« 雛飾りを桃の節句が過ぎてもしまわないと、婚期が遅れると言われている(四季おりおりっ!/花桃) | トップページ | そっか、卒業してもみんな一緒だ(あずまんが大王/桜) »

はたして賢か愚か?(のぼうの城/梅モドキ)

 ども、会社では単なる愚か者のおぢさん、たいちろ~です。
 私にしては珍しく、TVかなんかの書評で面白いというのがあって、この本を読みました。”のぼうの城”であります。
 いや、面白かったですよ、この本!

0339
 左の写真はたいちろ~さんの撮影。近所の園芸店の梅モドキです。

【本】のぼうの城(和田 竜 小学館)
 攻め手、石田三成、大谷吉継率いる2万3千人の大軍。守り手、”のぼう様”こと成田長親、その友人正木丹波の率いる武士+農民混成軍3740人。
 圧倒的な戦力差の中(*1)、始まった忍城攻防戦の結果は?。
【花】ウメモドキ(梅擬)
 9月頃に赤い実のなるモチノキ科の落葉小高木。
 ”XXモドキ”っていうのも失礼なネーミングですが、それ以前にどこが梅なんでしょう? 南天や、万両ならまだ分かるんですか・・・
 花言葉は”知恵、明朗”など。

 ”のぼうの城”のネーミングの由来は、主人公”成田長親”のあだ名。これは”木偶の坊”の”のぼう”なんですね。今風に言うと”天然系”。この手の人間の何が怖いかというと、”何を考えているか分からない”、”空気が読めない”、”何を言い出すか分からない”。つまり、行動が読めないんですね、これが。

 会社なんかでも、多少仕事上付き合っていると、だいたいの人は行動パターンや思考回路というのがなんとなく分かってくるものです。こういう人は”どこをどういじれば、どういうリアクションが返ってくるか”の想像がつくので、ツッこみどころがわかります。 ところが、これがわからない人ってのもたまにいます。この”わからない”ってのも2パターンあって、一つ目は”底の見えない人”つまり、こちらの予想していたリアクションを超えた反応を返す人。もうひとつは”いざという時に大バケする人”。普段は別になんということはないのに、緊急事態が発生すると意外なパワーを発揮するタイプ。逆に普段はリーダーシップを発揮するのにイザというとき、行動が型にはまって上手くとりまわしのできないタイプ。いわゆる”平時の将”と”緊急時の将”というやつです。

 ”のぼうの城”って歴史モノなんですが、読書感があんまりそんな感じがしません。戦国武将って有能な人は(結果はともかく)有能で、小才子はなにをやらせても小才子ってパターンが多いですが、この平時の将と緊急時の将の組み合わせで難局を乗り切るってパターンだからかも。

〔攻め手 豊臣軍〕
・大将 石田三成
 のちに関が原の戦いを画策した人。豊臣秀吉は”理財には長けている、軍略に乏しい”と指摘していますが、長大な堤を作成して水攻めをしたりとダイナミックなこともやっています。結果的には敗北しますが、全体として見れば有能な人です。
・参謀 大谷吉継
 豊臣秀吉をして「吉継に100万の兵を与えて、自由に指揮させてみたい」と言わしめた武将。関が原の戦いでは石田三成は勝てないと先が読めていながら、友誼のために共に戦うといった熱い一面もあります。
・小才子 長束正家
 軍使として忍城に赴き、横柄な態度とムチャぶりで、開城に決まっていた成田側の意見をひっくり返して戦端を開くきっかけを作った人。

〔守り手 成田軍〕
・大将 成田長親(のぼう様)
 普段は百姓仕事にあこがれながら、百姓にすらじゃまにされる不器用さ。武術もまったくダメダメという無能を絵に描いたような人ですが、この人の”戦いまする”の一言で忍城攻防戦が開始されることになります。
・参謀 正木丹波
 武道に秀で、騎馬鉄砲なんていう戦術を考え出すなど知略も持っている人。おそらく忍城側ではもっとも有能。ただ、子供のころ見た上杉謙信ような武運が自分にはないというコンプレックスと、まとめ役という立場から行動に枠をはめがち。
・小才子 成田氏長
 北条家に味方するように見せながら、豊臣軍に内通した人。のぼう様が”戦う”なんて言い出さなければ”有能”と評価された可能性もあります。

 で、のぼう様を”賢者か愚者か”という分類で言うと明らかに愚者。でも、底の見えない愚者なんですね。ところが、賢者であるはずの三成&吉継はというと、自分のモノサシでモノを考えるので、かえって混乱をきたしてしまいます。

  敵の勝利を痛快がっていた三成でさえ、
  なにか得体の知れぬ男を敵に回してしまったかのような心地がしていた
   「どう思う」
  三成は、思わず吉継にきいていた。
   「でくの坊と呼ばれ平然としている男か
  吉継は、深刻な顔でつぶやいた。
   「果たして賢か愚か

 小説をよく読んでみると、軍略上でのぼう様がやった重要なことって、戦うことを決めたのと、敵前で田楽を踊ったのと、敗戦交渉をやったことぐらいで、軍事上の差配はほとんど参謀役の正木丹波がやってるんですね。結局、この二人の組み合わせがあったからこその勝利。ですが、のぼう様のもっとも決定的なところは何かというと、意外な人望があったことだと思います。
 しぶる百姓たちを城に篭城させて戦力化しようと説得する正木丹波。”誰が戦うと決めたんだ”という百姓の問いに対して”長親だ”と答えると

  しょうがねえなあ、あの仁も
  のぼう様が戦するってえならよう、
  我ら百姓が助けてやんなきゃどうしようもあんめえよ。なあ皆。

 いみじくも三成が評しているように、”のぼう様は何もできないから、家臣も領民も世話を焼きたくなる”。つまり、賢か愚かといった問いひょいと飛び越えたところにこの人の持ち味があるんでしょうね。
 以前、何かの本で読みましたが、仕事における最上の人間関係って、”この人にモノを頼まれると(強制的ではなく)やらないといけない”という気持ちにさせることだそうです。

 普段はリーダっぽく振る舞いながら、いざという時にものが決められない”リーダもどき”とか、知識はあっても知恵がない”参謀もどき”が跳梁跋扈する昨今、”もどき”ではない本物のコンビの活躍が望まれます。
 ”戦国BASARA(*3)”とは違った意味で今風の歴史モノ。さわかやな読後感が味わえます。

《脚注》
(*1)圧倒的な戦力差の中
 一対一の戦闘の場合、戦闘力が優勢な方が勝利し、勝利側の損害は劣勢の戦闘力と等しくなる。一人が多数に対して攻撃ができる場合、戦闘力を2乗した上で戦闘力が優勢な方が勝利する。(ランチェスターの法則)
(*2)戦国BASARA
 戦国時代を描いたアクションゲーム。アニメ化もされています。有能な人は超人的なまでに有能、無能な人はどうしようもなく無能と、その極限にまでデフォルメされたキャラクター設定が笑えます。
 詳しくは、こちらのブログでどうぞ!

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

« 雛飾りを桃の節句が過ぎてもしまわないと、婚期が遅れると言われている(四季おりおりっ!/花桃) | トップページ | そっか、卒業してもみんな一緒だ(あずまんが大王/桜) »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/528774/47683626

この記事へのトラックバック一覧です: はたして賢か愚か?(のぼうの城/梅モドキ):

« 雛飾りを桃の節句が過ぎてもしまわないと、婚期が遅れると言われている(四季おりおりっ!/花桃) | トップページ | そっか、卒業してもみんな一緒だ(あずまんが大王/桜) »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ