« 2011年1月30日 - 2011年2月5日 | トップページ | 2011年2月27日 - 2011年3月5日 »

2011年2月13日 - 2011年2月19日

松永久秀って理想的なヲタクかもしれない(乱世、夢幻の如し/戦国BASARA/ツタ)

 ども、歴史モノは好きですが、NHKの大河ドラマは見たことないおぢさん、たいちろ~です。
 まあ、小説・映画・アニメなどなど乱読派ではあるんですが、その中でみょ~に気になるおっさんがおりました。それは”戦国BASARA”に出てくる松永弾正久秀、戦国の梟雄と呼ばれる悪役です。ほとんどゲストキャラながら、不思議と落ち着いたちょいワル親父っぽいのが面白いので、ちゃんとした本(*1)を読んでみました。
 ということで、今回ご紹介するのは”乱世、夢幻の如し”であります。

0119_3 _tuta_3

左は写真はたいちろ~さんの撮影。北海道大学校舎のツタです。
右は”戦国大名探求”のHPより。松永家の家紋の”蔦紋”です


【本】乱世、夢幻の如し(津本陽、角川書店他)
 戦国時代末期、主家である三好家に反逆し、東大寺を焼き打ちし、将軍を弑逆した下剋上の雄”松永弾正久秀”の生涯を描いた津本陽の歴史小説。
 戦国時代でも悪役の代表みたいな人ですが、それ以外の人もたいがい無茶苦茶やってるのがわかります。
【DVD】戦国BASARA(監督 川崎逸朗、ポニーキャニオン)
 歴女御用達の戦国時代版エスパー大戦。イケメン熱血バカとか、性格破綻者とか、百合っぽい主従関係とか・・・
 天下の悪人、松永久秀ですらまともに見えるキャクター造形が魅力。
 DVDでは織田信長(CVは穴子さんこと若本規夫)と並んで渋い声の藤原啓治が担当ですが、この人がクレヨンしんちゃんのお父さん野原ひろしの中の人はとっても意外。
【花】ツタ(蔦)
 ブドウ科ツタ属のつる性の落葉性木本。”つたのからまるチャペルで、祈りをささげた日(*2)”で有名なように吸盤で樹木や壁にくっつきます。
 松永家の家紋は”蔦紋”ですが、蔦の花言葉が”誠実、勤勉、結婚”にはちょっと合わない・・・


 さて、”戦国BASARA”の松永久秀がなぜ気になったかというと、この御仁、今風に言うと極めてヲタク的な気風の持ち主なんですね

 ・己が欲望に忠実、特にコレクション趣味
   伊達の剣/武田の鎧を所望。名宝なんでしょうが武器だけ持ってても・・
 ・どっかせつな的な雰囲気
   人もモノも生まれて壊れることの繰り返しだ。
   いつか壊れるものならば、欲しがる心に抗うことなく
   奪い、愛で、そして好きなように壊せばよい

    名言です
 ・クールな状況判断
   伊達の忠臣、片倉小十郎とのでの会話ではどう見ても松永久秀のほうの判断が常識的
   というか、伊達、武田の行動のほうが常識外れではないかと・・・
 ・二重三重に手を打っている周到さ
   先手の三好三人衆が勝てると思っていながら、負けた時の対処をしているのは
   軍の将でありながらすぐ一騎打ちをしようとする他のキャラにはない知性

 つまり、物欲と知性はヲタク的なものを支える両輪ではないかと。

 現代的な意味で”ヲタクの成功=ベンチャービジネスの成功”ととらえると、なかなか面白い共通点が見出せます。

 ”乱世、夢幻の如し”を読んで思ったんですが、松永久秀と三好家、足利将軍家をベンチャービジネスを立ち上げた庶民と、血統だけで会社を引き継いだ創業家のボンボンの対立として捉えなおすと下剋上がまた違った側面が見えてきます。
 松永久秀が己が才覚、能力のみを頼って勢力を拡大していく人で、必要に応じ後ろ盾を得て、かつその後ろ盾が頼るに足る人物かどうかをクールに見極めているさまはベンチャーキャピタルとの関係に同じ。そのかわり”儲けさせる”という実力というか可能性を納得させるだけの実力も必要。また、そのベンチャーキャピタルが合わなくなると次のを探す努力もいります。
 逆に足利将軍家なんてのは、自分に弱小な兵力しかないにも関わらず、上洛をさせてくれた織田信長を平気で”言うことを聞かないから”という理由で裏切っているし。自分が”将軍だから”という理由でみんなが言うことを聞くと思っているのはなんなんだろうなぁ・・・

 松永久秀にしろ織田信長にしろ、将軍の権威とか、宗教といった”中世的な価値観の破壊者”みたいな言われ方をしていますが、松永久秀の主人たる三好長慶への評価なんかを読んでると、ひょっとするこの価値観自体が理解できなかったんではないかと思ってしまいます。

 話は飛びますが、先日、アメリカの書店チェーン第2位の「ボーダーズ」が経営破たんしましたが、この原因としてAmazon.comに代表されるインターネットによる書籍販売があるとのこと。
 ”ボーダーズ”が旧勢力の代表だとすると、ベンチャービジネスがAmazon.com。電子書籍やインターネット販売という新しい秩序を打ち立てるには旧勢力との対立がでてくるのはあたりまえ。旧勢力を利用することはあっても、へつらっているだけでは先に進めません。
 そういった意味で、”本は本屋で買う物”といった価値観を否定し、新しいビジネスモデルを打ち立てるには、松永久秀的な行動力、能力、先見性ってのは成功に至る要素ではありそうです。

 逆に途中でずっこけた村上ファンドとかホリエモンみたいなのは、これが悪い面で出たのか運が悪かっただけなのか・・・

 まあ、裏切りがすべて良いってわけではないですが、”造反有理(*3)”って言葉もあるぐらいですから、あんまり先入観にとらわれずこの人のことを知るのも歴史を楽しむ方法でしょうか。
 そういった意味で、ちゃんとこの人の本を読むのは意味のあることかも。

《脚注》
(*1)ちゃんとした本
 ”戦国BASARA”ってのは実在の人物が登場していながら歴史的な経緯はむちゃくちゃ。そのくせガジェットだけは律義にとりいれているので、どこまでがマジでどこから冗談かがわからんシロモノです。このエピソードだと
 楯無の鎧     :これは本当に武田家の家宝
 戦場となった大仏殿:松永久秀が東大寺大仏殿を焼き打ちにしたとのことから
 爆死する松永久秀 :これは松永久秀が織田信長に攻められ、名器・平蜘蛛茶釜に
           爆薬を仕込んでの自爆したとの説から
(*2)つたのからまるチャペルで~
 ペギー葉山の”学生時代”より。作詞作曲 平岡精二。
 ちなみにこのチャペルは、青山学院大学の”チャールズ・オスカー・ミラー記念礼拝堂”だそうです。
(*3)造反有理(ぞうはんゆうり)
 ”謀反にこそ正しい道理がある”といった意味。1939年、革命根拠地の延安で開かれたスターリン生誕60年祝賀大会で毛沢東が語った言葉「マルクス主義の道理は入り組んでいるが、つまるところ一言に尽きる。造反有理だ」に由来する。(Wikipediaより)

« 2011年1月30日 - 2011年2月5日 | トップページ | 2011年2月27日 - 2011年3月5日 »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ