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2011年7月

こんな異形かわういなら、まあいいか(異形たちによると世界は…/異形花)

 ども、けっこうホラー系はオールドSFファンのおぢさん、たいちろ~です
 B○○K○FFの雑学のコーナーに行くと、時々”萌え萌えXXX(*1)”という本を見かけます。基本的には見開きの右側にいわゆる萌え絵のイラスト、左側に解説といったフォーマットなんですが、ここで扱っているジャンルが”何で萌え絵にする必要があるんや?!”というほどぶっ飛んでいます。
 まあ、女神だ妖精だと言っている分にはわからんでもないですが、武器(銃器、刀、空想上の物)といった剣呑なものから、悪魔、妖怪、幻獣といった、ど~すればこれをかわうい女の子の絵にしようなんて考えるんだ? といったシロモノ。
 ようは、どんなものでもかわうく描こうとすればできるもんだということで、今回ご紹介するのはおどろおどろ系の代表なクトゥルフ神話(*2)をかわいく描いてる”異形たちによると世界は…”であります。

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 写真はたいちろ~さんの撮影。六義園(*3)のガクアジサイの変種の甘茶(あまちゃ)です。

【本】異形たちによると世界は…(coco 早川書房)
 ビブリオマニアの聖典”今日の早川さん”(*4)の作者、cocoによる、クトゥルフ神話のキャラクターを女の子化した4コマ漫画。
 ”人知や時空を超越した宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)”たるクトゥルフがこうもかわいくなるとは・・・
【花】異形花
 ”いぎょうか”ではなく”いけいか”と読みます。
 同じ種類の植物に2通り以上の形態の花があるとき、その花を異形花と呼びます。
 写真のガクアジサイの場合、中央に密集しているのが両性花、周囲についているのは装飾花と2種類の花が咲いているのがわかります。


 さて主人公のクトゥルフですが、知らない方向けに簡単に説明すると、”かつて地上を支配していた太古の神々(旧支配者)の一柱。タコに似た頭部、イカのような触腕を無数に生やした顔、巨大な鉤爪のある手足、ぬらぬらした鱗に覆われた山のように大きなゴム状の身体、背にはコウモリのような細い翼を持つ。”となります。(wikipediaより抜粋)。


 で、coco版のくとぅるー様(*5)だとこんな感じ。


Cococover


 おばちゃんパーマっぽい髪型(これでパンチができる)、背中の羽にぷっくりしたお腹胸に星をつけた(*6)メガネっ娘になります。性格的にはわがままで最強の暴君ながら、けっこう他のキャラと仲良くもしています。


 これがオリジナルに近くなるとこんな感じ。(wikipediaより転載)


Cthulhu


 ビジュアル的に近いのは、パイレーツ・オブ・カリビアンのデイヴィ・ジョーンズ(*7)ってとこでしょうか。
 まあ、はっきり言ってお友達にはなりたくないビジュアルではあります。


 そのほかにも、
〔ティンダロス〕
 オリジナルでは時間や次元を超えて永久に獲物を追い続ける猟犬。
 coco版では、ホラーマニアの帆掛さんに召喚されててペット扱いされてました。
〔ナイアルラトホテップ〕
 オリジナルでは旧支配者の一柱にして千もの異なる姿を持つ神様。
 coco版では、雑誌”ルル家”の黒人作家。通称 ニャル。
〔ダゴン〕
 巨大で下半身は退化して魚のような鰭がある半魚人。クトゥルフに仕える小神。
 イラストを見る限り、ウルトラマンに出てきた”ラゴン”に近いイメージ。
 coco版では、ケメコデラックス(*8)してます。

 実は、ラヴクラフト版の原典って読んでないんだよな~~
 高校の時、創元推理文庫の”ラヴクラフト全集”買ったんだけど読まずじまいで。まだ家にあるかなあ。
 まあ、かわいいモン好きな人は無理して原典読まないほうがいいかも。
 同じ異形でも、あじさい眺めてるほうが人生幸せかもね。

《脚注》
(*1)萌え萌えXXX
 イーグルパブリシングより出版されている雑学書。
 内容は上記のとおりですが、かわういイラストからは想像できないほど、解説はディープでまじな内容、いやホントに。内容の濃さでは”もしドラ”を遥かにしのぎます
 特定ジャンルの雑学を増やすには役に立ちますが、電車の中でおぢさんが読むにはちょっと・・・
 ちなみに今回のテーマまんまの”萌え萌えクトゥルー神話事典”ってのもあります。
(*2)クトゥルフ神話
 アメリカの小説家、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの描いた小説世界をもとに作られた架空の神話体系=SF的なホラー小説。旧支配者とか外なる神とかのおどろおどろしい異形の神様に、ネクロノミコンなどのガジェットとか、海底に沈んだルルイエとかマニアがそそるアイコンがてんこ盛り。
(*3)六義園
 文京区本駒込にある風光明美な庭園。”ろくぎえん”ではなく”りくぎえん”と読みます。元々は5代将軍徳川綱吉の側用人・柳沢吉保の屋敷を造営したという由緒ある庭園。
 JR駒込駅から徒歩7分とアクセスも便利なのでお暇な時にどうぞ。
(*4)ビブリオマニアの聖典”今日の早川さん”
 SF者の早川さん、ホラーマニアの帆掛さん、純文学読みの岩波さん、ライトノベルファンの富士見さんなど愛すべきビブリオマニア(愛書狂)のエピソードを描いた4コマ漫画。詳しくはこちらをどうぞ
(*5)くとぅるー様
 元々の設定が”人間には発音不能な呼称を便宜的に表記”した上、英語を日本語に直しているので、クトゥルー、ク・リトル・リトル、クルウルウなど乱立状態です。
 本でいうと東京創元社は”クトゥルフ”、国書刊行会では”ク・リトル・リトル”、上記の萌え萌えシリーズでは”クトゥルー”とけっこういい加減です。
(*6)胸に星をつけた
 ”星辰が適切な位置に近づいた期間だけ、クトゥルフの夢がテレパシーによって外界へ漏れる”という設定からでしょうか。
 こういうマニアックなデザインがまた魅力的です。
(*7)デイヴィ・ジョーンズ
 タコのようなぬとぬとの髭を持つフライング・ダッチマン号の船長。
 海の女神カリプソに失恋した上、カリプソの命令を断ったらあの姿に変えられたという見ようによってはかわいそうな人です。
(*8)ケメコデラックス
 いわさきまさかずによる漫画”ケメコデラックス”のヒロイン?。2頭身の謎の人型ロボットにして中には謎の美少女入り。
 ちなみに、奥様に”ケメコデラックスは知っているが、マツコデラックスは知らん”といったら変だと言われました。そうかなぁ~

さよなら、小松左京(さよならジュピター)

 ども、オールドSFファンのおぢさん、たいちろ~です
 さきほど、TVで”小松左京さん死去”のニュースが流れてました。
 何かの番組に出演されていたのを見た気には、ずいぶんお年をめしたように見受けられましたが、そうか・・・ 小松御大が亡くなられましたか・・・

【DVD】さよならジュピター(原作、脚本、総監督:小松左京)
 1984年に公開されたSF映画。エネルギー問題の解決策として木星を太陽化しようとする太陽系開発機構と環境保護団体の対立、さらに太陽系にマイクロブラックホールが接近し・・・

 思えば、SFにはまったのって中学、高校のころ。ハードな小松左京ショートショートの星新一(*1)、スラップスティックの筒井康隆(*2)のSF御三家を始め、新井素子(*3)、平井和正(*4)、光瀬龍(*5)、眉村卓(*6)などなど。綺羅星のごとくSF作家がいたもんなぁ。

  士農工商SF作家、ハヤカワこけたらみなこけた(*7)

 熱狂的なファンがいる一方で(*8)、文学的には不遇をかこっていた(*9)黎明期のSF作家の中にあって、こういった作家ががんばっていたんだなぁ。
 特に小松左京って人は、1973年の”日本沈没”の大ヒットや、それに続く”復活の日”、”エスパイ”、”首都消失”とかでSFの普及に活躍してたんだ。

 日本でSFが社会現象として認知されたのは1978年に公開された”スター・ウォーズ エピソード4(新たなる希望)”、”未知との遭遇”あたりからでしょうか。
 でも、日本だってがんばってるんだぞっとということで作成されたのが”さよならジュピター”です。
 吊りと着ぐるみがメインだった日本の特撮 VS モーション・コントロール・カメラ(*10)とコンピュータグラフィックスのアメリカ映画の構図の中で、日本の映画でモーション・コントロール・カメラを初めてとりいれたのがこの映画。

 モーション・コントロール・カメラのおかげて一介の文科系学生がの私がNC工作機械の会社に就職しようとまでしたんですがら、その影響力は大したもんです。もっともこの当時はこの手の会社は文系の採用枠がなくて、かわりになんでも採用ありありだったコンピュータの会社に就職することになりましたが・・・

 小松左京って人は日本万国博覧会のサブ・テーマ委員や、日本未来学会の創設など、公私にわたって先進的な人だったんでしょう。個人的なことはともかく、もし小松左京がいなかったら、日本のSFシーンは今とは違ったものになってたんでしょうねえ

 メジャーな”日本沈没”や”首都消失”以外にも、”果てしなき流れの果てに”、”継ぐのは誰か”、”日本アパッチ族”なんかがお気に入りです。
 今でも、ハルキ文庫あたりで復刊されているし、図書館であればまだ置いてあるはず。改めて読みなおしたい気分です。
 でも、こうやって見ると、この人の作品ってほとんど読んでたんだなあ。



  私があなたと知り合えたことを
  私があなたを愛してたことを
  死ぬまで死ぬまで誇りにしたいから

  ”VOYAGER〜日付のない墓標”
    (さよならジュピター 主題歌 作詞・作曲・歌:松任谷由実) 

 故人のご冥福をお祈りいたします。

《脚注》
(*1)星新一
 1000編以上のショートショトを残した文字通りショートショートの神様。
 ”ボッコちゃん”、”ノックの音が”、”気まぐれロボット”など多数。
(*2)筒井康隆
 ”時をかける少女”の作者として有名ですが、”アフリカの爆弾”、”農協月へ行く”、”おれに関する噂”とか、結構スラップスティックなネタでいっぱい作品があります。(*3)新井素子
 コバルト文庫を中心に活躍していたSF系ライトノベル作家の元祖。
 ”星へ行く船シリーズ”などのライト系SFから、”チグリスとユーフラテス”のようなハードなテーマのSF、実録風コメディ”結婚物語”(沢口靖子、陣内孝則の主演でドラマ化)まで広いジャンルをこなすスーパー作家です。
(*4)平井和正
 ”ウルフガイシリーズ”や”幻魔大戦””ゾンビー・ハンター”で有名なダーク系SF作家。
 ”エイトマン”(漫画 桑田次郎)、コミック版”スパイダーマン”(漫画 池上遼一)の原作者でもあります。
(*5)光瀬龍
 ”宇宙年代記シリーズ”や”喪われた都市の記録”といったハードSFや、ジュブナイルの”夕ばえ作戦”など。萩尾望都により漫画化された”百億の昼と千億の夜”は名作です。
(*6)眉村卓
 ”なぞの転校生”、”ねらわれた学園”などのジュブナイルで有名ですが、サラリーマンSFの傑作である”司政官シリーズ”もお勧め。
 涼宮ハルヒシリーズ登場する古泉クン=なぞの転校生の原典がこれ。
(*7)士農工商SF作家、ハヤカワこけたらみなこけた
 ハヤカワとは、当時SF専門の出版社であった早川書房のこと。
 今のように多くの出版社がSFを扱ってる時代から見ると隔世の感があります。
(*8)熱狂的なファンがいる一方で
 SFファンの集まりである”日本SF大会”で、ちょうど私の大学時代と重なるのが1981年のDAICON3,83年のDAICOM4。
 この時に参加していたのが、後におたく評論家(今はダイエット評論家)の岡田斗司夫、エヴァンゲリオンを作成する庵野秀明、貞本義行、山賀博之などです。
 私の高校時代の友人(当時、立命館大学SF研究会所属)も参加してました。
(*9)文学的には不遇をかこっていた
 改めて調べてみたんですが、今だに直木賞とか芥川賞ってSF作家と縁がないんですねぇ。かろうじてSF作家と言えそうなのは、半村良(1974年”雨やどり”で直木賞受賞)と安部公房(1951年に”壁 S・カルマ氏の犯罪”で芥川賞受賞)ぐらいです。
(*10)モーション・コントロール・カメラ
 NC数値制御装置の一種で、コンピュータでサーボモーターやステッピングモーターを制御することで、同じ撮影を繰り返せるシステムのこと。
 平たく言えば、自動車工場で動いているロボットアームの先にカメラをくっつけて撮影しているようなものです。
 ”さよならジュピター”に使われたのはアマダ製です。
 ちなみに何の因果か、娘は大学でロボット工学を学問しています。

私がCEOですが、何か?(フェイスブック/ジャスミン)

 ども、久しぶりにブログを更新しているおぢさん、たいちろ~です。
 この1ケ月ほど、ばたばたが続いておりまして、本もまともに読めませんでしたが、やっと一段落つきまして、久々の更新です。
 まあ、ツイッターとかSNS(*1)とかもっと短いものであれば頻繁に更新できるんでしょうが、結局、こういったものは余裕がなければやんないわけでして、ということで、今回は世界中の政治シーンを塗り替えた”フェイスブック”のご紹介であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。近所のジャスミンです。


【本】フェイスブック(ベン・メズリック、青志社)
 世界最大のSNSの創業者、マーク・ザッカーバーグの伝記。
 なので、フェイスブックそのものの説明はほとんどありません。
 絵に描いたようなコンピューターヲタクのザッカーバーグと常識人のエドゥアルド・サヴェリンの掛け合いが絶妙。
【花】ジャスミン
 モクセイ科ソケイ属の植物の総称。
 花は甘い芳香を持っていて、香水の原料として使用されます。花言葉に”愛の通夜、官能的”とあるように、この香りには催淫効果があるそうです。


 さて、昨今はジャスミン革命(*3)の引き金ともなったと言われる”フェイスブック”ですが、元々はハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグが開発し、エドゥアルド・サヴェリンが最初に資金提供した大学内のお友達サイト。
 でも、この二人ってハーバード大学生ですから、SNSなんか使わなくても学歴的にははモテモテの超エリートのはず
 だいたい、ハーバード大学って、世界大学ランキング 第1位、オバマ大統領を含め7人のアメリカ合衆国大統領、74人のノーベル賞受賞者を輩出している名門中の名門校。
 日本で言えば


  うちの彼氏な、東大生やねん
  へー、すごいやんか! 私にも友達紹介して~な~

 

みたいなもんです(*4)。


 まあ、どこの世界にもモテ、非モテの格差はあるんでしょうが、モテたいという欲望は無限大なんでしょうね。本来なら、コンピュータにかじりついていないで、ナンパにでも行くのが普通の人なんでしょうが、ザッカーバーグはネットワーク上にクールなコミュニティを作っちゃうってのがすごいところ。
 実際にザッカーバーグもエドゥアルドも彼女できてるし。

 ニュースでは、エジプトの長期独裁政権を崩壊させるのに情報交換の手段としてフェイスブックが大きな役割を果たしたとか言われていますが、元々そんなことはな~んも考えていなくて、ただ単に彼女つくるためにサービスを立ち上げただけですから、この扱いはザッカーバーグが一番びっくりしているんじゃないかと。
 VHSを始めエッチな動機がテクノロジーを発展させる例は多いですが(*5)、エッチなとこから政治的なとこに行っちゃったのは珍しいんではないかなあ。

 ところで、本書の最後にザッカーバーグの名刺の話題が出てきます。
 気になって原文を調べてみたんですが(映画には出ているみたい)

   I’m CEO, Bitch!

 と書いてあるそうです。本書では

   僕がCEOだ--何か言いたいことは?

 と訳していますが、今風だと

   私がCEOですが、何か?

 ぐらいなんだろうなぁ。

 ”Bitch”は軽蔑をこめていやな女、ばか女、あばずれとか、不愉快なものとか皮肉屋の同性愛の男とか、あんまし良い意味はないみたい。英語で”この野郎!”といった時に使われる”son of a bitch!(*6)”もこれです。
 しかし、エジプトのムバーラク大統領もチュニジアのベン=アリー大統領も、こんなふざけた名刺を作る男の会社に政治生命を断たれるとは思いもしなかったんだろうなぁ・・・

《脚注》
(*1)SNS(Social Network Service)
 ソーシャル・ネットワーキング・サービス。
 人と人とのコミュニケーションを目的に創られたサイトのこと。友人どおしのコミュニケーションを促進する手段とか、同じ趣味、地域、出身校とか、「友達の友達はみな友達だ」っといったテレフォンショッキング(*2)みたいなとか。
(*2)テレフォンショッキング
 ”笑っていいとも!”(フジテレビ)で四半世紀以上続いている名物コーナー。
 昔は、このコーナーが始まる時に”友達の友達はみな友達だ、世界に広げよう友達の輪っ!”って言ってました。ご年配の方は覚えておられるかも。
(*3)ジャスミン革命
 2010年から2011年にかけてチュニジアで起こった民主化運動。23年間続いたザイン・アル=アービディーン・ベン=アリー大統領政権崩壊した事件。
 民主化運動はチュニジアだけでなく、エジプトのムバーラク大統領の退陣など他のアラブ諸国へも広がり、政治改革を引き起こすことになりました。
 ジャスミンがチュニジアを代表する花なので、この名前がネットを中心に命名されたんだそうです。
(*4)うちの彼氏な、東大生やねん~
 もっとも、東大生の女性は男性が東大生だからといて恐れ入ってくれないので(以下自主規制)
(*5)VHSを始めエッチな動機が~
 VHSは日本ビクターが開発した家庭用ビデオ規格。VHSの普及に大きな役割を果たしたのはアダルトビデオだったとの説があります。
 しかし、VHSもDVDが普及するとあっという間になくなっちゃいましたねぇ。
(*6)son of a bitch!
 直訳すると”メス犬の息子”、日本語で書くと”サノバビッチ!”

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