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ユニコーンガンダムって、”可能性の卵”なのかもしれない(機動戦士ガンダムUC/コロンブスの卵)

 ども、オールドタイプのガンダムファンのおぢさんたいちろ~です。
 最近、読んだ小説とかを東日本大震災と結びつけて考えることが多いです。こんな時なのでまあしょうがないですが、やはり読書とかは純粋に楽しみたいもの。ということで今回は楽しむための読書しましょうと。では、前回に引き続き”機動戦士ガンダムUC”のご紹介であります。

Tamago

写真はたいちろ~さんの撮影。”コロンブスの卵”で有名な立っている卵です。


【本】機動戦士ガンダムUC((福井 晴敏 角川コミックス・エース)
 宇宙世紀0096年。アナハイム工専に通う少年”バナージ・リンクス”は、謎の少女”オードリー・バーン”に出会う。その出会いは彼を頭部に1本の角をもつモビルスーツ”ユニコーンガンダム”のパイロットとして、「それが開かれる時には連邦政府が滅びる」と言われる「ラプラスの箱」をめぐる抗争に巻き込でいく・・・
【動物】コロンブスの卵
 「誰でも出来る事でも、最初に実行するのは難しい」、「逆転の発想」という意味の故事。
 コロンブスが人々に”卵を机に立てる”という問題を出しましたがだれも解答できませんでした。実際にやってみせたコロンブスに人々からの「そんな方法なら誰でも出来る」と反論したのに対して、「人のした後では造作もないことだ」と切り返したことから。
 (トリックの方法は一番最後に)


 50歳過ぎのおぢさんが”いまさらガンダムかよ!”と思われるかもしれませんが、ファーストガンダム(*1)放映時は高校生ですから、まあ”青春時代のアニメ”なんですね。”ニュータイプがど~の”とか、”人の革新がこ~の”とやってたんですから、今の若い人とやってることは変わりません。そういった意味では人が革新してるというより、”歴史は繰り返す(*2)”といったほうが言いのかも。

 さて、”機動戦士ガンダムUC”ですが、広げに広げまくった各種設定をみごとに整合性を持ってまとめた構成力、10冊にもなる長編小説ながら一気読みさせる筆力はさすが福井晴敏(*3)だけのことはあります。
 この中で今回キーデバイスになるのが”サイコフレーム(*4)”という素材。おぢさん世代には”逆襲のシャア(*5)”に登場するアムロ・レイの”νガンダム”vs シャア・アズナブル総帥の赤いモビルスーツ”サザビー”を思い出す因縁の技術です。
 ただ、”逆襲のシャア”でのサイコフレームってのが、何の説明もなくνガンダムを包んだ光がアクシズ(*6)の軌道を変えるという扱いだったので

  

うわ~、ご都合主義!!!

 という印象でありました。
 今回の小説版では、動作原理は不明としながらも一応の説明がされていて、なんとなく納得させられてるのは、やはりストーリーテリングの上手さでしょうかね。他にも、対立する地球連邦軍とネオ・ジオン軍になぜ同じようなモビルスーツが配備されたのかとか、亡国の民であるジオンがなぜああも何回も戦争行為ができたのかの理屈付けとかはたいしたものです。

 あと、ユニコーンガンダムのデザインですが、ふと思ったんですがこれは”卵”がモチーフではないかと。およそ有視界戦闘を基本とするモビルスーツ戦において(*7)、ああも真っ白ってのはどうかと思いますが、表面が分離していくところを”可能性を秘めた卵の孵化”をイメージしているとしたら、けっこう面白い表現ではあります。
 コロンブスの卵が”最初に実行するのは難しいが、やり方さえわかれば誰にでもできる”ように、ニュータイプも”最初の可能性を実証するのは難しいが、宇宙に出た人は皆ニュータイプになれる可能性を秘めている”といったアナロジーと思うのは理屈に縛られているオールドタイプの感性なんでしょうかねぇ・・・

 お話としては、宝探しあり~の、ロミオとジュリエットあり~の、貴種流離譚あり~のと、あんましネタバレできませんが掛け値なく面白いです。今年度前半で読んだ本としては一押しの一つです。

ps.
 オールドタイプのファンから見ると、サイコフレームが人の思念を吸収するとか、エネルギーをが無尽蔵に発生させるとか、”イデオン(*8)”へ繋がる壮大な序曲って気もするんですが・・・
 福井晴敏も”イデオン”好きみたいだし。

《脚注》
(*1)ファーストガンダム
 1979年から放送されたガンダムシリーズの第一作”機動戦士ガンダム”のこと。おぢさん世代にとって”ガンダム”といえば、やっぱりコレですぜ!
(*2)歴史は繰り返す
 同義語としては”近頃の若いモンは・・・
 いつの時代でも言われる言葉であります。
(*3)福井晴敏
 ”亡国のイージス”、”終戦のローレライ(映画”ローレライ”の原作)”、”戦国自衛隊1549”などの作者としても有名ですが、”∀ガンダム”のノベライゼーションである”改題 月に繭 地には果実”の作者でもあります。年代順に並べると、前記3作よりも、こっちが先。
(*4)サイコフレーム
 サイコミュの基礎機能を持つコンピューター・チップを、金属粒子レベルで鋳込んだもの。現在のコンピュータでも、集積回路の立体構造(多層化)による集積度の向上は原理的には可能。だとすると、ユニコーンガンダムはモビルスーツではなく”動くスーパーコンピュータ”みたいなもんでしょうか。
(*5)逆襲のシャア
 正式名称は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』。1988年に劇場公開されたファーストガンダムシリーズの完結編(当時)。
 大人のシャア(モテモテ)総帥と、ブライト(中年お父さん)ノア艦長が魅力です。
(*6)アクシズ
 ガンダムシリーズに登場する小惑星を改造した宇宙基地。
 設定上は移動するのに4基の核パルス・エンジンが必要という巨大さなので、モビルスーツのバーニアで落下を阻止しようとするの相当ムリが・・・
(*7)およそ有視界戦闘を基本とする~
 ミノフスキー粒子によりレーダが無力化されているってのがお約束の世界なので、漆黒の宇宙で目立ちやすい白ってのはどうなんでしょうか? 本来なら真っ黒に塗る方が見つからなくて有利だと思うんですが。
(*8)イデオン
 1980年テレビアニメ”伝説巨神イデオン”のこと。監督はガンダムと同じ富野喜幸(現・由悠季)。
 伝説の無限エネルギー”イデ”は第6文明人の数十億の意識を集めたものという設定で、このイデで作られた第6文明人の遺跡の巨大人型メカ”イデオン”は発動条件がよくわからないながら、惑星を真っ二つにする無限力を発揮するなど、なんとなくユニコーンガンダムの進化系を思わせるところがあります。

※コロンブスの卵のトリック
 コロンブスのトリックは、軽く卵の先を割ってから机に立ててみせるというやり方。もっともこのエピソード自体は後世の創作らしいです。
 私のやったのは机の上に塩を一つまみ置いて、その上に卵を乗せてから塩を息で吹き飛ばすというもの(何回かやれば僅かな塩の残りで立っているように見えます)
 ちなみに、卵の表面も僅かながら凹凸があるので根気よくやればトリックなしで立てることは可能なのだそうです。やったことないけど。

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