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インターネットの光トカゲ、もとい、光と影(BUZZ革命/今ウェブは退化中ですが、何か?/バイカラー)

 ども、社内のホームページとブログの管理人、たいちろ~です(これは本当)。
 まあ、社内といっても300人弱ぐらいの本部ですが、全国に部署が分散しているのでメールやネットは重宝して使っています。
 今年の4月から”本部内ブログ”というのを始めました。本部長が自ら原稿を書いてくれていることもあってスタート5ケ月そこそこにしてはまあ認知されたかな? というレベルです。
 で、本質的な疑問としてあるのは”じゃあ、これが役に立っているのか?
 社内であれば、”まっ、面白ければいいじゃないですか”ぐらいでごまかせますが、企業メッセージとして社外に発信するとなるとそうも行かないんでしょうねぇ。
 ということで、今回は企業サイトのネット活用をまったく反対の視線で論じた”今ウェブは退化中ですが、何か?”と”BUZZ革命”であります


0312

写真はたいちろ~さんの撮影。近所のモクレン(*1)、バイカラーの花の例です。


【本】BUZZ革命(井上 理 文藝春秋)
 ホームページは企業のブランドイメージをアップさせる。ツイッター、ユーストリームで売り上げを伸ばす有効な戦略だ! ネット戦略こそが企業の勝敗を徹底する!
 企業の成功体験に基き明るい未来を提示する問題の書
【本】今ウェブは退化中ですが、何か? クリック無間地獄に落ちた人々(中川 淳一郎 講談社BIZ)
 「私は断言する。ネットほど不気味で、不自由で、窮屈で、疲れる場所はない」
 ”ネット教信者”の言うように、ネットでブランドイメージは上がらないし、すぐ暇人とバカによって炎上やバッシングは起こるし・・・
 ネットの明るい未来をまっこうから否定する問題の書
【自然】バイカラー(bicolor)
 2つの色の組み合わせのこと。花では、クリスマスローズやモクレンのように表と裏で色が違うものなんかをこう呼んでいるようです。
 個人的には変化があって好きなんですが、人間や会社で裏表のあるのは・・・


 まずは井上 理の”BUZZ革命”から。
 ”BUZZ(バス)”というのは聞き慣れない言葉ですが、これは”ウェブ空間を失踪する無数のクチコミ”のこと(本書より)。
 載っている事例としては、

(1)自らツイッターの利用者であり、ツイッターのつぶやきから障害者割引を開始した
 というソフトバンクの孫正義
(2)ツイッターの利用で、広告予算がない中売り上げを増進したカトキチ(現テーブルマーク)のコーポレートコミュニケーション部長
(3)携帯ゲームとリアルな旅行を組み合わせた”コロプラ(コロニーな生活☆PLUS)”で売り上げアップ
(4)ネットでのキャンペーン情報をうまく配信させることで売り上げを伸ばしたユニクロ
(5)ユーストリームを使って会議をそのままインターネットで放映する”そらの”のダダ漏れ放送を1万人以上が視聴

 などなど

 方や、中川 淳一郎の”今ウェブは退化中ですが、何か?”では

(1)ネッものネットはバカと暇人のもの。集合知なんてほとんどない
(2)ネットの現場では無責任で無関係な人の炎上やクレーム対応で疲弊している
(3)ネットよりテレビのほうが影響力は大きい。ネットで話題になるのはテレビのネタ。
(4)ネットの意見はゆがんでいる。そこには”公”の意識は希薄だし”責任”もない
(5)ネット投票の結果は晒し者を探しているだけ

というのが主張。

 まあ、”モクレンの色って何?”って質問といっしょで、どっちが先に目に留まるかによって答えが異なるように、この手の本ってのはどっちを先に読むかによって印象が変わります(ちなみに私は”今ウェブは退化中ですが、何か?”を先に読みました)。
 でもまあ、冷静に見てこの議論は中川 淳一郎の方に分がありそう。
 ていうのも、井上 理の主張って、”結果オーライでメリットがあっても、企業としてそれでええんか?”という感じがするからであります。

 (1)の孫正義の例でいうと、社内における意思決定のできる、言い換えると誰にも文句を言わせない立場だからできることっていうのは確かにあります。会社でツイッター利用の難しいのは、一介の会社員とトップが同じ土俵で論じられないこと。社長と同じメッセージやリアクションができるとは思えませんし、むしろ社内の縦横ナナメからボコボコにされかねません。
 (2)のカトキチの場合は単に”この部長=おっさんが面白い”からフォロアー(ファン)が着いているだけで、カトキチのファンってわけじゃなさそう。まあスナックの女の子にお客が着くのと同じようなもんで、この人がニチレイにいけば、きっとフォロアーもニチレイにいっちゃうんでしょうねぇ・・
 (3)コロプラの場合はゲーム内のポイントをゲットしたいだけで、商品そのものの魅力が訴求=ブランディングされて人が集まっているわけではないみたい
 (4)ユニクロはネットを上手く使っている例だけど、それは”キャンペーン”という実態があってこそで、ネットそのものがあって出来ているわけではなさそう。
 話題性はあっても、”じゃあTV広告をだせばいいんじゃね?”と言われたらそのほうが効果あったかも。
 (5)会議をそのまま放映されても、それを全部見るのはレポートする必要のある人か時間がある人ぐらいじゃないかな? 普通の会社員なら3分でレポートを読めば事足りるし、偉い人なら部下から1分で報告させます

 まあ、まとめると”いままで出来なかったことが出来るようになったのはいいことだけど、そこまで絶賛するような内容か?”という素朴な疑問を感じるからでしょうか?

 思うに井上 理と中川 淳一郎の主張の違いは”ネットを使う人(発信側も受信側も)”に対する認識の違いではないかと。いみじくも中川 淳一郎が述べているように、1990年代後半までは”賢い人(リテラシーがあり、ネットに対する可能性に冷静な判断ができる人)”が中心だったのに対し、それ以降の急速な周辺の拡大によって、商業主義やわかっていない人が多数派になって快楽主義的や刹那的な人がメインになったこと。この状況を認めるか否かが主張の根幹にあるように見受けられます(*2)。

 まあ、できちゃったテクノロジーってのは使ってみたくなるのは世の常だし、ネットに限らず実際に使い始めばうまく使うヤツもいれば、困ったちゃんが発生するものです。
 自動車だって、物流コストの削減やドライブという娯楽を生み出した反面、交通事故や暴走族が社会問題したようなモンだとも言えます。
 要は過剰な期待とか忌避感を持ったりせずに、利用のコンセンサスとか有益な使い方の模索をちゃんとやることでしょうね。時間はかかるかもしれないけど。

 本としては、単品ではなくセットで読むことがお勧め。どちらの本にもいいトコもあれば突っ込みどころもあります。
 もっとも、中川 淳一郎の本には”ネットのヘビーユーザーは本をろくに読まない”ってのもあったけどなぁ。

《脚注》
(*1)モクレン(木蓮、木蘭)
 モクレン科モクレン属の落葉低木。通常モクレンというと、紫色の”シモクレン”を指します。白色は”ハクモクレン”でこっちは10~15mになる高木。
 モクレンの花言葉は”高潔な心、崇高”。
(*2)それ以降の急速な周辺の拡大によって~
 そういえば、岡田斗司夫のオタク論でも同じような話をしていたような・・・


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