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子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え(あれから/ガーベラ)

 ども、ゴールデンウィークは仕事からとっとと逃げ出して自宅に戻ってるおぢさん、たいちろ~です。
 ということで、仙台に戻ってきています。
 仙台でも、私んちのあたりは3月11日の東日本大震災の影響がウソのようにモノがあふれており、復旧しているように見えますが地元の新聞をみていると海岸沿いの地域はまだ避難を余儀なくされているところも多く、まだまだ復興には時間がかかりそうです。
 で、その土地に残っている人もいれば、新しい土地で新しい生活を始めた人もいるわけで、今回ご紹介するのはそんな仙台を離れた歌人、俵万智の短歌集”あれから”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。ガーベラの花束です。


【本】あれから(短歌 俵万智、絵 山中桃子 今人舎)
 サブタイトルが”俵万智 3.11短歌集”とあるように、東日本大震災以降に詠んだ短歌を集めた短歌集。本来は第5歌集に収録される予定のものを先行してまとめたものだそうです。
【花】ガーベラ
 キク科ガーベラ属に属する多年草。原産地は南アフリカや熱帯アジアで4~10月頃に赤、ピンク、オレンジ、黄、白などの花が咲きます。
 花言葉は”神秘的な美しさ、悲しみ、希望”など。


 あとがきによると俵さんは地震の時に東京にいて、仙台に住む7歳の息子さんと両親に会えたのはその5日後。翌日には息子さんと仙台を離れ紆余曲折の末、南の島(沖縄)に住みついたとのこと。
 表題の

  

子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え

 はたぶんそんな逃避行の時の気持ちを詠んだ短歌かと。
 でも、あの時はみんなそうだったんですよね。私んちも4日後には仙台にいる奥様と息子が仙台を出て、奥様の実家のある関西に避難をしました。
 人間というのはそこにいるだけで1日に3リットルの水、約2000~2200Kcal分の食糧(*1)を消費します。またトイレや電気(暖をとる、テレビを見る、携帯電話の充電など(*2))、通信などインフラも必要になります。職業倫理としてそこで救援活動をする医者、警察、消防署員などや、ボランティア活動をする人をのぞけば、被災地区に負担をかけないという意味では、他の地区に避難できるのであれば避難したほうが望ましいと考えるほうがポジティブではないかと。

 で、問題は帰るか帰らないか、帰るとしたらいつかということ。
 まあ、帰んないでも何とかなるんであれば別に帰らなくてもいいという選択肢もあるわけだし、帰るのも本人の意思で決めると言うよりまわりの状況で決まってくることもあります。私んとこだって、”そろそろ息子の学校が始まるから”って理由だったし。

  「帰る理由」「帰らぬ理由」並べれば角のとれないオセロのごとし

 結局のところ、どっちの理由をあげてもそれなりのものが並ぶのはありがちなことです。仕事でもなんでも、やるのもやらないのも理由なんていくつでも考えられるし、そのどの理由に重きを置くかで結論なんかど~とでもなります。

 で俵さんは、息子さんのために帰らないという選択をするわけです。
 あとがきから

  不安をより少なく、と私は思った。シンプルに言えばそういうことだ。
  あの日以来、多くの人が考えた事だろう。
  自分にとって一番大切なものは、何なのかと
  母親である私には、
  少しでも安全な場所へ子供を連れていきたいという事しかなかった。

   何色にもなれる未来を願う朝 白いガーベラ君に手渡す

 俵さんがシングルマザーとして出産したって聞いたのは随分昔のことですが(*3)、それなりにご苦労もあったんでしょうね。だからこそ子供第一で物ごとを考えるんでしょうね。生まれてくる時は真っ白な子供が何色に染まるかは子供本人によるところが大きいですが、親や周りとのかかわりあいの影響も大きいでしょうし、親としてはあんまり変な色に染まってほしくはないと願うのであります。

 ”逃げてゆく”というとネガティブなイメージがありますが、新しい環境を手に入れるきっかけになったと思って、今後とも素敵な短歌を詠んで欲しいと思います

《脚注》
(*1)約2000~2200Kcal分の食糧
 一般的には3日分の食糧備蓄が必要と言われてています。ご飯パック、レトルトカレー、カップラーメン、缶詰、高カロリービスケットなど保存性と飽きのこない組み合わせも考える。相当量が必要です。
(*2)テレビを見る、携帯電話の充電など
 奥様に言わせると、電気が回復してテレビが見れるようになって初めてことの大変さがわかったそうです。また携帯電話の電源が切れて充電ができなかったのも同様で、充電して通信が回復したら山のようなメールが飛んできたそうです。
(*3)シングルマザーとして出産したって~
 2003年11月のニュースに出てました。
 元神奈川県立橋本高校の教師で国語審議会委員や中央教育審議会委員になられた人ですから、風当たりもきつかったんじゃないでしょうか。心配です。

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