« 自慢のベリー園、その名は”ラブandベリー”?!(おいしいベリーを育てる本/ベリー) | トップページ | モクレンの花の咲く下で文学少女と出会いたいものです(”文学少女”と死にたがりの道化”/モクレン) »

やっぱり、松本零士か寺沢武一のイラストが欲しかったな(シャンブロウ/茜)

 ども、中年SFファンの、たいちろ~です。
 今でこそ、ライトノベルのような”表紙”が本の売れ行きを左右される時代ですが(*1)、昔のSF本もけっこうマンガ家が表紙を飾っていたことがありました。ハヤカワ文庫だけで見ても、石森章太郎の”デューン 砂の惑星”(*2)とか、永井豪の”超革命的中学生集団”(*3)とか、吾妻ひでおの”・・・絶句”(*4)とか。
 その中でも、もっとも雰囲気のあってたのが、今回ご紹介する松本零士の”シャンブロウ”であります。

Akane Photo_2

 左の写真は青木繁伸さんの”植物園”のホームページより。茜(あかね)です。
 右は茜色(RGB 211,56,28)と緋色(RGB 178,45,53)の比較。


【本】シャンブロウ(C.L.ムーア (著)、仁賀 克雄 (翻訳)、論創社)
 熱線銃を片手に宇宙を股にかける無法者、ノースウエスト・スミスは酒場で”シャンブロウ”と呼ばれる子猫のような美女を助けた。赤褐色の肌、細く切れ上がった猫のような瞳、指には丸い爪、細く平らなピンクの舌。そして頭に巻かれたターバンの下には滝のように流れる緋色の髪が隠されてた・・・
 1933年に”ウィアード・テールズ”誌に掲載されたスペースファンタジーの古典。
【花】(あかね)
 アカネ科のつる性多年生植物。根は乾燥すると赤くなるので”アカネ”なんだそうです。Wikipediaによると、茜の色素を高純度に精製した染料の色が”緋色”、茜を精製せずに使った染料の色が”茜色”
 上の図を見てもらうと判るように茜色は緋色よりくすんだ赤になります。


1_2 2_5 3_2




























 今回ご紹介の”シャンブロウ”は、1971~3年にハヤカワ文庫から出版された”大宇宙の魔女”、”異次元の女王”、”暗黒界の妖精”の3冊で出版されたものを改訳してまとめたもの。(写真は左より同順番。YhaooオークションのHPより)
 イラストは松本零士です。”暗黒界の妖精”の表紙なんて、思いっきりテレサだし(*5)。

 確かこれらの本を読んだのは中学校か高校ぐらいだったかな?
 主人公のノースウエスト・スミスなんて、後から考えるとすごいキャプテンハーロック(*6)のイメージがあるし。まだ松本零士ブームの前だったんで、たぶん他の作品での印象でしょうか? ”宇宙を駆ける無法者”というイメージがとてもマッチしています。

4


 今回再発行するんだったら、なんでイラストも使わなかったんだろう? 今回の表紙って、なんだか女性器をイメージさせるようなので、合ってないと思うのはオールドファンの偏見でしょうか・・・

 さて、改めて読み返してみましたが、もし、新しくイラストを描いてもらうとしたら松本零士以外だったら寺沢武一かなっという感じ。今のキャプテンハーロックのイメージっていうと、銀河鉄道999に出てくるような”強くてクールだけど、ストイックで頼れる”かなあ。かつてのハーロックは大人向けの短編とかガンフロンティアあたりではけっこうエッチなシーンもあったんですけどね。

 ”クールな殺人者ながら、けっこう女に手が早い。魂に根ざした生存本能と、強靭な精神力”というノースウエスト・スミスのキャラクターから見ると、”コブラ”と”ゴクウ”(*7)をミックスしたあたりがベストマッチ。寺沢武一というマンガ家は、”コブラ”のような西部劇っぽい酒場とか辺境のジャングルとかのような舞台をカッコよく書けるし、美女を描かせたら天下一品の人。ストイックなようでいて女にもてる”ゴクウ”は新しいノースウエスト・スミス像にはぴったりです。

 で、”シャンブロウ”はというと、上記の紹介にあるようにまさに”猫”のイメージ。ネコ耳はないけど。緋色の髪から人間の生命力を吸い取るかわりに甘いエクスタシーの悦楽を与えるという生き物です。緋色っていうのを改めて調べてみると、まさに血をイメージさせる色なんですが、確かに血の色って人間の情念を掻き立てるようなところがありますよね。植物の根っこから染める色だとは思えん・・・

  彼女はすくっと立ち上がった。
  その頭から伸びてうごめく緋色のものは全身に滝のごとく垂れ下がる。
  生きたマントとなって床の素足まで達し、恐ろしくぬめぬめのたうつ生命体として
  彼女を覆った。
  彼女は手を上げると泳ぐように滝をかき分け、塊を肩の後ろに投げ、褐色の肉体、
  すばらしい曲線をあらわにした。
  優美な笑みを浮かべ、額から背中にかけて這いまわる髪は、蛇のようにぬるぬる
  した生きている巻き毛となって、よじり合い恐ろしい背景を成していた

 いや~、私、ロングヘヤーの女性に弱いんです・・

 もとい、松本零士はスレンダーな美女、寺沢武一はグラマラスの美女と傾向は違いますが、どちらを選ぶかは好みかと。今からでもいいから、ぜひイラストに入れて欲しいものです。
 文章だけでも充分楽しめる本ですので、ぜひご一読のほどを。

《脚注》
(*1)”表紙”が本の売れ行きを左右される時代ですが
 ベストセラーになってる”もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(岩崎 夏海 ダイヤモンド社)”なんて、あの表紙でなかったらここまで売れなかったと思うんだけどなあ。現在、読書中です。
(*2)石森章太郎の”デューン 砂の惑星”
 文章はフランク・ハーバート。砂の惑星”アラキス”で、救世主ポウル・アトレイデをめぐる大河SF。
 1984年にデイヴィッド・リンチの監督により映画化。後に”新スタートレック(Star Trek: The Next Generation)”でジャン=リュック・ピカード艦長を演じるパトリック・スチュワートも出演しています。
(*3)永井豪の”超革命的中学生集団”
 文章は平井和正。”ウルフガイシリーズ”、”幻魔大戦”など人間のダークサイドを描いた小説の多い平井和正ですが、これは数少ないはちゃめちゃコメディ小説。
(*4)吾妻ひでおの”・・・絶句”
 文章は新井素子。当時としては女子大生SF作家とロリコンマンガ家の夢のコラボレーションでした。”ひでおと素子の愛の交換日記(角川書店)”は共著になってます。
(*5)思いっきりテレサだし
 1978年に公開された映画”さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち”に登場する地球に救いの手をさしのべる美女。DVDのパッケージなどに描かれているテレサの祈りのポーズは、まんま”暗黒界の妖精”の表紙です。
(*6)キャプテンハーロック
 宇宙船”アルカディア号”の船長。”宇宙海賊キャプテンハーロック”や”銀河鉄道999”が有名ですが、ハーロックというキャラクター自体はそれ以前の短編等にも出ていたキャラクターです。
(*7)”コブラ”と”ゴクウ”(寺沢武一)
 ”コブラ”は少年ジャンプに連載された、宇宙海賊コブラを主人公としたスペースオペラ。
 ”ゴクウ”は”コミックバーガー”に連載された、全てのコンピューターにアクセス可能な端末を埋め込まれた探偵、風林寺ゴクウを主人公としたSFハードボイルド。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

« 自慢のベリー園、その名は”ラブandベリー”?!(おいしいベリーを育てる本/ベリー) | トップページ | モクレンの花の咲く下で文学少女と出会いたいものです(”文学少女”と死にたがりの道化”/モクレン) »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

小説」カテゴリの記事

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/528774/47991052

この記事へのトラックバック一覧です: やっぱり、松本零士か寺沢武一のイラストが欲しかったな(シャンブロウ/茜):

« 自慢のベリー園、その名は”ラブandベリー”?!(おいしいベリーを育てる本/ベリー) | トップページ | モクレンの花の咲く下で文学少女と出会いたいものです(”文学少女”と死にたがりの道化”/モクレン) »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ