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2012年4月

子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え(あれから/ガーベラ)

 ども、ゴールデンウィークは仕事からとっとと逃げ出して自宅に戻ってるおぢさん、たいちろ~です。
 ということで、仙台に戻ってきています。
 仙台でも、私んちのあたりは3月11日の東日本大震災の影響がウソのようにモノがあふれており、復旧しているように見えますが地元の新聞をみていると海岸沿いの地域はまだ避難を余儀なくされているところも多く、まだまだ復興には時間がかかりそうです。
 で、その土地に残っている人もいれば、新しい土地で新しい生活を始めた人もいるわけで、今回ご紹介するのはそんな仙台を離れた歌人、俵万智の短歌集”あれから”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。ガーベラの花束です。


【本】あれから(短歌 俵万智、絵 山中桃子 今人舎)
 サブタイトルが”俵万智 3.11短歌集”とあるように、東日本大震災以降に詠んだ短歌を集めた短歌集。本来は第5歌集に収録される予定のものを先行してまとめたものだそうです。
【花】ガーベラ
 キク科ガーベラ属に属する多年草。原産地は南アフリカや熱帯アジアで4~10月頃に赤、ピンク、オレンジ、黄、白などの花が咲きます。
 花言葉は”神秘的な美しさ、悲しみ、希望”など。


 あとがきによると俵さんは地震の時に東京にいて、仙台に住む7歳の息子さんと両親に会えたのはその5日後。翌日には息子さんと仙台を離れ紆余曲折の末、南の島(沖縄)に住みついたとのこと。
 表題の

  

子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え

 はたぶんそんな逃避行の時の気持ちを詠んだ短歌かと。
 でも、あの時はみんなそうだったんですよね。私んちも4日後には仙台にいる奥様と息子が仙台を出て、奥様の実家のある関西に避難をしました。
 人間というのはそこにいるだけで1日に3リットルの水、約2000~2200Kcal分の食糧(*1)を消費します。またトイレや電気(暖をとる、テレビを見る、携帯電話の充電など(*2))、通信などインフラも必要になります。職業倫理としてそこで救援活動をする医者、警察、消防署員などや、ボランティア活動をする人をのぞけば、被災地区に負担をかけないという意味では、他の地区に避難できるのであれば避難したほうが望ましいと考えるほうがポジティブではないかと。

 で、問題は帰るか帰らないか、帰るとしたらいつかということ。
 まあ、帰んないでも何とかなるんであれば別に帰らなくてもいいという選択肢もあるわけだし、帰るのも本人の意思で決めると言うよりまわりの状況で決まってくることもあります。私んとこだって、”そろそろ息子の学校が始まるから”って理由だったし。

  「帰る理由」「帰らぬ理由」並べれば角のとれないオセロのごとし

 結局のところ、どっちの理由をあげてもそれなりのものが並ぶのはありがちなことです。仕事でもなんでも、やるのもやらないのも理由なんていくつでも考えられるし、そのどの理由に重きを置くかで結論なんかど~とでもなります。

 で俵さんは、息子さんのために帰らないという選択をするわけです。
 あとがきから

  不安をより少なく、と私は思った。シンプルに言えばそういうことだ。
  あの日以来、多くの人が考えた事だろう。
  自分にとって一番大切なものは、何なのかと
  母親である私には、
  少しでも安全な場所へ子供を連れていきたいという事しかなかった。

   何色にもなれる未来を願う朝 白いガーベラ君に手渡す

 俵さんがシングルマザーとして出産したって聞いたのは随分昔のことですが(*3)、それなりにご苦労もあったんでしょうね。だからこそ子供第一で物ごとを考えるんでしょうね。生まれてくる時は真っ白な子供が何色に染まるかは子供本人によるところが大きいですが、親や周りとのかかわりあいの影響も大きいでしょうし、親としてはあんまり変な色に染まってほしくはないと願うのであります。

 ”逃げてゆく”というとネガティブなイメージがありますが、新しい環境を手に入れるきっかけになったと思って、今後とも素敵な短歌を詠んで欲しいと思います

《脚注》
(*1)約2000~2200Kcal分の食糧
 一般的には3日分の食糧備蓄が必要と言われてています。ご飯パック、レトルトカレー、カップラーメン、缶詰、高カロリービスケットなど保存性と飽きのこない組み合わせも考える。相当量が必要です。
(*2)テレビを見る、携帯電話の充電など
 奥様に言わせると、電気が回復してテレビが見れるようになって初めてことの大変さがわかったそうです。また携帯電話の電源が切れて充電ができなかったのも同様で、充電して通信が回復したら山のようなメールが飛んできたそうです。
(*3)シングルマザーとして出産したって~
 2003年11月のニュースに出てました。
 元神奈川県立橋本高校の教師で国語審議会委員や中央教育審議会委員になられた人ですから、風当たりもきつかったんじゃないでしょうか。心配です。

上司たるもの、遺恨残さず、毛根残す(おかえり。5ねんぶりの生協の白石さん/桂)

 ども、奥様の実家がコープこうべ(*1)の会員のおぢさん、たいちろ~です。
 奥様が神戸在住のお嬢様だったため、実家に帰ると買い物はコープさんをよく利用します。で、この”コープさん”という言い方は関西特有らしく(*2)、神戸から自宅に帰ってきた娘が友達に”コープさんで買い物して~”といったら”その言い方はヘン!”と笑われたそうです。
 ことほど左様に生活に密着しているコープさんですが、生協といえばこんな有名人もいます。
 ということで、今回ご紹介するのは元東京農工大学生協にお勤めだった白石さんの本の”生協の白石さん”の続編”おかえり。5ねんぶりの生協の白石さん”であります。


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 写真は~たいちろさんの撮影。近所の公園の桂です。


【本】おかえり。5ねんぶりの生協の白石さん (白石昌則 ポプラ社)
 白石さんが東京農工大学生協にお勤めだったころ、学生の書いた”ひとことカード”への回答があまりにもユニークだったため本にまとめて出版したところ大ベストセラーに。
 現在は東京インターカレッジコープにお勤めで、Twitterに寄せられた就活中や新社会人からの質問への回答をまとめたのがこの本です。
 ちなみに”しろいしさん”ではなく”しらいしさん”。
 囲碁に使う白い石は”しろいし”と読みます。
【花】桂(かつら)
 カツラ科カツラ属の落葉高木。
 街路樹として植えられてますが、葉っぱがハート型をしているので近づいてみると分かります。建築材や家具の他、碁盤にも使われるそうです。


 人生、偶然であれ身から出たサビでれヤバイ状況ってのは起こります。
 これでも会社では中間管理職ってのをやっていますので(これは本当)、上司としてアドバイスをすることもあります(*3)。でも、上から目線で言えば相手はムッっとするでしょうし、正論ばかりだとウザイと思うでしょう
 まあ、ヤバイ状況ってのは本人は多かれ少なかれテンパッていますので、肩の力を抜いて考えるように持っていく方がよさげな場合も多いです。
 で、この肩の力を抜くのにいいのが白石さんのコメント。
 本書だとこんな感じです。

  Q.新規取引先の担当者が3年前に別れた彼女でした

 まあ、どんな別れ方をしたかにもよるんでしょうが、おもいっきしフッったんであればヤバイ状況でしょうね。
 で、白石さんの答えがこれ

  A.別れる、という言葉からお二人の「和」が亡くなると、「枯れる」。
    一度は枯れた間柄にもかかわらず、また巡り巡って、
    今度は「輪」が引き寄せられたのかと思われます。
    素晴らしいネットワークだと感じ入りました。
    これも何かの縁、
    今度はお互いの会社の利益となる「円」をもたらしてくれるとよいですね。

 単なるダジャレと思われるかもしれませんが、いざ自分がアドバイスする立場になって、こんだけさらっと言えるかというと難しいです。前向き感もあって良いアドバイスではないかと。

 もうひとつ、今度は身から出たサビ編。

  Q.私は酒癖が非常に悪く、先日ついに本部長のカツラをはぎ取ってしまいました。
    せっかく入社した憧れの会社ですが、もう辞めるしかないのでしょうか?

 その場にいれば空気が凍りつくような一瞬でしょう。本人のお悩みは深刻なご様子。で、白石さんの回答がこれ。

  A.気まずいとはいえ、このまま会社をづら狩るのは
    管理職である本部長が最も悲しむことではないでしょうか。
    上司たるもの、遺恨残さず、毛根残す。
    次に会った時、本部長の気持ちはきっとリアップしていることと思いますよ。

 この本部長にしたって、もしこの社員が本当に会社を辞めたら

  ”カツラのせいで新入社員を辞めさせた本部長”

 という伝説が一生ついて回るわけで、本部長自らの人間の大きさを問われる局面ではあります。

  上司たるもの、遺恨残さず、毛根残す。

 名言です。

 ちなみに、”晴耕雨読”風にやるとこんな感じ。

  A.カツラの代わりに”桂の葉っぱ”を本部長の頭に張り付けてみてはどうでしょうか?
    桂の葉っぱはハート型ですので、
    きっと本部長の心にあなたへの愛があふれてくるでしょう。

 実際にやってみて更に大きなトラブルになっても、アドバイスはしませんので悪しからず。

 ”おかえり。5ねんぶりの生協の白石さん”はあまり難しく考えず、ふとした時に読むには良い本。1冊目の”生協の白石さん”と併せて、ぜひご一読のほどを。
 ウイットに富んだアドバイスは時にまじめな意見よりも心に届きます。

《脚注》
(*1)コープこうべ
 神戸市を中心に店舗展開をする生活協同組合。組合員数165万人、年間売上高2,438億円弱と地域生協では最大。この売上高は青山商事(1970億円)、サークルkサンクス(1920億円)を上回り、パルコ(2648億円)にほぼ匹敵します(いずれも2011年3月期)。
(*2)この”コープさん”という言い方は関西特有らしく
 他にも”あめちゃん”とか”おいもさん”とか。
 ”大阪のおばちゃんのカバンには、必ずあめちゃんが入っている”というネタがありますが、奥様に聞いたところちゃんと入ってました。
(*3)上司としてアドバイスをすることもあります
 産業能率大学が実施した”新入社員に聞く理想の上司”調査(2012年3月)によると。1位が大阪市の橋下徹市長、2位がニュース解説の池上彰、3位が野球選手のイチローでした。
 この結果に橋下市長がインタビューに答えて
  (僕みたいな)こんな上司がいたら嫌ですよ
  同じ組織にいないから(僕のことを理想の上司だと)言えるんじゃないか

 と話してますが、この客観的な評価ってのがこの人の持ち味なんでしょうね。

意匠性、やっぱり殺人事件はそれらしい舞台で起こって欲しいものです(奇面館の殺人/中間管理職刑事/紫のバラ)

 ども、マンションの借金を返すだけでひ~こらいってるおぢさん、たいちろ~です。
 ジャンボ宝くじでも当たれば、無人島に瀟洒な洋館でも建てて暮らしてみたいモンですが(*1)、えてしてこういった館では必ず殺人事件が起きます。
 ”絶海の孤島”とか”雪に閉じ込められた山荘”とか人の出入りが不可能な場所で起こる殺人事件ってのはミステリーの王道ですが、これに登場人物が仮面をかぶってるってなると江戸川乱歩(*2)もかくやというおどろおどろの世界になります。
 ということで、今回ご紹介するのはそんなシチュエーションの本格推理モノ”奇面館の殺人”であります。


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 写真は”デジタル備忘録”から。紫のバラです。


【本】奇面館の殺人 (綾辻行人 講談社)
 豪雪に閉じ込められた別荘”奇面館”。ミステリー作家”鹿谷門実(ししやかどみ)”は知人の身代わりとしてこの館に招かれる。そこでは主人を始め、執事、メイドまで仮面をかぶっていた。鹿谷を始め6人のゲストも仮面を被らされ奇妙なパーティが始まる。
 そして翌朝、首なし死体となった主人が発見される・・・
 綾辻行人のミステリー”館シリーズ”の第9作目。
【本】中間管理職刑事 (秋月りす 竹書房)
 刑事歴20年のベテラン刑事、天然ボケの刑事による4コママンガ。なぜ中間管理職かというとこの刑事さんは”OL進化論(*3)”に登場する理想の中間管理職の課長さんと、課長の部下で35歳独身の田中君の組み合わせだから。
 けっこうハマります。
【花】紫のバラ
 仮面にかかわる花と言えば”紫のバラ”。
 ”ガラスの仮面(*4)”からの連想ですが、そんだけです。すいません。
 ちなみに”紫のバラ”の花言葉は”誇り、気品”です。


 この”館シリーズ”ですが、探偵役の鹿谷門実が登場する以外にもう一つ共通点があって、それは殺人事件が起こる建物が建築家”中村青司”の設計によるもの。隠し扉や通路は言うに及ばす、中にいる人の時間感覚を狂わせる(*5)なんて大がかりなものまで。はっきり言って”金持ちの考えていることはよくわからん?!”という施工主のヲタク的な趣味と、それに輪をかけてマニアックな建築家の組み合わせがあって始めてなせる技です。
 で、こんんだけこりまくった舞台装置なんだから、それなりの殺人事件が起きないと世間が納得しません。今回の”奇面館の殺人”もそんな殺人事件ではありますが、事件のピースがそろわないとそうは見えない局面も。
 名探偵、鹿谷門実が謎解きの中でこんなことを言っています。

  どうですか。こうして語ってみるにつけ、
  何ともはや、いかにもな舞台でのいかにもな事件じゃありがありませんか。
  どう云えばいいんでしょうね、全体がある種の”意匠性”に満ちている、
  とでも云うか

    (中略)
  この舞台装置でこの事件なら、
  ○○はもっとそれらしい場所で発見されてほしいじゃないですか。

    (中略)
  意匠性の欠如、とでも云うのかなあ
  だからつまり・・・ そういう事件なんですよ、きっとこれは。

 鹿谷門実も別に殺人事件を望んでる訳ではないですが、やはり形は整っていて欲しいもの。これは別に探偵に限らず、刑事さんも同じです。
 で”中間管理職刑事”から、形が五角形で全体なナナメという奇妙な館での殺人事件での警部と部下の会話。

  警部:あちこちに隠し部屋や抜け道が
  部下:何のためにこんな家、建てたんでしょう
  警部:さあ、何にせよ主人は無念だろうなあ
     庭で殺されるなんて
  部下:凶器 石だし、犯人すぐ捕まったし

 実際の事件なら、こんなに脳天気なことは言ってられないんでしょうが、お気持ち察します。

 推理の中身はネタバレになるのであまり書きませんが必然と偶然が交錯する中、凄惨な殺人事件になっていくさまとその真相を解決する鹿谷門実の名推理。
 本格ミステリーとして面白い1冊です。

 余談です。
 本編の推理にはまったく関係がありませんが、登場するアルバイトでメイドになった瞳子(とうこ)さん。この人も能面をかぶって仕事をするんですが、そのファッションが濃紺のワンピースにフリル付きの白いエプロンドレス

  主人の趣味なのかどうかは分からないが、
  エプロンに合わせた白いカチューシャまで用意してある

   (中略)
  ただし、この能面を付けて、なおかつ頭にはカチューシャも、
  というのはどうだろう
  --似合わなさすぎる。試してみるまでもなく。

 ここの主人はカルメルさんのファンなんでしょうか?(*6)
 こっちも謎です・・・

《脚注》
(*1)無人島に瀟洒な洋館でも建てて~
 東京都知事の石原慎太郎が尖閣諸島の買い取りを表明したことで、”無人島を買う”って話題がみょ~に盛り上がってました(2012年4月)。実際に買うことはできるそうですが、ライフラインの整備にけっこう費用がかかるとのこと。
 まあ、サンダーバードみたく島ひとつを秘密基地にするってのは男のロマンではあります。
(*2)江戸川乱歩
 昭和を代表する推理小説作家。テイストは一言で言うとおどろおどろの世界。
 作中でちらっと触れてますが、この人にも”奇面城の秘密”という作品があります。
(*3)OL進化論(秋月りす 講談社)
 ドジで天然なOLのジュンちゃんとその同僚の美奈子さん、ひろみさん、35歳独身でいじられ役の田中君などユニークだけどどこにもいそうな会社員を主人公にする4コマ漫画。
(*4)ガラスの仮面(美内すずえ、白泉社)
 1975年に連載開始、”最終回を読みたいマンガ”のベストテンにも選ばれ、今でも続いている超ロングセラー少女漫画。
 芸能社の社長、速水真澄が主人公の北島マヤに贈るのが”紫のバラ”です。
 しかし、”北島マヤが「紅天女」というお芝居を演じる”というモチーフだけでこんだけ引っ張れるのはさすがです。
(*5)中にいる人の時間感覚を狂わせる
 ”時計館の殺人”(綾辻行人 講談社)より。けっこうお気に入りです。
(*6)カルメルさんのファンなんでしょうか?
 ”灼眼のシャナ”(高橋弥七郎、電撃文庫)に登場するヴィルヘルミナ・カルメルさんのこと。紺色のエプロンドレスにカチューシャと正当メイドスタイルながら、戦闘時は仮面をかぶってという上記の瞳子さんまんまのお姿です。

最近の経済学は心理学の分野でもあるらしい(鈴木敏文の実践!行動経済学/チューリップ)

 ども、冷徹なる経済人のおぢさん、たいちろ~です。
 これでも一応経済学部の出身なんですが(*1)、大学時代はでんでん勉強せんかったんであんまし詳しくはないです。その反省もあってか時々経済学の本も読みます。で、最近気にいっているのが”行動経済学”という学問。2000年度に入ってから注目をあびたという比較的新しい分野ですが面白いんですね、これが。
 ということで、今回ご紹介するのは”鈴木敏文の実践!行動経済学”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。近所の公園のチューリップです。


【本】鈴木敏文の実践!行動経済学 (鈴木敏文、勝見明 朝日新聞出版)
 セブン&アイホールディングス(*2)の代表取締役会長”鈴木敏文”が自らの経営理念を語った本。インタビューと形式をとっていて、その会話の中に行動経済学的なアプローチを説明しています。
 ”朝日おとなの学びなおし”シリーズの1冊。
【花】チューリップ
 春を代表するユリ科チューリップ属の植物。花壇にいろんな色や形のが咲き誇るように数百品種のチューリップが存在するそうです。
 植え付けは球根を使います。種が出来ないわけではないですが、開花まで5年以上かかるんだそうです。


 行動経済学ってのは”人間の認知の仕方や心理的バイアスがどの様に経済行動における意思決定や市場価格に影響を与えるかを研究する分野”(wikipediaより抜粋)。要は経済学を心理学的なアプローチで考える学問です。
 従来の経済学ってのは”経済人(homo economicus)”という経済活動では自己利益(効用)を最大にするように”完全に”、”合理的に”行動するっていうありえね~という人格を仮定してるんですが、行動経済学は人間はアホなので誤解や思い込みで行動するし、損をするとビビって問題先送りするしとかある意味人間的な行動を前提にしています。

 いくとか本書からひろってみます。

〔プロスペクト理論〕
 損して失うものは、えてして得るものより大きいと感じること。
 縦軸に得られたと感じる価値、横軸に利得(損失)にグラフ化すると、従来の経済学では期待値に相関するので直線になるはずですが、行動経済学では左右非対称なS字カーブを描きます。利得側はゆるやかに上昇するのに対し、損失側は急激に落ち込みます。だいたい100の利益より100の損失は2~2.5倍大きく感じてしまうらしいです。
 本書の例では、5コ仕入れたものが5コ売れると完売でOKってのが普通の考え方ですが、実はもっと売れたかもしれない機会を失ってる(機会ロス)かもしれない。でも仕入れ過ぎると廃棄ロス(損実)が発生するかもしれないので、そっちのほうにビビってあんまし仕入れをしない、という見方。
 一般的に良く言われる例としては”株価が上昇するとすぐ売ってしまうが、下がると損切りしてでも売ることができず、どんどん状況を悪くしてしまう”ってのがあります。これは別に素人だけじゃなくて、プロでも同じ。AIJ投資顧問の引き起こした”年金資産消失問題”で浅川和彦社長が”損失を取り戻せる自信があった”という趣旨の答弁をしていますが、まさにこれ。

〔参照点とアンカリング効果〕
 買い手が感じる満足度は絶対的な水準があるわけではなく、最初の体験が基準となって次の満足度が決まる。これが参照点。
 一方、売り手はお客様が一度満足するとそのレベルが固定されて心理的にアンカー(碇)になって、買い手の変化に対応できない。これがアンカリング効果。
 本書では”おいしいもの=飽きるもの”という言い方をしてますが、これは一度おいしいと思ってもらっても、次はそれが当たり前になってやがて飽きられるといくこと。だから価値というものを不変だと考えず不断に向上させないといけないということです。
 まあ、分かりやすく言うと最初は”こんな素敵な人はいない!”と思って結婚した女性が、結婚して時間がたつとだんだん古女房化してきて、そんな時に若い女性が目の前に現れると(以下 自主規制)

 ってな感じです。

 本書では、行動経済学以外の話題で”話し方”、”マネジメント力”、”リーダーシップ”なんかが出てますが、面白かったが”脱 勉強主義”。
 鈴木敏文の持論に”新しい仮説は勉強からは生まれない”ってのがあるんだそうですが、これは勉強というのが過去の経験の積み重ねをなぞるにすぎないことが多いので、勉強すればするほど過去の制約条件を学んでしまうことになるからとか。
 セブンイレブンが銀行を立ち上げてATMを展開した時に金融コンサルタントなど専門家はこぞって反対した例をあげてますが、それが成り立つかどうかが専門家の持つ既存の知識で答えを出せなかったからと言ってます。
 私もコンビニのATMが始まったころに銀行の人とこの話をしたことがありますが、このビジネスモデルが成功すると答えた人は皆無でした(*4)。
 まあ、まったく勉強が不必要だと言ってるわけではないですが、必要なのは知能指数の高さより仕事に対する取り組み方で、仮説を立てるのには借りものの勉強で得た知識でなく”顧客の立場で判断した情報”にこそ価値があると言ってます。
 ある意味その通りですが、ちょっと気になるのは、人間ってあまりに勉強しなさ過ぎてるんじゃないかなと。まあ、”学習効果”がないってのか。
 チューリップ・バブル(*4)なんて歴史的な失敗をやってるのに、平成でバブル景気に踊ったり、ITバブルを繰り返したり・・・

 ”実践!行動経済学”の著者、鈴木敏文は経営者なので本書は経営ノウハウを中心に書かれています。学問的にはちょっと喰い足りない感はありますが、ノウハウ書か入門書として読むには良いかもしれません。

《脚注》
(*1)これでも一応経済学部の出身なんですが
 専攻は”物価論”、先生は後に大阪市長になる磯村隆文教授です。
 できの悪い生徒ですいません。
(*2)セブン&アイホールディングス
 いまでこそ24時間営業当たり前のコンビニですが、セブンイレブンが日本に登場したのは1974年、ローソンが1975年と比較的新しい業種です(ともに1号店開店時期)。
 セブンイレブンの名前の由来はアメリカのセブンイレブンが朝7時から夜11時まで開店してたからだそうです。今ではほとんどの店が24時間営業。まあ、世の中が眠らなくなってるからなぁ。
 昔、富士通のパソコンに”FM-7”、”FM-11”ってのがありましたが、なんか関係あるんでしょうか?
(*3)このビジネスモデルが成功する~
 当時とはハードウェアの費用が違うので一概に比較できませんが、だいたいATM1台当たりの損益分岐点が取扱件数で80~100件/日と言われてましたので”そんなにお客様が来るはずがない”というのがその理由。
 セブンイレブンは徹底的なコスト削減、銀行への利用解放(手数料ビジネス)などで成功させました。金額でいうと2010年度ではセブン銀行経常収益839億円のうちATM受入手数料が805億円と実に96%をたたき出しています(2011年3月期度決算説明資料より)。
(*4)チューリップ・バブル
 オランダで1637年に起こった世界最初のバブル経済事件。珍しいチューリップの球根に人気が集中し異常な高値がついた後、一気に暴落しました。
 チューリップは新種を作るのに交配させて種子から育てると3~7年かかり、また球根(子球)も2~3ケしかできないので生産が需要に追い付かないということが遠因だそうです。

ハードルを引っ掛けて転倒しても、立ちあがってもう一度走り出す以外に方法はないのだ(さらば長き眠り/墓参りのお花)

 ども、春眠暁を覚えずおぢさん、たいちろ~です。(別に春でなくても眠いですが)
 昔から早寝早起きの人なんですが、寝るのが10時過ぎ(土日は7時過ぎ)、起きるのが朝4時前とちょっと度が過ぎておりまして、奥様の実家に遊びに行った時には義理の母から”お父さんは朝が早く起き過ぎて困るんよ”という義父より早起きをしていてれられました。
 まあ、仕事がなければ長く寝ていたいもんですが、長すぎると本を読んでる時間がなくなるしなぁ
 ということで、今回ご紹介するのは表題そのままですが、ハードボイルドの傑作”さらば長き眠り”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。近所の百合です(たぶん)。

【本】さらば長き眠り (原尞 ハヤカワ文庫)
 日本のマイク・ハマー(*1)と呼ばれる私立探偵”沢崎”は元高校野球選手の”魚住彰”から11年前に亡くなった姉”魚住夕季”の自殺の真相を調べるよう依頼を受ける。彼は姉が自らにかけられた八百長疑惑が原因で自殺したことに納得できずにいた。
 調査を進めるうちにその自殺がまったく別の事件と結びついていたことを知る・・・
【花】墓参りのお花
 一般的には白や淡い色のものが基本で、日にちがたてば色花でも良いとのこと。故人が好きだった花などでもOK。ただし、棘のある花・毒のある花・匂いの強い花は避けるべきだそうです。
 私だったらディモルホセカ(*2)の白あたりがいいなあ。


 高校のスポーツとしてはもっともメジャーなのが高校野球。私は野球はまったく見ませんが、昔子供がまだ高校生だった”ダルビッシュ有(*3)を見た”とか言ってましたんで、ここまでメジャーだと名前ぐらいは知っています。
 もっともダルビッシュのように栄光をつかむ選手ってのはほんの一握りで(*4)ほとんどが何の花も咲かさずに散っていくんでしょうね。まあ、それでもひっそり散るならまだしも、大事な場面でエラーをするとか、勝ってる試合の最終回でボコボコに打たれて逆転負けするとか栄光が大きいだけに、トラウマになりそうなマイナスもあるんじゃないかと。
 で、”さらば長き眠り”に出てくる魚住君のように八百長疑惑まででてくると大変なんでしょう。本来だったら教育の一環であるクラブ活動で八百長が出てくるのってのは大人の事情なんでしょうが、そんなのに振り回される高校生はたまったモンじゃありません。

 ハードボイルドな私立探偵”沢崎”の言葉

  魚住のように野球人生のほとんどスタート時点で躓くのと
  江夏(*5)のように栄光のゴールを通過したあとで躓くのと
  どちらが男にとって不幸なことだろうかと考えた。
  意味のない感想だった。
  躓いた本人にとっては行く手を遮っているハードルを引っ掛けて転倒しただけのことで
  黙って立ちあがってもう一度走り出す以外に方法はないのだ。
  不幸などという感想が生まれるのはつねに他人事に限られていた。

 なかなか含蓄のある言葉です。
 たとえ大人の思惑に振り回されても、自分の足で走るしかないわけでこういったふてぶてしいまでの自己を律する意思ってのがハードボイルドの真骨頂です。
 でも、大人の思惑で走ることすらできなくなったのが彼の姉の夕季。

  「魚住夕季の墓に毎年花を供えられていたのはあなた方ですか」と、私は○○に訊いた。
  ○○は自嘲気味に小さく笑った。
  「死んだ娘にできることが、隠れて花を供えるだけとは情けないことだ」

 結局のところ死んでしまえば、親であってもお花を供えるぐらいしかできません。
 生きていて、立ちあがって走り続ければこその未来です。

 お墓参りでよく使われる百合の花言葉は”純潔”、菊の花言葉は”高潔”です。
 ”潔い”に”は清らかである、汚れがない”という意味と”思い切りがよい、未練がましくない”という意味があります。
 時は春、晴れて希望の大学に合格した人もいれば、受験に失敗して浪人した人もいるでしょう。ぶ~たれて立ち止まっていては来年の合格はおぼつきません。浪人なんて人生のほとんどスタート時点でハードルに躓いたぐらいで、あとでいくらでもリカバリーはききます。2年も浪人した私がいうから間違いありません。
 何をするのは本人次第で、それに親なんで受験生にお金をお供えするぐらいしかできることはないんだし。まあ親としてはそれはそれで大変なんですが・・・

 ”さらば長き眠り”を始め原尞の”沢崎シリーズ”は文句なしに面白いんですが、この作家、おもいっきし寡作。早く新作が読みたいんですがねぇ。

《脚注》
(*1)マイク・ハマー
 ミッキー・スピレインの小説”裁くのは俺だ”などに登場するハードボイルドな私立探偵のこと。スピレインは読んでないので、今度読みます。
 調査対象の人からこう呼ばれてますがこれは間違い。”さらば長き眠り”という表題がチャンドラーの”さらば愛しき女よ”と”大いなる眠り”と”長いお別れ”のオマージュになっているように、”フィリップ・マーロウ”のほう。
 でも、こういった外し方をわざとやるのって好きです。
(*2)ディモルホセカ
 キク目キク科ディモルフォセカ属の一年草。別名アフリカキンセンカ。
 黄や橙色の暖色系ほうが多いようですが、私は白のほうが好きです。
 マイナーな花好きですいません。
(*3)ダルビッシュ有
 元東北高校の野球選手。今はアメリカにいるらしいです。
 でも、高校生で喫煙写真をスクープされるわ、21才かそこらでモデルのおねえさんとできちゃった結婚するわってのはどうなんでしょうねぇ。
(*4)栄光をつかむ選手ってのはほんの一握りで
 日本高等学校野球連盟の調査によると、高校の硬式野球部数は4,090校、部員数は約16万7千人ぐらいいるそうです(2011年度調査)。こうなってくると夏の甲子園で優勝するのってAKB48でセンターとるぐらい難しいんだろうなぁ。
(*5)江夏のように栄光のゴールを通過したあとで躓くのと
 江夏豊。阪神タイガース他に在籍した元野球選手にして現野球解説者。。奪三振401ケという世界記録保持者、オールスター9連続奪三振、”20世紀最高の投手の一人”、”、”優勝請負人”と呼ばれるなど栄光をほしいままにしたがら、引退後の1993年に覚せい剤取締法違反により逮捕されました。(wikipediaより抜粋)

家族って・・・、あたしの義理の息子になるつもりなの!(トワイライト/ホトトギス)

 ども、そろそろ孫がいてもおかしくない年になってきたおぢさん、たいちろ~です。
 先日、テレビを見てましたらモデルのあびる優のお母様(*1)という方が出てました。これがまあ、美しくて若々しいお母様で、私んちの奥様と同じ年だとは思えません。出演の男性陣からはあびる優を目の前にして”付き合うんだったら、お母さんの方がイイ!”と言わしめるほど。
 まあ、彼女のお母さんとお付き合いするというシチュエーションの小説がないわけではないですが(*2)、お母さんが18才、娘が生後3日、その相手がちょっと前まで自分を愛してると追っかけまわしている男となるといかがなものかと。
 ということで、今回ご紹介するのは人気の”トワイライトシリーズ”の最終章”Breaking dawn(*3)”であります。


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 写真は”フリー素材屋Hoshino”より。ホトトギスです。


【本】トワイライト (ステファニー・メイヤー ヴィレッジブックス他)
 少女ベラは恋人の吸血鬼エドワードとついに結ばれる。ハネムーン先で体が不調になったベラは自分が妊娠したことを知る。生まれてくる子供は吸血鬼界最大のタブー”不滅の子(*4)”かもしれない。そして、吸血鬼界の秩序を守るべくヴォルトゥーリ一族が動き出す・・・
【花】ホトトギス(杜鵑草)
 ユリ科植物の属のひとつ。
 東アジア(日本、台湾、朝鮮半島)に分布してますが、日本が原産であると推定されているそうです。地域固有種が多く絶滅危惧種に指定されているものも多いです。
 花言葉は”私は永遠にあなたのもの


 この家族、お父さんは吸血鬼お母さんはなりたて吸血鬼、娘はお母さんが人間の時に妊娠しているので吸血鬼と人間のハーフ。彼氏ってのが狼人間という、知らない人が聞いたら”幽霊城のドボチョン一家か!?(*5)”というツッコミのありそうな設定です。
 で、この狼男ってのが生涯の伴侶に”刻印”とういのがあって、これがつくととってもラブラブモードになるという羨ましい特性がありますが、これがつくのに年齢は関係ないというハタ迷惑な面も。元カレの狼男ジェイコブの相手ってのが生まれたばかりのベラの娘レネズミというロリコンどころかペドフェリア以下(*6)という危ない状況です。

 で、ジェイコブがレネズミに刻印されたことをベラに告白するシーン

  ベラ   :私の赤ちゃんに”刻印”だなんて・・ 頭のネジでもはずれたわけ?
        (中略)
  ジェイコブ:だって、ベラがいったんだろ。覚えてる?
        おれもベラモもおたがいの人生の一部なんだ、家族なんだってさ。
        それがあるべき姿だって。ほら・・・そうなったんだよ。
        ベラが望んだことじゃないか
  ベラ   :家族って・・・、あたしの義理の息子になるつもりなの!

 まあ、お母さんのお怒りはもっともですがこの”刻印”ってのは相手にも作用するようで、娘のほうもあっという間にラブラブ状態。それに超人的なパワー+血を吸う女性の相手なんて狼男ぐらい丈夫な男でないと務まりません
 自分だって、親の反対を押し切ってむりやり結婚したわけですから因果応報と言えなくもないかなぁ。

 もっとも、子供ができること自体がこのご夫婦には想定外だったようで、男性の吸血鬼にはには子供を産ませる能力があっても、女性の吸血鬼にはないらしい(*7)。また、定住しても地域限定と全世界でばらばらか、放浪者という出会いそのものも少ないこともあって、自分の遺伝子を残すという意味では吸血鬼ってほとんど絶滅危惧種です。
 でも、レネズミとジェイコブに子供が出来たら、吸血鬼と狼男と人間のハーフになるわけでぜひこの子を主人公にした続編を読んでみたいものです。

 ”Breaking dawn”は2012年2月から実写映画で公開が始まりましたが(まだ観てません)、ヴォルトゥーリ一族との直接対決ってどうやって映像化するんだろう?
 ネタバレですが、ステファニー・メイヤーの作風なのか、思いっきり引っ張ってったわりには肉弾戦の闘いはなくって、ほとんどマインドコントロール合戦。敵のリーダー”アロ”は冷静で丁寧な話し合いだけで去って行きます(*8)。まあ、それなりに精神攻撃はすごいんですが。

 まあなんだかんだありましたが、ベラとエドワードにはぜひ幾久しく幸せになって欲しいもの。言葉どおりお二人には永遠の時間があるんだから。

 ”トワイライト”は今回でやっと全巻読み終わりました。きっかけになった桜庭一樹がはまったのが良く分かる小説(*9)。楽しませていただきました。

《脚注》
(*1)モデルのあびる優のお母様
   元女優の阿比留貴美子(旧姓 中山貴美子)さん。
 1982年に池田満寿夫が監督した映画『窓からローマが見える』に主演したそうです。やっぱりねぇ。
(*2)彼女のお母さんとお付き合いするという~
 どっちかというとエッチ系の小説ですが・・・
 ちなみにエッチ系小説のレーベル”フランス書院文庫”で”彼女の母”というタグで検索すると14冊出てきます。まあ、あんまし好きなテイストではないので読んだこたないですが。
(*3)Breaking dawn
 辞書で調べましたがうまく出てきません。”break down”だと崩壊、行き詰まる、 挫折などですが小説の中身と合いません。
 ”The dawn is breaking”だと”夜が明けようとしている、新しい時代が来ようとしている”なので、たぶんこっちのイメージなんでしょうね。
(*4)不滅の子
 分別のない子供が吸血鬼に転生すると、その超絶的なバワーで人間界に危害を加えるため吸血鬼の存在が明らかになり、吸血鬼界をのものを危機に陥れる。よってその子供=不滅の子は滅ぼさねばならない、という理屈。
 そういや平井和正の”赤ん暴君”という短編に超能力を持った赤ん坊の恐怖ってのがありましたが、制御に効かないパワーってのはハタ迷惑意外のなにものでもありません。
(*5)ドボチョン一家か!?
 古城に住む、ドラキュラ、狼男(日本語版では人食いライオン)、フランケンシュタイン、ミイラ男などが登場するアメリカのアニメ。”一家”と言ってますが、あんまし血縁関係はなさそう。名古屋弁をしゃべるドラキュラ(声は南利明)がオススメ。
 日本では1970年の放映なので、ツッコミしてる人はおぢさん世代だけかも。
 YouTubeで見ることができます。
(*6)ロリコンどころかペドフェリア以下
 少女を愛するのがロリコン、幼女を愛するのがペドフェリア。と分けたところでどっちも残念な人であることには変わりはありませんが。
(*7)女性の吸血鬼にはないらしい
 理由は書いてませんが、生理の血に耐えられないから?(下品なネタですいません)
 ちなみに狼女も同様で、狼女のリアさんも
  もう、アガッてるの、二十歳にして更年期だから
 と言ってますが、狼女の更年期障害って見たくないなぁ・・・
(*8)敵のリーダー”アロ”は冷静で丁寧な話し合いだけで去って行きます
 エドワードは、アロが正々堂々と戦ったことがないとか、不利な状況で戦わないとかさんざんな評価をしてますが、闘いとは始まる前に必勝の状況を作りだし、不利な場合は撤退ができるという点ではアロってけっこうな名将だと思うんですが
(*9)桜庭一樹がはまったのが
 私のブログ”黄昏時の若人をとめられるものなどこの世にないやね”をご参照ください。

家族を苦しめているのはあなたが知恵と称している”虚偽”だ(私が殺した少女/十月桜)

 ども、世界の影の支配者のおぢさん、たいちろ~です。ウソです。
 さて、このブログを書いているのは4月1日、エイプリルフールです。
 年に1日、ウソをついてもシャレで済む日ですが、同時にビジネスマンにとっては予算が達成できたかどうかが確定する日でもあります。最近は、期初に”○○をやります”という約束をして、翌期初にそれが出来たかどうかという成果評価をやりますが、できなかったからといってそれが即”虚偽”ってわけではないですし。もっとも、会社全体の決算から見ると株主に対して経営目標を守れなかったという意味では問題ではあります。AIJ投資顧問は論外としても(*1)、経営者ってのは結果責任を問われるわけで、それも給料の内なんでしょうね、たぶん。
 ということで、今回ご紹介するのは、虚偽が不幸を生む話、最近はまっているハードボイルド小説から”私が殺した少女”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。清水公園の十月桜です。撮影は2009年11月15日。

【本】私が殺した少女(原 尞 ハヤカワ文庫)
 私立探偵沢崎は電話の依頼を受け真壁家に向かうが、そこでは天才ヴァイオリン少女”真壁清香誘拐”の誘拐事件が発生していた。父親の真壁脩の依頼を受け身代金六千万円を運ぶことになるが・・・
 1989年、第102回直木賞を受賞したハードボイルド小説の傑作。
【花】十月桜
 桜と言えば春に咲くモンだと思っているでしょうが、十月桜は4月上旬頃と10月頃の年と年2回開花します。これは本当。
 ちなみに、4月1日、エイプリルフールの誕生花はサクラです。

 ハードボイルドの探偵がなぜにかっこええかというと、己の矜持にかけて自らに課したルールに忠実であること。そこには虚偽の生き方なんてのが入ってくるスキはありません。フィリップ・マーロウしかり、サム・スペードしかり(*2)。日本では沢崎もまさにこの系統です。

 マイク・ハマーや、ススキノ探偵の”俺”なんかも読んでみたいなぁ(*3)。

 まずは沢崎の名言から。謎解きのシーンでの沢崎と真犯人の会話

  沢崎 :人間のすることはすべて間違っていると考える方がいい。
      すべて間違っているが、せめて恕される間違いを選ぼうとする努力はあっていい
(*3)
  真犯人:そこが、あなたと私の違いだ。私には誇りというものがある。
      家族を守っているという誇りだ。
  沢崎 :私も誇りの話をしているつもりだ。
      家族を守るというが、○○や奥さんを一番苦しめているのは、
      あなたが知恵と称している”虚偽”だし、
      つまりは、あなた自身ではないのですか

 まあ、人間のやることにすべて間違いがなければ神様の立場がないわけで、努力はするけど、営業がノルマを達成できなかったとしても、怒っちゃいけないんです
 単なるグチです。すいません。

 本書の沢崎は探偵モノとしては珍しく虚偽の依頼で事件に関与するという”巻き込まれ型”。解決までの過程でいろいろ振り回されてますが、それは家族を守ろうとした真犯人の虚偽。動機は純粋であっても、罪は罪です。
 それぞれの登場人物の真実と虚偽との想いが交錯しつつ話は進みます。

 ”私が殺した少女”をはじめ、沢崎シリーズはハードボイルド小説の傑作。お勧めです。

PS.
 今日、近所で桜祭りがあって行ってきましたが、桜の開花はまだまだ。
 開花予想を見て決めてるかどうかは知りませんが、予定はず~っと先に決まっているはずです。だから、見どころの時期を外したからと言って文句を言うモンじゃありません。  しょせんは、人間のできることなんてそんなもんです。

《脚注》
(*1)AIJ投資顧問は論外としても
 AIJ投資顧問は中小企業を中心に企業年金から1984億円の運用を受託し、顧客に対して240%の運用利回りを確保していると説明していながら、その実態はほとんど資金が消失していたという事件。
 この事件が難しくなりそうなのは、決算報告書の虚偽記載は罪に問えても、運用の失敗そのものが罪に問えるかどうかという点運用の失敗が犯罪だと言うなら、世の中の金融機関はすべて犯罪を犯していることになりますし。
(*2)フィリップ・マーロウしかり、サム・スペードしかり
 フィリップ・マーロウはレイモンド・チャンドラーの”大いなる眠り”、”長いお別れ”などに、サム・スペードはダシール・ハメットの”マルタの鷹”などに登場する私立探偵。映画ではともにハンフリー・ボガートが好演。とにかくカッコイイです!
(*3)マイク・ハマーや、ススキノ探偵の”俺”~
 マイク・ハマーはミッキー・スピレーンの”裁くのは俺だ”などに、ススキノ探偵の”俺”は東直己の”探偵はバーにいる”などに登場する私立探偵。

世間とは大体において不条理・不公平であり、就活はその第一歩である(アホ大学のバカ学生/ルドベキア)

 ども、ぼつぼつ子供の就活を心配しないといけないおぢさん、たいちろ~です。
 先日、会社の人事部から就職の面接官の人選をして欲しいとの依頼が来ていました。まあ、決めるのは偉い人なのですが(*1)、もうそんな季節なんですねぇ。
 相変わらず就職はキビシイようで、一人でエントリーシートを平均30社近く書くんだそうですが(*2)、受けて立つ会社側だってけっこう大変です。私んとこの会社だと1次面接だけで数千人規模だそうで、面接官だけでものべ数百人が必要。そんだけ手間暇がかかってる訳で、会社も適当にやってるではないんですよ
 ということで、今回ご紹介するのは現代の大学と就職事情を書いた本”アホ大学のバカ学生”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。近所のルドベキア・タカオです。


【本】アホ大学のバカ学生(石渡嶺司、山内太地 光文社新書)
 サブタイトルが”グローバル人材と就活迷子のあいだ”とあるように二極化する大学と大学生の実態をレポートした新書。
 おぢさん世代はここまで大学の面倒見は良くなかったなぁとか、そこまで大学って変わってきてンダとか目からウロコの本です。
【花】ルドベキア
 キク科の1年草または多年草。原産地は北アメリカ。開花時期は7~10月ごろと、おぢさん世代の就活時期と重なってます。今は違うみたいだけど。
 花言葉は”公平”、”正しい選択”など。


 就活がなぜゆえにキビシイかというと主には景気が悪いせいですが、あながちそれだけってわけでもなさそうです。現場の立場からいうと”新人を採用する=人材を確保する”ことで、その人材を育成するという観点では5~10年のスパンでモノを考えるんですが、コストとしての人件費は単年度でかかってくるんでそうもいかないわけです。ただ、人材が年代別に著しく不均衡ってのは望まし状態ではないので、そこは会社としても懲りてるんですね(*3)。
 まあ理想的なことばかり言ってられないので量の不足を質でカバーする(極端に言うと1人で1人分以上の生産性を確保できる人を確保する)手に出るわけです。じゃあ大学生の質はどうかというとこれがバラバラというか二極化しているようです。本書には算数レベルのできない学生とか、TOEICで250点とれない学生とかの例が出てきます(*4)。あと一般常識がないとかツイッターにいらんこと書くヤツだとか。

 読んでて思い出したのが、”希望格差社会(*5)”に出てくる”パイプラインの水漏れ”です。一言で言うと、進学という進路の振り分け機能がうまくいかなくなったということ。本来は大学に行かなかった(行けなかった)高校生が大学に進学するようになった(*6)。進学率が上がること自体は良いことなんでしょうが、そのために”だいたいこのレベルの大学だとこのレベルの仕事に就ける”みたいな漠然としたモノが薄れてきて、”大学生なんだからこんな仕事ができるハズ”という思いが出てきて、”こんなハズじゃないのに”みたいな感が出てるんじゃないのかなのかなぁ。
 私んとこの子供も一応全国レベルで名前は知ってもらってそうな大学に行ってますが、それでも大学教授から”大学の名前だけで就職できる時代は終わった”と言われたそうですし。
 別に”だからあきらめろ”とか”高望するな”とか言うつもりは一切ありませんが、難関校と呼ばれる大学から来た人はそれなりに優秀です。もっとも、学力が優秀であるということと、人格が優秀であることは別。どんな大学を出ていても変な奴は変な奴です。
 ただ、”少なくとも高校時代は真面目に勉強した”という実績はある程度評価しますよ、人を見る時には。

 もうひとつ、就活が厳しくなっているのはビジネスがグローバル化することによって、就職のライバルもグローバル化していること。私んとこの会社でも最近は外国籍の人や帰国子女が2割やそこらいます。”今年は日本人ばかりだなぁ”とか思って自己紹介してもらうと実は帰国子女だったり留学してたり。
 日本人の間でも、入社の条件で”TOEIC XX点以上”なんて、会社で英語を使う機会が有ろうが無かろうが求められたり。最近入社した人に聞くと、”必ずXX点以上ないと落ちる”ってもんでもないようですが、入社後1年以内にその点数をクリアするという課題が課されるそうなので、まあ出来ないより出来たほうが望ましいのは間違いありません(*7)。

 会社の景気に振り回されたり、よく分からん質を求められたり、使いもせん英語の点数を求められたり、就活してる人には理不尽としか思えないかもしれませんが、社会なんてそんなモンかと。
 本書で”採用の基準が曖昧すぎて不条理、不公平だ”という意見に対するアドバイス

  はっきり言おう。
  世間とは大体において不条理・不公平であり、就活はその第一歩である。

  (中略)
  こうした不条理はいくらでもある。選考の基準は曖昧、というのもその通り。
  その不条理・不公平さに対して、私はあきらめろ、と言っているのではない。
  不条理・不公平さを乗り越えろと言いたいのである。

 おぢさん世代がこう言ったことを書くと”上から目線”だの”自分たちの雇用確保のために若者を犠牲にしている”だののツッコミありそうですが、程度の差こそあれ人生のすべてのフェーズで幸せだった世代ってのはありません
 私みたいなおぢさん世代は若い時は受験戦争でぎりぎり絞られて、バブルの頃は遊ぶヒマもなく働かされて、ちょっと上の世代は大学紛争で勉強もそこそこで年とってからはリストラにさらされ、下の世代は今やポスト不足でなかなか昇進できないし・・
 今の若い人は、昔よりはるかに大学に進学しやすいし、あと10年20年たてば上が少ない分だけ昇進しやすいし(たぶん)と、うらやましくもあるんですよ。

 まあ、子供も今年から就活始まるんで他人ごとではないんですが、未来を切り拓くのは自分しかないわけでです。
 不条理に対して真面目に悩むぐらいなら、実力を蓄えるほうが前向きだし、それでもダメならルドベキアで花びら占いでもやってみるとか。案外、それが”正しい選択”だったりして・・・

《脚注》
(*1)決めるのは偉い人なのですが
 私にはなんの決定権もありませんので、このブログにコメント付けたりメール送ってきてもなんのメリットもありません。あしからず。
(*2)一人でエントリーシートを平均30社近く~
 はっきし言って、リクルートから来る電話帳のような就職ガイドから葉書を切り抜いて送っていた世代としてはこの”エントリーシート”なるものがよくわかりません。
 リクナビの就職ジャーナルの調査によるとエントリーシートを提出した会社数は平均は27.1社、文系学生の平均は31.4社だそうです。
 半分以上は20社以下でも51社以上送った剛の者も約1割いるんだとか。
(*3)人材が年代別に著しく不均衡ってのは~
 バブル期の大量採用と、その後の就職氷河期の極端に人が少ないってのは処遇面で10年以上たってボディーブローのように効いてきます
 会社に限らず組織ってのはその年次で適正な人数ってのはあるわけで、大学のクラブでもチームも組めない年の後にやたら新人が多いと、指導面や選手の選抜で苦労するのと同じです。
(*4)TOEICで250点とれない学生とか~
 ”TOEIC”(Test of English for International Communication 国際コミュニケーション英語能力テスト)は4択の問題なので確率的には250点はとれるはずですが、そこまで行かない学生もいるとか。
 まあ私も偉そうに言うほど良い点をとってるわけではないですが・・・
 点数によってだいたい下記ぐらいのレベルです
  860点〜 Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる
  730点〜 どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている
  470点〜 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では
        業務上のコミュニケーションができる
  220点~     通常会話で最低限のコミュニケーションができる
(*5)希望格差社会(山田 昌弘 ちくま文庫)
 サブタイトルは”「負け組」の絶望感が日本を引き裂く”。
 今の社会の”格差”の状況について書かれた本。学生に限らず社会人も読んどいた方が良い1冊です。
(*6)大学に進学するようになった
 私が大学に入学した頃(1980年)の4年制大学進学率は26.1%に対し2011年度は62.9%、男子に限ると70.8%です。(文部省”教育指標の国際比較”他より)
(*7)まあ出来ないより出来たほうが望ましいのは間違いありません
 最近は課長職になる時に”1年以内にXX点以上を獲得するための学習計画の提出”なんてのを書かされます。どうも今の若い人には一生ついて回るんかいなぁ。

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