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2011年10月16日 - 2011年10月22日

きっと老けないほうの自分にアイデンティティを求めるんだろうなぁ・・(どうすれば「人」を創れるか/おろち/瓜)

 ども、ロボット学者になりそこねたおぢさん、たいちろ~です。
 小学生時代には真面目に”ロボットを創りたい”とか考えてましたが(*1)、そのせいかいまだにロボット関連の本をよく読みます。
 まあ、ロボット工学者の書いた本は二足歩行やマニュピュレーターをどうやって創るかって話が多いワケですが、たまには高橋智隆(*2)のようにデザインに凝る人もいます。
 で、今回ご紹介するのはこのデザインが”自分”っていう本、”どうすれば「人」を創れるか”であります。

Photo
 写真は奥様の撮影。
 ハロウィンのカボチャ”ジャック・オ・ランターン”です。

【本】どうすれば「人」を創れるか(石黒 浩 新潮社)
 空気アクチュエーター(人工筋肉みたいなもの)とシリコン(人工の皮膚)を使って という自分そっくりのロボット「ジェミノイド」を開発したロボット学者の本。
 なのでサブタイトルは”アンドロイドになった私”。
【本】おろち(楳図かずお 小学館)
 不思議な能力を持つ謎の美少女”おろち”を狂言回しにしたオムニバス形式の恐怖漫画。
 第一作の”姉妹”という作品は、18歳の誕生日を迎えると醜くなっていくという血筋の家に生まれた美人姉妹の話ですが、かなり怖いです。
【花】瓜(ウリ)
 キュウリ、スイカ、メロンなどのジューシーな野菜や果実。カボチャもこのたぐいです。
 瓜二つ(うりふたつ)とは、”縦に二つに割った瓜が同じように見える”ことからだそうですが、なぜウリなんだ? ちなみに英語では”As alike as two pears in a pod”で、エンドウ・大豆などのさや(pod)になります。

 この手の話題だと、本書でも出てくる”サロゲート(*3)”とか身代わりロボットというなら、”おれたちのピュグマリオン(*4)”なんかがありますが、実際のロボット学者がホントに創っちゃたというのがユニーク。
 失礼ながら”ナルシー”ってわけでもなさそうですし(*5)、不気味の谷間を超えても不気味そうですが(*6)(ホントに失礼!)、創った動機が”私が存在するように思っているのはナニ”つまり自分のアイデンティティを確かめる手段としてロボットが欲しいというもの。そういう意味では工学的なアプローチじゃないのかもしれません。本書のプロローグでもRoboticsを”ロボット工学ではなく、ロボット学”と訳す方が正しいと言ってるし。

 そういうこともあってか、読後感としては論文というより論文とエッセイの間ってとこでしょう。なにせサンプル数がご本人とあと一人しかいないので一般化した結論を出すには至っていないのでしょうが、数百人レベルでやってみたら面白いのに。もっとも廉価版のジェミノイドFでも1台1000万円以下ってお金がかかるそうですけど。

 ”じゃあ、お前は創って欲しいか?”と聞かれるとちょっと微妙。
 知的好奇心としては、ぜひやってみたいもんです。せいぜい写真かビデオでしか自分を見ることができないので、リアルに3次元の自分ってのが動くのは面白いでしょうね。
 二人並んで漫才やるとか、パントマイムの鏡ネタやってみるとか・・(宴会芸か!)

 じゃあ、なにが微妙かというと”人間は老けるけどロボットは老けない”ってとこ。もちろんロボットもハードウェアである以上”劣化”はするけど”老化”はしない。それにデータさえあれば、いつでも元に戻せる。もっとも、石黒先生の場合は”ロボットを修理するより、人間が痩せたほうが安上がり”ということでダイエットに励むことになりますが。
 ”ブレーメンⅡ(*7)”っていう漫画の中にも、コピー(身代わりロボット)がオリジナル(人間)に勝手に髪型を変えたのでしかたなくオリジナルも散髪するってネタがありますが、こうなると完全に主客転倒です。

 で、自分と同じものが老化せず、自分だけが老けていくという状況に人間が耐えられるかというと、これけっこうつらいかも。上記の”おろち”に出てくる姉妹(双子ではないですが)では、醜くなるほうの娘が醜くならない娘を罠にかけて同じ立場に引き込むというストーリーですが、なまじ二人とも美しいだけにその怨念じみた怖さってのはハンパじゃないです。

 まあ、”ロボットの頭なんてセンサーとスピーカーさえ付いていればカボチャだってかまわない”というご意見もありましょうが、そんなのが街中をうろうろしてるのはハロウィンだけにして欲しいなあ・・・

《脚注》
(*1)小学生時代には真面目に”ロボットを創りたい”
 なんせ、このころやってたTVが鉄腕アトムに鉄人28号にエイトマンの時代ですから(当然、全部モノクロです)
(*2)高橋智隆
 ロボ・ガレージ代表取締役社長にして、東京大学先端科学技術研究センター特任准教授のロボットクリエーター。
 パナソニックの乾電池のCMに登場する”エボルタ(EVOLTA)”の作者といえばわかるかと。クロイノ (chroino)エフティ(FT)など、この人の創るロボットは独特の美しさがあります。
 実際の作品はロボ・ガレージのHPをご参照ください。
(*3)サロゲート(主演 ブルース・ウィリス、監督 ジョナサン・モストウ)
 ロボット工学が急激な進化を遂げた近未来。人間のあらゆる社会活動を代行する“サロゲート”と呼ばれる身代わりロボットが開発され、人類は自宅からサロゲートを遠隔操作するだけで、リアルな現実世界に生身の肉体をさらす必要はなくなった。(Amazon.com)より
 まだ見てませんが、忘れなければ今度借りてこよう。ちゃんと覚えてろ、ブル~ス!
(*4)おれたちのピュグマリオン(小川一水 光文社)
 人型ロボットを開発する人たちが、それを”自分の身代わりにする”ことで拡販をしていくという物語。プロジェクトマネジメントSFを書かせると、小川一水は絶品です。
 ”煙突の上にハイヒール”に収録。
(*5)”ナルシー”ってわけでもなさそうですし
 お写真がでていますが、ちょっとプロレスラーの”大仁田厚”似。本人いわく”子供に怖がられる”。それに20年間同じデザインの服しか着ていないという、今どき”アニメの主人公でもそんなことせんぞ!”というファッションセンスの持ち主です。
(*6)不気味の谷間を超えても不気味そうですが
 ”不気味の谷間”ってのは、ロボットの見かけをどんどん人間近付けると、ある瞬間不気味に見えるというもの。なぜそうなるのかはわかっていないそうです。
(*7)ブレーメンⅡ(川原 泉 白泉社文庫)
 動物に高い知性と人間並みの体格を与えられた”ブレーメン”を乗員にキラ艦長が大型輸送船”ブレーメンⅡ”で宇宙を飛び回るというSF漫画。
 もっとも”モロー博士の島(H・G・ウェルズ)”や”猿の惑星  創世記(監督 ルパート・ワイアット)”にならないのが川原 泉です。

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