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2010年7月4日 - 2010年7月10日

ハイエンドマシンなんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのです(ジオン軍の失敗/腋芽(わきめ))

 ども、パッケージ拡販担当をやってたおぢさん、たいちろ~です。
 まがりなりにもコンピュータ用のアプリケーション販売ってをやってますが、これには2つの流れというか考え方があります。ひとつは”お客様の仕様(*1)にあわせてカスタマイズを加える”ってやり方と、もうひとつは”お客様の仕様をパッケージに反映させる”というやり方。言い換えると、前者はバリエーションを増やす、後者はバージョンをUPするということになります。
 まあ、一長一短あるんですが、どちらも上手くやらないとコストばっかかかることになります。で、うまくやらなかった事例として参考になりそうなのが、今回ご紹介する”ジオン軍の失敗”であります。

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写真はたいちろ~さんの作成。庭のトマトにできた腋芽です。


【本】ジオン軍の失敗(岡嶋 裕史 アフタヌーン新書)
 ”機動戦士ガンダム”の一年戦争時のジオン公国において、なぜかくも多様なモビルスーツが開発されたのか?(*2)
 プラモを売りたいが為のバリエーションではなく(たぶん)、いろんな種類の機体を作ってしまう技術屋さんの性に政治決着の尻拭いと、製品開発のリアルでもありがちな失敗を描いた本です。
【家庭菜園】腋芽(わきめ)
 トマトなんかを育てると、本枝と支枝の間に第三の枝が出てきます。これを腋芽といって、ちゃんととらないと、ムダな枝ばっかり増えて実が充実しなくなります。家庭菜園の基本ですが、ついついサボりがち(反省しています)


 バリエーションを増やすというやり方は、良く言うと状況に合わせて個別に改良を加えていくことなので、短期的には効果が上がります。上記の例でいうとお客様の固有事情に合わせて変更をするので、その分のお金がもらえれば売上も上がりますし、お客様にとってパッケージより使いやすいものになります。
 ただ、このやり方の問題は、複数のバリエーションが同時に存在するので共通的な仕様変更(法制度対応とか)があると短時間で複数のお客様に対応する必要があるし、ソースコードの管理も大変になるので、長期的には利益を圧迫することになりかねません(*3)。
 ガンダム世界でのこの例が大戦初期の名機”MS-06F ザクⅡ”。当時のTVアニメ版では通常の緑ザクとシャア専用の赤ザク(MS-06S)ぐらいですが、後のOVAを含めるとかなりのバリエーションが存在するとのこと。まあ、ガンダムってオープンソース的なところがあるので(*4)、全てが製作者側の意図ではないんでしょうが、本書では生産ラインの増殖や、開発リソースの分散の問題点を指摘しています。
 実際のビジネス現場から見ても、この指摘は正鵠を得ていると思います。

 じゃあ、バージョンアップ型がいいかというと、長期的にはソースコードが少なくメンテナンスコスト自体は減少するとか、先行のお客様のノウハウが反映されているので使いやすいとかのメリットはありますが、短期的にはお客様の要望に対応しないことになるので、基本性能がそれなりのレベルに達していないと売れないという課題もあります。また、仕様に対するある程度の割りきりがないと、限りなく肥大化するリスクがあるし、旧バージョンのサポート問題もあります。一般のパソコンユーザの方はピンとこないかもしれませんが、ビジネスユースではけっこう古いOSが現役で動いていたりするので、どこまで過去に遡ってサポートするかを見極めないと、こちらも動作保障のためのテスト工数が膨らみかねません(*5)。その辺は割り切りの良い外資系とウェットになんとかしようとする国産系の違いが如実に出たりなんかがでて面白いですが。

  ガンダム世界でのこの例が水陸両用機の最高傑作”MSM-07 ズゴック”。優秀性を評価されながらも、現場の意見を取り入れたための開発遅れとか、高コスト化とか、作者の岡嶋 裕史の採点は辛め。

  だが、やはり技術開発はどこかで見切りをつけなければならない。
  製品というものは、精査すれば常に問題点を内包するものだし、
  改善の余地のあるものである。
  しかし、改善要求にすべて対応していては、いつまでたっても製品は完成しない。
  完成したとしても、あらゆる機能を盛り込んだ使いにくい
  あるいは現実的な値段でないものになる。

              (本書より抜粋)

 つまり意味のないハイエンドなシステムってのは、フラッグシップ的な位置づけはともかく、ビジネスには寄与しないことになりかねません

 誤解の無いように言っときますが、実際に会社の中でものづくりをやっている人は真摯に取り組んでいるんでいて、より良い製品を作ることに情熱をかけています。ただ、腋芽をちゃんと取らないとムダなエネルギーばっかり使って実を結ばないように、適度な剪定をしないと良い結果には結びつきません。これは技術者の問題というよりマネジメントの問題。なので、マネジメントについては開発をしない営業とか、予算責任者を参加させないとまずいんじゃね? と思うのはそんなに間違っちゃいないと思うんですが・・・(*6)。

 ”ジオン軍の失敗”という名前からオタク本かと思われるかもしれませんが、立派な失敗学のビジネス書です。裏表紙の解説に”立てよ! エンジニアよ!”とありますが、ガンダムファンであればエンジニア以外の人にも読んで欲しい本であります。

《脚注》
(*1)仕様
 まあ、コンピュータ業界でこれほど便利な言葉はありません。
 設計フェーズにおいて、どのようなインプットでどのように処理してアウトプットを出すかとかを決めるのを”仕様決め”と言います。すべての仕様を決められれば理想的ですが、なかなかそうはいかないのがプロジェクトの常。そうなると人間は往々に自分の都合の良いように解釈するので出来上がってみて”それはこうじゃない”といった齟齬が発生してしまいます。なので、仕様を最初にいかにきっちり決められるかがリスク回避の最重要課題。
 とはいってもバグを”仕様だ!”と言い切るのは論外ですが・・・
(*2)なぜかくも多様なモビルスーツ開発が開発されたのか?
 とはいえ一点もののマシンがバトルする従来のアニメから見れば、同一機種を複数で運用するとか補給とかいう兵器運用思想を持ち込んだのは画期的ではありました。
(*3)長期的には利益を圧迫することになりかねません
 あえて売上と利益を別けて書いているのは、いったん作ったアプリケーションにも維持するためのメンテナンスコスト(要員の人件費や管理費等)がかかっているので、売上が上がってもそれ以上にコストがかかって利益が上がらないという状況が発生するからです。
(*4)オープンソース的なところがあるので
 簡単に言うと、ソースコードを公開し大勢の人間がアプリケーションを開発して再頒布できるのがオープンソースです。
 今でこそメジャーな設定の”ミノフスキー物理学”ってのも、元々は発行の雑誌”月刊OUT 別冊 ガンダムセンチュリー”(みのり書房)に掲載された解説が後付けで公式設定となったもの。
 同人誌活動のハイエンドといえなくもないですが・・・
(*5)動作保障のためのテスト工数が膨らみかねません
 ビジネスユースのサーバーではデータベースソフトやミドルウェアがからんで来るのでかなり条件が複雑。とりあえず動くけどバグが出ても直せないとかいう状況も発生します。
(*6)開発をしない営業とか、予算責任者を~
 一般論ですが、営業は”この機能だと幾らぐらいで、これぐらいのユーザにしか売れない”という総売上側からものを考えるのに対し、開発者は”この機能を作るにはこのぐらいの費用がかかるので、それを回収できるには幾らぐらいの金額で何ユーザに売る必要がある”的なコストありきの考え方をします。
 なので、マネジネントの人はこの両方から落とし所を考えないと、結果的にとんでもないビジネスプランが出来かねません。

ブログを書く理由? ヒマつぶしですが、何か?(ウェブを炎上させるイタい人たち/ひなげし)

 ども、社内ブログの管理人のおぢさん、たいちろ~です。(これは本当)
 正確にいうと、今年の4月から本部内にブログを立ち上げまして、そのセットアップとコンテンツの作成をいうとのやっています。まあ、本部といっても250人程度のメンバーですが場所としては全国にちらばっておりますので、”メンバの情報共有の場を作る”ということになっております。
 立上げ時に問題になったのは、”フリーにコメントを書き込めるようにしてもいいのか?”ってことですが、まあ”炎上するようなことがあれば、そん時考えよう”ということにいたしました。


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写真はたいちろ~さんの作成。近所の道端に咲くポピーです。

【本】ウェブを炎上させるイタい人たち(中川 淳一郎 宝島社新書)
 ネットに関する本はというのは極端に”楽観的”なものと、”悲観的”なものに分かれる傾向がありますが(*1)、これは後者。でもその理由が個人情報の流出とかバッシングではなく、”ヒマ人のストレスのはけ口にいちいち付き合ってられるか!”という論調はなかなかユニークです。
【花】ヒナゲシ(雛芥子)
 名前のとおりケシ科の一年草です。英名はCorn poppy
 園芸種や自生してるヒナゲシですが、同じケシでも阿片ケシ(アヘンケシ)なんかを植えていると、あへん法違反で罰せられます。


 実際問題として、アドレスもわかっているし、ログも取っている状況で誰がコメントを書いているかなんて調べれば判る状況の中で(*2)、炎上の前提である匿名性がないのにそんなことをわざわざやる人間なんてそうそういやしませんて。それに、書いている人の顔と名前が一致する程度の組織なんだから、電話一本かければすむ話です。

 まあ、これが不特定多数のネットだとこうはいかないんでしょう。で、今回ご紹介するのが”ウェブを炎上させるイタい人たち”であります。
 炎上に関する本ってのも何冊か読んでみなしたが、この本がユニークなのはネットに巣くう人をカテゴライズして、一部の人達がヒマつぶしやっている(*3)というという論を展開している点。

  1)ネット教教祖(社会的に地位のあるネット界のオーソリティ)
  2)ネット教信者(ネットに詳しい普通の人)
  3)一般企業(特に大企業)
  4)普通のネットユーザー
  5)ネットサービス運用会社
  6)ネットに慣れた暇
  7)賢いリア充(リアルな生活が充実した人)ネットユーザー

 で、勝ち組はネットで儲けている”ネットサービス運用会社”とネットを上手く使っている”賢いリア充ネットユーザー”、被害者は”一般企業”(*4)。で、一番こまったちゃんはだれかというと、”ネットに慣れた暇人”。このカテゴリの代表として上げられているのがロストジェネレーション(ロスジェネ)と言われる20~30年代の人達です。就職氷河期だわ、先行逃げ切りの中高年とゆとり世代の間に挟まれているわと、リアル生活にあまり恵まれなかった世代(*5)。
 で、所得が低くヒマをもてあました人達がネットにのめり込んでいくっていうのは、この世代だけではなくてもありそうだな~というのが正直な感想。もちろん、全員ではなく突出した一部でしょうが。
 本書の中に書かれている

  インターネットなんて何もすごくないんだ
  いいか、インターネットよりも女のおっぱいのほうがすごいんだ。

 っていうのは至言。インターネット=バーチャルより、”女のおっぱい=リアル”のほうが重要ってことをここまでわかりやすく表現した言葉ってのはなかなかないですね。
 それにバーチャルですらアクセス数を(単純に)上げたいだけなら、エロネタのほうが効果があります(*6)。
 まあ、アンパンに芥子粒がいくつついているかなんて、あなたが目がテンのディレクターでもない限り(*7)意味がないように、リアルが有意義でなければ、バーチャルでもあまり意味がないのではないかと・・・
 それに芥子粒をいくつ集めても、現実逃避のアヘンにはならないんですから・・・

 まあ、世代論としてひとつだけ反論すれば、おぢさんだって定年してヒマをもてあませば、ロスジェネ化する可能性だって充分あります。なまじ社会的な地位があったとか、頭が固くなっているとか、よけいにタチ悪そうだし

 ”じゃあ、なんでオマエはブログを書いているんだ?”と聞かれそうですが、これは単なるヒマツブシです、はい。

PS.
 "芥子粒をいくつ集めてもアヘンにはならない"は単なるネタです。麻薬には絶対に手をださないように。バーチャル、リアルにかかわらず身の破滅です。

《脚注》
(*1)極端に”楽観的”なものと、”悲観的”なものに~
 最近読んだ楽観論のものとしては”Twitter革命”(神田 敏晶  ソフトバンク新書)。ブログに書きましたので、詳しくはこちらから
 Twitterの可能性を否定はしませんが、ここまで楽観的なのはちょっと・・・
(*2)調べれば判る状況の中で
 こう書くときは大体”めんどくさいから、そんなことやりたくない”という本心が見え隠れします。だから、しょ~もないことするんじゃね~ぞっと!
(*3)一部の人達がヒマつぶしやっている
 本人は”正義”とか”社会貢献”と思っているかもしれませんが、客観的に見てもそうはなっていはいない事例もいっぱいありそう。個人的に考える正義と社会一般での正義(そんなものがあればですが)が一致しないなんてのは事例にこまんないぐらい山ほどあるし。
(*4)被害者は”一般企業”
 大企業の社長が”Twitterやってる”ともてはやされる事例もありますが、これは本人の影響力をうまく行使するすべを知っているということもありますが、それ以前に社長ならだれも文句を言えねいし、いざとなれば弁護士をてんこもりで雇えるという前提があるから。
 上司が縦横斜めにいっぱいいるサラリーマンが同じことをやろうものなら、社内から何が飛んでくるかわかったもんじゃありません。
(*5)リアル生活にあまり恵まれなかった世代
 中川 淳一郎は1973年生まれで、一橋大学商学部卒、博報堂入社と一般論で言えば勝ち組。それでも”ほんの数年前まで、一橋大学という大学名だけで簡単に都市銀行や総合商社に入れた”と言っているんですから、他の人は推して知るべしです。
(*6)エロネタのほうが効果があります
 このブログでは、エロネタは扱っていませんが、一度だけ”モザイクの向こう側”というお題で”アダルトビデオ30年史”というDVDネタを書いたらアクセスの多いこと多いこと。たぶん、内容は期待したものとはでんでん違っていたはずですが・・・
(*7)あなたが目がテンのディレクターでもない限り
 日本テレビの科学番組”所さんの目がテン”で、実際に数えてました。
 ちなみに、平均で1803個だったそうです。

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