« 2010年1月3日 - 2010年1月9日 | トップページ | 2010年1月17日 - 2010年1月23日 »

2010年1月10日 - 2010年1月16日

ハードボイルド探偵って意外にツンデレ属性なのかも・・・(私が殺した少女/スナップドラゴン)

 ども、ハードボイルドなおぢさん、たいちろ~です。
 ”仮面ライダーW”にはまっているせいか(*1)、最近、ハードボイルド探偵小説をちょこちょこ読んでます。で、今回ご紹介するのはチャンドラー(*2)の系譜を継ぐ日本の名作”私が殺した少女”であります。

0468
写真はたいちろ~さんの撮影。
近所のスナップドラゴンです。





【本】私が殺した少女 (原 尞 早川書房)
 日本のハードボイルド作家原尞による”私立探偵沢崎シリーズ”の第2作。
 私立探偵沢崎は、行方不明の家族の捜索依頼を受けるために真壁脩の家を訪ねる。そこで、自分が脩の娘、清香の誘拐事件に巻き込まれたことを知る。
 第102回直木賞を受賞した名作。
【花】スナップドラゴン(snapdragon(*3))
 地中海沿岸部を産地とする花。名前は口をあけた竜の頭に見えるからだそうです。
 花言葉は”推理、仮定”、”でしゃばり、おせっかい”、”大胆不敵”、”清純な心”など。ここまでばらばらな花言葉を持つ花もめずらしいかも。

 さて、主人公の私立探偵”沢崎”ですが、”トラブル・イズ・マイ・ビジネス=やっかいごとは俺の仕事だ”の人です。探偵なのでお仕事ではあるんですが、自分からわざわざトラブルに巻き込まれていくタイプ。しかも、けっこうおせっかい。
 今回の”私が殺した少女”にしても、とっかかりは誘拐犯の一味に仕立てられそうになりますが、その後は第一容疑所扱いにもかかわらず被害者に協力してるし(でも、警察には協力的ではないけど)。事件を解決するために依頼以上のことをしています。

 口では、突き放した言い方をしてるけど、実は子供を思いやるやさしい人でもあります。
 沢崎と訪ねてきた殺された少女の中学生の兄慶彦と、ヤクザの相良の会話

  慶彦:ぼくは、あの日妹を送っていかなかったことを考えると
     じっとしていられなくなるんだ

      (中略)
  沢崎:だから、一緒に探偵ごっこをしようってわけか。
     小林少年になりたかったら、明智探偵事務所に行ってくれ

      (中略)
  沢崎:そこから一歩も入るな! 忙しくて暴力団なんかに会っている暇はない
  相良:これは・・・ おまえの息子か?
  沢崎:いや、今度新しく雇った助手だ

 その後、いったん断っていながら結局、ヤクザの相良の頼みごとをOKしちゃうし。
 ハードボイルド探偵って意外にツンデレ属性なのかも・・・(*4)

 ハードボイルドのハードボイルドたるゆえんは、”自分の生き方、矜持に忠実であること”。そのための苦労や、自分が不利になることをいとわないタフネスさ、ときおり見せる優しさ。これが魅力の原点。
 ”仮面ライダーW”の翔太郎にしても、命がけで敵と戦う強さと(*5)、依頼人(だいたい美人)への思いやりが魅力かと。ただ、亜樹子さんとのどつき漫才がハーフボイルド(半熟)なんだけどね。

 今回の花”スナップドラゴン”、上の写真にあるように名前に似合わずかわいい花です。というのも、この花の和名は”キンギョソウ”。花の見た目が金魚に似ているからだそうですが、同じものを見てもけっこう感じ方が違うものです。
 ハードボイルドはともするとタフネスさだけが語られますが、本当はやさしさのほうが大切だったりします(*6)。キンギョソウのような二面性に似てるのかもしれませんね。

 ”私が殺した少女”は日本におけるハードボイルド小説の傑作です。ぜひご一読のほどを。
 でも、決して腐った目で見ないでください・・・

《脚注》
(*1)”仮面ライダーW”にはまっているせいか
 2009年よりテレビ朝日で放映中の平成仮面ライダーシリーズの11目。
 肉体労働の左 翔太郎と、頭脳労働のフィリップ、つっこみ役の鳴海 亜樹子のトリオ漫才、もとい探偵事務所です。
 ところで、亜樹子さんの関西弁スリッパ、どっかに売ってませんか?
(*2)チャンドラー
 アメリカを代表するハードボイルド作家の一人。
 チャンドラーが生み出した私立探偵”フィリップ・マーロウ”のシリーズを読むと”男のダンディズムはハードボイルドだ!”と思ってしまいます。
(*3)snapdragon
 ”snap”はプツンと切れる、パチンとしまる、パクッとかみつくなど。
       His dog snapped at me.
    彼の犬が私にかみついた
(*4)意外にツンデレ属性なのかも・・・
 ハードボイルドをそんな腐った目で見てはいけません。
 もっとも、沢崎は40代のよれよれのおっさんなので、萌えの対象になると思いませんが・・・
 いやいや、801の人は何でもありだし・・・
(*5)命がけで敵と戦う強さと
 ところで、仮面ライダーWでの探偵の依頼料って、おいくらなんだろう?
 結果的に命がけで戦うことになりますが、1日2万円+必要経費とかではわりに合わんと思うのだが・・・
(*6)本当はやさしさのほうが大切だったりします
  男はタフでなければ生きていけない。
  やさしくなければ生きていく資格がない。
 角川映画”野生の証明”のキャッチコピーより。主演の高倉健さん、渋いです!

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

聖地巡礼、鷲宮神社に行ってきました!(らき☆すた/鷲宮神社)

 ども、決してヲタクではないおぢさん、たいちろ~です。
 年末に自宅に帰りましたところ、今までヤンキーなマンガ(*1)しか読まなかった中学生の長男の本棚になぜか”らき ☆ すた”が!
 何があったか、我が息子よ!
 ということで、今回のお題は聖地巡礼シリーズ(*2)”鷲宮神社に行ってきました”であります。

0298 0303 0308 307












写真はたいちろ~さんの撮影。
左から、アニメで有名になった大酉茶屋、鷲宮神社本殿、奉納されている絵馬です。


【本】らき☆すた (美水 かがみ 角川書店)
【DVD】らき☆すた(平野 綾 他 京都アニメーション)
 オタクな高校生 泉こなた、ツンデレつっこみ役の柊かがみ、癒し系の柊つかさ、歩く萌え要素の高良みゆき。4人の高校生のまったりとした日常生活を描いた4コママンガ。
 京都アニメーションでアニメ化され、泉 こなた役の平野 綾が涼宮ハルヒとは違った味を出してました(といっても、わからん人にはでんでんわからん話題でしょうが・・)
【旅行】鷲宮神社
 埼玉県鷲宮町にある関東最古の神社。「鷲宮催馬楽神楽」は、関東神楽の源流とされ、国の重要無形民俗文化財に指定されてます。
 というより、今では柊姉妹の実家のモデルとしてのほうが(一部では)有名。

 さて、私が訪れたのは2010年1月10日。比較的空いていましたがそれでも参拝には30分ぐらいかかったかな~~。正月3ケ日には42万人が訪れたそうです(*3)。失礼ながら、やや広めといった境内にそんなに人が来たお正月ってどんだけ~~込んでたんでしょうね?!

 境内には、絵馬を奉納するとこがありましたが、絵がほとんど”らき☆すた”のキャラクター。はっきりいって、皆さんお上手でびっくりしました。境内で売っている絵馬に書いてるんで、当日その場で書かれたんでしょうが、そうは思えないクオリティです。中には着色までされてる方もいらっしゃいますが、わざわざ絵の具までもってきたんでしょうか?! その情熱には脱帽です。

 昼食は、参道手前の大酉茶屋で”柊姉妹の双子海老天そば”をいただきました。ネーミング的には”あきらの味噌路うどん(*4)”も捨てがたかったんですが・・・
 やや濃い目の醤油味で海老天2本入り。おいしゅうございました。
 柊姉妹の特別住民票が売っていましたので購入しました(*5)。これは、柊姉妹が神楽を踊っているデザインですが、これは鷲宮催馬楽神楽だと思います。まあ、こういったとこに伝統文化を反映させているのも、けっこういいかもね。

 意外と親切なのが東急鷲宮駅。鷲宮神社までの道案内がでてますが、ちゃんと英語でもコメントが・・ さすがに今やOtakuが世界に通じる日本文化になったと感じさせます。”らき☆すた神輿”なんかも何気に飾ってあって、何人かは熱心に写真をとってました(他人事のように言ってますが、私も撮りましたとも、ええ)
 ただ、解説のパネルによると、担ぎ手の掛け声が”萌え萌え”とのこと。さすがにそこまでついていくのはちょっと・・・

 あと、まじめな注意事項ですが、駐車場はあまり広くないので車で行くのは止めておいたほうがいいかも。当日もけっこう道は混んでました。痛車を見せたい気持ちもわからんではないですが(*6)。

 ということで、わからに人にはまったくわからない話でしょうが、原作があれだしな~~~
 だた、鷲宮町の町興しはキャラクタービジネスと連携したは全国でも成功した事例としてつとに有名なので、この調子で来年もがんばって欲しいものであります。
 ということで、本日の教訓

  この親にして、この子あり

《脚注》
(*1)ヤンキーなマンガ
 高橋 ヒロシの”クローズ”とか。私の趣味ではないのであんまし読んだことありません。
(*2)聖地巡礼シリーズ
 別にシリーズって訳ではないんですが、伊勢の砲台山に行ったりお台場へ1/1ガンダム見に行ったり鎌倉にうさまんを食べに行ったりしてますんで・・・
 わかって頂ける方だけついてきていただければ結構ですし・・・
(*3)正月3ケ日には42万人が~
 産経ニュースによると、2010年の三が日は昨年に比べ12万人増の42万人だったそうです(埼玉県警の発表)。
 ちなみに、2009年度のオタク系ビックイベント”お台場1/1ガンダム”は52日の会期で415万2千人が訪問(ITmdeiaNewsより)。こっちは家族連れが多かったな~~。熱心なのはお父さんっぽかったけど。
(*4)あきらの味噌路うどん
 味噌けんちんうどんです。”三十路岬”のネタを知らなければわからんでしょうけど。
 老夫婦がそろってネーミングのないざるそばを食べておられましたが、さぞ面食らわれたことでしょう。
(*5)柊姉妹の特別住民票が売っていましたので~
 お一人様、3枚まで。実用、保存用、布教用
 鷲宮町が正式に発行する公式書類?です。
(*6)痛車を見せたい気持ちもわからんではないですが
 キャラクターのステッカー等を貼った車のこと。当日もらき☆すたのほかに、初音ミクバージョンも見かけました。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

ドバイって、どこバイ?(政府系ファンド/クロガネモチ)

 ども、オイルショック世代の生き残り(*1)のたいちろ~です。
 経済では時として、”XXショック”という言葉が使われます。上記のオイルショックを始め、ニクソン・ショック、リーマン・ショックなど(*2)。で、2009年のフィナーレを飾ったのが、2009年11月25日の”ドバイ・ショック”です。
 で、”ドバイって、どこバイ?(*3)”とくだらんシャレを言いつつ、今回のお題は”政府系ファンド”のお話であります。

0292


写真はたいちろ~さんの撮影。
近所のクロガネモチです。




【本】政府系ファンド (小原 篤次 日本経済新聞出版社)
 意外と知られていない”政府系=国営”のファンドを扱った本。サブタイトルは”巨大マネーの真実”。
 初版発行が2009年2月とドバイ・ショックの半年前とびみょ~な時期です。
【花】クロガネモチ
 モチノキ科の常緑高木。秋には”黒”なのに赤い実をつけます。縁起の良い木として庭木にも使われているとのことなので”黒金持ち”かと思ってましたが、漢字では”黒鉄黐”(黐はとりもちのこと)。
 英語では”Round Leaf Holly”で聖なる木かと思いましたが”Holly”はモチノキの意味で”聖なる”は”Holy”。こちらも勘違いでした。

 さて、”ドバイ・ショック”ですが、”アラブ首長国連邦のドバイ政府が、政府系持株会社ドバイ・ワールドの債務返済繰り延べを要請すると発表したことに端を発し、世界的に株式相場が急落した現象”です(Wikipediaより)。このせいか、世界一の高層ビル”ブルジュ・ドバイ”の名前が急遽”ブルジュ・ハリファ”に変わったりとかもありましたが、にわかに脚光を浴びたのが”政府系XX”。上記のドバイ・ワールドはアラブ首長国連邦の政府系持株会社ですし、資金の出し手として”アブダビ投資庁”なんてのも出てきました。
 ”投資庁”というと、日本ではあまりなじみのない言葉ですが、これが典型的な政府系ファンド(Sovereign Wealth Fund(*4)、略称SWF)であります。
 ”政府系ファンド”の本によると、上記のアブダビ投資庁(Abu Dhabi Investment Authority、ADIA)はアラブ首長国連邦の政府系ファンドで世界最大の8750億ドル(2008年10月現在)の資産運用残高を持っています。
 アラブのファンドというと”王族のおサイフか?”と思われるかもしれませんが、これは勘違い(たぶん)。将来、枯渇するであろう石油資源(*5)とそれに伴う収入減を見越して、現在のオイルダラーを蓄財しておいて金融立国を目指すというもの。”ふ○さ○創生基金”とかいって好景気でバラマキをやるよりよっぽどまともな発想です。

 で、なぜ日本であまり知られていないかというと、ひとつ目には主要な政府系ファンドが石油産出国(アラブ首長国連邦、サウジ、クェートなど)が多いこと(*6)。産油国に限らず基本的には余剰資金を確保できることが前提条件になってるようです。
 二つ目には巨大資金にもかかわらず、公開義務のないこと。実際に見てみるとけっこう国際企業や新興国にも出資をしています。メリルリンチ、バークレーズ、クレディ・スイス、シティグループといったそうそうたる金融機関グループの資金の出し手になってますし、身近なところだとヤフードームや恵比寿のウェスティンホテル東京の買収をシンガポール政府投資公社(GIC)がやったりなんかしています。
 三つ目には、日本に政府系ファンドがないこと。まあ、外貨準備(1兆ドル)とか、年金積立金(141億円 約1.4兆ドル)とか、原資がないわけじゃないんですが(金額は本書より)、いろいろ問題があって実現は難しそう。まあ、お役所仕事とは根本的に性格が違うんでしょうが、かといって、賃金の高いファンドマネージャーを国家公務員の給与体系で雇えるとも思えんし・・・ クロガネモチの木が赤い実をつけるのは鳥を呼ぶためだそうですが、果実も与えんでは鳥すら集まらんでしょう

 ただ、上記の運用資金200兆円の運用成績を1%上げると、消費税1%アップに相当するんだそうで、リスク覚悟でやってみる手はありかも

 ”政府系ファンド”は専門書とまでは言いませんが、それなりに経済知識は必要。でも、これからの国際社会を理解するには必要な本だと思いました。

《脚注》
(*1)オイルショック世代の生き残り
 1973年の第四次中東戦争により3ケ月で原油公示価格が1バレル3.01ドルから11.65ドルまで急騰(上昇率387%)。当時はトイレットペーパーが一斉いっせいに店から消えました。信じられないかもしれませんが、今でも新型インフルエンザでマスクが一斉になくなったりしているので、人間のやることはたいして変わってません。
(*2)ニクソン・ショック、リーマン・ショック
 ニクソン・ショック(別名ドル・ショック)は、1971年にアメリカ大統領リチャド・ニクソンが発表したドルと金との交換停止のこと。これにより変動為替相場制が始まりました。
 リーマン・ショックは2008年にリーマン・ブラザーズがリーマン・ブラザーズが破綻し、世界的な金融危機のトリガーとなったこと。
(*3)ドバイって、どこバイ?
 ドバイはアラブ首長国連邦の首長国のひとつで、ドバイ首長国の首都の名前でもあります。アラビア半島のペルシア湾の沿岸に位置しています。
(*4)Sovereign Wealth Fund(ソブリン ウエルス ファンド)
 ソブリンは”君主、統治者”、ウェルスは”富”なので、国家財産を扱うファンドといった意味。
 投資信託等で”ソブリン”というと政府機関が発行する債券(日本だと国債とか)の総称で、”グローバル・ソブリン”といえば、世界主要先進国のソブリン債券に分散投資するもの。ソブリン債権は一般的には、その国の最高位の格付けが付与されます。だからといって安心とは限りませんが・・・
(*5)将来、枯渇するであろう石油資源
 アラブ首長国連邦の石油の可採年数は91.9年、クウェートで105.9年(本書より)。まさに”国家百年の計”であります。
(*6)石油産出国が多いこと
 中国、シンガポーリ、ノルウェイなんかもやっていますけど。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

10億年の引きこもり(都市と星/松ぼっくり)

 ども、風邪をひいて引きこもりのたいちろ~です。
 先日、ニュービジネスと愚者のブログを書いていて(*1)、そういえば、過去の記憶を持たない人と道化師が出てくるSFがあったな~と考えてたら、やっと思い出しました。
 ということで、今回ご紹介するのは、巨匠アーサー・C・クラークの”都市と星”であります。

0269
写真はたいちろ~さんの撮影。
近所の松ぼっくりです。






【本】都市と星 (アーサー・C・クラーク ハヤカワ文庫)
 遙か未来、銀河帝国は崩壊し、侵略者の脅威におびえた人類は地球に密閉された永遠の都市”ダイアスパー”を建築する。そして、10億年。都市の外への通路すら塞がれた中、ただひとりアルヴィンだけは、都市の外の世界に憧れていた・・・
 クラークの古典的SFの傑作。09年に新訳版で出版されました。
【花】松ぼっくり
 松は日本を代表する常緑樹。日本では長寿を表す縁起のよい木ですが、花言葉も”不老長寿”。こちらは、大地の女神レアの神話に由来するようです(*2)。
 松の果実が松ぼっくり(松笠)で、種子は松ぼっくりの中にできますが、内部に閉じこもっているので外からは見えません。

 少し解説しますと、”ダイアスパー”という都市は、侵略者と戦うための第3新東京市(*3)。ではなく、むしろシェルターという性格を持っています。で、すべてのデータはコンピュータの中に記録されていて、人類は1000年ぐらい生きるとコンピュータのメモリバンクの中に保存され(厳密には死ではない)、また、過去の記憶を持ったまま再生されます。
 街自身もコンピュータメモリ上にある形でほぼ維持されており、また都市の外に出る通路は封鎖されていて、マインドコントロールにより人々は外に出ることに恐怖を感じていとので、人が外に出ることはありません。つまり”街ごと引きこもり”状態なんですね。これが10億年続いています。

 主人公の”アルヴィン”はこの都市の中で唯一、過去の記憶を持たずに生まれてきた人。また、外界に出たいと願う存在として描かれています。そりゃ、不安でしょうね、ほかの人が何回も経験した人生の記憶を持っているのに、自分だけがないってのは。
 で、アルヴィンを外界に導くのが道化師(*4)の”ケドロン”。コンピュータに自由にアクセスできる万能の人ですが、その位置づけは”王”ではなく”いたずら者”。いわゆるかく乱因子です。
 ファウストとメフィストフェレス(*5)の関係に似ているかな?

 ”都市と星”というのは、10億年の悠久の時間を引きこもっていた人類がアルヴィンによって、外に向かって歩き出すという話なんですが、なんせ10億年だもんな~~
 ダイアスパーという都市は自己完結型の生活環境としては理想的に設定されていますが、人類自体は完全な内向き志向。コンピューターによる完全管理の世界というと、映画の”マトリックス(*6)”なんかが思い出されますが、むしろ萩尾望都版の”百億の昼と千億の夜”(*7)が近いかも。

 ”閉じこもっている世界から外に出る”というのはある意味で創造的な破壊が必要なのかね? アメリカのヨセミテ国立公園などに生えているコントルタマツってのは、火事になると松ぼっくりが開いて種が飛び出すそうですが、なんでそんな進化をしたんだろ? ここまでいくと近所迷惑でしょうけど。そういえば、自然災害がトリガーで宇宙に子孫を送り出すってSFもあったような・・(*8)

 で、最後にダイアスパー建設に至る人類の隠された歴史が明らかになるんですが、ネタバレになるのでナイショ。ただ、ここまで壮大なホラ話を考え付くクラークってやっぱりすごいな~~~の一言です。

 どんなに、暮らしやすい環境でもやっぱり引きこもりって限界あるし。
 何があるかわかんないけど、外に出ないと身体を使った新しい体験て出来ないでしょう。
 ということで、芦ノ湖にでも行ってみましょうか?

《脚注》
(*1)ニュービジネスと愚者のブログを書いていて
 ”新しいビシネスは愚者にしかできないのかも”のテーマで”異業種競争戦略”の紹介を書きました。ご興味のある方はこちらをどうぞ。
(*2)大地の女神レアの神話に由来するようです
 ”心を込めて花言葉”のHPに由来が載ってます。ご興味のある方はどうぞ。
(*3)第3新東京市
 ”エヴァンゲリオン”に登場する「使徒迎撃専用要塞都市」。設定では箱根芦ノ湖の近くにあります。
 財団法人箱根町観光協会が”第3新東京市マップ”をマジで作っています。ご興味のある方は”Gigazin”のHPに載ってますので、どうぞ。
(*4)道化師
 中世のヨーロッパの宮廷道化師はお笑い芸人であるとともに、君主に対して無礼なことでも好きに言える唯一の存在だったそうです(再ブレイクした有吉?)。ケロドンはこの系譜を受け継ぐ存在かと。
(*5)ファウストとメフィストフェレス
 ゲーテの戯曲”ファウスト”に登場する人物。
 知識欲のかたまりであるファウスト博士と、彼を導く悪魔メフィストフェレスにより新たな人生を経験する物語。昔読んだんですが・・・
(*6)マトリックス(THE MATRIX)
 1999年に公開されたSF映画シリーズ。監督はウォシャウスキー兄弟。
 ちなみに”Matrix”は子宮という意味なんだそうです。知らなんだ・・
(*7)萩尾望都版の”百億の昼と千億の夜”
 原作は光瀬龍のSF小説。主人公は阿修羅王、シッタータ(釈迦)、プラトン。
 この中にコンピュータのメモリバンクの中で人類が眠り続ける”ゼン・ゼンシティ”というのが出てきます。1977年とマトリックスよりも20年以上前の作品ですが、ビジュアル的な美しさ、物語の壮大さはこちらのほうが優れていると思います。
 阿修羅ブームなので、ぜひ再注目して欲しい作品。
(*8)自然災害がトリガーで宇宙に子孫を送り出す~
 星野宣之だったような・・ 探してみます。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

« 2010年1月3日 - 2010年1月9日 | トップページ | 2010年1月17日 - 2010年1月23日 »

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ