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2011年11月27日 - 2011年12月3日

心を開きなさい! 農夫病を受け入れるのです!(JA 女子によるアグリカルチャー/約束の地/鍬)

 ども、庭の冬支度をしないといけないのにぐずぐずしているガーデナーのおぢさん、たいちろ~です。
 多くの夏野菜を育てるには春の植え付け、夏の世話と収穫、冬には枯れたのの片づけが必要になります。当たり前のことですが、庭や畑で育てるとなると土をいじることになるので、雑誌に載ってるようなそんなに綺麗なモンばっかではありません
 まあノギャル(*1)みたいなのもありますが、美しい花を見たり、取れたて野菜を賞味するのとそれを育てるのは別物。ところが、最近読んだ”JA 女子によるアグリカルチャー”に、嬉々として畑を鍬で耕す美女ってのが出てきました。土おこしが終わったあと、恍惚とした表情で”快感・・・”とつぶやくお姉さんに対し、妹が”姉は重度の農業中毒者なのよ”とのコメント。
 そういえば同じようなネタがあったな~ということで、今回ご紹介するのはそんな病気を扱ったいしかわじゅんの”約束の地”であります。

170140s
 写真はたいちろ~さんの撮影。寮のおばさんが使っている鍬です。

【本】JA 女子によるアグリカルチャー(鳴見 なる、唐花見 コウ、角川コミックス・エース)
 父親の再婚のために長野の農家に引っ越してきた小学校6年生のひなげしを中心に、農業中毒者の美人長女の 社(やしろ 中学3年生)、家事担当の二女 繭(まゆ 中学2年生)、口のへらない天才少女 りんご(小学1年生)のまったりとした農家ライフを描いた漫画。
【本】約束の地(いしかわじゅん、ハヤカワコミック文庫)
 漫画家 子門大地は、国家機密である”進行性農夫病”を偶然描いてしまったため、日本農業協同組合秋田支部にある”影の農協”の暗殺者たちから追われる身となる。
 それはやがてキリストの生まれ変わりである国民的歌手”村田春夫”に助けられた子門は、アメリカ、ソ連、中国を巻き込んだ陰謀に翻弄されていく・・・(*2)
 1980年に”ヤングマガジン(*3)”に連載。
【道具】(くわ)
 鎌(かま)、鋤(すき)と並ぶ代表的な農業道具。先の平たい平鍬や、わかれている備中鍬なんかがあります(写真は後者)
 しかし、土を起こしたりうねを作ったりと春に使うことが多そうなのに、なぜ金ヘンに秋なんだろう?

 さてこの”農業中毒者”ですが、二女の繭さんの解説によると”畑耕していると極度の興奮状態になる”とか。確かに社さんは中学3年生とは思えないような色っぽい表情をしています。もっとも小学生のひなげしさんはどん引きしてますが。

 これに対し”進行性農夫病”っていうのはウイルスにより発病し、これにかかると鍬などを持ってあたりかまわず耕し始めるというある意味ハタ迷惑なシロモノ。この農夫病を発症させるウイルスが発見されたことで、にわかに細菌兵器としての国家的謀略になって行くわけです。

 では、なぜ農夫病が重要かというと、衆議院議員の横山大造氏によると

   農夫病の存在が公になったら何が起こる
   ただでさえ数の足りない百姓のなり手がますます減る!
(*4)
   するとどうなる
   食糧自給率が下がる! 食糧大国への依存度が高くなる!
   外貨が減る! 景気が後退する!
   野党が力を伸ばす! 革命が起きる!
   コトは国家の存亡にかかわることなのだ!

 なんだか、今のTPP(*5)でも同じようなことを言ってるような気が・・・
 この作品が予言的だったのか、30年間(その前から問題だったからそれ以上)たなざらしにしていたのか・・・

 村田春夫の解説による”農夫病”の目的ってのは

  人類は太古から「土」によって生きてきました!
   (中略)
  地球文明が「土」を見捨てた今 そのロックはとかれました!
  それ(農夫病)は強制的に人類を「土」に結びつけるのです・・・

   (中略)
  心を開きなさい! 農夫病を受け入れるのです! 土に帰るのです!

 ま、寮の庭を(勝手に)使って野菜を植えてる身としては”土に帰る”というメッセージはわかりやすいもの。ただ、これで食べてけといわれると難しいですけど。
 問題はこの”農業を主に食べていく”ことが現在の日本で難しいってとこなんでしょうね。
 この前、農務省のOBが”農業を育ててこなかった”ことの反省みたいなことを言ってましたが、もし今、進行性農夫病のウイルスなんかが発見されたらホントにバラマキかねないんだろうな~ 補助金の代わりに。いや、マジで。

 ”約束の地”はいしかわじゅんの初期の名作SF。本作品みたいな”冗談に冗談を重ねてマジにする”っていう話は大好きです。
 ぜひご一読ください。

《脚注》
(*1)ノギャル
 藤田志穂が手がける”農業ギャルプロジェクト”の愛称。
 渋谷とかで遊んでいたギャルたちを秋田県大潟村に連れてってコメ作りをするというおちゃめなプロジェクト。
 収穫したコメは”シブヤ米”というブランド名で売ってるそうです。
(*2)アメリカ、ソ連、中国を巻き込んだ~
 このころと言えば、1979年のソ連のアフガニスタン侵攻に端を発し西側諸国がモスクワオリンピック(1980年)をボイコットするという冷戦まっただなかのころ。
 というのも、今の若い人には解説しないとわかんないんだろうなぁ。
(*3)ヤングマガジン
 講談社が発行するヤング向け漫画雑誌。1980年6月創刊。”約束の地”の初出が同誌の12月1日号なので、まさに創刊期の掲載です。
 ちなみに、このころはヤング向け週刊/隔週刊の漫画誌の創刊期です。
  1979年:ヤングジャンプ(創刊当時は隔週刊、週刊化は1981年)、
  1980年:ビッグコミックスピリッツ
        (創刊当初は月刊、1981年に隔週刊、86年に週刊化)
(*4)ただでさえ数の足りない百姓のなり手がますます減る!
 総務省統計局の農業構造動態調査から、この作品が発表された1980年と現在(2009年)を比較すると
         総就業者数  農業を主とする人口 対総人口比
  1980年 2,137万人  697万人    18.4%
  2009年   698万人  290万人     5.5%
になります。
  特に、農業を主とする人口の減少数408万人のうち、15~59才の減少数が全体の90%、366万人となっています。
 この統計で見る限り農夫病の流行がなくても、総農業人口は30年間に1/3に減ってることになりますね。
(*5)TPP
 環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific PartnershipまたはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)の略。
 加盟国の間で工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃し、政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどにおけるすべての非関税障壁を撤廃し自由化する協定。
(wikipediaより)

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