« 勉強しようとすると、他のことをしたくなるのが人の常です(けいおん!/白バラ) | トップページ | 温泉三昧、読書三昧、だけどやっぱり”何もせんほうがええ”(ひとめあなたに/チャイニーズ・スープ/えんどうまめ) »

戦ったり、推理する能力ってのは人間の属性なのかも(ロボット刑事/鋼鉄都市/蟻塚)

 ども、娘がロボット工学するおぢさん、たいちろ~です。
 先日、”科捜研の女(*1)”を見てました。微細試料を分析するとこがけっこうコンピュータ屋の心をくすぐるとこもあって、時々見てました。 で、こういう科学捜査を突き詰めると、”歩く分析マシン=ロボット刑事”に行きつくわけでして、今回ご紹介するのはロボット刑事もの2題、石ノ森章太郎の”ロボット刑事”と、アイザック・アシモフの”鋼鉄都市”であります。


Photo
 写真は蟻塚。世界遺産イェーイから。
 何百万人もの人間が住む鋼鉄でパッケージされた都市ってこんな感じ?


【本】 ロボット刑事(石ノ森章太郎 中公文庫コミック版)
 カンと経験で事件を解決してきた芝刑事の前に現れたのはさまざな薬品、器具、電子頭脳を含めた最近の捜査用システムの総合体”ロボット刑事 K”だった・・・
 TV特撮シリーズもありますが、ストーリーは別物。
 表題は”ロボット刑事K”だと思っていましたが、意外にも”ロボット刑事”が正しいです。
【本】 鋼鉄都市(アイザック・アシモフ ハヤカワSF文庫)
 人々が鋼鉄のドームの中で生活する未来の地球。ニューヨーク市警の刑事イライジャ・ベイリが捜査を命じられたのは、宇宙移民者の子孫が駐在する施設内での殺人事件。そしてパートナとして現れたのはロボット刑事のR・ダニール・オリヴォーだった。
 原題は”The Caves Of Steel”と”都市”ではなく”洞窟”。話的にはこちらのほうがしっくりきます。
【自然】蟻塚
 巣を地中に作る過程でできる、土や砂や松葉や粘土などの堆積でできた山。熱帯地方には高さ6メートルにも及ぶ塔もあるそうです。


 2冊ともずいぶん以前に読んでいて同じような話だと思っていましたが、改めて読んでみると実はかなりテイストの違う作品。同じ点と違う点をまとめるとこんな感じ。

〔同じ点〕
冒頭には人間の刑事から嫌われている
 ”ロボット刑事”では老刑事である芝にとって科学捜査そのものが自らの”カンと経験”を否定するもの。だから科学捜査の象徴である”K”に反発を持つのは当然。
 ”鋼鉄都市”では、人間の仕事を奪うロボット自体が社会にとって嫌悪の対象。
最後にはお互いに認め合う
 芝刑事は、Kの心の優しさ、優秀さに最後は心をひらきます。
 ベイリも、人間とロボットによる新しい宇宙植民への道を説くようになります。

 こう書くとストーリー的には同じように見えますが、意外にも同じ点はこれぐらいで、相違点のほうが圧倒的に多いんですね。

〔相違点〕
容貌
 Kは一目でロボットとわかるような徹仮面的容貌。多くのロボットと違って変身せず、日常生活もこのまま。
 R・ダニールは高名なロボット学者でさえすぐには見抜けないほどの人間のそっくりさん。
捜査ロボットとしての性能
 Kのほうは光学分析、うそ発見機、線条痕の比較、血液分析など科学分析機能のかたまり。歩く科捜研みたいなもんです。
 一方、R・ダニールのほうは脳分析という高度なうそ発見機以外は分析機能はなさそうです。
ロボット工学第一条の順守性(*2)
 R・ダニールは暴徒化しそうな民衆に銃を向けますが、これは裏ワザ。基本的には第一条を順守しています。
 一方Kはロボット同士の戦いをする前提で作製されているので、基本的には武器の塊。実際に犯人を逮捕するために、痛がっている人間の腕をねじあげるなんて平気でやっています。作製者の霧島博士によると”アシモフの三原則を組み込んでいる”とのことですが・・・
推理する能力
 2つの小説で面白いのは、”ロボット刑事”では実際の事件ではKがホームズ役で、芝刑事がワトスン役。ただしKの正体を探る場合にみこれが逆転します。
 一方、”鋼鉄都市”では、いろいろ推理するのは(はずれることも多いけど)人間のベイリの役目。R・ダニールはむしろいろいろ証拠固めをするほうに回っています。

 この違いはどこから来るのか?
 意外なことに”ロボットの刑事”というジャンルで”純粋”にロボットは少ないんですね。Kにしたところで、頭脳には培養した霧島博士の母親の脳を使ったいわばサイボーグ。R・ダニールという存在はむしろ少数派です。
 古典的な8マンアーネスト・ライト、特撮モノのロボコップ機動刑事ジバン、最近ではルーン=バロットボイルドなど、みんなサイボーグの系列になります(*3)。

 思うに、純粋なロボットとして作製されたR・ダニールの存在意義が”観察者”であるのに対し、戦ったり、推理(=人を疑う)する能力ってのは畢竟、人間の属性なのかも。そしてKをはじめ、自分のありように悩むサイボーグたちの原点もそこにあるのかもしれません。

 良書とも、SFでは古典的名作。合わせて読んでみると、また別の趣があります。

《脚注》
(*1)科捜研の女
 沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所の法医学研究員”榊マリコ”の活躍を描くテレビ朝日の刑事ドラマ。
 調べて意外だったのは、科学捜査研究員は刑事部に所属するものの(京都府警の場合)身分上は警察官ではなく、拳銃の携帯や逮捕権などは認められていないとのこと。ただし、採用は県警本部で行い警察学校に通う必要もあります。
 京都府警科学捜査研究所の活動はこちらからどうぞ。
(*2)ロボット工学第一条の順守性
 アイザック・アシモフが提唱したロボットが従うべき三原則
    第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。
      また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない
  第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。
      ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
  第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、
      自己をまもらなければならない。
 SFでロボットを描く上では、守るべき大原則。
 ただし、リアルでこれを実現させるには、超絶的なコンピュータサイエンスと社会科学の発展が必要です。
(*3)8マンやアーネスト・ライト~
 8マン:平井和正、桑田二郎。人間の東刑事の記憶を移植したということで、
     ボディーはロボットだが魂は人間というサイボーグ。
 アーネスト・ライト:平井和正”サイボーグ・ブルース”より
     同僚に狙撃され殉職した警官がサイボーグとして再生。
 ロボコップ:殉職した警官の頭脳を移植したロボット警官が登場するSF映画。
     デザインは東映の”宇宙刑事ギャバン”の引用だそうです。
 機動刑事ジバン:東映の特撮テレビ番組。ヒロインを救うために殉職した刑事を救う
     ためにサイボーグ化。ロボコップの動きがとりいれられてます。
 ルーン=バロット、ディムズデイル・ボイルド:
     冲方丁”マルドゥックシリーズ”。ロボット刑事モノとは言い難いですが、
     超人的な捜査官ということで。

« 勉強しようとすると、他のことをしたくなるのが人の常です(けいおん!/白バラ) | トップページ | 温泉三昧、読書三昧、だけどやっぱり”何もせんほうがええ”(ひとめあなたに/チャイニーズ・スープ/えんどうまめ) »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

小説」カテゴリの記事

自然」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/528774/49708296

この記事へのトラックバック一覧です: 戦ったり、推理する能力ってのは人間の属性なのかも(ロボット刑事/鋼鉄都市/蟻塚):

» banco-lifeよりのお勧め品 [プロが選ぶ本物の道具店banco-life]
①卓球ロボット練習機100球付②ハンガーボード台所に便利③ステンレス製メールボックス鍵付④ゴミ箱ステンレス製/ゴミ取トング⑤ゴルフパット練習機 [続きを読む]

» banco-lifeよりのお勧め品 [プロが選ぶ本物の道具店banco-life]
①卓球ロボット練習機100球付②ハンガーボード台所に便利③ステンレス製メールボックス鍵付④ゴミ箱ステンレス製/ゴミ取トング⑤ゴルフパット練習機 [続きを読む]

« 勉強しようとすると、他のことをしたくなるのが人の常です(けいおん!/白バラ) | トップページ | 温泉三昧、読書三昧、だけどやっぱり”何もせんほうがええ”(ひとめあなたに/チャイニーズ・スープ/えんどうまめ) »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ