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2011年12月18日 - 2011年12月24日

パラダイスって言葉、閉ざされた庭って意味なんだってさ(ばらばら死体の夜/観智院 五大の庭)

 ども、クリスマス・イブにすることもなくブログを書いているおぢさん、たいちろ~です。
 さて、今年のクリスマスは3連休なので、相変わらず本を読んでDVDばっか観ています。で、この聖なる夜に読んでいるのが桜庭一樹の”ばらばら死体の夜”。まあ、良いじゃないですか、桜庭一樹好きだし。

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 写真はたいちろ~さんの撮影。観智院 五大の庭の庭です。


【本】ばらばら死体の夜(桜庭一樹 集英社)
 40才過ぎの翻訳家”吉野解(さとる)”は学生時代に下宿していた古書店「泪亭」の2階で、白井沙漠と出会い、体の関係を持つ。しかし沙漠が解に借金を申し込んだことから・・・
【旅行】観智院 五大の庭
 京都 東寺に隣接する真言宗のお寺。公式HPによると”大学の研究室”みたいなモンだそうです。ご本尊は五大虚空蔵菩薩(*1)。
 客殿の南側にある枯山水の庭が”五大の庭”で空海が唐の長安から帰国の際に海の上で遭難しかけた時に、海神に護られて無事帰国された時の様子を表現したものとのこと。


 桜庭一樹は好きな作家なので良く読みます。Amazon.comでは”極上サスペンス”になってたので、”GOSICKシリーズ(*2)”みたいなミステリーかと思ってましたが、読書感としては”私の男(*3)”に近いですね。つながっているようでつながっていない空疎な孤独っていうか。

 吉野解は若いころの夢が”高等遊民(*4)”になるっていう、学究の徒というよりだたひたすら自分の好きな本を読んでいたいという人。資産家の娘と結婚してそんな生活を手に入れて、奥様との仲もまあまあで可愛い娘にも恵まれていて、舅を苦手にする以外はそれなりに幸せなはずなんですが、なぜだか昔の貧乏学生時代に住んでいた下宿にいた白井沙漠と半ば強引に愛人関係を持つことに。白井沙漠はといえば、消費者金融の借金から破綻した女性。こっちが空疎な孤独ってのはわかるんですが、吉野解ってのがまた空疎な人。外から見てるとパラダイスを手に入れたはずなんですが、なぜか空疎

 まあ、パラダイスって言葉ですが、解が奥さんに説明する言葉によると

 解 :パラダイスって言葉、さ
    (中略)
    閉ざされた庭、って意味なんだってさ。
    (中略)
    ちいさくって、何にもなくって、でも周囲のあらゆる雑音から隔絶されてる。
    俺だけの。
    ほかの人にとっては汚くてくだらないけど、すごく居心地のいい場所・・・
    大昔に、うんと安心してたゆたった胎内みたいな、感じなのかなぁ・・・

 由乃:その書斎スペース、あなたのお気に入りだものね。
    そこはぜったい触らないようにしてあげてるわよ。

 写真の五大の庭もそうですが、本を読んだり考えたりするのって周囲から隔絶されてよけいなちゃちゃが入ってこないとこが理想的。そういう意味では確かに閉ざされた庭ってのは本読みにとってはパラダイスなのかも。
 でも、本を読むっていう行為自体は内向的なモンで、それ自体が何かを生み出すってわけではないし(だからといって、本で読んだことをネタにブログを書いてたって大したものを生み出してるワケではないですが)。
 思うに二人の共通点って、吉野解の今の生活力が奥様の実家の財力によるもので、白井沙漠のそれは消費者金融からの借金だし、という”自分で生み出したものでない何か”に頼ったことがあるのかもしれません。
 そのためなのか、人間関係もとっても空疎な感じ。本の題名は”ばらばら死体”なんですが、ばらばらなのはむしろ人と人のことを言ってるのかもね。

 と、まあクリスマス向きの本ではないですが、奥様も子供もいない単身赴任寮の1Kという居心地の良い部屋で、することもなくブログを書いているおぢさん向きではあるかもしれません。
 ということで、明日は我がパラダイスであるこの部屋の大掃除でもしましょうか・・・

《脚注》
(*1)五大虚空蔵菩薩
 虚空蔵菩薩は智恵や知識、記憶といった面での利益をもたらす仏様。空海が室戸岬で行ったという記憶力増進を祈念する修法が”虚空蔵求聞持法”です。
 簡単にできりゃ、受験生向けなんですがねぇ。
(*2)GOSICKシリーズ(桜庭一樹 角川文庫)
  友人の九条一弥のから事件を解決する美少女ヴィクトリカ・ド・ブロワを主人公とするというミステリー系ライトノベル。
 カテゴリでは”安楽椅子探偵”になるんでしょうが、ベースにあるのはオカルトだったりするちょっと異色なミステリー。けっこうお勧めです。
(*3)私の男(桜庭一樹 文春文庫)
 9歳のとき津波で家族を失った竹中花は親戚の腐野淳悟に引き取られ、一緒に暮らすようになる。父と娘の暗い過去を描いた小説。2007年に直木賞を受賞。
(*4)高等遊民
 高等遊民は、明治時代から昭和初期の近代戦前期にかけて多く使われた言葉であり、大学等の高等教育機関で教育を受け卒業しながらも、経済的に不自由が無いため、官吏や会社員などになって労働に従事することなく、読書などをして過ごしている人のこと。
(wikipediaより)
 そういや、夏目漱石あたりで読んだなぁ。
 言って見れば、古き良き時代のヲタクみたいなもんかも。

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