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2011年5月1日 - 2011年5月7日

ユニコーンガンダムって、”可能性の卵”なのかもしれない(機動戦士ガンダムUC/コロンブスの卵)

 ども、オールドタイプのガンダムファンのおぢさんたいちろ~です。
 最近、読んだ小説とかを東日本大震災と結びつけて考えることが多いです。こんな時なのでまあしょうがないですが、やはり読書とかは純粋に楽しみたいもの。ということで今回は楽しむための読書しましょうと。では、前回に引き続き”機動戦士ガンダムUC”のご紹介であります。

Tamago

写真はたいちろ~さんの撮影。”コロンブスの卵”で有名な立っている卵です。


【本】機動戦士ガンダムUC((福井 晴敏 角川コミックス・エース)
 宇宙世紀0096年。アナハイム工専に通う少年”バナージ・リンクス”は、謎の少女”オードリー・バーン”に出会う。その出会いは彼を頭部に1本の角をもつモビルスーツ”ユニコーンガンダム”のパイロットとして、「それが開かれる時には連邦政府が滅びる」と言われる「ラプラスの箱」をめぐる抗争に巻き込でいく・・・
【動物】コロンブスの卵
 「誰でも出来る事でも、最初に実行するのは難しい」、「逆転の発想」という意味の故事。
 コロンブスが人々に”卵を机に立てる”という問題を出しましたがだれも解答できませんでした。実際にやってみせたコロンブスに人々からの「そんな方法なら誰でも出来る」と反論したのに対して、「人のした後では造作もないことだ」と切り返したことから。
 (トリックの方法は一番最後に)


 50歳過ぎのおぢさんが”いまさらガンダムかよ!”と思われるかもしれませんが、ファーストガンダム(*1)放映時は高校生ですから、まあ”青春時代のアニメ”なんですね。”ニュータイプがど~の”とか、”人の革新がこ~の”とやってたんですから、今の若い人とやってることは変わりません。そういった意味では人が革新してるというより、”歴史は繰り返す(*2)”といったほうが言いのかも。

 さて、”機動戦士ガンダムUC”ですが、広げに広げまくった各種設定をみごとに整合性を持ってまとめた構成力、10冊にもなる長編小説ながら一気読みさせる筆力はさすが福井晴敏(*3)だけのことはあります。
 この中で今回キーデバイスになるのが”サイコフレーム(*4)”という素材。おぢさん世代には”逆襲のシャア(*5)”に登場するアムロ・レイの”νガンダム”vs シャア・アズナブル総帥の赤いモビルスーツ”サザビー”を思い出す因縁の技術です。
 ただ、”逆襲のシャア”でのサイコフレームってのが、何の説明もなくνガンダムを包んだ光がアクシズ(*6)の軌道を変えるという扱いだったので

  

うわ~、ご都合主義!!!

 という印象でありました。
 今回の小説版では、動作原理は不明としながらも一応の説明がされていて、なんとなく納得させられてるのは、やはりストーリーテリングの上手さでしょうかね。他にも、対立する地球連邦軍とネオ・ジオン軍になぜ同じようなモビルスーツが配備されたのかとか、亡国の民であるジオンがなぜああも何回も戦争行為ができたのかの理屈付けとかはたいしたものです。

 あと、ユニコーンガンダムのデザインですが、ふと思ったんですがこれは”卵”がモチーフではないかと。およそ有視界戦闘を基本とするモビルスーツ戦において(*7)、ああも真っ白ってのはどうかと思いますが、表面が分離していくところを”可能性を秘めた卵の孵化”をイメージしているとしたら、けっこう面白い表現ではあります。
 コロンブスの卵が”最初に実行するのは難しいが、やり方さえわかれば誰にでもできる”ように、ニュータイプも”最初の可能性を実証するのは難しいが、宇宙に出た人は皆ニュータイプになれる可能性を秘めている”といったアナロジーと思うのは理屈に縛られているオールドタイプの感性なんでしょうかねぇ・・・

 お話としては、宝探しあり~の、ロミオとジュリエットあり~の、貴種流離譚あり~のと、あんましネタバレできませんが掛け値なく面白いです。今年度前半で読んだ本としては一押しの一つです。

ps.
 オールドタイプのファンから見ると、サイコフレームが人の思念を吸収するとか、エネルギーをが無尽蔵に発生させるとか、”イデオン(*8)”へ繋がる壮大な序曲って気もするんですが・・・
 福井晴敏も”イデオン”好きみたいだし。

《脚注》
(*1)ファーストガンダム
 1979年から放送されたガンダムシリーズの第一作”機動戦士ガンダム”のこと。おぢさん世代にとって”ガンダム”といえば、やっぱりコレですぜ!
(*2)歴史は繰り返す
 同義語としては”近頃の若いモンは・・・
 いつの時代でも言われる言葉であります。
(*3)福井晴敏
 ”亡国のイージス”、”終戦のローレライ(映画”ローレライ”の原作)”、”戦国自衛隊1549”などの作者としても有名ですが、”∀ガンダム”のノベライゼーションである”改題 月に繭 地には果実”の作者でもあります。年代順に並べると、前記3作よりも、こっちが先。
(*4)サイコフレーム
 サイコミュの基礎機能を持つコンピューター・チップを、金属粒子レベルで鋳込んだもの。現在のコンピュータでも、集積回路の立体構造(多層化)による集積度の向上は原理的には可能。だとすると、ユニコーンガンダムはモビルスーツではなく”動くスーパーコンピュータ”みたいなもんでしょうか。
(*5)逆襲のシャア
 正式名称は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』。1988年に劇場公開されたファーストガンダムシリーズの完結編(当時)。
 大人のシャア(モテモテ)総帥と、ブライト(中年お父さん)ノア艦長が魅力です。
(*6)アクシズ
 ガンダムシリーズに登場する小惑星を改造した宇宙基地。
 設定上は移動するのに4基の核パルス・エンジンが必要という巨大さなので、モビルスーツのバーニアで落下を阻止しようとするの相当ムリが・・・
(*7)およそ有視界戦闘を基本とする~
 ミノフスキー粒子によりレーダが無力化されているってのがお約束の世界なので、漆黒の宇宙で目立ちやすい白ってのはどうなんでしょうか? 本来なら真っ黒に塗る方が見つからなくて有利だと思うんですが。
(*8)イデオン
 1980年テレビアニメ”伝説巨神イデオン”のこと。監督はガンダムと同じ富野喜幸(現・由悠季)。
 伝説の無限エネルギー”イデ”は第6文明人の数十億の意識を集めたものという設定で、このイデで作られた第6文明人の遺跡の巨大人型メカ”イデオン”は発動条件がよくわからないながら、惑星を真っ二つにする無限力を発揮するなど、なんとなくユニコーンガンダムの進化系を思わせるところがあります。

※コロンブスの卵のトリック
 コロンブスのトリックは、軽く卵の先を割ってから机に立ててみせるというやり方。もっともこのエピソード自体は後世の創作らしいです。
 私のやったのは机の上に塩を一つまみ置いて、その上に卵を乗せてから塩を息で吹き飛ばすというもの(何回かやれば僅かな塩の残りで立っているように見えます)
 ちなみに、卵の表面も僅かながら凹凸があるので根気よくやればトリックなしで立てることは可能なのだそうです。やったことないけど。

東日本大震災に思う ”その場にある者の、責任と義務”(機動戦士ガンダムUC/ラグランジュポイント)

 ども、仙台在住のおぢさんたいちろ~です。
 ゴールデンウィークなので単身赴任先の東京から、東日本大震災後に初めて帰省しました。家は比較的無事だった場所にありますが、やはり近所を車で走ると、地面の陥没や大きなひび割れの入ったビルがあり、地震の大きさが感じられます。
 さて、東京側で震災対策本部のような仕事をしていた関係で、初動の復旧に携わった人と話をする機会がありました。そこで感じたのは仕事を超える頑張りで仕事をしてたんだなということです。


704pxlagrange_points2svg
写真はWikipediaより。L1~L5と記載されているところがラグランジュポイント。


【本】機動戦士ガンダムUC(福井 晴敏 角川コミックス・エース)
 宇宙世紀0096年。アナハイム工専に通う少年”バナージ・リンクス”は、”オードリー・バーン”こと、ザビ家の末裔”ミネバ・ラオ・ザビ(*1)”と出会う。バナージは「それが開かれる時には連邦政府が滅びる」と言われる「ラプラスの箱」をめぐる抗争に巻き込まれていく。もう1体のガンダムのパイロット”リディ・マーセナス少尉”、”シャアの再来(*2)”と言われる”フル・フロンタル大佐”との戦いの中、頭部に1本の角をもつ、白亜のモビルスーツ”ユニコーンガンダム”パイロットとしてニュータイプへと覚醒していく・・・
【自然】ラグランジュポイント
 宇宙空間で、大質量の2つの星と、この2つと比べて質量が小さな物体があるとき、重力場が遠心力と釣り合っている場所にこの小さな物体を置くと、2つの星に対して相対的に不動のままでいることができます。この場所を”ラグランジュポイント”といって5つ存在します。
 ガンダムワールドにおいては、スペースコロニー(*3)を設置される場所になっています。


 今回の震災でよく聞かれるようになったのが”現場力”という言葉。今回の大震災の特徴の一つに”通信の大規模、長期間の途絶(*4)”というのがあります。東京本社からの状況確認や指示などが十分に機能していない中、初期動作を支えたのが現場の人の頑張り。後から聞いた話ですが、連絡ができない、食糧の不足、電力不足による空調能力の低下、、水道が止まってトイレも不自由といった中、業務を継続するのに踏ん張っていたとのこと。中には、出張で東北に行っていて、そのまま現地で復旧に当たっていた人もおりました。
 思うに、この人達は”仕事だからやらないといけない”っていうより、”この場にいるオレたちがやらないといけない”っていう想いがあったんじゃないかと。でなければ、ここまで頑張れると思えないことがいっぱいあります。たまたまその場所にいたという”この場”、指示を与え、自ら動くという立場としての”この場”で、自分達が最善と思う動きをすることで、最悪の状態の中でもやっていけたんではないかと。

 確かに、警察官、消防士など”仕事”に対する職業的倫理観(*5)が格段に違う人たちもいますが、一般の人がすべてこういうレベルを期待するのは難しいこと。でも、今回の人達の動きを見ていると、それに近いものすら感じます。

 表題の”その場にあるものの、責任と義務”は機動戦士ガンダムUC(4巻)の中から。

  ミネバ:どちらにせよ、私は政治と無関係にはいられない。
      また、同じ過ちがくり返えされようとしているなら、
      命に代えても止める義務と責任がある

       (中略)
  リディ:義務と責任・・・。その場にある者としての、か

 16歳の少女の発言とは思えない重さですが、その場に立たされれば、自覚的か無自覚かにかかわらず”義務と責任”のある行動を取れるように人間はできているのかもしれません。

 誤解の無いように付け加えますと”だから何かしよう”と言ってるわけではありません。その場からとっとと逃げ出すのも”義務と責任”の果たし方の一つです。その場所にいるだけで食糧、水、トイレまで環境に負荷をかける事になるので、逃げ出せる場所があるならそこに行くのも全体から見れば大切なことです。

 ところで、上記のラグランジュポイントですが、内向き方向に安定、外向き方向に不安定に向かっていくことを表わしています。その場にいる人も同じで、集まるベクトルと離れていくベクトルが存在するってこと。ごちゃごちゃ考えるよりそれに従うぐらいと割り切ったほうが、自然の摂理にかなっているのかもしれません。

 大震災からもうすぐ2ケ月になりますが、まだまだやることはたくさんありそうです。でも、だんだん”この場”が変化してきています。新しい場でそれぞれの人が為すべきと思ったことを為すことが最善への道へ繋がるのだと思います。

《脚注》
(*1)ミネバ・ラオ・ザビ
 ジオン公国軍ドズル・ザビ中将を父に、ゼナを母に持つザビ家の中で唯一の生き残り。どう見ても母親似
(*2)シャアの再来
 ファーストガンダムに連なるシリーズに登場するライバルキャラ。アニメ史上最も多くの名言をのたまわった人。中年のおじさんが気の利いたことを言ってたらこの人のセリフのパクリだと思っても過言ではない
(*3)スペースコロニー
 プリンストン大学のジェラルド・オニール教授らによって提唱された、宇宙空間に作られた人工の居住地。
 いくつかのタイプがあり、ガンダムの舞台となるのは島3号(Island Three)と呼ばれる大型(直径6km、長さ30km)のシリンダー型、ガンダムUCの冒頭に出てくる”ラプラス”はスタンフォード・トーラス(Stanford torus)という小型(直径1.6km)のドーナッツ型。
 今やSFの定番ですが、ガンダムで初登場した時は、けっこう驚いた中年の人は多いはず。
(*4)通信の大規模、長期間の途絶
 岩手・宮城内陸地震(2008年 6月14日発生)の時も、本社側で情報収集・連絡をやっていたんですが、この時は発生直後でも主要な場所には連絡が取れました。
 今回の震災では2~3日も連絡が取れないところもあり、かなり心配したものです。
(*5)”仕事”に対する職業的倫理観
 私の義理の兄が消防署に勤めていて、阪神大震災の時は被災した家族を置いて出勤していました。”仕事だから”と言うのは簡単ですが、いざ自分が同じ立場に置かれたら同じようにできるかどうかはあまり自信がありません。

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