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2010年7月18日 - 2010年7月24日

「金融庁が来ました」という書きだしでふいにメールを消したくなりぬ(サラダ記念日/サボテン)

 ども、電子メールシステムの拡販担当のおぢさん、たいちろ~です。
 先日、日本振興銀行の木村剛前会長が逮捕されるというニュースが流れました(*1)。容疑は、金融検査の際に意図的に不都合な電子メールを削除するなどした銀行法違反(検査忌避)。一般の人にはなじみがないかもしれませんが、銀行には金融庁、日本銀行が定期的に検査が入って業務内容をチェックするというルールがあって(*2)、金融庁のルールブックが「金融検査マニュアル」。木村前会長という人は金融庁の顧問時代にこの「金融検査マニュアル」の作成をした関係者の一人です。金融機関向けシステムの拡販担当をしているので、このマニュアル関連でいろいろお仕事してました。
 それだけに、なんだか隔世の感があります。


Crocus01


写真は”花と少年”のhpより。クロッカスです。


【本】サラダ記念日(俵 万智 河出文庫)
 1987年の発刊の初版に挟まっていた広告には「俵 万智 異色歌集。短歌も俳句も劇画調がウケる”新人類時代”」とあるように、当時としては異端でしたが、これが大ヒット。よもや国語の教材にまで載るようになるとは・・・
【花】クロッカス
 アヤメ科クロッカス属の内で花を楽しむ園芸植物の流通名。別名”花サフラン”と呼ばれるようにスパイスのサフランの仲間です。
 花言葉は”青春の喜び、あなたを待っています、私を裏切らないで”など。


 ”電子メールシステムの拡販担当”というのは本当で、メールアーカイブと呼ばれるシステム扱ってました。電子メールは必ずサーバを介してやりとりをされるのですが、これに証拠能力を持たせるためには”改ざんされていない、消されていない”ことが必要になります。今回の木村前会長がやったのは、この”メールを消す”ことを意図的にやったから。メールアーカイブというのは、メールが改ざんされないようにするためのシステムです。極論すれば”金融検査マニュアル”への対応のために売れたようなモンなんですがねえ・・・

 電子メールってのは、すぐに相手に届くとか、一斉同報で複数の人に送れるとか、携帯電話なら何時でも何処でも出せるとか、便利な機能もいっぱいあってかなり一般化してますが、日本で普及しだしたのは1980年代の後半から。その前はナンだったかと言うと”手紙”であります。ということで、前置きが長くなりましたが、今回ご紹介するのが手紙時代の短歌集”サラダ記念日”であります。

  手紙には愛あふれたりその愛は消印の日のそのときの愛
  書き終えて切手を貼ればたちまちに返事を待って時流れだす
  待つことの始まり示す色をして今日も直立不動のポスト

 ”サラダ記念日”に載っている”手紙”を題材にした短歌ですが、こうやって見ると手紙って”ゆったり時間が流れる”感がありますね。手紙を書いて出す、数日して相手に届く、そこから相手が返事を書いて数日後に届く、っていうみたいにやりとりに時間がかかって、待っている間のどきどき感とか、その間の感情のゆれだとか・・・
 ほんの20年ちょっと前のことですが、時間はまったり流れてたんですねぇ。今なら早ければ数分以内に返事がきますので、消印の日の愛じゃなく”現時点の愛”。まあ、情緒がないっていえばそれまでですが、愛を確かめ合うにはいいのかなあ。もっとも、いろいろ思い悩む時間もないので、即ケンカにもなりそうですが。
 電子メールでもどれぐらいで返事がくるかは相手次第。私も高校時代の友人と今でもメールのやりとりをしてますが、返事が来るのが1週間とか1ケ月先なんてのもざら。まあおぢさん世代の時間感覚でいうと、これもありかと。

  「クロッカスが咲きました」という書きだしでふいに手紙を書きたくなりぬ

 今回の表題”「金融庁が来ました」という書きだしで~”のオリジナルがこれ。今ならツイッターなんかでありそうだなあ。クロッカスの花言葉は”あなたを待っています”ですが、待っている間もなくすぐフォローするのがお約束みたいです。
 メールやツイッターとかですぐ返事を返すのは”つながってる感”を確かめたいからっていう話を聞いたことがありますが、せわしない時代ではあります。

 ケータイ小説が文学として認知されてきているように、携帯電話のメールのやりとりなんかが”往復書簡集”なんて形で発表される時代がもうすぐくるんでしょうか? 以前、ツイッターが文学になるんじゃないかというブログを書いたことがありますが(*3)、感性っていうのはメディアの変遷に伴って変わってくる可能性は充分にあります。
 ただ、恋の終わりはこんな風にならないようにね。

  「元気でね」マクドナルドの片隅に最後の手紙を書き上げており

 ”サラダ記念日”は今読んでも充分に面白い短歌集です。おぢさん世代が読んでも気分が青春しちゃいます。メールやツイッターといった”短いコトバ”で気持ちを伝えることが当たりまえの昨今、再注目されても良い本だと思います。

 最後に、木村前会長向けにはこんなのもどうぞ。

  出張先の宿より届く絵葉書を見ておりアリバイ写真のように

《脚注》
(*1)日本振興銀行の木村剛前会長が~
 詳しくは「“木村銀行”の終焉と振興銀を待つ不透明な先行き」(ダイヤモンドオンライン 2010年7月20日配信掲載)でどうぞ。
(*2)金融庁、日本銀行が定期的に検査が入って~
 金融庁(旧大蔵省)の検査を”大蔵検査”、日銀の検査を”日銀考査”と言います。この日程を探り出すのが、かつて銀行のエリートであったMOF担の仕事でした。(MOF=Ministry of Finance,大蔵省)
(*3)ツイッターが文学になるんじゃないか~
 ”ツイッターは種田山頭火の夢を見るか”、”ブログって灰も残らないんだ・・・”の2本。興味のある方はこちらもご一読のほどを。

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