均衡ってのは~
 バブル期の大量採用と、その後の就職氷河期の極端に人が少ないってのは処遇面で10年以上たってボディーブローのように効いてきます
 会社に限らず組織ってのはその年次で適正な人数ってのはあるわけで、大学のクラブでもチームも組めない年の後にやたら新人が多いと、指導面や選手の選抜で苦労するのと同じです。
(*4)TOEICで250点とれない学生とか~
 ”TOEIC”(Test of English for International Communication 国際コミュニケーション英語能力テスト)は4択の問題なので確率的には250点はとれるはずですが、そこまで行かない学生もいるとか。
 まあ私も偉そうに言うほど良い点をとってるわけではないですが・・・
 点数によってだいたい下記ぐらいのレベルです
  860点〜 Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる
  730点〜 どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている
  470点〜 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では
        業務上のコミュニケーションができる
  220点~     通常会話で最低限のコミュニケーションができる
(*5)希望格差社会(山田 昌弘 ちくま文庫)
 サブタイトルは”「負け組」の絶望感が日本を引き裂く”。
 今の社会の”格差”の状況について書かれた本。学生に限らず社会人も読んどいた方が良い1冊です。
(*6)大学に進学するようになった
 私が大学に入学した頃(1980年)の4年制大学進学率は26.1%に対し2011年度は62.9%、男子に限ると70.8%です。(文部省”教育指標の国際比較”他より)
(*7)まあ出来ないより出来たほうが望ましいのは間違いありません
 最近は課長職になる時に”1年以内にXX点以上を獲得するための学習計画の提出”なんてのを書かされます。どうも今の若い人には一生ついて回るんかいなぁ。

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