« 2010年4月11日 - 2010年4月17日 | トップページ | 2010年4月25日 - 2010年5月1日 »

2010年4月18日 - 2010年4月24日

結果が悪ければ、それまで天使が味方をしても結果は変わらないない(「世界大不況」は誰が引き起こしたか/千両)

 ども、今年から三重生活でお金がないあるおぢさん、たいちろ~です。
 娘が大学で下宿生活を始めました。行きたい大学があるというので”え~よ~”と言ったものの、実際に始まってみるとやっぱりお金がかかります。こうなってくると宝くじでも当たんないかとか、どっかに千両箱(*1)が落っこちていないかと考えてしまいます。
 ということで、今回ご紹介するはお金持ちの人たちの栄光と挫折”「世界大不況」は誰が引き起こしたか”であります。

0358

 左の写真はたいちろ~さんの撮影。園芸店にあった”千両”です

【本】「世界大不況」は誰が引き起こしたか(ジョン・カシディー、講談社)
 サブタイトルは”米国「金融エリート」の失敗”。”ニューヨーカー”に発表されたニーダホッファ、オニール、バーナンキの3人の人物像をまとめたもの。
 サブプライム問題からリーマンショック後の現在に至る世界大不況期の中心にいたエリートたちの行動を描いたノンフィクション。
【花】千両(センリョウ)
 センリョウ科の常緑小低木。冬に赤い果実をつけ美しいのと、名前がめでたいの正月の縁起物になります。お正月前後になると、万両とともに園芸店ではよく見かけます。
 花言葉は”可憐、恵まれた才能、富貴、裕福、利益”など。

 この本に登場する3人のプロフィールは、

〔ビクター・ニーダフォッファ〕
 ジョージ・ソロス(*2)のファンドにも参加した、世界一のトレーダー
 (サブタイトル”投資アーティストの失墜”。2007年10月15日号)
〔E・スタンレー・オニール〕
 メリルリンチの前会長兼CIO。
 (サブタイトル”サブプライム危機の容疑者”。2008年 3月31日号)
〔ベン・バーナンキ〕
 第14代Fed(*3)の議長(~2006年2月)
 (サブタイトル”金融メルトダウンの解剖”。2008年12月 1日号)
     ※年度は”ニューヨーカー”の掲載号

 ”「世界大不況」は誰が引き起こしたか”というフーダニット(Whodunit 犯人は誰か)のような表題ですが、内容は発生した事象に対し、どのように考え、どのように行動したかといういたってクールな内容。それに現在のような国際的に密接に連携している時代では”特定個人を犯人扱いする”ような簡単な構図ではないことがよくわかります。

 「世界大不況」のトリガーとなったサブプライムローンですが、本来は不動産担保証券(*4)のバリエーションで、
 ・銀行は住宅ローンの返済リスクを投資家に転化できる
 ・証券の販売手数料が入る
 ・投資家は購入した債権から利益を得られる
 ・サブプライム(信用度の低い人)も住宅が購入できる
と、利用方法さえ間違えなければ、それ自体が悪の権化のようなもんではありません。ところが、どっかでこの運用を間違える人たちがでちゃうんですね。
 メリルリンチのオニール会長の場合もこれ。オニール自身は、会社を筋肉体質に変え、数々の会社を買収するなど積極的な経営姿勢で、飛躍的に増大させた人。オニールに対する1億6200万ドルの退職金はこの功績に対するもので、住宅ローン関連でメリルが80億ドルの赤字を出した直後でなければ、ここまで問題視されなかったかもしれません。やっかみはあるけど・・・

 で、何が問題だったかというと、全体のコントロールとリスク管理が”結果的に”上手くいかなかったこと。優秀なトレーダーがいなくなったとか、報告がちゃんと上がっていなかったとか、片方で証券化を進めながら、もう片方で証券をいっぱい買っていたとかのちぐはぐがあったりとか。でも、オニール一人が方向性を間違えたとは言いにくいでしょうね。なんせ、みんなやっていたんだから。

 その後に、”結果的に”尻拭いをさせられることになったのが、Fedのバーナンキ議長。「金融の神様」といわれたアラン・グリーンスパン議長(*5)の後釜といい、金融緩和政策の残したサブプライム問題の影響をもろかぶりした間の悪さといい、ある意味めぐり合わせの悪い人。
 初期におけるサブプライム問題への危機感の薄さとか(*6)、AIGとリーマンへの対応がちぐはぐとかいろいろ非難を浴びてはいますが、その後の積極的な関与でそれなりに安定方向に持っていっています。

 三者三様に栄枯盛衰、毀誉褒貶はありますが、共通するのは”結果”に対する責任はあること。企業トップの給料には結果責任が入ってるから、あんだけ高いお金をもらえるんだと思いたいです。
 印象的なのが本書で最後に引用されているリンカーンの言葉

  私は知る限り、できる限りの最善を尽くし
  それを最後の最後までやり続けるつもりだ
  結果が良ければ、私への非難は何の意味も持たない
  また、結果が悪ければ、
  たとえそれまで10人の天使が私に味方してくれていたとしても
  その結果は変わらない

 赤い鳥が赤いのは、赤い実を食べたからですが、赤くてきれいだといっても、ヒヨドリジョウゴやスズラン、ソテツのように毒をもっているものもあります。成長の糧となるか死んじゃうかは知識や経験、そして”食べるかどうか”の決断の結果。でも、できればその決断の結果を税金に押し付けないでいただきたいのもです。

《脚注》
(*1)千両箱
 実際の千両箱は約20Kgもあるので(慶長小判(1枚約18g)×1,000枚+箱の重量)、ひょいひょい拾って持って帰れるシロモノではなさそうです。
 ちなみに、千両を現在の貨幣価値に引きなおすと、米価ベースで江戸初期で1億円、中~後期で3~5千万円、幕末頃には3~4百万円程度とのこと(日本銀行金融研究所貨幣博物館のhpより)
(*2)ジョージ・ソロス
 ”ヘッジファンドの帝王”の異名を持つ、ソロス・ファンド・マネージメントの会長。世界有数のお金持ちの一人。
(*3)Fed
 アメリカの連邦準備制度(Federal Reserve System, FRS)のこと。市中銀行の監督と規制、金融政策の実施、支払制度の維持、財務省証券の売買と、日本でいう日本銀行に相当する機関です。
(*4)不動産担保証券(MBS、Mortgage-backed securities)
 簡単いうと、不動産から上がってくるお金(住宅ローンの返済金とか、商業施設の利益とか)を返済の原資に当てる証券化商品。一般的には住宅ローンの返済は家計の中の優先順位が高いのでまず間違いなく支払われるだろうという前提に立っていますが、これとて本当にお金がなくなれば踏み倒すヤツは出てきます。
(*5)アラン・グリーンスパン議長
 第13代連邦準備制度理事会議長。1990年代の米国経済の黄金時代を築いた立役者の一人。神様扱いですが、金融緩和政策が世界金融危機の原因であったとの意見から、最近はちょっと旗色が悪いです。
(*6)初期におけるサブプライム問題への危機感の薄さとか
 確か日本のマスコミも銀行も同じことを言っていたような気が・・・
 この手の話は後知恵であればなんとでも言えます。

みなみは野球部を甲子園に連れて行きます!(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら/サルビア)

 ども、会社では”いちおう”マネージャーの立場にあるおぢさん、たいちろ~です。
 会社では部課長クラスのことを”幹部社員(*1)”と呼んでいます。”幹部社員研修”というのもありまして、若い課長さんですと40歳前後の人も出席しますが、この人たちの悩みのトップは”年長の部下にいかにやる気を出させるか”。
 ”マネジメントとは”みたいなディスカッションもあるんで、参考になりそうな本として今回ご紹介するのが”もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら”であります。

0275

 左の写真はたいちろ~さんの撮影。清水公園のサルビア(サルビア・レウカンサ、メキシカンブッシュセージ)です

【本】もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(岩崎 夏海 ダイヤモンド社)
 高校野球の女子マネージャーのみなみちゃんは、マネージャーの仕事のために、間違ってドラッカーの『マネジメント』を買いました。で、野球部のマネジメントにこれを活かせることに気づいて、実際に活動し始めます。
 萌え絵の表紙と、青春小説っぽいストーリーでライトノベルの系統のように思われますが、中身は結構まじめなビジネス書
【花】サルビア
 シソ科サルビア属の多年草。ハーブの”セージ”の仲間です。言われてみると確かに似ていますね。赤や青などの小さい花が集まって咲きますが、上の写真はちょっと珍しい紫色。花言葉は”燃える思い、恋の情熱、知恵”など。
 おぢさん世代ではもとまろの”サルビアの花”(*2)のイメージがあるので、失恋とかだと思ってました。

 

 ”タッチ”っぽいお題ですが(*3)、ストーリーは友人のマネージャーの想いを実現するために、弱小野球部のマネージャーになったみなみちゃんの活躍がメインなので、あながちはずれちゃいません。著者の岩崎夏海はプロフィールによると1968年生まれなんで、子供のころ”タッチ”を見てた世代のはず。”AKB48(*4)”のプロデュースなんかも携わっているようなので、その分野は詳しい方なんでしょう。

 こう書くとオタク系かと思われるかもしれませんが、内容自体はドラッカーの『マネジメント』による組織マネジメントを志向したいたって真面目なモノ。”これで印税貰ってていいのか?(*5)”と思うぐらい、ドラッカーの『マネジメント』からの引用が出てきます。章立てとしては

 ・みなみな『マネジメント』と出会った
 ・みなみは野球部のマネジメントに取り組んだ
 ・みなみはマーケティングに取り組んだ
 ・みなみは専門家の通訳になろうとした
 ・みなみは人の強みを生かそうとした
 ・みなみはイノベーションに取り組んだ
 ・みなみは人事の問題に取り組んだ
 ・まなみは真摯さとは何かと考えた

など。

 例えば”野球部の定義”。普通だと”自分たちが野球をやりたいための組織”だと考えてしまいがちですが、みなみちゃんは”顧客に感動を与えるための組織”と定義しています。ここでいう顧客とは観客や野球部を支えてくれる人たちのこと。こういった発想の転換はプロ野球チームのライバルが他の球団ではなく、Jリーグや携帯電話、インターネットであるというTVの視聴率低迷の議論に通じるところがあります。

 実際のところ、ドラッカーの名前を知っていても、真面目に『マネジメント』を読み込んでいる人ってそんなに多くはないんじゃないかと。私もそうですが・・・
 でも、本書も『マネジメント』もけっこう売れてるんですね、今。Aamazon.comで、『もし高校野球の女子マネージャーが~』が6位、『マネジメント(エッセンシャル版)』が7位(2010年4月19日現在)。『マネジメント』は2001年12月発刊とそんなに新しい本ではないから、やはりこの本の影響でまた売れ出しているんでしょうね。まあ、こういったきっかけでもドラッカーが売れ出すのは良いことだと思います。

 本書でもドラッカーを引用して

  専門家は専門用語を使いがちである
  専門用語なしでは話せない。
  ところが、彼らは理解してもらってこそ初めて有効な存在となる

 と言っています。そういう意味では、小難しい理屈を難解な用語で並べ立てるより、こういった判りやすいストーリーじたてにするのも有効ではないかと。

 サルビアは”燃える思い”とうモチベーションっぽい花言葉なので、今回ご紹介に使いましたが、サルビアってそれぞれの花は小さいんですが、たくさん集まって華麗な印象の花になります。組織も同じでたくさんの人が集まってこそ成果が出せるんではないかと、なんてことを、『マネジメント』らしく考えてしまうのであります。

 『もし高校野球の女子マネージャーが~』が売れたのは、表紙の絵とか、女子高生とドラッカーというギャップが受けたんではないかと。そういう意味では”もえたん(*6)”に通じる企画の勝利でしょう。でも、『マネジメント』のほうも読んでみたいと思わせるビジネス書のお勧めであります。

《脚注》
(*1)幹部社員
 まあ言葉から受ける印象と、実態ってのはまあずれてるんでしょうね。最近の、マクドナルドの”支店長=管理監督者”かどうかを争った裁判なんかが思い浮かびます。2009年3月に、この裁判では提訴した支店長とマクドナルドの間で和解(管理監督者にあたらないので残業代を支払う)が成立しました。
(*2)もとまろの”サルビアの花”
 第3回 ポピュラーソングコンテスト(1971年)の入賞曲。自分の愛した女性が花嫁となってほかの男性に嫁いでいく時の歌。結婚式では絶対歌えない曲です。 
 名曲ですので、聞いてみてください(YouTubeでどうぞ)
(*3)”タッチ”っぽいお題ですが
 あだち充の”タッチ”で上杉和也&達也が朝倉南を甲子園に連れて行くというお約束から。スポ根ものの野球マンガを一気にラブコメにシフトさせた名作です。
(*4)AKB48
 秋元康プロデュースによるアキバ系アイドルユニットらしいですが、おぢさんには誰が誰だかでんでん判りません。
(*5)これで印税貰ってていいのか?
 印税の10%はドラッカー関連団体に寄附されるそうです。
(*6)もえたん(三才ブックス)
 萌え絵満載に、主人公が魔法少女に、英文例がオタクテイスト全開という驚愕の英単語集”萌える英単語”のこと。受験用の参考書ながらベストセラーになりました。最初に出たのが2003年なので、今の新人会社員世代が利用していたはずですです。使ったかどうか聞いてみましょう。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

« 2010年4月11日 - 2010年4月17日 | トップページ | 2010年4月25日 - 2010年5月1日 »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ