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独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である(二十歳の原点/カトレア)

 ども、娘が成人式を迎えたおぢさん、たいちろ~です。
 娘も成長したってこですが、まあ、歳もとるはずだわな~~と思いながら記念写真を撮りに行きました(*1)。
 で、今回は前々から娘が二十歳になったら読みなおそうかなあと思っていた本、”二十歳の原点”であります。


0312


 写真はたいちろ~さんの撮影。北海道大学植物園のカトレアです。


【本】二十歳の原点(高野 悦子 新潮文庫)
 独りであること、未熟であることを認識の基点に、青春を駆けぬけていった一女子大生の愛と死のノート。学園紛争の嵐の中で、自己を確立しようと格闘しながらも、理想を砕かれ、愛に破れ、予期せぬうちにキャンパスの孤立者となり、自ら生命を絶っていった痛切な魂の証言。(裏表紙の紹介文より抜粋)
 ずっと”はたちのげんてん”だと思ってましたが”にじゅっさいのげんてん”が正しい読み方でした。
【花】カトレア
 中南米原産のラン科植物。洋ランの女王とも言われる美しい花。
 花言葉は”あなたは美しい、優美な女性”の他に”純粋な愛、魔力”なんてのもあります。


 高野 悦子さんというのは、1969年6月24日、二十歳で自殺した立命館大学の学生。”二十歳の原点”は1969年1月2日から6月22日までの彼女の日記です。表題にある

 「独りであること」、「未熟であること」、これが私の二十歳の原点である。

というのは、1月15日の成人の日(*2)に書かれている言葉です。

 実はこの本、高校生の時に読んだんですが、紹介してくれたのは当時仲の良かった女の子(*3)でした。今にしてこの本を読みなおすと、精神的にずいぶん大人だったんだなぁと思います。
 この日記が書かれたのは1969年で、私がまだ10歳ぐらいでしたから、学園紛争なんてのはよくわからなくて、”学園紛争(*4)”のような時代背景をよくわからなくて読んでたような気がします。でも、大人になって読みなおしてみると、高野 悦子さんという女性は2つの側面があるなあと。

〔独りの女子大生としての高野悦子〕
 恋にあこがれるし、生きるためにアルバイトもするし、人間関係に悩んだりもする。そんな普通の女子大生としての感性っているのが、とてもみずみずしいんですね。ただの二十歳の女性らしい風景がっても好感が持てます。

  恋人が欲しいと思う
  彼は山や海が好きで
  気がむくとザックをかついでヒョット出かける
  そして彼は詩が好き
  臆病なくせに大胆で 繊細で横暴
  子供のように純真で可愛らしいと思うと
  大方の男がそうであるように タイラントのようで

 そして、恋を失っても立ち向かっていこうという強さと、自分の弱さに悩む苦悩というのがまた、若者らしいです。

  一抹の期待も抱いてはならないのだ。きっぱり決別しよう。
   (中略)
  私はあの若人のもつ明るい笑い声をとうとう失ってしまった
  そして、再び「結局は独りであるという最後の帰着点」に私はいる

 今なら山田かまち(*5)あたりが近いんでしょうか。

〔学生運動に傾倒する高野悦子〕
 さすがに私が大学に入ったころは、学生運動はほとんど終息していて(*6)高野悦子の生きていた風景っていうのを実感できるわけではないですが、高野悦子の悲しいまでの真面目さと時代の空気が”学生運動に傾倒する高野悦子”を作り上げたんだろうなあ。

  生きてる 生きてる 生きている
  バリケードという腹の中で 友と語るという清涼飲料をのみ
  デモとアジ アジビラ 路上に散乱するアジビラの中で
  風に吹きとび 舞っているアジビラの中で
  独り 冷たいアスファルトにすわり
  煙草の煙をながめ
  生きている イキテイル

 自殺する直前に書かれた詩ですが、この詩のには原典があります。”反逆のバリケード(*7)”という本の巻頭詩ですが、高野版のほうが詩的には孤独感みたいのがあります。
 そして、本の表紙にも書かれている最後の詩。

  旅に出よう
  テントとシェラフの入ったザックをしょい
  ポケットには一箱の煙草と笛を持ち
  旅に出よう

   (中略)
  小川の幽かなるうつろいのざわめきの中
  天中より涼風を肌に流させながら
  静かに眠ろう
  そしてただ笛を深い湖底にしずませよう

 もし、高野悦子が学生運動の時代ではなく、もっと違う時代を生きていたとしたら詩人として幸せな人生を送れていたのかもしれません

 今の二十歳の人にとっては、時代背景とかわかりにくいかもしれませんが、一度は読んで欲しい本です。脚注付きの新装版が2009年に発行されていますが、表紙に赤い花の絵のある旧版のほうが趣があります(*8)。

《脚注》
(*1)記念写真を撮りに行きました
 正直なところ、後からあんまり見直すとは思えないんですが。
 一昔前なら見合い写真に使うとかもあったんでしょうが、今はそんなこともしないだろうしねぇ・・・
(*2)成人の日
、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日(国民の祝日に関する法律)。間違っても酒を呑んで暴れる日ではありませ。
 現在は1月の第二月曜日ですが、1999年までは1月15日に固定でした。ってのもあと10年もたてば解説入れとかないとわかんなくなるんだろうなぁ。
(*3)仲の良かった女の子
 美人さんにして、生徒会副会長という才媛です。彼女じゃなかったけど・・・
 現在は大学教授の奥様であります。
 彼女の息子と私んちの息子がともに高校2年生と、この本を紹介してくれた歳になってるんですから、親も歳をとるはずです。
(*4)学園紛争
 多少なりとも大人になって調べてみると、学園紛争そのものは大学の学費値上げ反対とか大学自治、教育機関としての大学のあり方自体を見直すというものだったようですが、三里塚闘争、70年安保闘争、ベトナム戦争反戦平和とかも一緒くたになったもんだと思ってました。
 1965年 ベトナムに平和を!市民文化団体連合発足
 1968年 日本大学で日大全共闘(全日本学生自治会総連合)結成
 1969年 東大安田講堂攻防戦
 1970年 よど号ハイジャック事件。安保反対国会前デモ。日米安全保障条約が自動延長
 1972年 連合赤軍「あさま山荘」事件
(*5)山田かまち
 画家・詩人。17歳の時、自宅でエレキギターの練習中に死去。死後に保管されていた詩を書き付けたノートやデッサン水彩画を詩集や画集として出版さました。17歳の少年の若々しい感性に好感が持てます。
(*6)学生運動はほとんど終息していて
 まだ中核派によるキャンパスのロックアウトがあったり、機動隊の灰色バスが止まっていたりとかはしてましたが、三里塚闘争なんかはぜんぜん盛り上がっていなかったですねぇ。
(*7)反逆のバリケード(日本大学文理学部闘争委員会書記局 三一書房)
 原典はこちらから
(*8)表紙に赤い花の絵のある旧版~
 調べてみたんですが、何の花かわかりませんでした。たぶんカトレアだと思うんですが・・・

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