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”老年期おひとりさま”ってのはシャレにならんと思います(無縁社会/新巨人の星/東慶寺の水仙)

 ども、お気楽な単身赴任生活を送ってるおぢさん、たいちろ~です。
 そうだよな~、この”お気楽な単身赴任生活”ってのがクセモンで自宅に帰ると奥様から”好き勝手しすぎ!”と怒られてます。このままいくと熟年離婚かなぁ。
 人間、子供達も独立して奥様も出て行ったら、”老年期おひとりさま”です。
 ということで、今回ご紹介するのはなかなかにシリアスな本”無縁社会”であります。


2009021501
写真はたいちろ~さんの撮影。鎌倉東慶寺の水仙です。


【本】無縁社会(NHK「無縁社会プロジェクト」取材班、文藝春秋)
 身元不明の”行旅死亡人(*1)”、親戚に引き取り拒否される遺骨、結婚しない”おひとりさま”の老後への不安・・・
 サブタイトルの「”無縁死”三万二千人の衝撃」にあるように、家族や社会と縁の切れた人たちを描いたノンフィクション。
【本】新巨人の星(川崎のぼる, 梶原一騎、講談社)
 ”あしたのジョー”と並び称されるスポ根マンガの金字塔”巨人の星”の続編。
 左腕を壊した星飛馬が右腕投手として復活するというお話。
 スパルタ親父の星一徹は、みごとに偏屈な頑固ジジイになってます
【花】東慶寺の水仙
 東慶寺は鎌倉幕府第9代執権北条貞時が建立した鎌倉市にある古刹。
 江戸時代、この寺で3年間修行をすれば女性の側から離婚ができた”縁切寺”として有名。写真は東慶寺に咲く水仙ですが、水仙の花言葉には”うぬぼれ、自己愛”の他に”自尊心”ってのもあります。


 この本で取り上げられている人たちは大雑把に言うと3つのグループに分かれます。
ひとつ目はすでに無縁仏となって亡くなっている人、2つ目は現在無縁人(*2)になっている高齢者、3つ目は30~40代の独身者。

 2つ目の無縁人(と1つ目の人の生前の言葉)に共通しているのは”迷惑をかけたくない”という言葉。
 リストラやなんかで経済的に豊かではない晩年、それでも”子供達に迷惑をかけるから”と子供と同居しない老人。まあ、高度経済成長期に家庭を顧みなかったとかいろいろ事情はありますが、総じてこの世代はまじめな印象を受けます。
 読んでいて思い出したのが、”新・巨人の星”。星一徹の古いアパートの一室で交わされる星一徹と花形満の会話(*3)ですが

  花形満:失礼ですがあまりにお寒い環境だ。
      どうしてぼく達の家庭で暮らしていただけないのですか?
      ぼくも明子も切望しているのに・・・
  星一徹:フフフッ・・・
      娘夫婦の大邸宅へころげこみ、ネコでも抱いて陽なたぼっこ・・・か
      ホレ よう新聞にある”孤老誰にも見つからず死す”ちゅうのが
      どうやら星一徹のさまになっちょるが
(以下略)

 息子である飛雄馬と死闘を演じた昭和のオヤジの矜持が感じられます。
 ”新巨人の星”が連載されたのが1976~79年と、まだ日本の戦後経済成長を支えたオヤジ世代が健在だったころ。想像ですが、”子供達に迷惑をかけるから”というのは言葉通りではなく、”家庭より会社”という生き方を変えてまで今さら家庭に頼りたくないという自尊心とか、自分のことは自分で面倒見るという自負心が根底にあるんじゃないかなぁ。
 私自身が上記の星一徹の言葉を思えていたのも、心のどっかにこういった死に方に憧れるものがあるのかもしれません。

 時代が下って、3つ目の30~40代の独身者。実は先日、会社の若い衆とこの本の話が出ました。まあまあの会社でそこそこ給料を貰っている36歳男性の”おひとりさま”でも人ごととは思えないとのこと。性格も悪くはない人なので、世間並みの基準でいえばまあ結婚できないってことはないんですが(あんまり突っ込むとセクハラと言われそうですが(*4))、将来に自分も無縁人になったらどうしようとか考えちゃうそうです
 本書でも、不安をツイッターでつぶやいている若者が出てきますが、そんなことする時間があるなら街に出てナンパの一つもしてたほうがいいんじゃないかなぁ
 でも、うちの娘に手を出すんじゃないぞっと

 このあたりを読んでいて浮かんだのが”負け犬の老後”。怒らないで読んで欲しいんですが、これの原典は酒井順子のエッセイ”負け犬の遠吠え(5)”で、

  どんなに美人で仕事ができても、
  30代以上・未婚・子ナシは「女の負け犬」なのです。

 結婚や家庭よりも仕事ややりがいを求めるという価値観と、結婚できない30代という現実を自虐的に扱った本ですが、この本が出版されたころ読んでいたトランタン世代もそろそろ40代。ちゃんと結婚されたんでしょうか。
 それでも”負け犬の遠吠え”に出てくる女性は会社では相応の地位になってるとか、経済的には自立しているとか、安定した生活は確保してましたのでまだマシでしょうが、昨今の派遣の記事なんかを読んでると遠吠え以前の問題のような気がしなくもありません。

 離婚だけでも苦労した江戸時代と、あっさり縁が切れてしまう現代、どっちが幸せかわかりませんが、30年、40年先を考えて人生設計しとかないと”老年期おひとりさま”なんてシャレにならないんでしょうね
 年配の方というより、若い人に読んどいて欲しい本です。

《脚注》
(*1)行旅死亡人(こうりょしぼうにん)
 本人の氏名または本籍地・住所などが判明せず、かつ遺体の引き取り手が存在しない死者を指すもので、行き倒れている人の身分を表す法律上の呼称(Wikipediaより)。
 死亡推定日時、発見された場所、所持品や外見などが官報に掲載されるそうですが、そんなもん見ないよなぁ、普通。
(*2)無縁人(むえんびと)
 本書でこういう呼び方をしているわけではないんですが、他に適当な言葉がないので。近所や親せきと付き合いのない一人暮らしの高齢者といったニュアンスです。
(*3)星一徹と花形満の会話
 星一徹の息子、星飛雄馬のライバルだったのが花形コンツェルンの御曹司にして花形モーターズの重役になっている花形満。花形満は星一徹の娘である星明子と結婚したので、星一徹は義父にあたります。
(*4)セクハラと言われそうですが
 2007年の改正男女雇用機会均等法により「男性・女性から男性」への性的嫌がらせもセクハラになります。
 ”早く結婚しろ!”はアウトですが、プレッシャーをかけなさすぎるのも結婚にのんびりさせてる遠因という気がしないでもないですが
(*5)負け犬の遠吠え(酒井順子 講談社)
 出版は2003年。”負け犬の遠吠え”は2004年度流行語大賞のトップテンに入りました。

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どんなに美人で仕事ができても、
  30代以上・未婚・子ナシは「女の負け犬」なのです。はい。

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