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古くせえもなア、いざというとき間にあわねえ(おじいさんのランプ/しだれ柳)

 ども、頭が白熱電球ではない、たいちろ~です。いや、ちょっとアブナイかも・・
 先日、東芝ライテックが白熱電球の製造を終了したとのニュースがありました(*1)。
 東芝の源流をたどると、藤岡市助らが1890年(明治23年)に”白熱舎”を創設し、日本で最初の白熱電球の生産したという、まさに創業事業のひとつ。
 今でこそ、白熱電球といえば、CO2削減の槍玉に挙げられていますが、かつてはGEの礎を築き、パナソニックの原点となるハイテク技術だったんですよね(*2)。
 ということで、今回ご紹介するのは、白熱電球黎明期のお話”おじいさんのランプ”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。北海道大学構内のしだれ柳です。

【本】おじいさんのランプ(新美南吉)
 かくれんぼをしていた東一君は、蔵の中から古いランプを見つけました。
 巳之助(みのすけ)おじいさんは、そのランプにまつわる昔の話を東一君に語り始めました・・・
 新美南吉による児童文学の名作。いろいろ出版されてますが”少年少女日本文学館”のシリーズで読みました。
 ご年配の方は、小学生のころ読んだ方も多いかと。
【花】しだれ柳
 柳はヤナギ科ヤナギ属の樹木の総称。日本で”柳”といえばシダレヤナギを指すことが多いです。
 川や池の周りに植えらるのは、張った根っこが水害防止対策になるからだそうです。

 身寄りのない少年、巳之助は町で見かけたランプの明かりに感動して、ランプを自分の村で売り始めました。巳之助にとって、だんだん商売が繁盛すると共に、今まで暗かった村々が自分の売ったランプで明るくなっていくのが楽しみでした。
 ところがある日、町に電気が引かれ、電球が灯り始めました。
 ”自分の商売ができなくなるんじゃないか?”と不安を感じる巳之助。
 やがて自分の村に電気を引かれることになり、それを決めた村長さんを恨んで、家に火をつけようと火打ち石を持って出かけていきました。

 おおまかなあらすじはこんな感じです。今回のお題の

  古くせえもなア、いざというとき間にあわねえ

 は、マッチが見つからずに、火ち打石で放火をしようとして、なかなか火がつかずに、火打ち石をののしる巳之助の言葉。ここで、マッチという便利なものと古い火打ち石を比べて、自分の職を失うことを恐れて新しいものを否定する自分の間違いに気がつきます。
 巳之助のカッコイイのはここから。
 売れていなかった50ケのランプを、池の岸にあるはんの木や柳にかけて灯をともします。

  わしの、しょうばいのやめ方はこれだ。
  お前たちの時世はすぎた。世の中は進んだ。

 と言いながら石をぶつけて割っていきます。
 木に吊るされた50ケのランプ。そして池にうつる50ケの灯り。幻想的でありながら、巳之助の覚悟の程がわかる名シーン。
 やはり一つに時代の滅びの風景とはこうありたいものです。

 巳之助おじいさんが、昔語りを終えて東一君に言います。

  わしが言いたいのはこうさ、
  日本がすすんで、自分のしょうばいがお役に立たなくなったら
  すっぱりそいつをすてるのだ。
  いつまでもきなたく古いしょうばいにかじりついていたり、
  自分のしょうばいがはやっていた昔の方がよかったといったり
  世の中のすすんだことをうらんだり、
  そんな意気地のねえことは決してしないということだ。

 ”おじいさんのランプ”は児童文学になりますが、こういう所は本当は大人が読むべき話ではないでしょうか。別に古いものがすべてダメだと言うつもりはないですが、雇用確保の為にあたら事業を継続していることってないでしょうかね・・・

 そして、巳之助は新しい商売”本屋さん”を始めることになりました。

 さて、東芝ライテックが白熱電球の製造を終了した記事が新聞に載った日、総務省、文部科学省、経済産業省が電子書籍の普及に向け統一規格作りに着手した旨の記事が掲載されました。キンドルやiPad(*3)といった電子書籍の普及に対応するといのが趣旨だそうですが、利用者の利便性というより”紙の本が売れなくなる”とか、出版社が中抜きされて破綻するとかを恐れて保護主義に走っているような気がしてなりません。

 できうれば、巳之助に軽蔑されないような大人の対応をして欲しいと、一介の本読みとしては思うのであります。

《脚注》
(*1)東芝ライテックが白熱電球の製造を終了~
 東芝ライテック、白熱電球の製造を終了 120年の歴史に幕
 (2010年3月17日 Yahoo!ニュースより)
(*2)GEの礎を築き、パナソニックの原点となる~
 世界第二位の電機メーカー”GM(ゼネラル・エレクトリック General Electric)”も、元をたどれば1878年にトーマス・エジソンが設立した”エジソン電気照明会社”。
 大阪電燈(現関西電力)に勤務する青年が、簡単に電球の取り外しが可能な”電球ソケット”を発明、これを製造する会社を創業しました。この青年こそが”松下幸之助”、創業されたのがパナソニック(旧松下電器産業)であります。
(*3)キンドルやiPad
 キンドルはAmazon.comの、iPadはアップルの電子書籍用の端末。端末の向こうにある膨大な電子化された書籍を読むことができる”持ち歩けるブックセンター”みたいなモンです。
 現在は日本の書籍は対象ではありませんが、早く日本の本も読めるようになって欲しいと思っている愛書狂は多いはず。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

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コメント

古い物の価値を否定はしないけど、新しく普及するものはやはり時代の要求に応えているものだし、変化を恐れていては取り残され、老け込むだけです。
写真の世界もすっかりデジタルに取って代わられてしまったけど、デジタルに無いものを求めてフィルムカメラも以前根強いファンが多くいる。高校の写真部でも、モノクロフィルムでの活動をしているところがけっこうあったりする。
しかし、35mm.フィルムカメラの原点・ライカの試作機ウル・ライカの画像フォーマット、24ミリ*36ミリ。デジタル一眼のフルサイズとして今でも使われているんだからなぁ。いくつかの違うフォーマットのカメラが作られてきたけど、結局はこのサイズに落ち着いた。当時のライカのエンジニアのオスカー・バルナックの名前はまだまだ語り継がれそうだ。

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