« やっぱり、松本零士か寺沢武一のイラストが欲しかったな(シャンブロウ/茜) | トップページ | 越後屋、お主もワルよのぅ。いえいえお代官様にはかないませぬ(水戸黄門/やまぶき »

モクレンの花の咲く下で文学少女と出会いたいものです(”文学少女”と死にたがりの道化”/モクレン)

 ども、ブンガクするおぢさん、たいちろ~です。
 近所の庭にモクレンが咲きました。春になると大輪の白い花を咲かせる木で、開花時期が短いのがもったいないくらい美しい花です。毎年、咲くのを楽しみにしています。
 で、この花を見るたびに思い出すのが、ロングの三つ編みにスレンダーなひとりの”文学少女”。ということで、今回ご紹介するのは””文学少女”と死にたがりの道化”であります。

0351 0312


 写真はたいちろ~さんの撮影。左が”ハクモクレン”、右が”シモクレン”。近所の家の庭にて。
 ”ハクモクレン”は同じ時期に咲く”コブシ”とよく似ていていつも迷うんですが、たぶん間違いないと思います。


【本】”文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)”(文 野村美月、イラスト 竹岡美穂、ファミ通文庫)
【本】”文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)”(原作 野村美月、作画 高坂りと、スクウェア・エニックス)
  物語を食べちゃうぐらいに愛する遠子先輩を主人公とする“文学少女”シリーズの第1作目。遠子先輩の頼みで、千愛(チア)ちゃんのラブレターの代筆することになった元覆面美少女作家、井上ミウこと”井上心葉(コノハ)”(♂)。ところが千愛ちゃんの想い人は存在しなかったことで、話は思わぬ方向に・・・。
 学園ミステリーにして、ライトノベルの傑作。高坂りとでコミック化、2010年5月にはプロダクションI.Gの製作で映画化されます。
【花】モクレン(木蓮)
 モクレン科モクレン属の落葉低木。
 ”文学少女”と死にたがりの道化”では白い花として描かれていますが、これは正確には”ハクモクレン”で10~15mぐらい高くなります。一般的に”モクレン”というと”シモクレン”という外側は紫色、内側は白い花のほうを指します。
 でもやっはり白い花のほうが”文学少女”のイメージは合っているかな。


  かくして、謎の天才覆面美少女作家井上ミウは、たった一冊の本を残して消滅し、
  ぼくは普通に受験し、合格し、高校生になり、そこで本物の”文学少女”を--
  天野遠子先輩を知ったのだ。

  何故、ぼくが、再び書きはじめたのか

    それはあの日、シンと輝く真っ白な木蓮の下で、
    遠子先輩に出会ってしまったせいだった。

 このモノローグで始まる”文学少女シリーズ”、かなりロマンチックなようですが、その時、遠子先輩はお食事中なのですが、食べているのは”本”。本のベージをちぎってもぐもぐ食べるシーンです。
 自己紹介が”ごらんのとおりの文学少女よ”という遠子先輩、腰まで届く三つ編み、みごとにぺったんこな胸(本人曰く、”ちょっとはふくらみあるもん!”)、つぶらな瞳となかなかの美少女。どこぞの文芸部員と違って(*1)、文学を語りだすと止まらないという生粋の”文学少女”です。で、心葉くんはといえば、遠子先輩のお食事シーンを目撃したために、文芸部に拉致されて、遠子先輩のおやつ=三題話をかくはめになるわけです。

 心葉くんはといえば、謎の天才覆面美少女作家としてベストセラーを出したがゆえに恋人が自殺未遂をして、ひきこもりになったという屈折した過去をもつ少年。どちらかというと消極的な性格ながら、言うことはなかなか辛らつ。上記の”ぺったんこな胸”は心葉くんの発言だし、遠子先輩は妖怪あつかいだし。でも、味覚=読書感想の遠子先輩に書くお話を自由に味付けできるとこなんか天才なんでしょうね。でも、”お豆腐の味噌汁にあんこを浮かべたような味”のお話ってどんなんだろうなあ

 ”死にたがりの道化”は、遠子先輩が千愛ちゃんの恋のレポートを読みたいがためにラブレターを代筆するというシラノ・ド・ベルジュラック(*2)のようなきっかけです。表紙の繊細なタッチと淡い色使いのイラスト(*3)なので、表紙だけ見てると甘い話かと思われるかもしれませんが、ストーリーはけっこうダイクサイド。なんとなれば、このお話のモチーフは太宰治の”人間失格(*4)”。でも、原作の雰囲気をよく捕まえているんですね。私は”死にたがりの道化”を読んで、改めて”人間失格”を読みました。

 裏表紙の解説には”ミステリアス学園コメディー”とありますが、テーマになっている文学作品を援用した推理ってけっこう秀逸。ハウダニットではなくホワイダニット(*5)に重点をおいた愛憎劇はけっこう本格的です。

 おぢさんが、ブックカバーなしで通勤中に読むにはちょっと恥ずかしいですが、それでもとってもお勧めのシリーズです。ブックカバー付でぜひどうぞ。
 5月には映画も公開されるので、見に行きたいな~~

《脚注》
(*1)どこぞの文芸部員と違って
 ”涼宮ハルヒの憂鬱”に登場する文芸部員、長門有希さんのこと。極端に無口の人ですが、シーンによっては超長ゼリフを一気にしゃべることもあります。でも、この人からブンガクのセリフが出たことないな~~。ほとんどの時間、本を読んでるのに。
(*2)シラノ・ド・ベルジュラック
 エドモン・ロスタンの戯曲”シラノ・ド・ベルジュラック”のこと。
 大きな鼻の持ち主シラノは、美男のクリスチャンの代わりに自分の想い人でもあるロクサーヌに恋文を代筆するお話。まだ読んでいませんが、ブラックジャック(手塚治虫)にこのモチーフのお話がありました。シラノ役はお茶ノ水博士や猿田彦の若いころのような人です。
(*3)繊細なタッチと淡い色使いのイラスト
 原作版にイラストは竹岡美穂さん。けっこうこの人の絵、好きです。
 コミック版の作画の高坂りとさんも、よく雰囲気を合わされていますのでどちらもお勧め。
(*4)人間失格
 太宰治による長編小説。一言でいうと”自分を偽って生きてきた男がモルヒネ中毒の末、精神病院に入れられる”という身も蓋もないお話。あんまり子供向きの話じゃないと思うんだですが・・・
 内容は、以前このブログでも書きました
(*5)ハウダニットではなくホワイダニット
 どのように犯行を行ったかというトリックに重点を置いたのがハウダニット(Howdunit=How(had) done it)、なぜその犯行を犯したのかという動機に重点をおいたのがホワイダニット(Whydunit=Why(had) done it)です。ちなみに、犯人探しに重点をおくのが、フーダニット(Whodunit=Who(had) done it)。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

« やっぱり、松本零士か寺沢武一のイラストが欲しかったな(シャンブロウ/茜) | トップページ | 越後屋、お主もワルよのぅ。いえいえお代官様にはかないませぬ(水戸黄門/やまぶき »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

小説」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/528774/48043802

この記事へのトラックバック一覧です: モクレンの花の咲く下で文学少女と出会いたいものです(”文学少女”と死にたがりの道化”/モクレン):

« やっぱり、松本零士か寺沢武一のイラストが欲しかったな(シャンブロウ/茜) | トップページ | 越後屋、お主もワルよのぅ。いえいえお代官様にはかないませぬ(水戸黄門/やまぶき »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ