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プレイバック、ハードボイルドの時代!(プレイバック/ストレリチア)

 ども、孤独でハードボイルドなおぢさん、たいちろ~です。
 先日、村上春樹の”世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド”(*1)の話題が出てくる本を読んでいて、そ~いえば最近ハードボイルドって読んでないな~~と気が付きました。DVDで”三つ数えろ(*2)”を見たこともあって、”ここはやっぱりマーロウものでしょう”と”プレイバック”を借りてきました。


P1050178

 写真はたいちろ~さんの撮影。近所の園芸店のストレリチアです。


【本】プレイバック (レイモンド・チャンドラー 訳:清水 俊二 早川文庫)
 弁護士から謎の美女ベティ・メイフィールドの尾行を依頼された私立探偵フィリップ・マーロウ。どうやら彼女は脅迫されているらしい。尾行を続け、彼女に接触を持ったマーロウは・・・
 正統派ハードボイルド作家、レイモンド・チャンドラーの遺作。本書を発表した翌年の1959年、極楽に言ってしまいました。
【花】ストレリチア
 和名を”極楽鳥花”といいますが、その名の通り花が空を飛ぶ鳥のような形をしています。本書の中でホテルに住むクラレンドン老人に”(神は)なぜこんなに複雑につくったのだろう”と言わしめていますが、まさにそう思います。


  男はタフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない

 この言葉を一度は耳にしたことはあるでしょうか?
 ハードボイルドを代表する名言ですが、これは角川映画”野生の証明(*3)”のキャッチフレースですが、この元ネタが今回ご紹介するチャンドラーの”プレイバック”であります。

 マーロウが守ろうとしている美女ベティ・メイフィールドとの会話

  マーロウ:彼を愛しているのかい
  ベティ :あなたを愛しているんだと思っていたわ
  マーロウ:あれは夜だけのことさ
        (中略)
  ベティ :あなたのようにしっかりした男がどうしてそんなにやさしくなれるの?
  マーロウ:しっかりしていなかったら、生きていられない
        やさしくなれなかったら、生きている資格がない
                          (清水俊二 訳)

 原文は

  If I wasn't hard(*4),
  I wouldn't be alive.
  If I couldn't ever be gentle,
  I wouldn't deserve to be alive

 男なら、一生に一度ぐらいは言ってみたい名セリフです。
 それに、マーロウって以外にモテてるんですね。ハードボイルドの私立探偵なんて頑固で、憎まれ口ばかりたたいていて女性を怒らせ、そのくせ損な役回りばかり引き受けているようなイメーイがありますが、でもここ一番で頼りになる
 最近は恋愛に縁がないわけではないのに積極的でもない”草食系”とか、恋愛に積極的で異性にアプローチかけたおす”肉食系”とかが流行ってますが、ハードボイルドのような”自分の矜持を守るためなら、飢えて死ぬことも辞さない”みたいな第三の男(*5)が評価されないかなぁ。

 そういえば最近、”相棒(*6)”を見てましたら、チャンドラー探偵社の”マーロウ矢木ってのが出てました。演じているのは高橋克実。一見、冴えない中年男ですがなかなかどうして杉下右京とタメを張るような喰えないおっさん。ゲストキャラで終わらせるには濃すぎる人なので、ぜひスピンオフで番組を作って欲しいものです、脚本は原 尞あたりで(*7)。

 他にも、チャンドラーを愛する左 翔太郎と、フィリップ・マーロウにちなんで名付けられたられたフィリップ君の登場する”仮面ライダーW(*8)”とか、軟弱な男ばっかし増えてる世の中で、一本筋の通ったハードボイルドな男たちが時代に求められてるんじゃないのかな
 ただし、”いざという時信頼できる”って条件を満たしてないと、単なる”痛い人”で終わりそうだけど。

 ”プレイバック”は”長いお別れ”や”さらば愛しき女よ”(*9)ほどメジャーじゃないけど面白い小説。それに、クラレンドン老人にストレリチアを引き合いに出して神を語らせたり、”長いお別れ”に登場したリンダとの復縁を示唆するような記述があったりとストーリーに関係のないエピソードがあるなど(あとがきより)、作品自体がミステリアスなミステリーです。
 ぜひご一読のほどを。

《脚注》
(*1)村上春樹の”世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド”
 1985年に第21回谷崎潤一郎賞を受賞した村上春樹の4作目の長編小説。
 まだ読んでません。
(*2)三つ数えろ(原題 The Big Sleep)
 レイモンド・チャンドラーの”大いなる眠り”を1946年(終戦の翌年!)にハワード・ホークスが映画化したサスペンス映画。
 マーロウを演じたのは”ボギー”こと往年の名優ハンフリー・ボガート。この人はダシール・ハメットの”マルタの鷹”の映画で、マーロウと並ぶハードボイルド探偵”サム・スペード”を演じていますが、とにかくカッコイイです!
(*3)野生の証明
 森村誠一の同名小説を原作とする日本映画。1978年公開。
 主人公の元自衛隊特殊部隊員”味沢岳史”を演じたのは名優高倉健。またヒロインの長井頼子を演じた薬師丸ひろ子は本映画がデビュー作。最近でこそお母さん役なんかで出てますが、ホントに可愛い子だったんですよ、この当時は。
(*4)hard
 まさにハードボイルド(hardboiled)の”hard”ですが、辞書を引くと”hard”には”鍛えられた、たくましい、頑健な、非情な、冷酷な”などの意味があります。
 これを”タフ”と訳した?のは小説家の生島治郎とのこと。
(*5)第三の男
 ハードボイルドではないですが、これもミステリー映画の題名。
 オーソン・ウェルズが演じたハリー・ライムや、アントン・カラスによるテーマ曲(エビスビールのCM曲と言った方がわかりやすいかも)が有名。
(*6)相棒
 テレビ朝日系で放送されている警察TVドラマ。
 主人公の杉下右京(演じるのは水谷豊)は名探偵ばりの推理力の持ち主ながら、正当に評価されず手柄は横取りされるという状況でも、警察官としての矜持を貫く強い信念を持ち続けるという意味ではこの人もハードボイルド的とも言えます。
(*7)原 尞(はらりょう)あたりで
 日本を代表するハードボイルド作家。代表作は私立探偵沢崎を主人公とした”そして夜は甦る”、”私が殺した少女”(第102回直木賞受賞)など。
 掛け値なしに面白いんですが、極端に寡作。沢崎シリーズの続き、早く読みたいんですけど・・・
(*8)仮面ライダーW
 2009~10年にテレビ朝日系列で放映された平成仮面ライダーシリーズ第11作目。
 決め台詞の”お前の罪を数えろ”は前出の”三つ数えろ”のパロディだと思われますが、見ているお子様たちや奥様方に元ネタが分かるとは思えません。
 ミステリーネタへのオマージュが多くてけっこうハマりました。
(*9)”長いお別れ”や”さらば愛しき女よ”
 両作品とも”ロング・グッドバイ”、”さよなら、愛しい人”の名前で村上春樹訳で発売中。名作です。

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コメント

レイモンド・チャンドラーとはまた懐かしい!ハードボイルドは一時北方謙三にハマったことがあるけど、最近は読んでないよなぁ。
そういえば生島治郎は死んじゃったんだよなぁ。大沢在昌は元気かな?
チャンドラーか、久々に読んでみようかな。レンタルDVDもちょっと飽きてきたし(主にAV?)、最近はブックオフにも月3回くらいは通ってるし。先月やっていた5冊以上で半額セールをまたやってくれないかな?

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