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2011年8月28日 - 2011年9月3日

勝者のいない三国志みたいなもんです(リーマン・ショック・コンフィデンシャル/毛越寺 松尾芭蕉句碑)

 ども、アメリカ経済とまったく関係なく貧乏なおぢさん、たいちろ~です。
 前回、在日アメリカ軍横田基地の為替レートが1ドル100円と書きましたが、外の世界では相変わらず76~78円あたりでうろうろしています(2011年 8月28日現在)。
 民主党の内輪もめ選挙だ、原発事故の対処が進まんわと言ってる国の通貨が強かろうはずも無く、にも関わらずこの状態なのはひとえにアメリカ自体が日本以上にヘタっているから。
 ということで、今回ご紹介するのは、この状態の原因となったリーマンショックに対し当事者である金融エリートたちがどのように行動したかを扱った本”リーマンショック コンフィデンシャル”であります

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P1050115

 写真はたいちろ~さんの撮影。上が日本語版、下が英語版です。

【本】リーマン・ショック・コンフィデンシャル(アンドリュー・ロス・ソーキン 早川書房)
 サブプライムローン問題に端を発したベア・スターンズ、リーマン・ブラザーズなどのアメリカ巨大金融機関の破綻に対し、行政側のポールソン財務長官たち、金融機関のトップたちがどのように考え、行動したかをつづったノンフィクション。
【旅行】毛越寺(もうつうじ) 松尾芭蕉句碑
 このたび世界遺産に登録された(*1)天台宗の寺院。開山は慈覚大師円仁。
 ここの境内には松尾芭蕉が”おくのほそ道”で読んだ有名な句
  夏草や 兵どもが 夢の跡(*2)
 の直筆の句碑があります。

 本書はノンフィクションということですが、読んでみるとほとんど三国志(*3)か銀河英雄伝説(*4)のノリです。ただ、問題は勝者がいないってこと
 これから読まれる方に登場する人、企業を整理すると

〔行政側〕
・ヘンリー・ポールソン:アメリカ合衆国財務省財務長官
・ベン・バーナンキ  :連邦準備制度理事会 (FRB) 議長
・ティモシー・ガイトナー:ニューヨーク連邦準備銀行総裁(現 財務長官)

〔負け組〕
・リーマン・ブラザーズ (Lehman Brothers):2008年9月15日に連邦倒産法第11章を申請
・AIG(American International Group, Inc.): アメリカ政府の管理下理に
・メリルリンチ(Merrill Lynch & Co., Inc.):バンク・オブ・アメリカにより買収
・ワコビア(Wachovia Corporation):ウェルズ・ファーゴに合併

〔引き分け(かろうじて生き残り)〕
・ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs):銀行持株会社に移行
・モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)
     :金融持株会社へ移行、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と資本提携

〔勝ち組〕
・バンク・オブ・アメリカ (Bank of America) :メリルリンチをグループ傘下に
・ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo & Co.):ワコビアを合併
・シティグループ (Citigroup, NYSE: C)
・JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase & Co.)
     :ベアー・スターンズ、ワシントン・ミューチュアルを買収。

 まあ、勝ち組といっても比較的サブプライム問題の傷が浅くて”まだましだったので救済側に回った”程度の話ですので、ほとんどの金融機関が大打撃を受けてました。
 行政側にしてもそれぞれめちゃくちゃ苦労してます。もっとも、財務省とFRBとニューヨーク連銀の機能をちゃんと正確に説明できる人ってあんましいなさそうだし(*5)。

 歴史的な事実としてはあるんですが、上記の立ち位置を押さえとかないと登場人物が多すぎて本書を読む上で頭がごちゃごちゃになります。私も最後に載ってる登場人物一覧(下巻で8Pあります)をしょっちゅう見てました。

 まあ、読み終わっての感じを一言でまとめるとバブルの宴の後にあるむなしさというか、毛越寺にある松尾芭蕉の句が思い出されます。

  The summer grass
  It is all that's left
  of ancient warriors dreams
(*6)

 この本っぽく言うと

  Mr.Greenspan
  It is all that's left
  of ancient financiers dream

 Mr.Greenspan(グリーンスパン)(*7) 金融業者の夢のあと

 ぐらいのとこでしょうか・・・

 サブプライムやリーマンショックの本は何冊か読みましたが、ノンフィクションというより歴史小説的な読後感と言う意味では出色の本。
 経済書より歴史物が好きな人で、かつ居酒屋で現在の状況を語りたい人向けかもしれません。

 ところで、この本の原題は”TOO BIG TO FAIL(大きすぎて潰せない)”。アイロニーという意味ではこっちのほうが強烈です。

《脚注》
(*1)世界遺産に登録された
 「平泉 - 仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」の名で、2011年ユネスコの世界遺産リストに登録されました。対象は中尊寺、毛越寺、観自在王院跡など。
(*2)夏草や 兵どもが 夢の跡
 この地を訪れた芭蕉は、藤原泰衡の裏切りにあい自害して果てた源義経ら主従の悲劇を偲び、
  5月13日 藤原3代の跡を訪ねて
   三代の栄耀一睡のうちにして、大門の跡は一里こなたにあり
 「国破れて山河あり 城春にして草青みたり」という
  杜甫の詩「春望」を踏まえて詠む。

     夏草や 兵(つはもの)どもが 夢のあと
     五月雨の 降り残してや 光堂
 の2つの句を残しました。
 栄耀栄華のはかなさを歌った芭蕉の中でも最も有名な俳句の一つ。
(*3)三国志
 180~280年頃の中国で群雄割拠した魏(ぎ)・呉(ご)・蜀(しょく)の三国の興亡を描いた物語。最近だとジョン・ウー監督で映画化された”レッドクリフ(赤壁)”の元ネタがこれ。
(*4)銀河英雄伝説
 田中芳樹によるSF小説。専制政治を敷く銀河帝国と、民主共和制を唱える自由惑星同盟、商業を中心としたフェザーン自治領の3つの勢力の興亡を描いた歴史小説みたいなもんです。
(*5)財務省とFRBとニューヨーク連銀の機能を
 アメリカの通貨管理(造幣、徴税を含む)の責任を負うのが財務省。
 連邦準備制度理事会(FRB Federal Reserve Board)は中央銀行制度を司る企業体で、12の連邦準備銀行で構成。市中銀行の監督と規制、金融政策を実施。
 ニューヨーク連邦準備銀行は連邦準備銀行の一つでもっとも重要な働きを担ってるとのこと。
 まあ、日本の財務省と金融庁と日本銀行の機能の違いだって大してよく解ってないんですから・・・
(*6)The summer grass~
 5000円札の顔”新渡戸稲造(にとべいなぞう)”による英訳。
 直訳すると
  夏の草、それはいにしえの戦士達の夢がさった後のすべて
 でしょうか(間違ってたらごめんなさい)
(*7)Greenspan(グリーンスパン)
 1987~2006年まで第13代連邦準備制度理事会議長を務めた人。
 現職当時は「金融の神様」、「マエストロ」の名でたたえられたものの現在は金融緩和がサブプライムローン問題からリーマンショックへ至る一因としてバッシングの対象に。そないに手のひらを返さんでもいいと思うんですが。

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