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2010年12月

世界の破滅の預言者と、鋼の錬金相場師の物語(世紀の空売り/ニュートンのリンゴ)

 ども、相変わらず金儲けに縁のないおぢさん、たいちろ~です。
 さて、売り上げノルマをてんこ盛りに先送りにしつつ、2010年も終わろうとしています。
 世界規模の不景気のトリガーとなったリーマン・ショックからはや2年、新興国の経済成長とかもあり、11年はもうちょっと景気が回復してくれるでしょうか。  ただ、どんな時でも金儲けをする御仁はいるもので、今回ご紹介するのはあの大混乱の中で大金をつかんだ男達の物語”世紀の空売り”であります。

Photo

写真は”小石川・後楽園・本郷・散歩ガイド”より。
小石川植物園のニュートンのリンゴです。


【本】世紀の空売り(マイケル・ルイス 文藝春秋)
 2000年代半ば、サブプライムローンと呼ばれる優良客よりも下位の層へのローンが活況を呈していた。ゴールドマン・サックスやリーマン・ブラザーズといった超優良・巨大金融機関がこぞって大量の投資を行っていた・・・
 副題の”世界経済の破綻に賭けた男たち”とあるのように、このローンが遠からず破綻することを見越して賭けをした人々の物語。
【花】ニュートンのリンゴ
 アイザック・ニュートンの”木から落ちるリンゴを見て万有引力の法則に気づいた”という逸話に出てくるリンゴの木。最初の木は枯れてしまってるそうですが、接木をして増やしたのは今も栽培されています。


 投資信託にしろ、先物取引にしろ、デリバティブにしろ、金融商品を買う・売るというのは、不確実な未来を予測してお金を投資するという点では本質的に”ギャンブル”です(*1)。なので、ルーレットの赤に賭けるか黒に賭けるかが等価なように、相場が上がる方に賭けるか、下がる方に賭けるかはその人の相場の予想次第、どっちが良いか悪いかという問題ではありません。
 ありませんが、大体”悪いことが起こる”という預言(*2)は嫌われるモンです。株が上がるか下がるかぐらいならまあ損得の世界ですが、アメリカ経済が破綻の瀬戸際まで追い込まれるほうに賭けるのはなかなか勇気のいること。ましてや、格付け機関がトリプルA(*3)をつけたサブプライムローンがデフォルトすると言い切るのは至難の業です。

 でも、”世紀の空売り”を読んでみると、サブプライムローンの中身がいかにぐしょぐしょというか、だれも分かっていなかったかということがよく分かります。
 1990年代の日本のバブルではリスクが金融機関に集中していたんですが、逆にいうと金融機関さえなんとかすれば対応が取れた。ところがサブプライムローンではどこの何がヤバイかすらよく分からない状態になっちゃってるんですね(*4)。

 で、このからくりをいち早く見抜いたのは、アスペルガー症候群(*5)を患う隻眼孤高の個人投資家マイケル・バリーであり、フロントポイント・パートナーズのスティーブ・アイズマンであり、コーンウォール・キャピタルのジェイミーとチャーリーであるわけです。

 先見の明のあった人達ですが、どこか迫害されているにおいがしてます。
 マイケル・バリーの場合だと、彼のサイオン・キャピタルに投資した人達は489.34%の利回り(同時期のS&P500種株価指数の利回りは2%強程度)を受け取ったにもかかわらず、

  まるで、常に正論を述べてきたことで、墓穴を掘ってしまったかのように、
  バリーの存在は多くの人間に気まずい思いを味わわせていた。

   (中略)
  何が起こったかといえば、バリーが正しく、世界が間違っていて
  それゆえに世界がバリーを憎んだということだ。
(本書より抜粋)

 じゃあ、世界が破綻しない方に賭けた投資銀行などの人たちがどうだったかというと、アイズマンの評価は、

  投資銀行業界は、もうだめだ。
  中にいる連中も、今ようやく、自分たちがどれぐらいだめか、わかりかけてきた。
  ニュートン以前の学者みたいなもんだよ。
  ニュートンが登場して、ある朝目覚めたら、
  『あちゃあ、おれは間違っている!』ということになる

 余談ですが、ニュートンは”近代物理学の祖”という評価のほかに、”最後の錬金術師”とも呼ばれています。錬金術ってのは金意外の金属から金を作り出す技術のことですが、ニュートンもこれをやってました。
 サブプライムローンを進めた人達は、トリプルBの債権をトリプルAにするとこなんか、現代の錬金術師とも言えます。ニュートンの場合は近代科学に役立つ研究を残したんですが、こっちの場合は鋼(鉄面皮)の錬金術師といったとこでしょうか・・・

 ”世紀の空売り”はビジネス書というより、秀逸な”ピカレスクロマン(*7)”を読んでいるような感じです。面白い本ですので、ご一読のほどを。

《脚注》
(*1)不確実な未来を予測してお金を投資するという点では
 ”普通預金や定期預金は違う”との反論があるかもしれませんが、日本振興銀行が経営破綻して初めてペイオフ(預金保護)が発動して1000万円以上の場合とはいえ戻ってこないことが実際に発生しました。決済用預金は全額保護になっていますが、これは”ありうべき将来利益を放棄しているのでハナから”負け”の勝負です。
(*2)預言
 正確な意味は”予言”は”未来の物事を予測して言うこと”であり、”預言”は”神の意志の解釈と予告、それを語ること”です(デジタル大辞泉より抜粋)。つまり、預言の内容の責任は本来は神様に帰するはずですが、神様をフルボッコにするわけにはいかないので、それを喋った人間を迫害することになります。
(*3)トリプルA
 格付け機関のつける最上位のランク。モノによって違うのでごっちゃにすると危険です。分かりやすい例だと、スタンダード&プアーズの金融機関格付けの場合、トリプルAランクが5年以内にデフォルトする率は0.1%、後で出てくるトリプルBだと3.0%になります(詳しくは”スタンダード&プアーズ 金融機関格付けの概要 2005年”をご参照ください)
(*4)どこの何がヤバイかすら~
 CDS(クレジット・デフォルト・スワップ Credit default swap)というのが使われてるんですか、これは銀行に集中していたリスクを投資家に転移することによってリスクを広く分散する手法のこと。CDS自体は合理的な手法ではあるんですが、運用する人がねぇ・・
 詳しくは”愚者の黄金”をご参照ください。
(*5)アスペルガー症候群
 同時代の友人関係が築けない、楽しみや興味を他人と分かち合う自発性に欠ける、情動の調節や制御機能が不完全、コンピュータが理想的な興味の対象など(本書より)
 Wikipedliaだと「知的障害がない自閉症」。
 まあ、デイトレーダーには向く資質なのかもしれませんが。
(*6)489.34%の利回り
 同時期のS&P500種株価指数の利回りは2%を僅かに超える程度だったそうです。
(*7)ピカレスクロマン
 悪漢小説。主人公の悪者が巨悪に立ち向かうといった内容です。経済分野では、”白昼の死角(高木彬光 光文社文庫)なんか読んだなぁ。
 最近あまり聞かないジャンルですが、これは世の中に悪モノしかいないから?!

仲間の誰かが行方不明になって、そのままほっとくようなハルヒじゃない(涼宮ハルヒの消失/甲南病院)

 ども、クリスマスに一人で”涼宮ハルヒの消失”を見てたおぢさん、たいちろ~です。
 やっと出ましたDVD! ということでT○T○AYAに借りに行きました。クリスマス・イブも、土曜のクリスマスも、な~んも華がなく、単身赴任寮で一人ハルヒを見てる人生ってどうなのよ?!というご意見もあろうかと思いますが、しょうがないじゃん、そういう人生を選んじゃったんだから・・・

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写真は”近代建築Watch”のHPより。甲南病院です。近影はこちらのHPでどうぞ。


【DVD】涼宮ハルヒの消失
     (平野綾、杉田智和、茅原実里 総監督:石原立也、京都アニメーション)
 クリスマス真近なある日、登校したキョンは驚くべき現実に直面する。いるはずの涼宮ハルヒや古泉一樹がいない、いないはずの朝倉涼子がいる。朝比奈みくるは他人になっており、長門有希は恥ずかしがり屋の文芸部員になっていた・・・
 キョンは失われた”現実”を取り戻すために動き出す。
 大ヒットしたライトノベル&アニメ”涼宮ハルヒの憂鬱”の映画版。2010年公開。
【旅行】甲南病院
 1934年(*1)に設立された神戸市にある総合病院。
 六甲山の山の手(神戸市東灘区鴨子ヶ原)に建っているため、最寄駅は阪急御影駅ですが、かなりの急坂ですのでバスかタクシーを使ったほうが無難です。
 ”近代建築Watch”のHPによると戦前の建物ということで、なかなかに風格のある建築物です。
 あくまで、普通の病院ですので、聖地巡礼とかでお医者さんや患者の方にご迷惑をおかけしないように


 ”涼宮ハルヒの消失”は、SFのジャンルでいうとパラレルワールドモノであり、タイムトラベルモノであり、狂った人工知能モノなんでしょうが、印象でいうと長門有希の”初恋の物語”かなあ。袖をつまんで引っ張る長門有希とか、やおびえる顔で「やめて」ってつぶやく長門有希とか、キョンとの初めての出会いを告白する長門有希とかを見ることができるとはねぇ。ちょっとメガネを上げる顔もかわういし。
 それにこの世界の長門有希はかなりのSFオタクらしく、ハイペリオン(*2)はともかく、机の上には早川の”世界SF全集”(*3)が山積みに。裏表紙だけ見て”世界SF全集”ってわかるおぢさんがライトノベル好きってのはどうなのよ? って気もしますが。

 ”涼宮ハルヒの消失”の見どころはやはり甲南病院でのシーンでしょうか。
 目覚めたキョンが寝袋で寝ているハルヒを見つけての一言。

  古泉一樹 :とにかく今は、あなたが真っ先にしないといけないことがあるでしょ
  キョン  :寝顔に落書きか?
  古泉一樹 :それは気が付きませんでした。おやりになりますか?
   (中略)
  涼宮ハルヒ:あたしの顔に、いたずら書きとかしてないでしょうね?
  キョン  :したかったけどな

 以外と、この二人の発想って同じなのかも。

 それと長門有希が甲南病院の屋上でキョンに真相を告白するシーン。 
 甲南病院の夜景、ちょっとけだるげなエリック・サティのジムノベティ第1番をBGMに、キョンのセリフも素敵です。

  長門有希 :私の処分が検討されている
  キョン  :誰が検討しているんだ?
  長門有希 :情報統合思念体
        私が再び異常動作を起こさないという確証はない
        私がここに存在し続ける限り、私の内部のエラーは蓄積しつづける。
        それはとても危険なこと。
  キョン  :くそったれと伝えろ。お前の親玉に言ってくれ。
        お前が消えるなりいなくなるなりしたら、いいか、俺はあばれるぞ!
        なんとしてでもお前を取り戻しにいく。俺にはなんの能もないが
        ハルヒをたきつけるぐらいならできるんだ。

         (中略)
  キョン  :長門はおれたちの仲間だ。
        仲間の誰かが行方不明になって、そのままほっとくようなハルヒじゃない。
        涼宮ハルヒはそういうやつだ。
        身勝手で自己チューで他人の都合を考えない、ハタ迷惑な俺たちの団長様だ

 きっと、この瞬間に長門有希の初恋は成就したんでしょうね。

 甲南病院から見える神戸の風景、風格のある病室、歴史を感じる廊下や扉、エレベーターを取り巻くように設置されたエレベーターなど、とてもよく雰囲気が出ています。
 実を言うと、私の娘と息子は両方とも甲南病院で生まれまして・・・
 その十数年後に、この病院でこんなドラマがあろうとはな~

 ”涼宮ハルヒの消失”は2010年度のアニメの中では最高傑作のひとつ。これだけでも面白いですが、やはりシリーズ通して見て欲しい作品です。

《脚注》
(*1)1934年
 満州国で溥儀が皇帝になり、ヒトラーが総統と首相を兼任し、スターリンの”大粛清”が始まり、日本がワシントン海軍軍縮条約の単独破棄を通告したという年です。
 俳優の長門裕之(有希のお父さんではない)、”虚構船団”の筒井康隆、”世界の中心で愛を叫んだけもの”のハーラン・エリスンもこの年の生まれ。
(*2)ハイペリオン(ダン・シモンズ ハヤカワ文庫)
 28世紀、宇宙に進出した人類を統べる連邦政府を震撼させる事態が発生した! 時を超越する殺戮者シュライクを封じこめた謎の遺跡―古来より辺境の惑星ハイペリオンに存在し、人々の畏怖と信仰を集める“時間の墓標”が開きはじめたというのだ。(Amazon.comより)
 ヒューゴー賞・ローカス賞・星雲賞を受賞したダン・シモンズのSF。
(*3)早川の”世界SF全集”
 1968年~71年に早川書房より刊行された全35巻+別冊1巻のSF大全集。68年はあの”ペリー・ローダンシリーズ”発刊開始(1971年)より前です。裏表紙の写真は”長門有希の100冊”のHPでどうぞ。
 ヴェルヌの”海底2万リーグ”、アシモフの”鋼鉄都市”、ハインラインの”夏への扉”、小松左京の”果てしなき流れの果てに”など、綺羅星のごとき名作の数々。昭和のおぢさんはこの本を読んでSFを学んだんですよ!

ツイッターから見える木と、サイトから見える森、どっちが好きかは好みの問題です(ついった!/キンギョソウ)

 ども、社内ブログの管理人のおぢさん、たいちろ~です(これは本当)
 社内といってもまあ、300人程度の部署なんですが、ブログのコーナー(*1)で”Twitter風商談情報”と”資料うPしました、なう”というのを運営しています。
 ぶっちゃけ、長い文章を書くのが大変なのでTwitter風な名前で短い文章しか書いていないのを誤魔化してるだけなんですが。
 それでも、社内で”たいちろ~さんはTwitterをビジネスで活用している”という勘違いをされてヒヤリングに来られた方もいました。一応これでもIT企業のはしくれ何ですがねぇ。
 ということで、今回ご紹介するのはゆるゆるなTwitter生活を描いた解説書?”ついった!”であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。近所の公園に咲くキンギョソウ(わい性)。


【本】ついった!(ついった!クラスタ、川村和弘 、小島アジコ エンターブレイン)
 サブタイトルに”4コマで楽しむとなりのTwitter”とあるように、川村和弘の文章と、”となりの801ちゃん(*2)”の漫画家、小島アジコの4コママンガで構成。
 小島アジコが好きなので買いましたが、そのテイストは801ちゃんまんす。
【花】キンギョソウ
 キンギョソウ属の耐寒性多年草。草丈の低いわい性と上に伸びる高性があります。
 名前のとおり金魚のような花が咲きますがこれは日本人の感性らしく、英語では”スナップドラゴン(snapdragon かみつく龍)”、ドイツ語では”ライオンの口”とちょっと怖い。
 花言葉は”おしゃべり、でしゃっぱり、おせっかい、大胆不敵、不作法”など。


 さて、自分でブログとかやっていて言うのはなんですが、Twitterは”なんでこれがこんなにもてはやされるんだろう???”っていう感じです。確かにいろんな使い方があるんだろうし、ここから新しい文学の芽みたいなもの(*3)があるのはわかるんですが、どうも肌に合わないというか。

 で、この本の中にあった”ツイッターから見える木と、サイトから見える森(有村悠)”を読んで納得しました。
 このエッセイによると

【サイト】
 最初からコンテンツとしてまとまっている読み物
 公共性・信頼性の高い情報

 情報の正確さや、密度・分量が速報性よりも重視される静的な情報

【Twitter】
 コンテンツの実況や、ごく短い感想が大半。素に近いつぶやき。
 ひとつひとつのつぶやきは読み物として成立しにくい
 正確さや公共性よりも、より直感的・個人的な性格
 その場限りの動的な情報

 つまり、Twitter上で個々人がつぶやく主観的な情報が「木」で、サイトで得られる情報はより客観的・総合的な「森」にたとえられると結論付けています。
 私的に肌にあわないと感じたのは、無意識にネットに”役に立つ読み物”を期待してるからでしょうかね。

 これは非常にわかりやすい説明と思いました。社内でのブログとホームページ(こちらの管理人もやっています)でも、この2つは使い分けていて、ブログではイベントの風景とか感想とか、比較的感覚的で軽いネタが中心にしていて、ホームページの方は資料のアーカイブや議事録的なものを載せてます。
 ホームページだけだと、見ていて面白くないので(面白くする必要があるかどうかは別にして)なかなかアクセス数が伸びないし、ブログだけだと情報が流れて行ってしまうので、ブログのネタからホームページにリンクを張るような相互補完的な使い方をしています。
 まあ、結果的に木と森のたとえみたいになりました。

 キンギョソウみたいに同じ花でもキンギョに見えるか、ドラゴンやライオンに見える
かの違いがあるぐらいですから、木か森かはその人の見え方や好み次第なんでしょう。ただどちらも”大胆不敵、不作法”も度を過ぎればハブられるのは変わりませんが・・・

 Twitterに関する本を何冊か読みましたが、どうも鼻につくのは”ビジネスの役に立つぞ!”とか、”フォロアーによる情報伝播力がスゴイぞ!”みたいな実用的な観点からの論調が強すぎるトコが原因のような気がします。
 それに対して”ついった!”では”嘘を嘘と見抜けない人はネットを使うのは難しい”とか、”興味のない人をフォローをする必要はない”とか、”愛の反語は嫌いでも憎しみでもなく、無視”とか、Twitterをビジネス利用でヨイショしている人から見れば身も蓋もない言い方ですが、実際はそんなもんなんでしょうなぁ。

 ”ついった!”は文章だけでもけっこう役立つんでしょうし、ゆるゆるな小島アジコの4コママンガもけっこういい味でています。
 へたなビジネス書を読むよりよっぽとTwitterの本質に迫っているような気がします。

《脚注》
(*1)ブログのコーナー
 ”PopnupBlog”というブログ内に複数のブログを作れるというモジュールを使っています。でも50才過ぎのおぢさんになってからサーバーアプリのセットアップするハメになるとはな~~。自分で言い出したことだからしょうがないけど・・・
(*2)となりの801ちゃん(小島アジコ 宙出版)
 腐女子の801ちゃんと彼氏のチベ君のオタクライフを描いた4コママンガ。
 わかる人にはわかるネタ満載でけっこう気に入っています。詳しくはこちらから
(*3)新しい文学の芽みたいなもの
 Twitterの言葉を”自由律俳句”と見ると面白いんですけどね。詳しくは”ツイッターは種田山頭火の夢を見るか”をご参照ください。

アメリカ海軍さま~~、アメリカ海軍さま~(荒野の七人/七人の侍/横須賀 アメリカ海軍第七艦隊)

 ども、軍事ヲタではありませんのおぢさん、たいちろ~です。
 軍事ヲタではありませんが、純粋にメカニズムとしての軍艦ってのは好きです。ただリアルに戦争をするとなると話は別。まあ、命のやりとり云々もありますし、軍事力を維持するとなるとお金のかかる話でもあります(*1)。
 でも、最近のマスコミを見てると、なんだか危なっかしい方向に行ってるような気が・・・ 
 尖閣列島だ、北朝鮮の砲撃だと世界情勢がきな臭くなってるの確かですが、ああも簡単に論調を変えるのはちょっとねぇ。
 ということで、今の日本のありようでちょっと思い出した映画から。”荒野の七人”と”七人の侍”のご紹介であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。米海軍第7艦隊旗艦、揚陸指揮艦”USSブルーリッジ”です。
2009年の米海軍横須賀基地”ネイビーフレンドシップデイ”にて。


【DVD】荒野の七人
 (主演 ユル・ブリンナー,スティーブ・マックイーン 監督 ジョン・スタージェス)
 刈り入れの時期になると、盗賊カルヴェラに作物を奪われるメキシコの寒村の村人が盗賊を追い払うために七人のガンマンを雇い、戦いに挑む。
 原題は”The Magnificent Seven(崇高な7人)で、ストーリー的にはこっちのほうがあってそうですが、雰囲気的にはやっぱり”荒野”かなぁ。1960年の公開。
【DVD】七人の侍(主演 志村喬、三船敏郎 監督 黒澤明)
 刈り入れの時期になると、野伏に作物を奪われる寒村の村人が、野伏から村を守るために七人の侍を雇い、戦いに挑む。
 多くの映画作品に影響を与えた巨匠 黒澤明の名作。1954年の公開。

【旅行】横須賀 アメリカ海軍第七艦隊
 第七艦隊は西太平洋・インド洋を担当海域とするアメリカ海軍の艦隊。旗艦/司令部は、横須賀海軍施設を母港とする揚陸指揮艦「ブルー・リッジ」。艦船数 50~60、航空機 350機、戦時動員兵数 6万人はアメリカ海軍の艦隊の中では最大規模と戦力。 ま、7つながりということで。


 まずは”荒野の七人”から。久しぶりに観ましたが、やっぱりキャスティングが凄い。それに声優も! ドメル将軍に、ラオウに、キャプテンハーロックに、石川五ェ門(初代)に、次元大介に、ポルコ・ロッソにカーク船長に。綺羅星のごとき豪華声優陣!(*2)
 今、これだけのメンバーを集めたらなんぼほどかかんねん!! というラインナップです。(すいません、わからない人はスルーしてください)

 話を戻して、今回気になったのは、7人のガンマンが村に入った時のシーン。村を守りに来たガンマンを恐れて家の中に隠れておそるおそる様子をうかがっています。村の長老から”村人は怖がりだから”と説明しますが、山賊の来襲を知らせる教会の鐘をならしたとたん、わらわらとで出て来る村人たち。鐘をならした若きガンマン”チコ”のセリフ。

  チコ :命がけでおめえらを助けにきたんだぞ
      なのによ、こそこそ隠くれやがって
      怖いか! 俺たちが! はぁ? 事情が事情だからしょうがねえか?
      食い物を盗られると思ったか? 俺たちが山賊に見えるのか?えぇ
      さあ、お望みどおりきてやったんだぜ
      守ってやる。だからだ、守ってやる価値のあるところを見せてみな!

 ”荒野の七人”はオリジナルがあって、これが黒澤明監督の”七人の侍”。同じように7人の侍が村に入ったシーンで、みんな侍を恐れて家の中に引きこもってます。で、野伏の来襲を知らせる板木を打ったとたん、駆け出てくる来る村人たち。板木を打ったのは若き日の三船敏郎演じる山犬のような侍”菊千代”です。
 こっちのセリフはもっと辛辣。

  菊千代:おいヌケサク、てめえらは俺たちが村へへえってきた時、
      どんな面して迎えた! あぁ?
      そのくせ、俺がちょっとすりこぎぶったたいたら、
      お侍さま~~、お侍さま~~ 手ぇ合わせて拝んでけつかる
      ざまあみやがれ、タニシ野郎!

 なんだかなぁ。今の日本の状況が村人の二重写しになってるみたいで。あんだけもめた沖縄の基地問題もうやむやのままで(*3)、そのくせ日米軍事演習では相変わらずアメリカ依存体質っぽいし。
 軍事力を強化するにしても、しないにしても、ちゃんと今まで言ってきたことと、やってきたことを総括したほうがいいんじゃないかなぁ。なし崩しに物事を進めるのは一番信頼をなくす元ではないかと思うんですが。
 まあ、日本は元々農耕民族なんでしょうが、現実社会では”勝ったのはあの百姓たちだ(*4)”になるとはも思えないし・・・

 ”荒野の七人”,”七人の侍”とも、半世紀近く前の映画ですが、いずれも名作。人生を考えさせられる名言、至言にあふれる映画です。


《脚注》
(*1)軍事力を維持するとなるとお金のかかる話でもあります
 新大綱と同時に閣議決定された次期中期防衛力整備計画は、2011~15年度の防衛予算の総額上限を約23兆4900億円と定めた。10年度予算をほぼ維持するもので、8年連続の漸減に歯止めをかけた意義は大きい。(2010年12月19日 読売新聞) 
(*2)それに声優も!~
 ユル・ブリンナー:小林修⇒ドメル将軍、ズォーダー大帝(宇宙戦艦ヤマト)
 スティーブ・マックイーン:内海賢二⇒ラオウ(北斗の拳)、ブライキングボス(新造人間キャシャーン)
 ホルスト・ブッフホルツ:井上真樹夫⇒キャプテンハーロック(同)、2代目石川五ェ門(ルパン三世)
 チャールズ・ブロンソン:大塚周夫⇒初代石川五ェ門(ルパン三世)、ヨミ(バビル2世)
 ジェームズ・コバーン:小林清志⇒次元大介(ルパン三世)、妖怪人間ベム(同)
 ブラッド・デクスター:森山周一郎⇒ポルコ・ロッソ(紅の豚)、ジャン・ギャバン
 ロバート・ヴォーン:矢島正明⇒カーク船長(スター・トレック)、ナレーション(謎の円盤UFO)
(*3)沖縄の基地問題もうやむやのままで
 まあ、現実解としては在日アメリカ軍基地を全部撤去するってのはありえないでしょうが、沖縄に過重に負担をかけ続けるのもいかがなものかと。
 赤字でひ~こら言ってる地方空港が山ほどあるんだから、損失補てんに誘致するぐらいのことやればいいのに。○○空港とか、××空港とか(言えねぇ、言えねぇ)
(*4)勝ったのは農民だ
 ”七人の侍”のラストシーンで志村喬演じる”島田 勘兵衛”が田植えを見つめながらつぶやくセリフ。
 ”荒野の七人”でも長老が同じようなセリフを言ってますが、重みとしては勘兵衛のが上かな。

日本そのものがデスマーチだからなぁ・・・(デスマーチ/ドクニンジン)

 ども、品質改善活動推進事務局のおぢさん、たいちろ~です。
 これでも一応コンピュータの会社に勤めておりまして、先日、品質改善活動ミーティングってのがありました。
 コンピューターをご購入いただいた方には申し訳ありませんが、コンピューターは必ず故障します。まあ、故障しても止まらないようにいろいろ手は打つんですが、絶対に故障しないハードウェアってのはありえないし(*1)。ソフトウェアも人間が作るので、何がしかのバグが入り込む確率は相当高いです。まあ、低予算、短納期、残業につぐ残業でプログラムを作っていればいたしかたない面もありますが・・・
 ということで、今回はシステム開発者必読の本”デスマーチ”のご紹介であります。


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写真はドクニンジン。”身近な野生植物のページ”から。作成は帝京大学薬学部の研究者、木下武司氏です。さすがにおいそれと撮影できそうにないので使わせていただきました。


【本】デスマーチ 第2版(エドワード・ヨードン 日経BP社)
 サブタイトルの”ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか”とあるように、システム開発にかかわるトラブル発生原因と対処法を分析した本。
 初版は1998年、第2版は2006年の出版ですが、状況はあんまし変わってないような気が・・・
【花】ドクニンジン(毒人参)
 セリ科の有毒植物。名前のとおり毒性アルカロイドであるコニインという神経毒を含んでいます。
 ソクラテスの処刑に毒薬として用いられたことでも有名。


 ”デスマーチ(死の行進)”と言われてもピンとこないかもしれませんが、

  常識的に見積もった開発期間を半分以下に圧縮したプロジェクト
  通常必要な人数の半分以下しかエンジニアを割り当てられないプロジェクト
  予算やその他の必要資源が半分に削られたもの。
  開発するソフトウェアの機能、性能、その他の技術的要素が通常の倍以上のプロジェクト

 のことで、失敗する確率が50%を超えるもののことです。
 まあ、”常識的に”とか、”通常必要な”とかの数字を出すのも難しいんですが(*2)、”そりゃ、ムチャぶりやろ~~~”という感覚は確かにあります。帰社時間間際になって上司から”このレポートまとめといてね、明日の朝一番の会議で使うから。あとパソコン壊れてるから手書きでね♡”みたいな。

 まあ、ステークホルダー(*3)が山ほどいて、予算も限られている中で、こうならないようにプロジェクトマネージャーしてはなんとかせんといかんワケです。
 本書の中で印象的だったのは”トリアージ(Triage)”という考え方。元々は大事故、大規模災害などで多数の傷病者が出てるにもかかわらず、医者、薬などのリソースが圧倒的に不足している状態で、重症度と緊急性によって傷病者を分別し治療の優先度を決定することです。感情論でいえば重症者を最優先する所ですが、現状の医療リソースで救命ができないなら優先度を落として、救えそうな人に医者や薬を割り当てるということです。非情な割り切りのように聞こえますが、これができないと、結局みんな救えないという事態になりかねません。
 今の日本みたいに”子供手当ては出します、法人税減税はやります、消費税は上げません。財源確保? 後は四露死苦!”はトリアージが出来てない状態。デスマーチまっしぐらです。

 まあ、言うは易く、行うは難しで、実際にやるのは大変。
 で、重要になるのがプロジェクトマネージャーの手腕。自ら望んでドクニンジン喰らう必要はないので、始まる前なら断るという選択肢もありますが、受けちまったらやらないといけないのがサラリーマンの辛いところ。でも、間違いや欠陥はそれとして、ちゃんと指摘し改善しないと問題は解決しません
 本書ではナポレオンのこんな言葉を引用しています。

  作戦に欠陥があると思いながら強行する指揮官は重大な誤りを犯している。
  欠陥があると思う理由をきちんと主張し、作戦の変更を求め、
  最後の手段として自分の兵隊を犠牲にするのではなく、
  自分の職をなげうつ覚悟が必要だ

 ともすると部下にしわ寄せをしがちな中、リーダーとしてはもって銘すべき言葉です。
 まあ、逃げ出したいことも多いでしょうか、”逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ”と唱えながらやるしかないんでしょうかね。絶対逃げるなと言ってるワケではありませんが、ダチョウじゃあるまいし(*4)闘わないで目をふさいでいても問題は片付かない。

 私から、追加で一言

  逃げないのが勇気のある者なのではなく、
  そこに留まり、敵に立ち向かうのが勇気のある者である。

  He is a man of courage who does not run away(*5),
  but remains at his post and fights against the enemy.

                 ソクラテス

 ”デスマーチ”はシステム開発者必読と書きましたが、本来は経営者や利用者に読んで欲しい本。好き勝手を言ってるだけでは決して良い結果に結び付かないという意識をみんなで共有すべきです。

《脚注》
(*1)絶対に故障しないハードウェアってのはありえないし
 高品質の例としてはアポロ計画などで使われた”シックスナイン”ってのがあります。これは99.9999%(9が6個並ぶ)の精度の意味ですが、この精度の部品を100ケ使って1万台の機械を作ると1台は故障する計算になります。
 でも、”シックスナイン”で検索するとエッチ系しか出てこないんだよなぁ。
(*2)”常識的に”とか、”通常必要な”とかの~
 過去の類似のプロジェクトとの比較とか、ファンクションポイント法(機能数や複雑さによって重みづけした点数で評価)とか、いろいろありますが、最初にすべての要件を決めるのも難しいので、やってみなければわからないという面があるのも確かです。
(*3)ステークホルダー(Stakeholder)
 利害関係者のこと。システム開発の場合はクライアントである企業の経営者、システム担当者、利用者をはじめ、値引き攻勢にあっているベンダ側の営業担当者も含まれます。まあ、敵、敵、敵、敵、味方、敵・・・・ってな感じでしょうか。
(*4)ダチョウじゃあるまいし
 ダチョウは危機が迫ると頭を地面や砂地の砂に突っ込んで危機をやり過ごそうとする習性があるそうです。ここからその場凌ぎの危機回避行動を”オストリッチ・コンプレックス”という言葉になりました。
 そういえば、”オストリッチ・コンプレックス”(エリオット・ワイナー 廣済堂出版)って本もあったなぁ、昔読んだけど。
(*5)run away
 ”run away”は「逃げる、逃走する」という意味。真人間だったころの田代まさしもいたシャネルズ の曲です。覚えてますか?
 ちなみに、”run away”の間は離すこと。”runaway”だと”暴走した、止めどもなく進む”という形容詞になります。

あと、女子アイドルが美味しくいただけるようになりました(となりの801ちゃん/百合)

 ども、ボーイズラヴ(BL)はよくわからないおぢさん、たいちろ~です。
 BLはよくわからんのですが、腐女子(*1)エッセイコミックの”となりの801ちゃん”はけっこう好きです。その新刊がでましたので、今回はそのご紹介であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。近所のオリエンタルユリです。


【本】となりの801ちゃん(小島アジコ 宙出版)
 奥様の名前は801ちゃん、そして旦那さまの名前はチベくん。ごく普通の二人はごく普通の恋をして、ごく普通の結婚をします。でも、ただ一つ違っていたのは、奥様は腐女子だったのです(*2)。
 同人作家、小島アジコによる漫画及びWebコミック(Web版はこちら)。
【花】ユリ(百合)
 ユリ科ユリ属の多年草の総称。
 キリスト教では白いユリ(マドンナリリー)は純潔や、聖母マリアの象徴として描かれていて、そのせいか花言葉は”威厳、純潔、無垢、純愛”など。


 第5巻のキーワードは”AKB48”。腐女子の801ちゃんですが、なぜかAKB48に大ハマり。大人になったからでしょうか? お題の”女子アイドルが美味しく~”は801ちゃんの発言から。

  女友達   :おとなになると食べれるもの増えるよねー
  801ちゃん:わかるわかる、私もーー!!
  女友達   :何食べれるようになったの?
  801ちゃん:かにみそとか、しいたけとか
         あと、女子アイドルが美味しくいただけるようになりました
         AKB・・・

 でも、801ちゃん的にはどうもBL的なご様子。初めてAKB48を見た時の感想は、

  801ちゃん:なんかこれ・・・ すごい面白そうな気がする・・・
  チベくん  :うん・・・ わかる・・・
  801ちゃん:何ていうか・・・ BL臭?
  チベくん  :何で、百合じゃないの?

 百合ってのは女の子同士LOVEのこと。百合族とかけっこう昔からあったんですがねぇ、”セーラー服 百合族”とか(*3)。
 チベくんの言うように、”ヘビーローテーション”のPVとか見てると女の子同士でキスしたり、とっても百合っぽい
 でも、801ちゃんの推メンが秋元才加(*4)ってのでなんとなく納得。確かにロングヘヤーの正統美少女なんですが、加藤夏希(*5)、黒木メイサ(*6)から連なる”戦闘美少女”ってイメージあるもんなぁ。きっと801ちゃん的心象風景には別のものが映っているのかも。
 本のオビに秋元才加のコメントが載った縁か、対談が実現。その時のうろたえぶりがWebに掲載されていますので、こちらもどうぞ

 そのほかにも、東京と地域のアニメ格差とか(*7)、ウルトラ5つの誓いのパロディネタ(*8)とかヲタクネタ満載です。
 一般人にもけっこう面白い話満載ですので、そっちの趣味のない人にもオスメです。

《脚注》
(*1)腐女子(ふじょし)
 男性同士の恋愛(BL)を扱った小説や漫画などが大好きな女性のこと。別名”801(やおい)”。
(*2)奥様の名前は801ちゃん~
 1966年から日本で放送されたアメリカABC作成のテレビドラマ”奥様は魔女”のオープニングのパロディです(映像はこちらから)。”奥様は魔女”はおぢさん世代にとっては、アメリカの家庭の豊かさを知った記念碑的作品です。
 ちなみに、801ちゃんご夫婦はでんでん普通の趣味ではありませんが。
(*3)百合族とかけっこう昔からあったんですがねぇ
 1970年代の元祖ホモ雑誌”薔薇族”の中でレズの人を”百合族”と呼んだのが始まりとか。
 ”セーラー服 百合族”(現在は”制服 百合族”に改題)は1982年に作成された日活ロマンポルノ映画(懐かしい・・・)。ロングヘアーの山本奈津子と、ショートカットの小田かおるのカップリング。さすがに観には行きませんでしたが、このポスターだけでも当時は結構衝撃的でした。監督のちに実写版”デビルマン”を担当した那須博之。
(*4)秋元才加(あきもとさやか)
 AKB48の元Kチームキャプテン。”笑っていいとも!”のレギュラーをやっているので見たことある人も多いはず。合気道2段の腕前、男前な性格で”兄貴”と呼ばれることもあるらしいです。
(*5)加藤夏希
 映画”仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL”初の女性仮面ライダー”ファム”を演じました(電波人間タックルはどこに行った?!)
 おぢさん的には”燃えろ!!ロボコン(1999年 テレビ朝日)”のヒロイン・ロビーナちゃんのほうが印象強いですが。
(*6)黒木メイサ
 ”SPACE BATTLESHIP ヤマト(2010年 東宝)”では戦闘班ブラックタイガー隊隊員でコスモタイガーのエースパイロットを演じました。まだ見に行ってないけど。
(*7)東京と地域のアニメ格差とか
 現在は東京にお住まいのようですが、実家は関西。おかあさんと妹のひなちゃんは今でも関西弁をしゃべってますが、高校時代には801ちゃんも関西弁をしゃべってす。
 東京、大阪ではTVのチャンネルが多いですが、実際地方に行くとチャンネル数が少なく放映されていない番組がいっぱいあってシャレになりません。
(*8)ウルトラ5つの誓いのパロディネタ
 ”帰ってきたウルトラマン”の最終回(1972年 TBS)でウルトラマン=郷秀樹が自分を慕う少年”坂田次郎”に残した言葉。この言葉を叫びながら次郎が走るシーンはなかなかの名シーン。でも801ちゃんの読者って、この話を知ってるんでしょうか?
 ちなみに「ウルトラ5つの誓い」とは
  一つ、腹ペコのまま学校へ行かぬこと
  二つ、天気のいい日に布団を干すこと
  三つ、道を歩く時には車に気をつけること
  四つ、他人の力を頼りにしないこと
  五つ、土の上で裸足で走り回って遊ぶこと

世界で最も高額な宴会だ!(面白南極料理人/南極の氷)

 ども、酔いどれ料理人のおぢさん、たいちろ~です(ウソです)。
 さて、相変わらず就職が厳しい状況ですが、こんな求人広告があったらあなたは応募しますか?
  仕事内容:料理の作成、科学者の調査研究補助、その他雑用
  勤務期間:約1年強(訓練、赴任地への移動期間含む)
  勤務形態:住み込み、3食付き。勤務期間中の帰宅不可(交通機関不便のため)
  勤務地 :ドーム内(ただし、ドーム外は気温-57℃)
  福利厚生:誕生日等でパーティあり。専属医師あり
 一見、よさそうな条件です。ただし、外気温と、帰宅不可を除けば・・・
 ということで、今回は”宇宙戦艦ヤマト(*1)”もかくやという職場に奉職した料理人の物語”面白南極料理人”であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。南極観測船”しらせ”で展示された南極の氷です。
よこすか開国祭(2010年)に開催された基地祭で撮影しました。


【本】面白南極料理人(西村淳、新潮文庫)
 著者の西村淳のお仕事は南極大陸のドームふじ基地(*2)で隊員の食事を用意するコックさん。ウイルスさえも生存しない環境の中、選り抜きの食材と創意工夫で乗り切るスーパーコックさんのエッセイ集(ルポタージュかな?)
 2009年に堺雅人が主演で”南極料理人”のタイトルで映画化。こっちもけっこう面白いです(詳しくはこちら
【自然】南極の氷
 説明してくれた自衛官の方に”南極の氷は溶ける時にピチピチが音するって本当ですか?”と尋ねたら”実際に触って聞いてみてください”と言われたのでやってみたら、確かに音がしました。これは南極の氷が通気性がなく空気が氷中に閉じ込められるからだそうです。
 写真の氷は南極から流れ出した氷山から採取したものとのこと。


 だいたい、一般の冷凍庫で-18℃以下、マグロ漁船の冷凍庫が-60℃以下なんだそうですから、ドームふじ基地はマグロ漁船の冷凍庫の中で生活しているようなもの。私も雪山登山で-20℃っていうのを経験したことがありますが、テントの中でも油断してると水は凍るは、皮の登山靴はカチカチになるわの世界です。これより3倍低温ってのはちょっと想像つきません。
 ですからこの職場、”絶対に行きたくない”っていう人がほとんどでしょうが、ごくまれに行ってみたい人もいるかも(*3)。ちなみに私は行ってみたい派です。

 以前、人間は船旅だとかで、あまり楽しみのない空間に閉じ込められると”食べること”が最大の娯楽になると聞いたことがあります。なんで、南極のコックさんとしてはあんまり変な料理は出せない。普通なら腕の見せどころってとこなんでしょうが、材料が限られているし、”ちょっとコンビニまで買い行って来ます”ってわけにもいかない。
 この本で面白かったのは、食材が思いっきり偏ってるんですね。

【生鮮野菜がほとんどない】
 冷凍のきくネギ、ニンジン、ジャガイモはOKですが、なんせ、-50℃の環境なので冷凍できない野菜がまずNG。それでもなんとかレタス・貝割れ・もやしは育つそうですが、ミニトマト、キュウリはだめ(実はならないけど葉っぱは出るとのこと)

【寿司は意外にOK】
 日本の寿司屋でも冷凍食材を使ってるように、魚モノは結構充実してるみたいです。お米は圧力ナベで炊けるので(*4)、スシは食べれるとのこと。

【肉はちょ~豪華】
 エピソードで多いのがちょ~豪華なお肉。6kg20万円の「宮内庁御用達中央畜産卸推薦松坂牛ヒレ肉塊」がサッポロ一番味噌ラーメンの具になったりとか、米沢牛の塊ドーンと10kg食べ放題とか、-40℃の野外でのジンギスカンロース肉パーティとか(焼けたらすぐ口に入れないと凍っちゃうそうです)。

【酒は凍る】
 -40℃の野外では、ビールは1分以内で苦い氷に、日本酒も数分でシャーベット上に、ウォッカやウイスキーも20分ぐらいで瓶の中に氷の柱が立ってくるとのこと。
 ”コンクウィスキー”というアルコール度数65~70度(*5)はもつそうですが、これを飲みつけると普通のウィスキーの水割りが軽い飲み物になるんだそうです。

 それ以外にも高級食材のフォアグラのサラダや、伊勢海老1人1本入りの味噌汁ががある一方、みりんやめんつゆが切れたなんていう会話をしてるアンバランスなエピソードがけっこう出てきます。

 もし、これが日本国内なら”一介の国家公務員が血税を使ってこんな贅沢を!”(*6)と一発で事業仕訳けの対象になりそうですが、まあ、よろしいんじゃないでしょうか、ストレスのたまる職場なんだし。

 あと、ばかにならないのが輸送コスト。日本から15000キロ。昭和基地から雪上車で1000キロの輸送距離ですがら、めちゃくちゃコストがかかっているはず。
 つまり、食材+輸送コストを考えると”世界一高い宴会”をやってるんでしょうなぁ、この人たちは。でも、できれば、やっぱり行ってみたいです。

  ”面白南極料理人”は、秀逸なノンフィクション。過酷であろうドームふじ基地の生活をこんだけ面白く書けるのはたいしたもんです。私は一気に読めました。映画の”南極料理人”も合わせてお勧めです。

《脚注》
(*1)宇宙戦艦ヤマト
 ちなみにヤマトのファーストミッション(TV版第一作)を書いてみると
  仕事内容:コスモクリーナーDの受け取り及び輸送。ただし時々戦闘あり。
  勤務期間:約1年弱(訓練期間等を除く)
  勤務形態:住み込み、3食付き。勤務期間中の帰宅不可(交通機関がないため)
  勤務地 :船内(ただし、船外は真空、-270.42℃。時々超高温)
  福利厚生:地球を離れる時にフェアウェルパーティあり。専属医師あり、ただし専門は獣医
 艦首波動砲、三連装ショックカノンなどの兵装満載のヤマトですが、本来のミッションは運送業。確かに、ガミラスの冥王星前線基地を波動砲でぶっ飛ばす以外は自ら積極的に戦闘をしているわけではありませんね。
(*2)ドームふじ基地
 日本の南極観測基地のひとつ。昭和基地からは約1000km離れており、雪上車や航空で移動するそうです。1996年5月14日に記録された最低気温は-79.7℃。標高3810mは富士山頂3776mよりも高所です。
(*3)ごくまれに行ってみたい人もいるかも
 映画版では本来、南極に行くのが子供のころからの夢だった鈴木くんの代わりにいう、西村くんが半ば無理やり派遣されるというエピソードが出てきます。原作では、かなり軽いノリで引き受けているみたいですけど、一般的には映画版なんでしょうねぇ。
(*4)お米は圧力ナベで炊けるので
 登山をしない人にはわかりにくいかもしれませんが、高所になると沸点が85℃まで下がるので、この温度で普通にご飯を炊くと芯が残ります。実際に高所にある日本の山小屋でも圧力ナベを使ってるようです。
(*5)アルコール度数65~70度
 通常のウィスキーは45度ぐらい。ロシアのエピソードで”シベリアの寒さを乗り切るにはウォッカが必要”みたいな話がありますが、寒いとそうなるんでしょうなあ。
 普通でやるとアル中まっしぐらでしょうが。
(*6)一介の国家公務員が血税を使ってこんな贅沢を!
 西村くんの身分は、国土交通省の外局である海上保安庁の職員”海上保安官”です。

起業とは、情熱が引き起こす犯罪のようなものだ(グーグルが描く未来/サクラソウ)

 ども、ブログを書くのにGoogleやYahoo!のお世話になってるおぢさん、たいちろ~です。
 先日、娘から大学の課題を見せてもらったんですが、「引用はかまいませんが”コピペ”の評価は0です」って書いたりました。最近は、小中学生でもコピペ当たり前、盗作騒ぎまで起こっているようで(*1)、書くほうも、評価するほうも大変です。
 先日読んだ本に”昔の卒論は手書きで80枚もかけばちゃんと結論に落ちてなくても、書きなおすのが大変だからOKみたいなところがあったけど、今はワープロだからコピペの引用は見破られて、ちゃんと論旨が展開していて結論に落ちてないとダメ。本質を問われるので結構しんどい(*2)”みたいな話が出ていましたが、適当な卒論書いて卒業したおぢさんとしては耳の痛い話です。
 ということで、今回ご紹介するのは日ごろお世話になってるGoogleの創業者を扱った”グーグルが描く未来”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。近所のサクラソウです。


【本】グーグルが描く未来(リチャード・L・ブラント  武田ランダムハウスジャパン)
 原題が”INSIDE LARRY AND SERGEY’S BRAIN(ラリーとサーゲイの頭ん中)”とあるように、検索サイトの巨人”グーグル”の創業者であるラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンが何を考えているかをまとめた本。
【花】サクラソウ(桜草)
 サクラソウ科サクラソウ属の多年草。桜色のかわいい花が咲きます。プリムラ(西洋サクラソウ)も同じ仲間ですが、こっちは色が白いのが多いみたい。
 花言葉は”希望、青春の始まりと終わり、運命を開く”など。


 改めて見てみると、グーグルというか検索ビジネスって本当に最近のことなんですね。どこをスタートと見るかによりますが、ほとんど2000年代のもの。年表にしてみるとこんな感じです。

  1995年12月 アルタビスタ(アメリカの検索エンジン)公開
  1995年 3月 Yahoo!設立
  1998年 9月 Google起業
  2000年 6月 Yahoo!のサーチエンジンにGoogleを採用
  2001年 8月  日本法人のグーグル株式会社を設立
  2001年12月 ”アキハバラ@DEEP(*3)”(石田衣良)の長編小説が
        別冊文藝春秋に連載(2002年1月号~2004年7月号)
  2004年 2月 Yahoo!のサーチエンジンの契約終了。
  2010年 7月 Yahoo!がGoogleと検索分野などで提携すると発表
  2010年12月 公正取引委員会が両社の提携に独占禁止法上の措置をとるため
        引き続き調査を行う必要はないとの判断を発表

 小説の”アキハバラ@DEEP”を入れたのは、この小説が画期的な検索エンジンの開発を扱っているからですが、2001年とGoogleが一般化する直後ぐらいの時期で”まだ一発逆転が効きそう”みたいな雰囲気があったから。
 でも、検索エンジンのビジネスって意外なほど興味を持たれてなかったんですね。本書によるとアルタビスタを開発したDECにしても”DECのサーバーの性能をひけらかしたいだけ”だったそうですし。今でこそ提携でごたごたしているYahoo!にしてもGoogleの検索エンジンを採用しているぐらいだし。当時の企業の中でも、Googleになれるチャンスはたくさんあったはずとのこと(*4)。

 で、なぜGoogleだったかというと、ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンがいたから。2人の起業家のインターネットに対する理解、情熱、検索に対する姿勢、直感といった資質が成功をもたらした要因としています。

  起業とは、情熱が引き起こす犯罪のようなものだ。
  そこには動機、手段そしてチャンスがそろう必要がある。
  グーグルにチャンスあると認識できたのは創業者たちだけであり

   (中略)
  手段と動機はラリーとサーゲイ自身である
   (中略)
  彼らの存在なくして、これほど偉大な企業になるようなダイナミズムは
  持ち得なかっただろう。

 会社でよく新規ビジネス検討のワーキングみないなのがあるんですが、なかなかビジネスが実現しない。なんでかというと、ビジネスプランを立てて、関係者に根回しして、会議で検討して、稟議書書いて、そこから予算措置をして・・・みたいなことをやっていると、ここまでで膨大なエネルギーが必要だし、のたのたやってて時間ばっかしかかっちゃう。ましてや、現業も抱えてるし、給料が上がるわけでもないし、みたいな。
 トップマネジメントが動機と手段を持っている奴を見つけてきて、目の前に10億円ばかし現ナマ積んで見せて、”責任はオレがとるから、好きにやってみろ!”ぐらい言ったほうがうまくいくんじゃないかなぁ。いわゆるインキュベーターのベンチャーキャピタルみたいに、チャンスと人材の見極め機能をトップマネジメントの仕事と割り切ったほうがいいんじゃないかと、この本を読んで思っちゃいます。

 検索ビジネスって、始まってからの年数で考えるとまだティーンエイジャーぐらいの青春期。そんな時期でも、始まりを作る企業もあれば、終わっちゃう企業も出てきます(*5)。でも、起業家ってのはやっぱり”運命を開く”人たちであることには間違いなさそうですね。

 ”グーグルが描く未来”は、Googleという会社というよりも、2人の創業者の傑出した個性を書いた本。検索ビジネスの流れみたいなのを知るには良い本です。

《脚注》
(*1)盗作騒ぎまで起こっているようで
 2010年10月、前橋市が主催する詩のコンクール「詩(うた)のまち前橋若い芽のポエム」で、金賞作品が盗作であることが発覚した。盗作していたのは秋田市内の中学3年の女子生徒(15)で、ネットの投稿サイトからの盗用だった。コンクールの存続にもかかわる事態となったが、ネットを含めた膨大な作品群から盗作を見抜くのは至難の業という現実もある。(産経新聞ニュースより抜粋)
(*2)昔の卒論は手書きで80枚もかけば~
 ”人生2割がちょうどいい(小田嶋 隆、岡 康道)”より。詳しくはこちらをどうぞ。
(*3)アキハバラ@DEEP
 人付き合いヘタ、潔癖症、アルピノ、引きこもり、武闘派メイドさんといった連中の集まった”アキハバラ@DEEP”が画期的な人格移植型検索エンジン”クルーク”を開発した。大手IT企業の悪玉にそれを奪われたとき、おたくたちの戦いが始まった!
 2006年にテレビドラマ化、映画化。映画版の山田優がかっこいいぞっと。
(*4)Googleになれるチャンスはたくさんあったはずとのこと
 じゃあできるかというとまた別の話。検索エンジンの優秀さが理由に挙げられることが多いGoogleですが、世界中のウェブサイトから情報を集めてインデックスを作るために数十万台のサーバを保有するという装置産業的な側面も持っています。
(*5)終わっちゃう企業も出てきます
 上記のアルタビスタを開発したDECはコンパックを経てヒューレットパッカードに買収されました。

そもそも自分に天職があるなんていうような思い込みが間違っているわけなのに(人生2割がちょうどいい/かすみ草)

 ども、ぼちぼち子供の就職が気になりだしたおぢさん、たいちろ~です。
 相変わらず就職の状況は厳しいようです(*1)。その上、大学3回生後半から始まる就活を後にずらそうとかの話も出ているようで、大学1回生とはいえ”やっと受験が終わったとこなのに、もう就活の心配かよ~~~”という気分です(*2)。
 ま、よっぽど会社の偉いさんならともかく、親自身がなんかできるわけもなくせいぜい能書きたれるぐらいなんですが、これも上昇志向で話すか、安定志向でしゃべるか、あんまし夢を見るなとアドバイスするかぐらいのバリエーションがある程度。
 ということで、今回ご紹介するのは3番目のアドバイスが載ってる”人生2割がちょうどいい”であります。


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 写真はたいちろ~さんの撮影。近所のかすみ草です。


【本】人生2割がちょうどいい(小田嶋 隆、岡 康道、清野 由美 講談社)
 かたや元アル中の辛口コラムニスト小田嶋隆、こなたワークホリックで離婚経験者のCMプランナー岡康道という高校時代の同級生による対談集。
 元々は”ウェブ時代のコミュニケーション作法”がテーマだったそうですが、あっというまに”人生の諸問題”に変わっちゃったそうです。
 進行役の清野由美のつっこみもいい味出しています。
【花】かすみ草(霞草)
 ナデシコ科カスミソウ属の花。花束の周りにアレンジされているので見たことがある人も多いかと。センターをはることはないけど、あるとないとでは華やかさが違うという意味ではAKB48の○○とか××みたいな存在(言えねぇ、言えねぇ)。
 花言葉は”夢見心地、清らかな心、魅力、無邪気”など。


 会社で本部の募集人員を決める人のお手伝いをしてるんですが(決める立場ではないです)、正直なとこ現場では人が不足しています。会社全体でも長らく採用を抑制していたので、人口構成もいびつ(*3)。だからホントは若い人がたくさん来て欲しいんですね。でも、採用は”業績の先行き”を見ながらやんないといけないので、多少景気が回復したといってもすぐには増やせない(景気自体、大して良くなっていないし)。
 かたや学生の側も、低下しているとはいえ11年度新卒者の有効求人倍率は1.28倍と、まったく就職できないってわけでもない。大学受験と違って浪人というリターンマッチが効きにくい状態で、どこまで夢を追いかけるかはまあ、本人次第ですが。

 言葉は悪いですが、就活ってのは採用される方もする方も博打みたいなとこがあって、どの程度のオッズ(難易度)の会社に自分というかけ金をベットするかです。当然、かけ金(学校の成績、クラブでの実績、自治会でのリーダ経験、大学のブランド力etc)をいっぱいもってる奴はオッズが高くても勝負を賭けられるし、ハコテン寸前の貧乏人が九蓮宝燈(*4)の一発逆転を狙うって夢を見るのはいかがなものかと。要はちゃんと実力を付けときましょうということ。まあ、会社側もおんなじですが・・・

 よしんば、うまく就職できたとしても、その会社されには配属先がその人に向いてるかはどうかはまた別。そこに”天職幻想”みたいなのを見ちゃいけないのかも

  清野 :君は組織じゃないと生きていけないタイプだから、っていう若者ほど
      逆にやめちゃったりしてるんですよね。
  小田嶋:それはある時期から、会社側の問題ではなくて、
      自分探し幻想みたいな話がたくさん出てきて・・・
       (中略)
      誰しも100パーセント適応する場所なんてないのに、
      ちょっとでもできないところがあると、それがすごくでかく見えちゃって
      もう、ここダメ、と
      そもそも自分に天職があるなんていうような思い込みが
      間違っているわけなのに
       (中略)
  岡  :昔より今のほうが、職業で自己実現をしようという
      幻想があるということでしょう
  小田嶋:職業で金を稼いで、その金で自己実現しよう、というふうには
      考えないんだろうね、きっと。

 引用が長くなりましたが、まあ会社に過大な幻想を持たないっていう発想の転換も必要なのかもしれません。会社に入ったからと言ってすぐに天職みたいな仕事ができるワケでもないし、自分の意思を通そうとするには、実力を蓄えて、出世してみたいな時間も運もです。大して出世してないおぢさんですが、まあこれは事実。それに”自己実現”って何したいんだっけ?!

 付け加えておきますが、本書の中で勉強しなかったとか、成績悪かったとか自虐ネタを披露している小田嶋、岡のご両人ですが、都立小石川高校(*5)、早稲田大学卒業という学歴的にはハイエンドな人たち。元々、ちゃんとかけ金を持ってるんですよね。それでも不遇の時代はあったし、運もあるけどそれだけじゃない。

 まあ、48人いたら48人ともがセンターに立てるわけじゃないです(じゃんけんで勝つって手もありますが)。花束だってバラやカラーのだけってのは華やかではあっても雅趣に欠けるってこともあって、かすみ草があってこそ映えることもままあります。
 ビジネスだって、リーダーの存在は大きいですがそれを支える番頭役がいないとうまくいかないケースってのもけっこうあります。それぞれの立ち位置に自分の存在意義を見出すって発想も、天職幻想に惑わされるより有意義かも
 別に就職に高望をするなと言ってるわけではありませんが、まあそういう考え方もあるってことです。

 就活に煮詰まってる人が肩の力を抜くには良い本。私はけっこう気に入っています。

《脚注》
(*1)相変わらず就職の状況は厳しいようです
 文部科学省と厚生労働省の発表によると、2011年春卒業予定の大学生の10月1日時点の就職内定率をは大学生全体で57.6%(前年同期比4.9ポイント減)。”就職氷河期”だった2000年前後の60%台を下回り1996年以降で最低とのこと。
(*2)大学1回生とはいえ~
 就活朝日(asahi.com)ではもう2012年春卒業者対象になってます。まだ、2010年も終わってないんだぜ、おい!
(*3)人口構成もいびつ
 御多分にもれず1980年代の中ごろから急速に増えだして、バブル期をピークにして一気に抑制したというパターン。この不均衡が是正されるのはバブル期入社組が定年退職する20年近く先だそうです。
(*4)九蓮宝燈(ちゅうれんぽうとう)
 ”九蓮宝燈をあがった者は死ぬという”迷信という迷信があるそうですが、これは全ての運を使い果たしてしまったからということらしいです。人生の先は長いんですからここで運を使い果たしてもねぇ。
(*5)都立小石川高校
 数多くの東大合格者を輩出し、OBには小沢一郎、鳩山由紀夫もいるという名門高校です。

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