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世界にはばたくポケモン、ジェットだぜ!(菊とポケモン/ポケモン新幹線)

 ども、子供にポケモン買わされたおぢさん、たいちろ~です。
 先日、ゲームボーイを開発した横井軍平の本(*1)を読んでたら、たまたま”菊とポケモン”という本を見つけたのであわせて読んでみました。日本のコンシューマー製品でワールドワイドにヒットしたコンテンツ”ポケモン”って文化的にどう見られているのか?!ということもあって、アエラ的なお題を出しつつ(*2)、”菊とポケモン”の紹介であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
ポケモンジェトと言いながら、ポケモン東北新幹線の写真しかありませんでした。申し訳ない。


【本】菊とポケモン(アン アリスン 新潮社)

 文化人類学者アン アリスンによる日本のポップカルチャー”パワーレンジャー(日本のスーパー戦隊モノのリメイク)”、”セーラームーン”、”たまごっち”、”ポケットモンスター”を研究した本。単なるオタク本のたぐいではなく、かなりハイレベルな論文です。
 原題は”Japanese Toys And The Global Imagination”ですが、”菊とポケモン”はネーミングの勝利です(*3)。
【旅行】ポケモン新幹線
 外装にピカチューをはじめとしたポケモンのキャラクターをあしらった乗り物。
 ポケモンジェットの最初の就航は1998年とのことです。新幹線(JR東日本)は2008年に運行。
機内サービスとかはポケモンジェットのほうが上かなぁ。


 アリスンが結論として述べているのは、下記の3点

(1)グローバル文化の覇権を握っていたアメリカのソフトパワーの縮滅
(2)グローバルに想像力を喚起する新しいモデルは、作品自体に人々を引きつける
  魅力があるが、作成した国やその文化に対する好感を喚起するものではない
(3)クール・ジャパンが世界で人気を勝ち得た理由は、新世紀の資本主義的
  マーケティングと合致したファンタジー構成
があるからと考えるのが妥当

 数年前にサン・フランシスコに言ったときにトイショップにポケモンやドラゴンボールのゲームとかグッズが置いてあって、子供から”買って欲しい!”とせがまれたんですが、”日本でも売ってるやろ!”とダメ出ししたんですが、実はこれは間違いみたい。
 海外に輸出されている文化ってのは、ちゃんとその国ごとにカスタマイズされている場合があるってことです。これが(2)で言ってる内容。
 古くは”ゴズィラ(*4)”のように、日本のものを換骨奪胎してるってのは程度の差こそあれ、今でもあるそうです。
 ”グローバル化”っていうのは世界のどこでも通用するって言う印象がありますが、どうも”無国籍化”っていう側面もあるみたい。ポケモンの場合、ポケモンワールドは日本をモチーフにしたものではなく、どこにもない世界が舞台で、それがどこででも受け入れられる理由の一つだとか。逆にセーラームーンがアメリカで失敗作の烙印を押された(*5)のは日本的なテイストをそのまま持っていったのがまずかったとの評価をしています。
 こういった点をちゃんと押さえておかないと、手放しに”クール・ジャパン”礼賛に陥って危険なのかもしれません。

 あと、ポケモンの魅力を経済っていう観点で論じているのもユニーク。
 文化人類学の本なんかを読むと需要と供給などの狭義の経済のほかに”交換”と”贈与”っているのが出てきます。
 ポケモンっていうのはこのへんがゲームに組み込まれていて、単純にポケモン同士の戦い(バトル)のほかに友達にポケモンをあげたり、交換(トレーディング)ができるのが直線的なストーリーを追いかけるディズニーアニメではなかった点だと指摘しています。じゃあ昭和の時代の昆虫採集とかメンコみたいな牧歌的な世界だけかというと、交換自体がリアルな経済というか、レアモノは高いみたいな市場価格が形成されているとか、シビアな経済原則の側面にも言及していて、こういった二重構造的なところは面白いです。

 たくさんあるオタク評論とは一線を科したユニークな本。”ポケモンはよく解らない”というおぢさん世代(私もですが)ですが、単にゲーム批判をするだけでなく、こういった見方もあるという点では面白い本です。ただし内容はけっこうハイブロウな、噛み応えのある内容です。

《脚注》
(*1)ゲームボーイを開発した横井軍平の本
 ゲームの父・横井軍平伝(牧野武文 角川書店)のこと。
 詳しくはこちらをどうぞ
(*2)アエラ的なお題を出しつつ
 朝日新聞出版が発行する週刊誌。まじめな雑誌ながら、ど~しようもなくくだらない駄洒落を使った「一行コピー」が魅力。編集会議で何にするかをまじめに議論している姿を想像すると笑えます。
(*3)”菊とポケモン”はネーミングの勝利です
 日本研究の古典、ルース・ベネディクトの”菊と刀”のもじりです。日本語版あとがきでアリスンが”文化人類学者という共通項はあるが立ち位置は異なる”とコメントしています。こっちも現在読書中なので、また別の機会に。
(*4)ゴズィラ
 日本の”ゴジラ”をアメリカに輸出するにあたって、特撮は日本で俳優をアメリカ人にした”怪獣王ゴジラ”ってのがあります。見たことはないけど。本書ではこのバージョンを”ゴズィラ”と表記。
(*5)セーラームーンがアメリカで失敗作の烙印を押された
 他の国では成功しているし、アメリカでもカルト的な人気を得ているので、一概に失敗だとは言えないですが。
 ただ、アメリカというディズニーを擁するアメリカでも人気を得たことの裏返しが(1)で言ってるアメリカンパワーの低下にあたります。

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